第24期雀王決定戦観戦記 1日目(1回戦)

【担当記者:今田孝志】
第24期雀王決定戦出場者は以下のとおり。
・仲林圭(現雀王)
・橘哲也(A1リーグ1位通過)
・千貫陽祐(同2位通過)
・西村雄一郎(同3位通過)
・矢島亨(同4位通過)
雀王戴冠経験のある矢島。
昨年に続いて決定戦進出の橘。
そしてA1昇級即決定戦進出を決めた千貫と西村。
以上の4名が3連覇のかかる現雀王・仲林に挑む構図となった。
5名ともその実力はすでに多くの人の認めるところ。
誰が勝っても面白い決定戦になることは間違いない。
全5日間の日本プロ麻雀協会のトップを決める戦いに、是非ご注目いただきたい。
1回戦(西村-千貫-橘-仲林)抜け番矢島
1回戦からいきなり大接戦の好ゲームとなった。
苦しい展開の西村が南2局2本場に1000/2000は1200/2200、南3局には2000/4000をアガって大激戦に。
南4局を迎えて点棒状況は以下のとおり。
西村 26300
仲林 25700
橘 25200
千貫 22800
上から下までわずか3500点差内。
全員揃ってトップの期待とラスの恐怖が背中合わせの状況だ。
親の仲林の手がいい。

456の三色になれば6000オールまで見える
その仲林と600点差のトップ目の西村がを重ねる。

手の中にドラの暗刻があるが、この状況ではドラ暗刻よりも、特急券のトイツの方が嬉しい。
しかし先制テンパイは橘。

–
待ちのリーチのみだが、橘はトップ目の西村まで1100点、2着目の仲林まで500点差という状況。アガれば逆転トップになる。
このリーチ宣言牌に西村が食いついてバックでテンパイ。

もちろんアガればトップ確定だ。
そして仲林も三色は崩れたが、–
待ちで追いかけリーチ。

仲林は西村・橘のアガリでトップを取り逃すだけでなく、自身の放銃、さらには西村のツモアガリの場合の親被りで、3着落ちのリスクもある。だがここは行くしかないところだ。
そして西村がを一発キャッチ。

西村はアガればトップ確定だが、放銃に回るとラス落ちまである。
それを承知で橘のリーチに(実際に入り目)を押した。ならばこの
も押してもおかしくなかったが、二軒に対してそれは違うと、これをビタリと止めて放銃回避。
このが千貫から出て、仲林の5800のアガリ。

千貫はアガれば4着から1着になるテンパイが入ったところだった。

ほんの僅かな差で、残酷なほどに明暗が分かれるせめぎ合い。
だがアガったとはいえ仲林のトップもまだ安泰ではない。連荘して1本場は西村まで6200点差、橘まで8300点差。まだ勝負の行方はわからない。
その仲林はオタ風のをポンして、ドラのカン
待ちでテンパイ。

更なる加点を目指しつつ、放銃すれば着落ちになる西村・橘にプレッシャーをかける。
そのを吸収して、千貫がイーシャンテンに。

ドラがトイツになったことで、全員捲る跳満ツモも現実的に見えてくる。
そして西村が123の三色を作り上げてリーチ。先にを捨てているカン
待ちで、出アガリも期待できる。

ツモと仲林からの出アガリは文句なし。橘・千貫からの出アガリの場合は裏1以上条件。
リーチ時点では山に1枚。その1枚が千貫に吸収され西村のツモアガリはなくなるが、

橘が手詰まりからスジので放銃。
だが、

裏は乗らずの5200は5500止まり。
結果としてこのアガリで順位変動は起きず、1着仲林、2着西村、3着橘、4着千貫で1回戦を終えた。
この観戦記では熾烈な鍔迫り合いとなった最後の2局を取り上げたが、それ以外の局も非常に見所が多かった。
全体を通して手役や打点を狙った強引な打ち回しが少なく、牌理に忠実なロスのない進行が多く見られた。そして四者とも非常に守備が固く、しまった好ゲームとの印象を強くした。必ず面白い戦いになるだろうとの戦前の予想は、1回戦を見終わってより強固な確信となった。
最初の1勝は現雀王の仲林が取った。
3連覇か、それとも待ったをかけるか。
このあとの戦いにご注目いただきたい。







