第24期雀王決定戦観戦記 2日目（7回戦）

【担当記者：中島由矩】

7回戦（仲林－橘－西村－千貫）抜け番・矢島

目下雀王連覇中で、この決定戦で三連覇を見据える現雀王・仲林圭がいきなり魅せる。

【東1局0本場】

先制リーチをかけたのは、橘。河にと並んでいるが、これは「ダブルメンツ落とし」という。の形から、–の2度受けを嫌った格好だ。メンツではないので、筆者は「ダブルターツ払い」じゃないかと思うのだが、どうだろう。

これを見た仲林は、タンキのチートイツで追いかけリーチをかけた。これには2つの意味がある。

1つは、橘のリーチに対して–が打ちづらいということ。ただし、麻雀には入り目があるので、待ち牌について断定することはできない。

そしてもう1つは、が山にいそうだということ。橘の手牌にもう1組があると仮定するなら、は1枚か0枚だと考えることができる。ならば、チートイツでの追いかけリーチも、勝負に値する、と。

果たして、仲林はこのタンキをツモアガリ。3200オールとした。

「やっぱ強えな」

と噛み締める橘。この瞬間、仲林のすごさを身をもって実感しているのは橘だ。

【東2局1本場】

その橘、今度は一転してリーチを使わずに勝負をかけた。

ダブドラ1の7700は1本場で8000になるこの手を、親の橘はダマテンに構え、

タンヤオに向かっていた千貫からロンアガリ。

今決定戦は、初日からずっと千貫に辛い展開が続く。

千貫は、ピンチになると笑う。

という話も、こすられすぎて使いづらくなってきたくらいだ。

【南1局1本場】

千貫最大の受難は南1局1本場、を暗刻にし、ドラ1内蔵の手を6巡目に仕上げて先制リーチをかけると、

すぐさま西村から追いかけリーチが飛んできて、

一発で放銃。

西村はこのアガリで橘をかわし、打倒仲林の急先鋒となった。

【南4局0本場】

東家・千貫陽祐　△1200
南家・仲林圭　38900
西家・橘哲也　25700
北家・西村雄一郎　36600

西村は、自身の2300点上でトップ目の仲林をかわしたい。14巡目に入ったテンパイを、どうするか。

ダマテンでは1000点しかなく、仮に仲林を直撃したとしても、着アップは望めない。また、リーチをかけたとしても、橘や千貫からの出アガリには一発や裏ドラなどの偶発役が必要になってくる。

諸々の条件を頭の中で整理し、果たして西村は「リーチ」と言って、千点棒を置いた。

一発か裏ドラか、と言ったところだが、西村は一発でをツモアガリ。裏ドラを確認すると、表示牌としてが転がった。もし麻雀に流れがあるなら、風が吹いているとすれば、それは西村の後方からかもしれない。

700・1300でもいいところを、2000・4000ツモで、西村は6回戦に続き、この7回戦でも鮮やかにトップを奪って見せた。

7回戦トップは、西村雄一郎。仲林・橘を向こうに回し、気をてらうことなく、堂々とした打ち回しで、連勝を手にした。試合後のインタビュー画像も、6回戦とまったく同じ構図なのだが、7回戦のものを新たに用意した。

2着は、仲林圭。試合前のインタビューでは、「昨年の第23期雀王決定戦は、初日タコ負けだった」と笑顔で語った。それに比べれば、今期はまだ恵まれていると感じているのだろう。8回戦以降も、いつも通りの麻雀で、期待値の高い打牌を続けていく。

3着になったのは、橘哲也。6回戦の4着に続いて２戦連続の逆連対は、決して気分のいいものではないだろうが、「今期、夫婦で800pt稼いだ」精度の高い麻雀で、巻き返しを誓う。

無念の4着になったのは、千貫陽祐。この箱下の4着で、トータルがマイナス3桁となってしまった。次戦以降、浮上のきっかけをつかみたい