第19回オータムチャンピオンシップ観戦記(1回戦)

【担当記者:武中進】

同大会を2連覇中の矢島亨、ここで勝って3連覇となれば無論初、同一タイトル3連覇は協会全タイトルで見ても鈴木たろう(現最高位戦所属)の雀王以来となる快挙だ。
ましてやこのオータムCSは前年度優勝者が決勝ではなくベスト16シードであることを考えると今後も破られることはないレベルの大記録となるだろう。

その他決勝メンバーには現A1リーグ所属かつこの大会の第8回優勝者の菊地俊介、第19期雀竜位でありこの大会の決勝も2回目となるA2リーグ所属の富永修、と実績十分な面々。
そんな中で実績だけを見ればやはり一歩後れを取るのがB2リーグ所属であり今回が初放送決勝となる小早川悠矢だろう。
だが開始前のコメントでは中々に堂々としており緊張している様子もない。「勝たなければ楽しくないと思うので優勝したい」というコメントも10年以上のキャリアゆえに競技の重みを知っている人間の発言だろう。

その小早川がまず技ありのアガリを見せる。
開始直後の矢島の1000オールの後になる東1局1本場。


富永のリーチを受けてこの形、南家相手とはいえこの形であれば麻雀牌:南を勝負する打ち手も多いだろうが後の麻雀牌:六索も含めた勝負を避ける前提で慎重に麻雀牌:中を切る。
そしてここからうまい具合にタンピンに移行した結果、富永の現物待ちとなりそれをツモって見事に2100,4100のアガリ。

本大会のような一発裏無しのデフレルールにおいてマンガンのアガリは大きく、半荘内で1回しか出ない様なケースもあり得る所。
が、ここからはそんなデフレルールとは思えない様な高打点の殴り合いが始まる。

まず次局の東2局0本場、親番の富永が攻める。
終盤に既にテンパイしていた所から連風牌の麻雀牌:東を大ミンカン。

現時点でも高め5800だがさらなる打点アップを目指した攻撃的な選択、リンシャンに麻雀牌:七索がいれば4000オールだ。
しかしそこで引いた麻雀牌:一筒をツモ切ると手を開いたのは麻雀牌:東を切った矢島。言うまでも無くこの終盤で生牌を切った以上、十分な勝負手が入っていた。ピンフ・イーペーコー・ドラ2で7700。

次の東3局は親番菊地のターンに。
2回のテンパイ流局でコツコツ加点をし、3本場では麻雀牌:東をアンカンしての5800は6700を手詰まりした小早川からアガリ、気づけばマンガンをアガった二人を抜き去り42200点のトップ目に。

ところが次局の4本場にて好形タンピン形からさりげなく切った麻雀牌:九萬にラス目の富永からロンの声。ドラ3枚を内蔵した8000は9200。

東場はこのルールとはとても思えないマンガン級が3回出る高打点の応酬、にもかかわらず南場突入時ではトップの菊地もまだ37300点という平たい点棒状況となっていた。

そしてここから抜け出したのが現王者の矢島だった。
南2局に1巡目にして678三色のイーシャンテンという超好手、これをリーチして安めの麻雀牌:九萬ながら小早川から3900。

そして南3局で完全な決定打となるホンイツ・役牌・ドラ1の8000を微差のトップ目だった菊地から直撃。
菊地の手もピンフドラ2と十分でありこの放銃はトップを取るためのやむを得ない勝負といった所。

オーラスは親の小早川が粘って2着に浮上、これにより矢島・小早川・菊地・富永の順で1回戦は終了となった。

やはり矢島は勿論、他3人の打牌の技術も非常に高いと感じた1回戦だった。
初決勝の小早川もこのメンツに遜色のない内容で十分に戦えている印象がある。
2回戦以降も白熱した勝負を期待したい。