第22期雀王決定戦観戦記 4日目/最終日(19回戦)
第22期雀王決定戦観戦記
4日目/最終日 19回戦
【担当記者:坪川義昭】
堀と仲林の差は約140p差だ。
決定戦で現実的な最終戦逆転の可能性を残すには最低でも100p差以内に入り込まないと難しい。
18回戦に続き、この19回戦も仲林が堀を下回ることは許されない状況である。
東3局
一枚目のを仲林がポン。
大振りな麻雀になった時この牌に声をかけられなくなるのだが、仲林には安定感がある。
無理なことはしない。
このツモ1枚で劇的な価値を生む。
鳴いたとしても手牌に価値を持たせることは可能だ。
こうなると受け入れを狭めてでも高打点狙いにシフトチェンジする。
ツモが生きた。鬼のような引きで2000点の仕掛けだった手牌が高めツモ倍満にまで育った。
満貫イーシャンテンだった浅井から8000点の打ち取りとなる。
この手を見逃して堀から狙い撃ちをするほど仲林はポイント的にも精神的にも追い詰められていない。
南2局
早々に堀はドラのを手放した。
どの数牌の裏目も手役やスピードを落としてしまうし、相手へのプレッシャーも見込んだ一打だろう。
そういえばこの決定戦4日間を通して堀の選択は常にと言って良い程ハマっていた。
それは実力に裏付けされた正確な一打があってのことだが、ここまでストレートで手痛い裏目は初めてかもしれない。
345の三色が見えていた手牌でを手放すと次のツモはと噛み合わない。
結果、堀はノーテンで親番を明け渡すことになる。
少しだけ。ほんの少しだけ風の変わり目のようなものを観ていて感じた。
南4局
矢島と仲林は同点の為、どんな点数でもツモアガリさえすれば親被りで仲林を落とすことが出来る。
4巡目から堀が動いた。
仲林の手が育ち始める。チートイツのイーシャンテンだったところにアンコが1つ。
こうなれば役満のイーシャンテンだ。
胸が高まる。
矢島も最後まで正々堂々戦い続けると言わんばかりにポンといき、タンヤオ仕掛けでトップを奪取しに向かう。
矢島が切ったを見送るほど雀王の座は夢世界ではない。親番の仲林がテンパイ一番乗りとなった。
仲林の指先に少しだけ力が入る。
いつものモーションで音も立てずにツモ牌を置き、手牌を開いた。
二人の差は43.4pだ。
ここまで来ると最終戦の有利不利はほとんどないようなものと考えて良いと思う。
協会を背負う二人の一騎打ちは歴史に残る一戦になるだろう。
こんな凄まじい対局があと一戦で終わってしまうのが惜しくて堪らない。
全ては一半荘に託された—-