第23期雀竜位決定戦観戦記 1日目(5回戦)

【担当記者:坪川義昭】
東4局2本場

オヤの安藤がと
を早々に叩いて、ピンズをバラ切りしホンイツへ向かう。
手牌を見るとマンズのホンイツだが、三者からはまだ色が判別できない。が重なれば大三元すら見える手だが、フェイクのために
を残してソーズの一色手を演出する。
この瞬間が鳴ければ出アガリの可能性が高まるわけだ。

結果は周りが鉄壁の守備を見せ、アガリまでいかなかったものの、安藤は戦略的な先切りで的を絞らせず相手に恐怖を与え続けた。
東4局3本場


矢島がをアンカンする。
手牌はイーシャンテンで早くリーチを打ちたくてうずうずしている。

しかし、先制リーチを放ったのは吉田。
ドラ待ちカンチャンの2600点ではあるが、供託と本場を含めると価値は倍増している。
少し強引にでも、相手に取られる前に取っておきたいのだ。

豪華なイーシャンテンが入っていた真田が長考に入る。
吉田のリーチはほぼヒントがなく、手牌14枚は全て危険牌だ。
ならば、えいっと一番手広く受けるドラ表示牌のに手を掛けるのが正着なのだろうか。

真田が選んだのはだった。
確かにこうすると、引きのテンパイが入ればわざわざ危険な
を勝負しなくて済む上に、テンパイせずに危険牌を持ってきた時は
を連打することも可能になる。
受け入れ枚数は減ったとしても、次に歩むべき道をこの段階で作っておけるのだ。
現状良い手ではあるが、–
が少し弱いことを加味すると2巡もすれば価値はとんでもなく下がってしまうことがある。
ノーヒントな河で、愚形リーチの可能性を多少高く見積もっておきたい点も加味されているのかもしれない。

アンカンを入れていた矢島も無筋を叩き切り、指先を熱くさせている。
しかし、最後まで矢島にテンパイが入ることはなかった。
この日の矢島を象徴するかのような歯痒い展開が詰め込まれた一局である。


最終手番で無筋を切り飛ばしてテンパイを取った真田、吉田の二人テンパイで流局となった。
南2局

オヤを迎えた真田に好配牌が入った。
メンタンピンが見える手で、鳴きは考えないような手牌である。

親番がもうない矢島も同様にメンタンピンに仕上げたいところだ。

待てど暮らせど有効牌を引けずにいた真田が終盤にチーテンを入れる。

更に矢島も終盤に形式テンパイを入れるのがやっとである。
二人ともが一段目で想像していた未来とは全く違う現実が待っていた。


吉田が最終手番でテンパイを入れて、トップ目である安藤の一人ノーテン。
トップまでの距離が近付いたのが不幸中の幸いだろう。
南2局1本場

親権をなんとか維持した真田に好形のイーシャンテンが入るのだが、最終的には形式テンパイになってしまう。


真田はなぜ、安藤のホンイツ仕掛けにション牌のが切れたのだろうか。
その思考を当協会の須田良規がまとめてくれました。
気になる方は下記の記事をお読みいただければ幸いです。
南2局2本場

吉田が絶好のサンメンチャンをヤミテンに構えた。
こういう時は展開が悪い者が掴むと相場が決まっている。


やはりか。と思うような掴み方で矢島が犠牲となってしまった。
どうやっても避けようがなく、麻雀の神を恨むしかないような一日である。
南4局

ハネマンツモで3着浮上、バイマンツモでトップとなる矢島に少しだけ希望が見え始める。
既にドラのはトイツになっていて、ホンイツ七対子になれば条件達成なのだ。
目指す場所が決まっているならば、完成しているメンツなど必要ない。
大きく腕を振り、を叩き切った。

最初にテンパイを入れたのはオヤの安藤だ。
アガリトップのような2人が迫っているならば、一瞬たりとも隙を見せるわけにはいかない。

真田もすかさずチーテンを入れて、互いに引けない捲り合いが始まる。


がアンコになったことでトイトイへ方針変更した矢島が放った
を打ち取った真田が薄氷のトップを奪取となった。

この半荘のターニングポイントは間違いなく、南2局1本場のテンパイ取りにある。
もし、あのを切り切れなかったら、チーテンを入れることができる点棒状況になっていないかもしれないのだ。
恐ろしい程の強さを纏った雀竜位は付け入る隙を一切見せない。


初日を終えて安藤が3勝、真田が2勝と二人が抜け出す格好となった。
吉田、宮崎、矢島の三者は一度もトップを取ることができず、苦しいポイント状況で二日目を迎える。
このまま二人の優勝争いになっていくのか、勝負を振り出しに戻すような展開が起きるのか。
決定戦二日目も目が離せない。