第24期雀王決定戦観戦記 4日目(19回戦)

【担当記者:坪川義昭】

橘にとって今期、これが最終戦になるかもしれない。
4日目終了時点で最下位は敗退となるからである。
千貫との差は75.2pであり、トップが最低条件となった。
2期連続で決定戦進出を果たした橘の願いは、通じるのか———
運命の19回戦が始まる。
東1局

ドラのがトイツで入った矢島が、役牌の
を叩く。

更に–
のリャンメンも仕掛けてイーシャンテンだ。

ここでリーチをかけたのは北家の仲林。
三色にはならなかったものの、を引き入れイーペーコーが確定した勝負手である。


これに矢島が飛び込んで8,000点。と
の切り順も三色をみたことによって逆になっており、自身の手牌価値的にも止めることは難しい。
東2局

終盤に仲林がタンピン三色のテンパイを入れる。
安目のが既に3枚見えていることもあり、ヤミテンに構えた。

オタ風のを仕掛けた西村もドラの
バックで滑り込みテンパイ。

簡単に親番を落とすわけにはいかない橘が、形式テンパイを入れて望みを繋いだ。
かに思われた———


ハイテイでドラのを重ねた矢島も奇跡的にテンパイを入れたのだが、放たれたのは
。
倒された仲林の手牌を眺めて愕然とする。
一方、トップが遠のき始めた橘にも絶望感が忍び寄ってきた。
東4局

2局で20,000点を失点した矢島がをチーしてイーシャンテン。
は役牌だが、捌き手にする気は一切ない。

ホンイツに向かおうとしたが、が鳴けたのならば5,200点で良しとする。
この辺のバランスが秀逸である。


親番の仲林も粘りをみせて、喰い伸ばしからテンパイを入れた。
しかし、矢島の仕掛けにが切りきれず迂回。

最後の願いを託して橘がリーチを放った。
トップを持ち帰らずに、生き残る術はないのだ。

大きなビハインドを背負った矢島は当然、勝負に出ざる得ない。

更に西村もギリギリのところで、形式テンパイを入れてハイテイが矢島に流れた。

矢島の手元にラス牌のが飛び跳ねる。
2,000-4,000のツモアガリを決めて、まずは一撃を返した。
南2局

橘が最後の親番を迎える。
まだ闘いたい———
人生を懸けて辿り着いた舞台なのだ。
諦められられるわけがない。

仲林が役牌のを仕掛けた。
非情かもしれないが、これが現実で、これが麻雀である。

ドラ周りのくっ付きを拒否し、アガリやすい色を求めて仲林は切り。

仲林の選択にツモが応えたかのようにを引き入れて3メンチャンのテンパイが入った。

矢島からもリーチが入り、橘に残された時間は少ない。

なんとかイーシャンテンまで漕ぎ着けた橘だが、あと一牌が埋まらずに手を伸ばす矢島を眺める。

3,000-6,000。
倒された手牌を見つめ『はい』と、6,000点を渡して橘の決定戦は終了した。
南3局

息を吹き返した矢島の親を流そうと、仲林がをチーして捌きにかかる。

矢島も絶好のカンを引き入れ、リーチと出た。

この4,000オールで、遂に仲林を追い抜きトップ目と躍り出る。
南4局

役牌のを叩いて矢島が、試合を終わらせにかかった。

を重ねた仲林だが、
には手を掛けない。
ピンズのリャンメンターツを払うことによってホンイツのルートを残しているのだ。
追い詰められても、常に正解を外さない胆力が垣間見える。

しかし、矢島が最速のアガリをものにして試合は終了。
連続放銃で5,000点から奇跡的な大逆転を果たした。

橘は対局者へのリスペクトを欠かさない。
『私の敗退は決まりました。この状況で期待を持つのは千貫さんに失礼なので』
最後のインタビューで語った一言に、その全てが詰まっている。
どんな感情を押し殺して橘が、この場を去ったのか私にはわからない。
それがわかるのは、これを経験した人間だけだからだ。

最後に一人の後輩として書かせてもらう。
絶対に来年も決定戦に来てください。
前期も書いたのだけど、僕はもっと橘さんの麻雀を決定戦で見たいし、優勝する姿を切に願っていますから———






