第13回チャンピオンロード ~雀王~
【担当記者:坪川義昭】
台風接近で交通機関運休が各所で発生した9月1日。
あいにくの天候ではあるものの全4会場で行われた第13回チャンピオンロード〜雀王シリーズ〜の参加者は155名と大盛況となった。
そんな中、歴代雀王でゲスト参戦の木原浩一、須田良規は共にスタートダッシュを決め5回戦に進出する。
準決勝のボーダーまではトップが絶対条件の木原浩一は注文通りにトップを奪取した。
しかし、ボーダーが更に跳ね上がりここで無念の敗退となった。
準決勝も特大のトップを獲得した須田良規が堂々の首位で決勝に駒を進める。
更に山吹亮介、鈴木楓、水戸徹斗の若手協会プロがその背中を追う。
誰がどう見ても須田良規が大本命の決勝戦がスタートした。
1位 須田良規 +292.5p
2位 山吹亮介 +257.3p
3位 鈴木楓 +245.3p
4位 水戸徹斗 +211.6p
東2局
ホンイツ仕掛けの影に隠れて鈴木楓がヤミテンで4800点を拾う。
実に慎重な入り方であり、玄人好みな選択だ。
しかし、全員をなぎ倒すことがミッションである。やや、大人しすぎる印象を受けた。
東2局2本場
早々に水戸徹斗がマンズに走る。3つ晒したところでテンパイなのだが、中身は染まり切らずに1000点。
ドラ
親の鈴木楓が捌きにかかり、副露を入れた。
須田良規がバックのテンパイを入れているところで選択が訪れる。
マンズがとなり、どちらかを切ればテンパイは維持できる。がノーチャンスでが通っている。が生牌なので選択肢は一つしかない。
河にが放たれた瞬間、三者が待ち望んでいた展開が舞い降りる。
ロン
ドラ
親の鈴木楓が須田良規から12000点をもぎ取り、優勝条件が整った。
東4局
東家 須田良規:4100
南家 水戸徹斗:30400
西家 鈴木楓 :40900
北家 山吹亮介:24600
そう易々と優勝を譲る訳にはいかない須田良規が早々にダブ東を仕掛ける。
–待ちのテンパイだ。
ドラがなだけに赤で12000点といきたいところだが、すぐに水戸徹斗からが放たれる。
2900点で連荘かと思われたが、ロンの声を飲み込む。
こんな細かいアガリで追い付けるような点差ではないのだ。
しかし、手元にやってきたのは最後の。やや不満気味に手牌を倒す。
南1局2本場
開始時は条件が一番厳しかった水戸徹斗だが、須田良規がダンラスになったことによりトップさえ取れれば無条件優勝となる。トップ目の鈴木楓までは約10000点差だ。
好配牌を一本道で仕上げ、親リーチと出る。
12巡目に手を伸ばした先には一番求めていた牌が待っていた。
この連荘を終わらせたのは山吹亮介である。
激しい仕掛け合いの中で、須田良規のリーチ宣言を捉えて8000点。
彼もこの中でトップに立てば無条件で優勝となる。あとは三者で殴り合いをして最後に立っていた物が勝者だ。
須田良規は遂に箱を割り、1人蚊帳の外に放り出されてしまった。
南4局
追い縋る鈴木楓と山吹亮介の親を流し、最後も自らの手でゴールテープを切った水戸徹斗が須田良規とトップラスを決め、見事に下剋上を果たした。
鈴木楓と山吹亮介は元雀王と渡り合い、貴重な経験を手に入れた。これからの麻雀プロ人生でこの経験がきっと役立ち、飛躍を遂げるだろう。
優勝した水戸徹斗は愚直にアガリを求め、勇気ある決断を選択し続けた。
張り詰めた空気の中、試合が終了し安堵の表情を浮かべながらインタビューを受けている。
元雀王はそんな若者達の背中を優しく見送った。