第24期雀王決定戦観戦記 2日目(10回戦)

【担当記者:五十嵐毅】

座順・仲林-橘-千貫-矢島

南3局1本場を迎えてトップ目の仲林31400点。
以下、千貫28400、橘21000、矢島18200と続く。一番点棒のない矢島はラス親なので全員がトップを狙える点棒状況といえよう。
ここで橘が巧技を見せる。

ピンフドラ1のイーシャンテン。麻雀牌:八索麻雀牌:九索のペンチャンを落とせばリャンメンが残りピンフが確定する。
こちらがそのときの捨て牌。

麻雀牌:七筒が自身の手にあるのを含めて3枚見え。麻雀牌:四筒はドラ表示牌含め2枚見え。
麻雀牌:七索は矢島の捨て牌に1枚。そして、千貫は麻雀牌:九索を2枚切っており、ソーズの上は持っていなさそうである。
見えている枚数で3対3のイーブン。仲林の麻雀牌:七筒や千貫の麻雀牌:四筒は出来メンツからの余剰牌として打たれた可能性十分。なにしろドラは麻雀牌:五筒なのだ。単独の牌として切られた可能性のほうが低い。
加えて矢島も麻雀牌:四筒の1枚くらい持っていそうである。
橘は長考の末、麻雀牌:八筒を切った。
答え合わせは、仲林は持っていなかったが、千貫が麻雀牌:三筒麻雀牌:四筒麻雀牌:五筒麻雀牌:七筒麻雀牌:八筒と持っていた。矢島も持っていなかったが、3巡目の麻雀牌:六筒はドラが麻雀牌:五筒なので麻雀牌:五筒麻雀牌:六筒麻雀牌:六筒からの先切りで、麻雀牌:四筒麻雀牌:七筒が欲しい人だった。
対して麻雀牌:七索は3枚残り。
次巡、「あなたが正解です」と声が聞こえてきそうな麻雀牌:七索ツモ!
もちろん麻雀牌:九筒を切ってリーチである。
橘のアガリと思われた。なにしろ正解を選んだのだから。

ところが……
そのラス牌となっていた麻雀牌:四筒麻雀牌:七筒を難なくツモり、追っ掛けた男がいた。
矢島である。

結果は……

矢島の高目三色となる麻雀牌:六索を橘が掴んで満貫放銃。
おかしい? 正解を選んだはずなのに。
ペンチャン落としの凡手を選んでいればまだノーテン。雀頭の麻雀牌:東は安牌であり、余裕でオリられただろう。
これで矢島は千貫の100点上、仲林の2900下となって親番。もちろん真っ直ぐ手を作って6巡目にリーチ。

ここに絶好のペン麻雀牌:三萬を引き入れイーペーコーを確定させた千貫が追っ掛け。

互いに相手の待ちを雀頭に。いや、千貫はイーペーコー部分で麻雀牌:三萬も2枚持ち。こちらのほうが有利である。
ところが……
絶好の入り目だった麻雀牌:三萬をまたも持ってきてしまう。救いはリーチのみの2000点で済んだこと。

この瞬間の千貫の表情、なぜか嬉しそうである。マゾにちがいない。

これで矢島はわずか100点差でトップ目に。しかし、誰に何をツモられても2着落ち。千貫に1000・2000をツモられれば3着まで落ちる。(ただし、千貫がトップになるには1300・2600以上が必要)
ということで1本場、まだまだ行くぞと、矢島は麻雀牌:発ポン、麻雀牌:一萬チーでテンパイ。ドラが麻雀牌:四筒でカン麻雀牌:三筒待ちの2900の手。とりあえずこれをアガってもう1局というところだ。

それがなんと……
麻雀牌:発をツモって加カンすると、リンシャンから麻雀牌:三筒を掘り当てた。

麻雀牌:発の加カンで嶺上開花――デジャブか? 
ほんの1カ月前、日本オープン決勝の最終戦だったな。あれは3メンチャンだったが。

符も役もアップさせて2600オール。これ一発でノーテン終了OKの余裕を手にした。
2本場は千貫が麻雀牌:三萬麻雀牌:六萬麻雀牌:九萬待ちピンフ、麻雀牌:三萬麻雀牌:六萬ならタンヤオも付くリーチを打つが流局。
仲林は西村のいない卓で無理する必要はないと、本日4度目の2着に甘んじたが、その差100Pを切っている。
矢島はトータル48.3Pとし、首位まで150弱となった。