第24期雀王決定戦観戦記 1日目(4回戦)

【担当記者:坪川義昭】

雀王決定戦が行われる2ヶ月間は至福の時である。
雀王戦に出場する協会員達の夢舞台であり、その全てを余すことなく観ることができるのだ。

協会最高峰の闘いをとくとご覧あれ————

東3局

親番の矢島がチャンタ・三色のイーシャンテンになった。
当然、テンパイすればドラの麻雀牌:白を叩き切るだろう。

上家から放たれた麻雀牌:九索が3枚目であれば、鳴かざる得ない。
鳴いてテンパイを取るかと思われたが、ここから麻雀牌:南のトイツ落としを始める。
安い点棒など拾う気なし、と言わんばかりの手筋だ。

先制したのは橘。
想定通りのドラ単騎テンパイを組んでリーチと出た。

矢島も2,900点のアガリはあったが、4倍の打点で捲り合いを仕掛ける。
こうなると、何を持ってきても引く気は起きない。

オナテン勝負に引き勝ったのは橘で、2,000-4,000のツモアガリ。
先制パンチを決めた。

東4局

またもや、仕掛けを入れたのは矢島。
カン麻雀牌:七筒のチーを入れてホンイツのイーシャンテンだが、目指すところはチンイツだろう。

ドラがトイツの橘は麻雀牌:四筒切りのところでトイツ手に決め打ちし、マンズの安さを見て麻雀牌:五萬単騎に照準を絞っている。

しかし、仲林が切った麻雀牌:五筒をポンしてトイトイへ路線変更。
マンズの鳴きやすさと、ピンズ染めに走っている矢島の急所をインターセプトだ。

この鳴きで絶好の麻雀牌:一索を引き入れた千貫がリーチを放つ。
千貫の目線からもマンズ待ちは絶好である。

橘もすぐにテンパイを入れて、またもや互いに引けない捲り合いが始まった。

千貫が高目のドラを掴んで18,000点。
勝負を決定付けるようなアガリが決まった。

苦しい放銃となったが、画面に映し出された千貫の笑顔は崩れない。
これで心が折れるようでは、この舞台には立てないのだ。

南1局

勢いに乗る橘が三者を突き放そうと、役牌の麻雀牌:北麻雀牌:白を仕掛けてホンイツのテンパイ。

なんとか親番を維持したい千貫だが、このド終盤でやっとイーシャンテン。
ピンズに手をかけることはないが、マンズとソーズの受けは共に見た目3枚ずつで判断が難しい。

矢島はソーズの所持率が高いと判断し、マンズに狙いを絞った。

これがバッチリとハマり、最後のツモでテンパイを入れる。
上家から放たれる種類を増やしておきたい場面でもあり、なかなか選べない選択だ。

南2局

千貫を追う親番の仲林が、三色確定の先制リーチと出る。

トップ目の橘が、チンイツのテンパイで無筋の麻雀牌:二索を叩き付けた。
三度目の負けられない捲り合いである。

ここに参戦したのは、ラス目に落ちていた千貫。
やっと辿り着いた夢の舞台で、簡単に負けるわけにはいかない。

ドラの麻雀牌:五索を引かされた橘は千貫のアガリを願って撤退を決断した。

仲林が放った麻雀牌:二索で千貫の手牌が倒れる。
苦しい展開だった千貫は勿論、トップ争いをしている橘にとっても、貴重な8,000点となった。

南3局

親番は落ちたものの、この点棒状況でトップを易々と諦める仲林ではない。
役牌の麻雀牌:北麻雀牌:二索と仕掛けてホンイツのテンパイを入れる。

ドラアンコのテンパイを入れた橘が、リーチで突き放しにかかった。

仲林の待ちが5メンチャンに変化し、全軍突撃の構えで立ち向かう。

これは枚数で圧倒的有利な仲林が勝利し、値千金の3,900点を直撃。
勝負はオーラスまで持ち越された。

南4局

3着確保を目指す千貫が役牌の麻雀牌:発を叩いて盤石のイーシャンテンで待ち構える。

親で加点を目指していた橘だったが、ここで手を止めた。
麻雀牌:八索が3枚切られたこと、条件のある矢島がタンヤオ仕掛けで、ドラを最低でも1枚持っていることからピンズ受けも悪くなり、方針変更を考えている。

ダブ南とドラを既に切っている千貫へアシストの麻雀牌:六筒切りだ。

ドラ表示牌のリャンメンよりも優秀な麻雀牌:四索麻雀牌:七索を払うわけもなく、待ちは透けた。

4枚目の麻雀牌:八索を引き入れた仲林がリーチを放つが、もう時間は残されていない。

現物の麻雀牌:七索を差し込んで見事な逃げ切り勝ちとなった。
仮に現物でなかった場合でも、千貫の待ちを読み切って麻雀牌:七索切りは変わらなかったであろう。

昨年悔しい決定戦途中敗退となった橘が首位に躍り出た。
間も無く、本日の最終戦が開始となる————