第24期雀王決定戦観戦記 2日目(8回戦)

【担当記者:坪川義昭】

決定戦初日で首位に立っていた西村が、連勝スタートとなった。
全25回戦の長丁場とはいえ、由々しき事態である。
特に、最下位に沈んでいる千貫に関しては300p以上の差がついてしまい、これ以上離されるわけにはいかない。
東1局

そんな千貫にドラのがトイツの配牌が入った。
3巡目にしてイーシャンテンだが、にくっ付けばタンヤオへのルートもあり
や
に手を掛けたくなるところ。

千貫はストレートに受けの広さを取り、何を引いてもリーチの構えを取った。

先制テンパイは矢島。引きでのテンパイは味気がない。
タンヤオに振り変わるか、ドラを引き入れた時がリーチのしどころだろう。

ドラのをアンコにした千貫がリーチと出る。
序盤に切られそうなが顔を出す前ならば、自信のリーチだ。

矢島が一発で当たり牌のを掴むが、ヤミテンに構えていたおかげで放銃を免れる。
百戦錬磨の矢島にとっては当然の選択かもしれないが、隙が全く無い。

矢島に止められてしまったが、もう一枚のを千貫が引き当て3,000-6,000のツモアガリ。
ここまで苦しい展開が続いていた千貫の風が変わり始めた。
誰もがそう感じていたに違いない————
東3局2本場

親番を迎えた矢島の配牌は絶望的で、国士無双に向かいつつ放銃を避けるしかない。
せめて、役牌がトイツでさえあれば少しはヤル気が出るというもの。

あれよあれよとヤオチュウ牌を引き入れて、まさかの国士無双テンパイ。が余ったとはいえ、今すぐ警戒しろというのはなかなか厳しいものがある。



三者共なんぞは秒でツモ切る。
掴めば即地獄行きのロシアンルーレットが始まった。
この、銃弾を引き当ててしまったのは————


トータルポイント最下位に沈んでいる千貫だった。
ほんの数分前までは風の変わり目を感じていたはず。
麻雀の神様がいるのであれば、意地が悪すぎる。

いつも笑顔を絶やさない千貫も流石に苦しくなってきた。

勢いに乗った矢島が、攻撃の手を緩めることはない。

更に一発ツモの4,000オールで点棒の山を築き上げる。

1時間に渡り、連荘を続けた矢島は100,000点に王手を掛けた。
当然この段階で、今までの負債は全てなくなっている。
逆に千貫の点箱は、直視できない程に痛々しい傷を負ってしまった。
南1局1本場

この局で2着の争奪戦にも終止符が打たれる。
先手を取ったのは西村。
役もドラもないリーチのみだ。

安全牌がない橘が放ったで西村が手牌を倒す。

捲った裏ドラが望外ので8,000点の直撃となり、橘を大きく突き放した。
南3局1本場

千貫が意地の満貫ツモアガリ。
しかし、傷口は満貫程度では塞ぐことができない程に大きく広がってしまっている。

オーラスは西村が、あっさりと捌いて8回戦は終了。


たった1半荘で100p以上のポイントを持ち帰った矢島がプラス域に浮上した。
千貫は連続ラスとなり、早くも優勝争いに黄色信号が点滅。
しかし、人生を賭けて辿り着いた決定戦で勝負を捨てることなど、あるわけがない。
これからどんな立ち回りを魅せてくれるか期待である。






