第23期女流雀王決定戦観戦記1日目(1回戦)

【担当記者:今田孝志】
もしも逢川恵夢がこの決定戦に勝利したなら。

・22期に続いて女流雀王連覇(17期・18期以来、自身2度目の連覇)
・8年連続決定戦進出が確定(今期時点で7年連続出場。新記録更新中)
・歴代最多の5回目の女流雀王戴冠により永世女流雀王に。
日本プロ麻雀協会の女流雀王の歴史において、平成の終わりから令和にかけてのこの時期が、逢川恵夢の時代と呼ばれることは確実だろう。
ここ6年で4度、女流雀王を戴冠しているが、これが7年で5度になった時、永世女流雀王・逢川恵夢が令和の世に誕生する。
それを阻止すべく女流Aリーグを勝ち抜いた4名のうち、3名が昨年と同じ顔触れ。
2年連続5度目の決定戦進出、奥村知美。

3年連続4度目、澄川なゆ。

2年連続2度目、りんのなお。

逢川の7年連続が際立つが、奥村・澄川・りんのの近年の活躍も目を見張るものがある。
唯一のニューフェイスが夏目ひかり。

21期新人王。今期Aリーグに昇級して即決定戦進出を決めた。
新しい風を吹かせることができるか。
座順(逢川-夏目-澄川-りんの)抜番 奥村
東1局の逢川。
ここからイッツーの種となるを手に留めると、

あっという間にこう育ってイーシャンテン。

澄川の先制リーチを受け、イーシャンテンから中筋の、無筋の
、
、ワンチャンスの
と、猛プッシュ。
永世女流雀王に向けて東1局からエンジン全開だ。
だが1回戦の逢川は逆風の展開となる。勝負手が実らず、終盤には捲り合いの末に放銃に回る場面が多く見られた。
中盤をリードしたのは新しい風、夏目。
東1局、東2局1本場は、後手を踏みながら押し返して終盤に追いかけリーチをかけた。
東3局はカン待ちで先制リーチ。

ツモアガって裏が1枚乗り、2000-4000。
りんのをかわしてトップ目に立つ。
南2局の3軒リーチの捲り合いも制して加点する。
夏目はリードしてからも終始攻めの姿勢を見せる。
南2局2本場。
ラス目の逢川がポンから動き出す。
ドラのは切りにくいところだが、夏目は
を引いたところで、スッと切り出した。

前巡の切りの際にも夏目は
に手をかけており、早く切ってしまいたいとの意識が見えた。
試合後の夏目自身のXのポストによると、が逢川にトイツであれば、自分の
が重なりにくいので、自身のアガリを見て先に切ったという。
重なる前に早く切るということはよくあるが、重なっているなら切りたくないと思うのが一般的。ましてやトップ目である。
逢川にドラのポンが入るが、この局は逢川が澄川に放銃して終わる。自身のアガリとならず夏目としては不満かもしれないが、りんのとの差を維持し、無傷でこの局を終えたともいえる。
1回戦を象徴するような展開となったのが南2局1本場。
4巡目にして夏目が単騎でテンパイ。ドラ入りチートイツのダマテンで、出アガリ9600。

りんののがいつ出てもおかしくない。

これがりんのの手に留まっている間に、夏目が単騎に待ちを変える。
逢川が345と456の三色が狙える絶好のを引いて
で放銃。

夏目に順風が吹き、逢川にはどこまでも逆風が吹く。
南3局には澄川が裏3の4000オール。

逢川は3着への着アップも厳しくなる。
南4局2本場。
夏目を追うりんのが絶好のカン引き。

受け入れ最大は切りだが、
–
が3枚見えていることから、
切りを選択。
を引いてテンパイ。逢川の先制リーチが入っている中、
待ちで追いかけリーチといく。
逢川はと
のシャンポン待ちのホンイツのリーチ。勝負手だったが、ハイテイで
を掴み、12000の放銃。
このアガリでりんのが夏目を逆転してトップ。2着夏目、3着澄川。逢川は初戦を箱下のラスで終えた。
逢川にとって逆風続きの苦しい半荘だったが、5回目の女流雀王戴冠に向けどう巻き返すか、より興味が増したともいえそうだ。
