第19回オータムチャンピオンシップ観戦記(4回戦)
【担当記者:五十嵐毅】
3回戦を終えて、小早川と矢島は僅差。1着順差未満なので、ほぼ並びと言っていい。
一方、ここまで3着3回の菊地と2着1回ラス2回の富永はきつい。常識的には優勝するためには2連勝が必要。となると、この4回戦は2人とも落とせない。
落とせないはずなのだが……
座順・小早川―矢島―菊地―富永
南3局を迎えて、各人の持ち点は、
小早川40200
矢島 36100
菊地 27300
富永 16400
落とせないはずの2人は風前の灯。小早川と矢島がここでもその差4100でトップ争いである。
を仕掛け、ドラ2枚の北家・矢島、ピンズのホンイツ手だったが、終盤に持ってきたを手に留める。
3巡後にを持ってきてテンパイ。このマチは矢島の序盤の切りと合わせて盲点で、これに飛び込んで7700放銃となったら痛すぎるだろう。テンパイ打牌は。他家からはピンズが余ったように見える。
一方の小早川は早めにを仕掛けて純チャン狙いだったがイーシャンテン止まりでテンパイしない。
後がない親番・菊地、終盤に矢島がツモ切ったをチーしてテンパイが取れるが、すでにを切られたあとではが打ち切れず、チーして2枚切れの切り。
のツモ、チー、の重なりでの形テンを目指す。しかし、これが最後までテンパイしないまま流局。
がポンできてテンパイを入れられた富永と矢島の2人テンパイ。
小早川と矢島の差は1100となってオーラス1本場となった。つまり。矢島は1000点でもOKである。
ここで手にした配牌が、解説の飯田雅貴が「矢島さん、ずるくないですか」と言うほどの好形。第1ツモで仕掛けて良しのイーシャンテンだ。
4巡目に小早川が切り。これをチーしてバック、ツモならば三暗刻ででもアガれるだけにチーテンを取るかと思われたが、チーせず。
対局後に矢島は語っている。
「仕掛けたら、菊地君からが出なくなるでしょ」
親番が終わった菊地はトップ条件のハネマン手ができない限りは、富永に連荘してもらったほうがいいので、簡単に勝負を左右する牌は打ってこなくなるだろうということだ。
落ち着いている。この場になっても他家の動向まで読み切っているあたり、さすがに経験値がちがう。
矢島は次巡、自力でを入れた。
この巡目でヤミテンでは、菊地のが止められるはずもなかった。愚形だらけでチャンタ狙いだった菊地、一手進んだところでが押し出された。
キッチリと差し切ってトータルでも首位に立った矢島。その差は6.2Pで1着順の差もないので同着にならない限り意味はないが、最終戦有利なラス親を手にしたのは大きい。