第24期雀王決定戦観戦記 2日目(9回戦)

【担当記者:五十嵐毅】
座順・千貫-仲林-西村-矢島
東2局、親の仲林がドラ雀頭のこの手でリーチ。

仲林のリーチ後にポン、ホンイツで仕掛けた矢島が追いつく。
結果は矢島がを掴んだ。裏ドラはのらずに12000。

この後、仲林はリードを保ったままうまくゲームを回して南場へ。
南1局、親の千貫が6巡目にリーチ。早いので情報は少ない。捨て牌にはターツを選んで手を作った形跡はない。
仲林はリーチ打牌のをペンチャンでチーして、取りあえずの一発消し。これで一発ツモの
を喰い取った。

仲林の手は一発消しにとどまらず、理想通りに進む。ダブをアンコにして満貫が確定ホンイツテンパイ。トップ目で字牌が7枚、オリるのは簡単だが、トップをさらに確定付けるダメ押しの手。こんなの
勝負に決まっている。
開かれた千貫の手は、ドラが配牌からアンコだった。

この12000直撃で千貫が35400、仲林34300点、わずか1100点差でトップ目に立った。
ただし、仲林は一発ツモ6000オール喰い流しを知っている。どのみち1100点差で捲られる運命だったと甘受できただろう。失点は6000点増えたが。
次局テンパイ連荘のあとの2本場、千貫は矢島とのリーチ合戦に勝って2600オール。
3本場、矢島の1人ノーテン、4本場、千貫と西村の2人テンパイとなった5本場、仲林がピンフドラ1のリーチを一発でツモって満貫。再び両者の点差は拮抗する。
そしてわずかな点差のままでオーラスに突入。
ラス目ラス親の矢島がおとなしくしているわけがない。恫喝が始まる。
ドラをポンし、さらに加カンしてこの手。

恫喝というよりはアガりたいホンイツ手だが、当然誰も向かえず、1人テンパイで流局。
1本場もドラポンから入り、
もポンしてこの手。役はない。
を重ねるか、トイトイか?

さらにもポンしてトイトイ一手変わりとは言えるペン
の形テン。
4枚持ちの仲林が序盤に1枚はずしていたが、矢島の仕掛けに対し、トイトイに当たらない安牌としてすべて河に切ってしまった。
矢島は嶺上開花、ハイテイ、ホウテイでもアガれない手のままテンパイ維持。なにしろドラポンで脅しは十分きいている。恫喝成功でまたもテンパイ連荘。親番維持だけでなくノーテン罰符も馬鹿にならない。
2本場は恫喝ではなく真面目に(?)アガリを取りにいった。ポンの1500は2100を仲林からアガる。これで矢島は3着に浮上。
千貫37800 仲林35400 矢島14000 西村12800
トップ争いの2人は2400差、ラスの押し付け合いは1200差と激アツ。
3本場、矢島はをポンしてテンパイ。待ちの形は
–
–
だが、タンヤオなので
は不可。しかも
は場に2枚出ており、矢島の目からは3枚見え。そのため
を引くと、
ツモでフリテンになるリスクを嫌ってカン
待ちにした。さらに
を加カン。
ここで西村がヤミでハネ満のテンパイを入れる。(ドラカンドラ
)

テンパイ取りのは矢島に対して強烈な牌だが、ドラもカンドラもタンヤオに絡まないので安手は見えている。それ以上にこの手はラス抜けだけでなく、千貫か仲林からアガれれば2着浮上となる勝負手。
しかし、結果は矢島がツモ。カンとカンチャンツモのおかげで700オール。

このテンパネと積み棒が地味に大きい。このアガリで矢島は次局ノーテンでも3着キープ、西村ラスで終わらせる点差になったからだ。もちろんトップを目指したいが、早くアガれる手が入らずに西村に動きがあれば、危険をおかさずに流局、強制終了を選ぶだろう。
それは千貫、仲林にも伝わる。両者はアガればトップ、ノーテンで終われば負けとなる残り1局となる可能性が高い。
ということで、ここまではわずかながらリードしているので我慢していた千貫がいきなりの発進。さらに3フーロまでしてこの形。

役はのみのバック仕掛け。トップ目のこれほど必死な仕掛けは滅多に見られない。
譲れない仲林もポン。カン
チーでホンイツイーシャンテン
ここに恐れていたことが起こる。西村がリーチ。カン待ちの一通。

仲林はドラが切れずにソーズを落として回ったが、最後に形テンが入る。
タンキか
タンキかで長考。
千貫に対して残っている役牌はだけだ。
は西村には相当危険。
見え見えので千貫に放銃し、2着で終わることも考えただろう。だが、残る1回のツモがハイテイ手番でツモアガリの可能性がある。トップのチャンスに賭け、
を勝負した。

この切りを見て、千貫も「最後、アガリ牌以外ならば目をつぶってツモ切る覚悟を決めた」という。結果は危険牌を掴むことなく、矢島以外3人のテンパイで終了。
千貫、この決定戦で初のトップ。そして西村以外の3人、いや抜け番の橘を含む4人が望む西村ラスという結果に。
西村は10回戦の抜け番なので、この日までの首位がほぼ確定しているが、約100P差となった2番手の仲林が差を詰めるのだろうか?
それとも他3人の誰かがトップを取って挑戦者に名乗りを上げるのだろうか?







