第5期関西雀王決定戦観戦記 1日目(2回戦)

【担当記者:城戸大生】
起家から松本-奈良-林-入川
松本が開局の親を形式聴牌で連荘した東1局1本場。
まずは西家の林が自風のをポンして、2000点の聴牌を入れる。

ここで手がぶつかったのは親の松本。

ダブ東を暗刻にしてのリーチ。
ダブ東を鳴くと2900点でちょっと物足りないと思っていたところに、なんとも嬉しいツモだ。
南家の奈良はメンホンの一向聴、門前で仕上がれば倍満まで見える大物手。

親リーチの一発目に、をノータイムプッシュ。気合十分だ。
奈良はインタビューで「初日5連勝を目指します」と語っていた。
この決定戦のメンツで5連勝など難しいことは当然わかっている。
だが2年前、奈良は同じ決定戦で+300ptから捲られているのだ。
プラスをどれだけ稼いでも油断できない、それを一番わかっているのも奈良なのである。
林も両面聴牌が入っているだけに一発でをプッシュ。

次に両無筋のも押していった!
現物は、
、スジでかなり通りそうな
と
があるのでかなりオリきれそうではある。
だがドラの切りリーチで、ドラにくっつけたかったが聴牌したのでリーチとなった安い手の可能性も十分あると読んだか。
はたまた、これが決定戦だ!親リーチにも簡単にはオリねぇ!という覚悟の表れか。
奈良もを引き入れリーチ、真っ向勝負だ。

結果は林がを掴み、松本に7700は8000の放銃。

林も、松本にで放銃してもあまり高打点はないと読んで押したのだろうが、ダブ東暗刻は想定外だったか。
しかし、親リーチにも屈さずぶつかっていく魂のこもった押しは見ていてとてもアツくなる。
続く東1局2本場、またも手がぶつかる。
まずは親の松本がカンで先制リーチ。

リーチのみの愚形ではあるものの、南家の奈良はマンズのホンイツ模様、北家の入川は3巡目にを切っており
の景色は絶好だ。目論見通り山に3枚。
ここに追いついたのは林。

フリテンの–
を引き戻して
–
聴牌で追いかけリーチだ。山に1枚。
この宣言牌のをポンしたのは奈良。

か
を切れば聴牌だが、
は二人とも
–
には当たらないが
–
は
のワンチャンス。
は二人ともリーチ前に
を切っているスジの牌で当たりづらいが、一応通っておらず2000点聴牌。
奈良は聴牌取らずの打とした。
を鳴く前の手牌は、
ドラ
–
–
の3面チャンと
のシャンポンの一向聴と、メンホン七対子の一向聴でもある。
門前での手牌価値が高いこととは急所ではないことから、ここは
スルーでもよかったか。
もしくは鳴いたのであればどちらかで聴牌は取って、2軒リーチを躱せる可能性は残したかった。

無情にもすぐにツモ切られる。
その後松本からツモ切られるをチーして、自身でポンしているカン
聴牌を取る。山に1枚。

粘っていた入川も聴牌し、カンで追いかける。山に1枚。

程なくして親の松本がツモアガリ。裏1をのせて2000は2200オール。

リーチ棒2本もゲットし、松本が45600点の抜けたトップ目に立つ。
松本の親番が続く東1局3本場。
南家の奈良の配牌がこちら。

大三元が見える楽しみな手。ピンズかマンズどちらかのホンイツを見て打とする。
ぐんぐんピンズが伸び、7巡目にが鳴けて一向聴。

が2枚枯れの為小三元は諦め、くっつきの一向聴にとる。ピンズは何を引いても聴牌だ。
林が10巡目にを引いて少考する。

現状–
と
–
の一向聴だが、
–
は5枚見えで松本と入川も1枚ずつくらいは持っていておかしくなくかなり厳しい。
それならのポンテンや
暗刻に備えたいということで打
。
実際–
は山に1枚しかなく、
は山に2枚。場に合わせたいい選択だ。
奈良はを引き入れ
–
の満貫聴牌を入れる。山に
が3枚。

入川もカン待ちでリーチに踏み切る。山に1枚。

奈良が切ったをチーして林も聴牌!山に1枚。

次巡林がを掴む。

入川のリーチには現物だが、奈良はピンズのホンイツでと
が余っている。
松本が切ったをチーしていないので、
–
と
–
が本線だ。
ここは唯一の現物のを切ってオリに回る。
自身の–
聴牌が、上述した理由で全く自信がないのもオリた理由の一つだろう。
ここは林の冷静な判断でアタリ牌を止め、奈良と入川の2人聴牌で流局となる。
大きく大勢は変わらず迎えた南1局1本場、トップ目の松本の親番。
親の松本は6巡目に、場況絶好の–
でリーチをかける。山に5枚だ。

この親リーチを受けて、をポンしてマンズのホンイツに向かっていた奈良。

対子のと
は通っていないとはいえ、二向聴なのでどちらかの字牌を落とす人がほとんどだろう。
奈良の選択は超強気の打!
トップ目の親リーチは、むしろ満貫直撃チャンスと捉えたのだろう。
やはりところどころに決定戦ならではの強気な選択が感じられる。
しかし松本がごっそり山にいた–
をツモり、2000は2100オールのツモアガリ。
更にリードを突き放し、独走状態に入る。
松本がそのリードを守って迎えた南3局。
奈良が面白い選択を見せる。

をポンして何を切るか。牌効率なら
か
を切るのが普通だろう。
チーができる分
だろうか。
だが奈良の選択はなんとドラの!
この選択の意図は点数状況と座順にある。
奈良は現在23100点持ちで、入川と同点の2着目。
そして奈良の上家に座っているのは離れたトップ目の松本。
奈良が鳴いてドラを切ってくれたとなると、松本はアシスト、なんなら差し込みまでしやすくなるのだ。
この後–
聴牌するのだが、ツモってきた
を空切り。

松本さん、私–
ですよと言わんばかりのアピールである。
結果には結びつかなかったが、奈良の引き出しの多さを感じさせる1局であった。
オーラスは松本が自力でアガりトップを獲得。
林は2連ラスとなかなか厳しいスタートだ。
