第24期女流雀王決定戦観戦記最終日(11回戦)

【担当記者:中島由矩】
11回戦(奥村-逢川-夏目-望月)

2日目の5半荘(全10回戦)を終えて、首位の奥村知美が東家、4位の逢川恵夢が南家、3位の夏目ひかりが西家、2位の望月夏が北家に座る。
今回初めて、こんな画像を用意してみたのだが、どうだろう。

そういえば、事前インタビューで逢川は「他の選手たちが、首位の奥村さんに対してどのように打つのか、作戦を(この後のインタビューで)聞いてみたいと思います」と語った。

あと5回戦で、第24期女流雀王が決まる最終日だ。確かに、選手たちがトータルポイントをどのように考えて、打牌選択をするのかというのは、気になるところ。
しかし筆者は、試合が始まってわずか数分で、各者の思考を知ることになる。
【東1局0本場】

いきなり自風のを仕掛け、ドラ
が出ていく形にするのを厭わなかったのは、夏目。奥村の親を落としに、全てをスピードに振り切った。

望月も呼応する。をポンして前に出る。奥村の親番は、やらせない。

仕掛けて局を終わらせに向かう2人を尻目に、では逢川は何もしていないのかというと、それは違う。逢川は、トータル首位で親の奥村に親被りをさせるため、虎視眈々と手を組んでいたのだった。

絶好のカンを引き入れると、
–
–
の三面張で先制リーチ。これには、親の奥村のみならず、仕掛けの2人も対応を迫られる。

–
–
が山に何枚あるのか、出そうな選手はいるのか、確認するために、今回初めて、こんな画像を用意してみたのだ。
東家の奥村がを2枚、南家の逢川自身が
を1枚、西家の夏目が
を2枚、
を1枚、北家の望月が
を2枚、
を1枚持っている。つまり山には、
1枚と
2枚が眠っていた。

解説の小川裕之は、このことを指して、「高めしかない」と言った。なんと前向きな考え方だろう。逢川は、まるでこの声を聞いていたかのように、をツモアガリ。裏ドラを1枚乗せて、3000・6000にしたのだった。

奥村はこの表情。「簡単にはいかないわね…」という感じだろうか。
【東2局2本場】

続く東2局0本場は、夏目がわずか4巡目に先制リーチ。高め345の三色同順となる–
待ちで勝負をかけた。

その時の、各者の手牌は上の通り。親の逢川と北家の奥村は、–
を1枚も持っていない。逢川には
–
を受けるターツがあり、奥村はピンズのホンイツに向かっている。望月が
を1枚、
を2枚持っていて、山に残り5枚が眠っている計算だ。しかも高めの方が1枚多い。
「そんなこといいから、私の手を見て」
とでも言いたそうなのは、奥村だ。

役牌の・
がトイツで、
が1枚、ドラで自風の
もトイツになっており、門前でチートイツのイーシャンテンでもあるし、ポンしていって倍満にするコースも。こんな手牌の時は、早い巡目の先制リーチが、むしろ嬉しい。
・
とポンしていった時に、
だってドラの
だってツモ切られることだろう。

奥村は、ポンから発進すると、

ドラで自風のもポン。確定倍満のシャンポン待ちに受ける。

夏目も、相当怖い思いはしただろうが、そのご褒美だろうか。高めのをツモアガリ。2000・4000を手にした。

奥村の拳は、空を切った。
【東4局0本場】

ここまで息を潜めていた望月が、11巡目に勝負に出た。カン待ちタンヤオのみのテンパイをダマテンに構えると、
–
待ちに変化させて、先制リーチ。

は奥村が3枚目を持ってきており、四暗刻のイーシャンテンに。逢川は持っておらず、夏目が高めでイーペーコーになる
の方を1枚持っている。そして最後に、望月自身が
を1枚。
–
は合わせて山に3枚ある。

望月が「なんだ、安めか…」と思ったかどうかは分からないが、ラス牌のを一発でツモアガリ。4000オールで一気に息を吹き返す。
【南1局0本場】

全国の奥村ファンの皆様、大変長らくお待たせしました。13時のヒロインは、遅れてやってくる。ここからは奥村のアガリしかありません。
奧村知美、反撃の合図は、逢川のリーチだった。

を暗刻にしたリャンメン・リャンメンのイーシャンテンから、スムーズに
を引くと、迷わず追いかけリーチを選択。8300持ちの4着目で迎えた親番だ。ここで行かなきゃいつ行くというのか。

ドラドラで前に出たかった望月から一発でロンアガリ。7700を直撃して戦線に復帰すると、

落ち着きと、輝きを、同時に取り戻す。
【南3局0本場】

まだテロップもはっきり出ていない南3局0本場、トップ目の逢川が2巡目に先制リーチ。

奥村は、逢川のリャンメン待ち–
を合計4枚使ったチートイツに仕上げ、いったん
タンキに受けると、場に1枚切れている
タンキに切り替えて、追いかけリーチ。

逢川はこのを持ってきてから捨てるまでの間に、何を思ったか。手がビクッとなったことだけ記しておく。

奥村は、裏ドラも乗せて、12000の直撃とした。

2人の視線が、卓上で交錯する。言葉を選ばずに言うと、率直にかっこいい。
【南4局0本場】
東家・望月夏 17500
南家・奧村知美 26900
西家・逢川恵夢 33400
北家・夏目ひかり 22200

奥村は、オーラスも、夏目の先制リーチに追いかけリーチで応戦し、一発でロンアガリ。3900を手にして2着をキープした。

11回戦トップは、逢川恵夢。トータル4位からの大逆転、事前インタビューで語った「最低でも3トップ」のうちの、まずは1トップ目を手中に収めた。奥村から直撃を受けた局は痛かったものの、選択に後悔はないだろう。
2着は、奧村知美。東場を終えて8300の4着目だったが、南場の巻き返しで、最後は危なげなく連対を勝ち取った。
3着になったのは、望月夏。オーラスの横移動で着アップし、ギリギリの4着回避となったことは、次戦以降大きな意味を持ってくるかもしれない。
無念の4着になったのは、夏目ひかり。事前インタビューで「新人王になった時、このくらいのポイント差を逆転した経験はある」と語った。休憩時間に、残り4半荘の戦い方を整理して臨みたい。
抜け番のない最終日は、こうして幕を開けた。古豪復活か、初の戴冠か、6度目の栄光か。今はただ、次の試合が早く見たい。






