第20回オータムチャンピオンシップ観戦記(2回戦)

【担当記者:中島 由矩】

2回戦(矢島-茨城-武中-富永)

1回戦で、大きなポイント差がついてしまった。

3万点スタートでオカがなく、ウマが5・15であるオータムCSにおいて、1回戦でここまでの大差がついたことは、近年において記憶にない。

参考までに、2022年に行われた第17回大会。

2023年に行われた第18回大会。

どの表にも矢島亨の名前があること、そしてトップを獲得していること、さらにそれらが違和感なく受け入れられているのも驚異的なことだ。

2回戦では、この矢島をいかに沈めるか、ポイントをマイナスにさせるかが、茨城・武中・富永の共通認識となった。

解説の浅井堂岐は、このことを指して「2回戦目にして、早くも”決勝戦”が始まった」と表現した。

ここでもし矢島に連勝を許すことになれば、残り3戦が消化試合になる恐れすらある。自身のポイントを高く積み上げることは大切だが、矢島の点棒や着順にも気を配りつつ、試合を進めていきたい。

東1局、苦しいペン麻雀牌:七索をやすやすと引き入れ、先制リーチを打ったのは、矢島。2600オールをツモアガり、1回戦に続きこの2回戦でも優位に立ちたい。

しかし、この山に4枚あった麻雀牌:二索麻雀牌:五索が引けず、矢島にとっては無念の流局。逆風が吹き始める。

東4局、先制リーチを打ったのは矢島。

ドラの麻雀牌:六筒を内蔵したピンフの麻雀牌:四索麻雀牌:七索待ちで、首尾よくカン麻雀牌:二筒から引き入れている。

ダマテンにしておけば…。

というのは結果論だが、矢島は1回戦の大勝に気を緩めることなく、リードを広げるために最善の選択をした。この麻雀牌:四索麻雀牌:七索が山に4枚眠っている。

この矢島のリーチを、むしろチャンスと考えたのは、親番の富永。

ここで追いかけリーチを打って、6000オールを引きにいく選択もあったが、麻雀牌:三筒が矢島のリーチ宣言牌であることと、自身が麻雀牌:三筒麻雀牌:六筒を3枚使っていることを考慮して、ダマテンに構え息を潜めた。

この麻雀牌:三筒を打たずに耐えたのは、武中。

孤立牌の麻雀牌:三筒にツモ麻雀牌:四筒をくっつけて、ギリギリの放銃回避。この麻雀牌:三筒打たずが、その後の展開に大きな影響を与えることになった。

自身の目から麻雀牌:四筒が3枚見え、なおかつ麻雀牌:三筒が矢島のリーチ宣言牌であるにも関わらず、場に放たれないことから、麻雀牌:三筒が山にいると読んで、富永はツモ切りリーチを宣言する。ここで矢島から11600点を直撃できたら、後の展開が随分と変わってくるだろう。

枚数的には不利なめくり合いだが、このくらいの確率をクリアしなければ、オータムCS三連覇中の矢島亨の牙城は崩せない。

果たして、ねらいを定めた麻雀牌:三筒ではなく、ドラの麻雀牌:六筒が、矢島の手から放たれた。

富永「ロン、12000」

リーチ・ピンフ・ドラ3。切り上げ満貫ではなく、5翻の12000となった。

この放銃でいったんラス目に落ちた矢島だが、次局にすかさず反撃。リーチ・ツモ・タンヤオの1000・2000は1100・2100で着アップを果たす。

【南4局0本場】

東家・富永修 48500
南家・矢島亨 21300
西家・茨城啓太 29600
北家・武中進 20600

親の富永が、ドラの麻雀牌:北トイツの配牌をもらうと、マンズに向かい、

場にプレッシャーをかけていく。

最後は、1000点のアガリで着アップできる武中が、ピンフのダマテンを入れると、400・700のツモアガリ。こうして矢島包囲網は、完成したのだった。

矢島に連勝を許すことなく、逆にラスを押しつけ、ゲームを振り出しに戻した。…いや、振り出しに戻したと言うには、少し足りないかもしれないが。

2回戦、トップを獲得したのは富永修。トータルスコアも2位につけ、打倒・矢島の急先鋒になった。

2着になったのは、茨城啓太。茨城は1回戦も2着で耐えており、僅かながらプラスポイントを積み重ねている。3回戦以降のどこかで抜け出し、一気に初戴冠といきたい。

3着は、武中進。トータルスコアは1人マイナスを抱える形になっているものの、2回戦オーラス逆転の400・700が光った。

4着に矢島亨。この2回戦は確率通りに、残り枚数通りにいかない場面も見られたが、そんなことは今までに何度でもあった。これからも、矢島らしい繊細なプレイスタイルで、確率通りに勝っていくことを目指す。