第23期雀王決定戦観戦記 1日目(2回戦)

【担当記者:今田孝志】
今年の夏は暑く、長かった。
10月に入ってもなお30℃を超える日があり、炎熱の日々の余韻を今に残す。
今期のA1リーグは稀に見る激戦となり、夏に負けない熱い戦いが繰り広げられた。
決定戦に進出した5名のうち、優勝候補と目されるのは仲林と堀。
共に雀王経験者であり、Mリーガーでもある。
仲林・堀が優勝した際には「順当」と表現されることだろう。
一方「番狂わせ」と言われては田幸・吉田・橘は不本意であろうが、勝ってその実力を示したいところだ。
1回戦は上下が離れた展開となったが、田幸が仲林を抑えてトップを取り、吉田が堀とのラス回避争いを制した。まずは「順当」ならざる結果になったと言っていいだろう。
雀王決定戦は今期より抜け番ありの5人打ちとなった。
1回戦抜け番の橘は、ここから出番だ。

開始前のインタビューで橘は、抜け番選択は本来雀王から順番に行うが、子どもの運動会出席のために1回戦抜け番を希望したところ、他4選手が快く認めてくれたエピソードを披露した。非常にリラックスした表情が印象的だった。
さて、2回戦は吉田の3巡目リーチ、一発ツモで開幕。

吉田が先行する。
東4局。
仲林はここからを手に留めて2枚切れの打
を選択。

をポンした吉田が既にテンパイしていると読んでの選択だが、その直後に吉田がドラ
を引いて
とのシャンポンに待ち変え。

次巡、を引いた仲林が打
。
吉田のテンパイを察知してを手に留めたが故に、手痛い3900の放銃となってしまった。
東1局の吉田のマンガン以降、大物手が出ない展開。吉田がマンガンひとつ分ほどのリードを保って南2局に入るが、ここから仲林・堀の逆襲を受ける。
ドラがトイツの仲林。ここからカンチャン固定の打

1枚切れのもツモ切ってカンチャン固定を続行。
引きならドラ切り辞さずの構えだが、
を暗刻にしてカン
待ちでリーチにいく。
一方、橘は2巡目にカン受けを嫌う打
とする。

345の三色を睨みながら、タンヤオ・ピンフを狙って懐深く構える。
仲林のリーチの直後、橘もテンパイ。
三色こそ崩れたが、狙いどおりドラ1内蔵のタンヤオ・ピンフにまとめて追いかけリーチ。

この捲り合いは仲林が制してツモ。2000-4000のアガリで全員20000点台の接戦となる。
南3局の堀。
ここからから打を選択。

形だけならや、くっつきテンパイにうける
も選択肢になるが、ドラ
の受け入れを最重要視した選択。
直後に仲林からリーチが入る。前巡か
を捨てていればテンパイとなる
を引くが、仲林の現物でもあり、これはツモ切り。
次にを引くと、

通ったばかりのはあるが、真っ直ぐ
切り。
再度を引いてリーチといき、ドラの
でツモアガると、裏ドラも
。
2000-4000のアガリとなる。
南4局を迎えて点棒状況は以下のとおり。
堀 31900
吉田 27000
仲林 22100
橘 19000
ここまで連荘なしの7局。
トップ目は堀。
吉田は東1局のマンガンで先制し、その後小場で局が進む中、トップを維持してきた。
ところが南2局に仲林、南3局に堀にマンガンをツモられ、気がついたら逆転されていたといった印象ではないか。勝っている気分のまま点棒では負けているということが時にあるが、さて吉田の心境はいかなるものか。
ともあれ再逆転して気分と点棒を一致させたい。
吉田はドラトイツの申し分ない配牌をもらい、3巡目に早くもカン
待ちでテンパイ。

吉田はテンパイ外しを選択し、次巡狙い通り引きでテンパイ。
–
待ち。高め
だとイッツーがつく。
ダマテンで堀からの直撃、仲林・橘からの高め出アガリを狙う手もあるが、吉田はリーチを選択。どこから出ても逆転である。
テンパイ外しからの絶好のテンパイ。わずか4巡目のどこから出ても逆転のリーチ。高めのなら跳満から。
これは勝ったと思ったのではないか。
実際この–
は山に5枚残っていた。
ところが仲林から追いかけリーチを受ける。
仲林の待ちは–
。
こちらは山にはドラのが1枚残っているだけだったが、

仲林がそのをツモって1300-2600。
吉田はトップを逃しただけでなく、仲林に捲られて3着に着ダウン。

連荘、流局なしの8局35分間のスプリント勝負を制したのは堀。1回戦ラスのマイナスを帳消しにした。
2着はしぶとく仲林が確保。
これは「順当」な結果というべきなのか。
とはいえまだ2回戦が終わったばかり。悔しい3着・4着に終わった吉田・橘のここからの巻き返しに期待したい。
