第24期雀王決定戦観戦記 最終日(21回戦)

【担当記者:坪川義昭】

遂に第24期雀王決定戦は最終日を迎えた。
独走する西村を、現雀王の仲林は捉えることができるのか。
苦しい立ち位置の矢島、千貫が奇跡を起こすことはできるのか。
凄まじい緊張感の中、21回戦がスタートした。
東1局


親の矢島がドラアンコの配牌を、丁寧に仕上げてイーシャンテン。か
の選択で、くっ付きの枚数は僅かに
切りの方が勝る。
しかし、矢島の選択は切りだった。
シャンポン待ちは同等だが、引きでも待ちが
になる点を重視したのだ。
優勝を目指すためには、西村からの直撃を考えなくてはいけない。
少しでも隙を付けるよう、工夫を凝らした一打である。

先にテンパイを入れたのは仲林だ。
ピンズが変化すればリーチといくだろう。

西村も同様にテンパイを入れたが、リーチとはいかない。
前巡、恐れずにドラを手放しているのが西村らしい。

矢島もを重ねてリーチをかけた。
狙い目のはまだ1枚、山に眠っている。


既にテンパイを入れていた西村がを掴む。
これは流石に止めることはできず、西村の12,000放銃で決定戦最終日が開幕した。
東1局1本場


西村から直撃を取った矢島が、更に手順で魅せる。
を切ればピンフ・三色のイーシャンテンだが、2,900点になる可能性を嫌い
をツモ切りとした。
矢島に妥協の二文字は存在しないのだ。


望まぬテンパイは当然取らない。が自身の目から全て見えていることで、
に照準を絞っている。

先制リーチを打ったのは西村。
先程の失点を少しでも取り返したいところ。

なんと、矢島はここでフリテン追っかけリーチを敢行する。
両無筋であるの危険度が
に比べて高過ぎたのだ。

ここは流局となり、勝負は持ち越しとなった。
東2局

西村の親番を流すために、矢島がを仕掛ける。

仲林もを
でチーして前進。
お互い西村を封じ込めようと、包囲網を散らす。

雀頭候補のをポンした矢島も、これでホンイツのイーシャンテンになった。

三者が恐れていた親リーチが入る。
ここに、ノーテンから立ち向かうことは難しい。


西村がをアンカンすると、捲れたカンドラは
。
これが決まろうものならば、雀王戴冠のマジックが点灯するだろう。

最後のツモで西村がを手元に手繰り寄せた。
全員を絶望の淵に突き落とす8,000オールである。
優勝が見えてきた西村の指先が震えていた。
淡々と摸打を繰り返しているように見えていたが、凄まじいプレッシャーと闘っているのだ。
南1局

ドラアンコの千貫がリーチをかける。

終盤にを
で仕掛けて仲林がテンパイを取った。

で300.500のツモアガリだが、手牌を倒さない。
目標は、西村を捲ること一点のみ。
アガればリーチ棒込みで2,400点縮むが、流局すれば3,000点になる。
矢島がテンパイしていたならば4,000点だ。

なんと美しく、シビアな選択なのだろうか。
最後まで西村を苦しめるのは仲林なのかもしれない。
南3局

勝負を諦めない矢島がを叩いてホンイツへ向かう。


続け様にをポン、
を
でチーしてイーシャンテンになった。

千貫に合わせて切ったを鳴かれてしまった仲林だが、チートイツのイーシャンテンに辿り着く。

場況的には絶好だが、西村から直撃が狙える
単騎でリーチを打つ。

矢島もを引き入れて満貫のテンパイだ。
互いに一歩も譲らない捲り合いが始まった。

ここから放たれる一打は、西村雄一郎が雀王を戴冠する最大の勝因であり、第24期雀王決定戦のハイライトである。
筋の以外は全て危険牌であり、選択肢は一つしかない。
そのに手をかけたならば、仲林に一発放銃で3着まで落ちる。

何故に手をかけずに、無筋の
を切ったのですか?
『仲林さんのリーチはの切り順が逆なので、メンツ手の可能性はほとんどないです』
仲林はピンズのペンチャンを安全度の高いから切っていた。
メンツ手の場合、ターツを落としてテンパイならば、必ずから切るはずなのに。
『とのシャンポン形も
切りで否定されているので、チートイツが濃厚だよね。
だから、2枚切れのを切りました』
が宣言牌まで引っ張られた場合、
とのシャンポン受けが筆頭候補だ。
しかし、が切られていることによって
この形からの受け入れを拒否していることになり、メンツ手が否定されるのだ。
この思考を巡らせるために20年近く研究を重ねてきた。
そう。この瞬間のために———

親番の千貫にもテンパイが入り、最後の希望をかけてリーチを打つ。


仲林が力無く放ったで矢島が手牌を倒し、8000点。
南4局2本場

オーラスは矢島が逃げ切りに成功し、西村のトップだけは許さなかった。

西村が一歩ずつ王座へ近付いていく。
その差は2位の仲林ですら、200p以上だ。
新雀王誕生まで、あと4戦———






