第24期雀王決定戦観戦記 4日目(16回戦)

【担当記者:中島由矩】
16回戦(千貫-橘-西村-矢島)抜け番・仲林

麻雀において、親の連荘は見どころの1つだ。これは野球の攻撃にも似ていて、3つ目のアウトが宣告されるまでは、いつまでも続いていく。
子方3人は、時には大物手のツモアガリで親から大きな点棒を引き出し、時には結託して安いアガリで親を落としにかかる。
【東3局0本場】
東家・西村雄一郎 20700
南家・矢島亨 20700
西家・千貫陽祐 31400
北家・橘哲也 27200

矢島がピンズを二副露して、タンキで
・ホンイツをテンパイ。ここで矢島にアガリが出れば、あるいはこの16回戦の、ひいては第24期雀王決定戦の、方向性も変わっていたかもしれない。

矢島の手から、・
と打たれた後、親の西村にもテンパイが入った。テンパイからなら1枚勝負。
を曲げ、西村は先制リーチに踏み切った。ここから実に7本場まで続く、西村連荘劇場の幕開けである。
しかし、ここは流局。
【東3局1本場】

今度は9巡目に、西村が先制リーチ。現状ラス目の西村、この手に着アップへの希望を託す。

第24期雀王に1番近いポジションにいる西村を、悠々と一人旅にさせるわけにはいかない。橘は、門前でテンパイを入れると、ドラ表示牌のカン待ちで勝負に出る。

ここは西村が競り勝ってツモアガリ。2600オールを手にして一躍トップ目に。
【東3局2本場】

4巡目に先制リーチを打ったのは、千貫。カン待ちを成就させ、西村の親を落としつつ、返す刀でトップ目に立ちたい。

しかし、そこに親の西村が立ちはだかる。千貫のアガリ牌であるを暗刻にして、シャンポン待ちで追いかけリーチ。

最後は、千貫からを討ち取った。2000は2600のアガリ。
【東3局3本場】

親の西村が仕掛けてタンヤオのテンパイを入れる中、

場風のを暗カンした千貫が先制リーチをぶつけていく。

しかし、競り勝ったのは西村だった。1000は1300オールを加点して、さらなる連荘に成功。
【東3局4本場】

親の西村が、4巡目に先制リーチを打つと、矢島からロンアガリ。裏ドラを1枚乗せ、3900は5100のアガリ。
【東3局5本場】

矢島がカン待ちで先制リーチ。

親の西村が、カン待ちで追いかける。
ここは二軒テンパイで流局となった。
【東3局6本場】

試合後のインタビューで、「ソーズの下もいいと思ってたんですけど…」と頭をかいた西村が、ポンから発進してマンズに向かう。

矢島から先制リーチを受けるものの、その矢島の河に、西村のアガリ牌・
・
が1枚ずつ並んでおり、西村は橘からドラの
でロンアガリ。ホンイツ・ドラ1の5800は7600を加点する。

点棒状況はこのようになった。
東家・西村雄一郎 56000
南家・矢島亨 12600
西家・千貫陽祐 19800
北家・橘哲也 11600

【東3局7本場】
橘がを仕掛けてマンズに向かい、西村とのめくり合いを制す。2000・4000は2700・4700という、あまり聞いたことのないアガリ点数となった。
【南2局0本場】

矢島が、橘から8000のロンアガリ。
【南3局0本場】

橘が、千貫から8000のロンアガリ。
西村はいずれも、眺めていればよかった。オーラスは、橘が自風のを仕掛けて2着確定のアガリ。

16回戦トップは、西村雄一郎。トータル2位で現在雀王二連覇中の仲林が不在の半荘を、きっちりトップで飾った。

2着は、橘哲也。東3局7本場で、西村の親を落とすアガリはよかったものの、戦前に「敗退回避よりも雀王戴冠を強く見たい」と語ったように、自身の親番で危険牌を勝負し、矢島のリーチにつかまってしまった。

3着になったのは、千貫陽祐。東3局で西村の親を落とせず、ツモられて点棒が削られていった。橘への放銃は裏ドラが2枚乗るアンラッキーもあったが、3着で踏みとどまる結果に。

無念の4着になったのは、矢島亨。現状、20回戦を終えての脱落は見えてきていないが、まだ下が気にならない今のうちに、西村・仲林とのポイント差を詰めておきたい。

17回戦からは、仲林が出陣する。20回戦を終えた時に、笑っていられるか、はたまた泣くことになるのか。残る勝負はたったの4半荘だ。悔いのないように戦いたい。







