第11回チャンピオンロード ~日本オープンシリーズ~
スコア一覧 | チャンピオンロード日本オープンシリーズ
【優勝】はじめ 【2位】関口 誠一さん 【3位】橋本 忠明さん 【4位】田なべ もえ
決勝レポート
【担当記者:大塚 裕喜】
チャンピオンロード〜日本OPシリーズ〜へご参加いただいた皆様ありがとうございました!
KADOKAWAサクラナイツ入りが決定したゲストの渋川難波プロに会うために、初参加の方も多くいらっしゃいました。
今大会、決勝に残ったメンバーはこちら。
はじめ +341.7
関口誠一 +246.3(95.4差)
田なべもえ +202.5(139.2差)
橋本忠明 +199.3(142.4差)
決勝までの6戦全連対、5トップと絶好調のはじめに対して暫定2位の関口さんでさえも100ポイント近く離れている。
トップが偉い協会ルールではターゲットとトップラスを決めると順位点で80ポイントの差が縮まるため関口さんは、はじめとトップラス15500点以上の差をつけると優勝。
田なべ、橋本の両名はさらに40000点以上必要になるが、100ポイント以上を1半荘で稼げることもあるルールなので、決勝メンバー全員にチャンスはある。
試合前のインタビューでは全員笑顔が見られるものの、瞳の奥は優勝に向けて熱く燃えていたことを私は見逃していない。
決勝戦の並びは東家から関口、はじめ、橋本、田なべの並び。
起家でなるべく点数を稼ぎたい関口は配牌でが暗刻、ダブをポンして早々に7700の手をテンパイするも、南家のはじめがダマテンで5200を田なべから出アガリ。
開けられた手牌を見た3者の顔が一瞬曇るも、このビハインドを捲ってやろうという気持ちをひしと感じた。
東2局、ラスを引かなければ良いはじめの親番。
ドラのが対子の配牌をもらうも東1局のリードがあるはじめは上家、下家の仕掛けを受けて受け気味の進行。
対面の田なべもテンパイを入れ橋本、田なべ、関口の3人テンパイで流局。
続く東3局1本場、親は橋本、ドラは。
橋本にとっては簡単に落としたくない親番。
配牌も橋本の思いに応えるかのように赤ドラが2枚のチャンス手が入り、ターツも十分で形も良い。
これは先制を取れるかと思いきや田なべから11巡目にリーチ。
はじめは丁寧に一発消しをしつつアガリに向かうが、結果は田なべがドラ単騎をツモアガリ。
5200放銃から始まった田なべがこの満貫ツモによりトップ目に躍り出る。
気持ちの良いアガリで親を迎えた東4局の田なべ、トップ目とはいえ素点はまだまだ足りない。
配牌でターツは4つあるものの愚形が多く仕掛けにくい手牌。
6巡目にを引き入れて高打点が見えるも、橋本からリーチが入った直後にはじめがダマテンでをツモ。500-1000は600-1100。
東場はたった4局で終了。持ち点は以下の通り。
関口 23400
はじめ 28100
橋本 13400
田なべ 28100
素点を大きく稼ぎたい3者が苦労し、局消化を進めていきたいはじめにとってかなり有利な展開で進んでいるように見える。
予選から随所でここぞというアガリを掴んできた4者。
残り1回ずつの親番で抜け出す選手は出てくるのか。勝負の南場が幕を開ける。
南1局関口の親番。配牌は1メンツ。
連荘して点数を稼ぐ必要があるためテンパイに向けて真っ直ぐ進めていくと、それに応えるようにすくすくと手牌が育ってリーチ。
ドラ
高目のは場に2枚切れながらも、手元に手繰り寄せた牌は。
裏ドラ乗らずも6000オールで一気に優勝条件が視野に。
続く南1局1本場、ドラは。
が対子で動きやすいが、ポンすることもなく手牌は順調に育っていき7巡目にリーチ。
ドラ
田なべからが打ち出され12000は12300のアガリ。
持ち点は50000点を超え、優勝の文字がはっきりと見えてきた。
続く南1局2本場でも関口は序盤でを重ねてポンに成功。
8巡目にとのシャンポンテンパイを入れる。
そこに待ったをかけたのは西家の橋本。
11巡目にテンパイを入れ、凛とした声でリーチと発声した。
テンパイを入れていた親の関口は、以下の形から
チー ポン ドラ
一発目にを掴む。
テンパイを維持するがいずれもリーチには通っておらず、橋本の宣言牌がであったための方が切りにくいと判断して切りで一発放銃。5200点とともに親権を失った。
ドラ 裏ドラ
放銃になった関口だが、後ははじめをラスに落とすことができれば優勝。まだまだ諦めるような時間では無い。
南2局ドラ。
ここまで反撃を嫌ってダマテンでアガれる役ありの形を目指し続けてきたはじめが対面からをポン。赤1枚の手で前に出て行く。
ここまでの戦いをみてポンをしたはじめの手が安いとは思えず、中張牌のドラ、赤ドラも各者に散らばったことで前に進みにくく、はじめの1人テンパイで終局した。
南2局1本場、ドラは
