第20回オータムチャンピオンシップ観戦記(3回戦)

【担当記者:坪川 義昭】

四連覇を目指す矢島に富永がストップをかけた。
一回戦終了時は『今年も矢島か…』という雰囲気が充満していたが、富永の12,000点直撃で空気が一変。
遂に矢島の牙城を崩す者が現れるのか。
東1局1本場

矢島が役牌のを叩いて得意のホンイツに向かう。

ツモも噛み合い、僅か5巡で7,700点のテンパイだ。

ここに立ち向かったのが、トータルで唯一マイナスポイントの武中である。
こちらも5,200点が確定している勝負手で捲り合いを挑んだ。

南家の茨城は手牌をパンパンに受けている。
自身に必要な牌以外はツモ切らざる得ない。


茨城がやむ無く放ったを捉えて武中が5,200点。
一人だけ既に厳しい条件を背負っている武中としては、感触の悪くないスタートである。
東2局1本場

富永が5巡目にテンパイを果たした。
現状はリーチのみで、手牌の価値はないに等しい。
三色変化を待ってからリーチを放つのが定石だろう。

富永はここからテンパイを崩す切りとして、手牌の価値を最高まで高めにいった。

すると、この隙を突いて矢島が高目三色のリーチを放つ。
7巡目ということもあり、得意技のクロスチェンジでリーチだ。

三色にはならなかったものの、富永もタンヤオ・ピンフで追っかけリーチ。
最初のテンパイよりも格段と手牌の価値が上がっている。


捲り合いは終盤までもつれたが、矢島がを掴んで3,900点の放銃。
富永の選択が上手くハマった1局となった。
東4局

手牌のぶつかり合いはまだ終わらない。
絶対にトップを取りこぼせない武中が先制リーチを放つ。

すぐに親の矢島が追い付きリーチと出る。
既にが3枚切れてしまっているが、親でこの手は勝負手である。

同巡、茨城もテンパイ。は両者に無筋でトップ目ということもあり、非常に押しにくい条件が揃っている。

しかし、これは一発裏なしのオータムCSだ。
ありったけの力を込めてを叩き付ける。

この勝負を制したのは矢島で、値千金の2,600オールをツモアガリ。
三連覇中の王者矢島がそう簡単に倒れるわけがない。
東4局1本場

トップ目の茨城がを仕掛けでドラ色のホンイツへ向かう。

親番の矢島が手を止めた。を切れば広いイーシャンテンに受けることができるのだが、三色がなくなってしまう。

が2枚切れていることを考慮し、三色一本に絞る
切りとした。
恐ろしい程に打点を見据えた一打である。

茨城にホンイツのテンパイが入ったのだが、ここで不穏な空気が流れ始める。

武中がション牌のを放ったのだ。
茨城はドラ色のホンイツであり、満貫放銃くらいは覚悟の上。

四暗刻のテンパイであれば、もう何も止めることはできない。
ドラのも勝負といく。
これが成就となれば、一気に戦線復帰である。

矢島も終盤に喰いテンを入れて捌きにかかる。

前巡にテンパイを入れていた富永が、この動きを見て高目三色のリーチを放った。

茨城の手元にが舞い降りる。
全員のテンパイを掻い潜り2,000-3,900で頭ひとつ抜け出した。
南3局

ラス目に落ちていた富永が、2巡目にして三色確定のリーチを放つ。
そう簡単にラスを引き受けるわけにはいかない。

すぐにツモアガリを決めて3着目に浮上。
これに親被りを受けたのが武中だ。

僅か3巡で4,000点の支払いとなり、この表情である。
南4局

トップ目の茨城が必死の300-500を決めてゲームセット。
武中は痛恨のラスを引き、残り2戦を一人厳しい条件で戦うことになってしまった。

依然としてポイントリーダーは矢島だが、茨城との差はあってないようなもの。
遂に矢島を王座から引き下ろす者が誕生するのか。
次戦も目が離せなくなった。