第20回日本オープン観戦記(2回戦)
【担当記者:坪川義昭】
【岡本壮平】
・最高位戦日本プロ麻雀協会B1リーグ所属
・第12代天鳳位(おかもと)
・第15代天鳳位(右折するひつじ)
・現天鳳名人位
プロ歴こそまだ2年目と新人ではあるものの、ネット麻雀界のレジェンドである。
ここ数年で天鳳位がプロデビューという流れはよく目にするようになってきた。
逆にプロも天鳳位を目指す姿はたくさん見る。しかし、実際に天鳳位になれたプロはほんの一握り。
それ程までに天鳳位という壁は高く、簡単に人類が到達することはできない場所なのだ。
岡本の実績は誰もが、ぐうの音も出ない程のものだというのは会場中、そして視聴者にも周知の事実である。
東4局
飯田の6000オールで約35000点差を追いかける岡本の配牌を見てみよう。
既に方針は決まっていて、チートイツのドラ単騎待ちでリーチの構想だ。
河を目立たせない為に序盤からを切らずに字牌を並べる。
これだけでもリーチを受けた側の印象は違うものだ。
少し時間はかかったものの、ドラを重ねて構想通りのリーチを打った。
【五反地清一郎】
・日本プロ麻雀協会B2リーグ所属
決勝戦の舞台は以前所属していた日本プロ麻雀連盟第28期新人王戦決勝以来だろうか。
五反地といえば人狼プレイヤーとしての知名度が高く、そちらでご存知の方も多いかもしれない。
リスクヘッジの鬼こと青い伝説は、この日本オープンでも伝説を残すことができるのだろうか。
東4局
岡本と同じくビハインドを背負っている親番の五反地の配牌はなかなかのもの。
字牌を整理していくだけで手牌はまとまっていき、選択が訪れる。
いくつか選択肢があるものの、問われるのはソーズの待ちを残すのか、ピンズの待ちを残すのかだ。
リャンメン待ちの強さだけを考えるとピンズ待ちなのだが、ソーズの場合は一盃口やタンヤオというプラス1ハンが付いてくる。
アガリやすさやメンゼンでテンパイしやすさに特化した選択を選んだ。
大振りせずに、良い妥協点を見つけている。
すぐさまリーチと出て場を支配しようとする。
この2件リーチに挟まれた村田の手が詰んだ。
岡本同様にを重ねて三暗刻を狙っていたが、こうなれば手放さざる得ない。
序盤の捨牌に気を遣った岡本が見事にを引き出すことに成功した。
これがこのゲームを制する第一歩となる。
南2局
親番で4000オールをツモった岡本がトップ目飯田を追いかける中、苦しいのが五反地だ。
ラス目で村田のリーチを受ける。
同巡にテンパイを入れたものの、この待ちでの捲り合いは不利と判断しテンパイを外す。
メンゼン高打点には拘らずに、点差の近いライバルに引き離されないように待ちの強さで勝負に出た。
打点こそ2000点だが、それ以上に価値のあるアガリである。
南4局
ラス目の村田が難しい手牌をまとめ上げて条件を満たすリーチを放つ。
親番五反地もこのテンパイならば自信を持って捲り合いに挑める。
お互い同等のアガリ牌が山に眠っている。
どちらのアガリが先にいるか。その勝負と思っていたところに
「…リーチ」
岡本だ。
飯田との点差は6100点。リーチ棒は2本卓上に出ている。
一発ならば裏ドラはなくても良い。
岡本が大逆転の勝利を収めた。
全員が一回戦とは真逆の着順になった為、成績はほぼリセットされた状態になった。
この混戦を抜け出す一番手は誰になるのだろうか。