が対子の手をもらったはじめは1巡目から仕掛けていきドラ色の一色手へ。
他家を牽制しつつ、ここで多少なり加点をしておかないとこの後の橋本、田なべの親が簡単には流れずに、ツモられ続けると自分がラスになることを考慮した上での判断であろう。
何よりここで満貫以上の加点は優勝を大きく手元に手繰り寄せることになる。
そんな中11巡目に3着目の橋本からリーチが入る。
ドラ
はじめはリーチ宣言牌のを果敢に仕掛けていく。
先述の通りここでの満貫はかなり優勝に近づくため、急激に場が沸騰していく。
ポン ドラ
「ツモ」
発声と共に倒牌したのはリーチをかけた橋本だ。
3メンチャンの待ちで唯一、一盃口が消えるツモで裏ドラも乗らず500-1000は600-1100。
迎える南3局。各者の点棒状況は以下の通り。
関口 47300
はじめ 24000
橋本 20500
田なべ 8200
親番の残る橋本、田なべは関口を捲るまで連荘し続けるだけ。
はじめをラスにしたい関口も相当の打点を伴わない限りは他家からの出アガリは無いだろう。
そんなことははじめも百も承知、自ら道を切り拓いていくしかない。
橋本の配牌を見るとなんとドラのが対子でタンヤオもくっきりと見えるチャンス手。
4対子あるが、最低でも連荘をしたい橋本はメンツ手狙いで手を進めていく。
ここまでの戦い方をみていると、橋本はブロックを最小限にして相手からの攻撃にしっかり備えていた印象だが、今回はどんなテンパイも逃さないような手組みをしていた。
打点も見えるこの手牌を成就させたい気持ちと裏腹に、捨て牌1段目にも関わらず下家の田なべからリーチが入る。
ドラ
さらに次巡、数秒の逡巡の後に関口からもリーチの声。
ドラ
赤が2枚入っているこの手、自らのツモ山にアガリ牌があればもちろんツモるが、他から出た時にどこならアガるかを考えていたための逡巡である。
実際、リーチをかけた田なべから8巡目にが放たれるも、関口は一瞥もくれずに牌山へ手を伸ばした。
最後の親番を落とせない橋本も、2軒リーチといえど指を咥えてみている訳にはいかない。
手が進む牌は全て鳴いていき、終盤に2人に追いつく。
ポン ドラ
タンヤオトイトイドラ3、アガリきれば18000の超弩級のテンパイを入れる。
しかし直後に橋本がツモってくる牌は。
橋本はその中をそっと手牌に残し、を切り出していった。
このまま流局かと思われた海底牌で関口からツモの声。
田なべから見逃していたが海底にいて、裏ドラも1枚乗って3000-6000。
海底+裏ドラがないと跳満にはならないルートだったので関口としては最高の展開になった。
対局後に橋本に話を聞いたが、をポンせずとも下記の満貫聴牌を入れており、ポンしなければははじめの元へいき、海底で関口にツモられることもなかったと悔しそうに語っていた。
ポン ドラ
そして迎えるオーラス。
各者の持ち点は以下の通り。
関口 60300
はじめ 21000
橋本 14500
田なべ 4200
優勝まで迫っている関口の条件は、はじめからの満貫直撃で3着に落とすか、倍満をツモで素点を稼ぐか。田なべは連荘をしていくのみ。橋本は厳しい。
絶対ノーテンにはできない田なべだったが、手牌進行で優勝への意志を感じた。
ツモ 打 ドラ
ツモ 打リーチ ドラ
孤立牌のを丁寧に持ち続け、ダブドラのを引き入れ高め456の3色の手を作り上げた。
一発ツモあるいは裏ドラ1枚で8000オールまで見える手牌である。
ここで8000オールをツモるとはじめが3着目に落ち、関口が優勝ポジションまであがる。例え裏が乗らずの6000オールでも、はじめは瞬間ではあるもののトータル2位まで下がってしまう。
こんな場面でを引き入れ、このような手牌を作り上げた田なべの力強さに関心した筆者は熱くなっているのに、田なべはいつもと変わらない摸打を続けていた。
「ツモ」
開かれたのは田なべの手牌ではなく、対面のはじめ。
オーラスにまとまった手牌を手にしていたはじめが2000-4000のツモで対局終了。
ツモ ドラ
点棒の支払いと優勝者の確認が終わると卓の内外から拍手が贈られた。
優勝は日本プロ麻雀協会19期後期入会のはじめ。
新人王戦シリーズに続く田なべの2連覇や、メンバーシップ発足記念大会で優勝した橋本の2度目の優勝を阻んだ。
要所でアガリを決めることができ、オーラスも幸い2着目にいられたものの、一つでもアガリが得られていなければかなり肝を冷やす展開になっていただろう。
初めての観戦記でこのような激熱の対局を見せてくれた4者には感謝しつつも、今後の対局の際にはぜひお手柔らかにお願いしたいものだと心から感じた。
チャンピオンロードは和やかな雰囲気ながらも真剣に麻雀を楽しむことができるので、ご興味のある方はぜひ協会員を倒しに来てください!笑
私も引き続き参加させていただくのでみなさんとの対局を楽しみにしております!