第24期新人王戦決勝観戦記(1回戦)

【担当記者:今田孝志】
1回戦(森川-中村-村松-貞徳)
次世代のスターを夢見る280人の選手が名乗りを挙げた新人王戦。
決勝に残った4選手は第24期新人王の称号に手をかけたといっていいだろう。
あとはこの決勝5回戦を戦って、力強くそれを引き寄せたい。
「人生で一番頑張ってと言われた1週間だった」

決勝進出を決めてからの1週間をそう振り返った森川茉莉。23期後期入会。
東2局1本場。
456の三色が見えるイーシャンテンにを引いたところ。

ツモ切りだと、
引きで高め三色のテンパイだが、森川は打
とする。三色よりもドラ
の受け入れを重視。
次巡、狙いどおりの引き。

村松からリーチを受けて、引きでテンパイ。

切りか、
切りか。
ほとんど差のない選択に見えたが、

切りリーチを選択すると、一発で村松から
が出て裏も乗って8000は8300のアガリ。
難しい選択を的中させて、まず森川が先行する。
続く東3局。森川の手はツモり四暗刻のイーシャンテン。そこに4枚目の引き。

大舞台での役満チャンスだが、森川は暗槓はせず、1枚そっと河に置いた。
というのもすでに場は煮詰まっていて、森川以外の全員が仕掛けを入れている。そして実は3人ともテンパイ。中村が–
待ち、村松が
–
待ち。テンパイしたときに溢れる森川の
は、どちらかへの放銃となる。
役満チャンスとはいえ自身はまだイーシャンテン。ドラを増やすカンは自重した。
東4局は貞徳の先制リーチを受けるが、三面張でテンパイして追いかけリーチ。

だがこのリーチ合戦は、森川の貞徳への12000放銃となる。

貞徳祐伸。23期後期入会。

「全然寝られなかった」
「すべてのオカルトを集約してきた」
開始前インタビューで笑ってそう語った。
ここまで全局参加の攻撃的な麻雀を見せていたが、ついに森川を捉えてトップ目に立つ。
東4局2本場。貞徳がテンパイ。

ドラの単騎か、
–
ノベタンかの選択だが、ラス目の村松が
と
をポンしてホンイツ模様。すでにマンズが余っている。実際に
と
のシャンポン待ちでテンパイしており、
ならハネマン、
ならマンガンである。
トップ目としてはいったん単騎ヤミテンとして、その後危険なマンズを引いたら再考とする人も多そうだが、貞徳は
単騎待ちでリーチといった。
両者アガリは出ずに流局となったが、貞徳の攻めの姿勢が際立って見える。
だが強気は裏目に出ることもある。

ドラは使い切れる形だが、貞徳はタンヤオを強く見て先切りの打
。
これがをポンしていた中村のシャンポン待ちに放銃となる。
貞徳に代わって中村がトップ目に立つ。

中村翔太。21期前期入会。関西本部所属。
貞徳と対照的に「良く寝ました」と語ったが、同時に「ただメチャクチャ緊張しています」とも。
南2局。
貞徳の先制リーチに、カン待ちで追いかけリーチ。

貞徳はイッツーのカン待ちだったが、この対決は中村が貞徳に5200を放銃。
トップ目が放銃に回る展開が繰り返され、貞徳がトップ目に返り咲く。
南4局。トップ目の貞徳まで4600点差の中村。

逆転の条件は1000-2000ツモアガリなど。
迷いの生じる引きだが、不確定な三色やイーペーコーは見ず、中村は
ツモ切りとして、リーチ・ツモ・タンヤオを目指す。
貞徳がテンパイして選択の場面。

を切れば
–
待ち。ピンフ、高めイーペーコー。
流局時は伏せればトップ。
リーチ棒を出すと中村の条件が緩和し、かつ流局時に伏せることができなくなる。ヤミテンの場合は1500点、2900点をアガるか見逃すかの選択がある。
貞徳はヤミテンとして、

ライバル中村から直撃の安め1500をアガった。
最終局面に至り、強気一辺倒ではない繊細さを見せる。
このあと貞徳は2900は3200、500オールは700オールをアガって加点。
南4局3本場。中村が2着確保の仕掛けを入れたのを見て、

役なし・ドラなし・愚形のリーチ。
さらに加点しようと再び強気に転じる。
王様タイム突入を予感させるの暗槓も入るが、そこに割って入る村松のリーチ。

村松光成。プロ入りしたばかりの24期前期入会。東海名古屋支部所属。

開始前インタビューでは「東海に初めてのタイトルを持って帰ります」と語ったが、ここまでノーホーラ。苦しい展開が続いていたが、

カンドラとカン裏が乗って8000は8900のアガリ。
貞徳から出たリーチ棒を加えて9900点の収入で、最後の最後で森川に追いつき同点3着となった。
1回戦を制したのは貞徳祐伸。2着は中村翔太。3着は同点で森川茉莉と村松光成という結果となった。
第24期新人王に輝くのは誰か。
このあとの戦いも注目したい。
