第5期関西雀王決定戦観戦記 1日目(1回戦)

【担当記者:城戸大生】
さあ今年も始まった関西雀王決定戦。
本部の雀王決定戦は、圧巻の強さを見せ仲林圭が雀王連覇となった。
関西雀王の座を奪うのは誰になるのか。出場する選手を紹介する。
◎松本哲徳(関西Aリーグ1位通過)
18期入会でプロ6年目だが、26歳と今回最年少選手。
関西Aリーグ3年目にして初の決定戦。
リーグ戦を+672.0ptという圧倒的なスコアで首位通過している。
◎林ひろたか(関西Aリーグ2位通過)
18期入会
タイトル戦の決勝はプロ1年目の第45期王位戦決勝以来。
麻雀の師匠と語るA1リーガーの矢島亨が、今日は解説席から見ている。
授業参観のような気持ちで緊張すると語る。
◎奈良篤志(関西Aリーグ3位通過)
17期入会
2年前の第3期関西雀王決定戦で、最大+300pt持っているところから逆転され優勝を逃している。
今回はその雪辱を果たすため、誰よりも燃えていることだろう。
今期から新設された香川支部のタイトル戦『讃王戦』でも優勝し、ノリに乗っている。
◎入川尚平(関西Aリーグ4位通過)
22期入会
元最高位戦日本プロ麻雀協会所属選手で、当時関西B2リーグを1位通過しておりその実力は確か。
タイトル戦の決勝は最高位戦での第6回関西王者決定戦以来。
協会ルールにアジャストしたトップ取り麻雀を見せてくれるか注目。
今回の4名は奈良の17期が協会歴最長と、かなり若手のフレッシュな面々が揃った。
この15半荘で、関西雀王が決まる。
タイトル戦の決勝という経験は皆浅い中で、どうしのぎを削るのか。見ていこう。
【1回戦】
起家から林-入川-奈良-松本
東1局からいきなり大きく勝負が動く。
ドラがで親の林の配牌がこちら。

第1ツモでを重ね、役役ホンイツの親満まっしぐらだ。
と
が鳴けたところに、ツモ
。

が重なれば小三元がついて跳満まで見える。
ここは当然切り…と思われたが、林は打
を選択!
北家の第1打の が誰にも合わせられていないのを見て、
は確実に山にあると読んだのだ。
誰もがを切りそうなところ、林は自分の読みに心中している。入り込めている証拠だ。
しかし11巡目のツモはあざ笑うかのように。

も2枚山にあっただけに、現実は残酷だ。
この状況に黙っていないのが南家の入川だ。

ドラのヘッドのタンピンドラドラ
–
聴牌をリーチ。
親の林もを引いて追いつく…が、6000オールのアガり逃しともいえる。

も
–
も残り2枚だったが、結果は入川が
をツモり3000-6000。
林はこの結果に何を思うだろうか。
東3局1本場(親:奈良)、南家の松本に大物手が入る。

5巡目で早くも聴牌、待ちはと
。
ドラがなので、ダマでも出アガリ満貫、
をツモると三暗刻もついて倍満の強烈な手だ。
ここはダマでもツモアガリ時の打点十分、満貫の出アガリもダマなら期待できると判断しダマを選択。
7巡目に北家の入川がカンを引き入れて
–
のリーチを打つ。

松本はしばらくダマのまま押していたが、ツモってきたをアンカン。

そろそろダマでも出アガリがあまり期待出来なくなってきたことと、カンドラが増えたことでツモって三倍満や出アガリ倍満の可能性も上がった為リーチに踏み切った。
同巡に親の奈良も七対子のドラ単騎で追いつきリーチ。

待ちは入川の–
が4枚、松本の
と
は、
が山に無く
が1枚、奈良も
が1枚。
打点は大きな差があったが、奈良がを掴み入川が2000は2300をアガる。

南1局1本場(親:林)では松本がリーチ一発ツモ平和三色ドラ1の3000-6000をツモアガり、わずかにトップ目に躍り出る。

そのまま大きく点棒が動くことなく迎えたオーラス。
各者の持ち点はこちら。
林 17900
入川 26600
奈良 23000
松本(親) 32500
林は3着まで5100点差、2着まで8700点差、トップ(親)まで14600点差。
1300-2600で3着、満貫ツモで2着、跳満ツモでトップだ。
入川はトップ(親)まで5900点差。
1000-2000でトップなので、全力でトップを狙うだろう。
奈良は2着まで3600点差、トップ(親)まで9500点差。
1000-2000で2着だが、満貫ツモでトップなのでこちらもその可能性を追っていくだろう。
松本はトップ目の親番なので更に加点して連荘するか、もしくは流局ノーテンでトップだ。
ツモられや横移動でトップを捲られないパターンや流局トップも存在するので、どこまで手を組んでいくかは難しいところ。
まず一番乗りは3着目の奈良。

4巡目にツモで一盃口を完成させ、5巡目にタンヤオが確定するツモ
。
なんとも嬉しいツモでリーチをかける。メンタンピンツモ一盃口で、ツモればトップだ。
同巡に追いついたのは2着目の入川。

リーヅモ南でこちらもツモればトップ。
しかも奈良からリーチ棒が出ている為、裏が1枚乗って5200出アガリでもトップで追い風だ。
ドラのを切ってリーチをかける。
黙っていないのはラス目の林。

ドラ表示牌待ちのペン待ちで追いかけリーチだ!
2着・3着からそれぞれリーチ棒が出ているのでツモって1300-2600は2着、出アガリも最低3着、直撃で2着まで見える。
そして、ツモってか
が裏で乗れば、跳満ツモは望外のトップだ。
奈良の–
は
が4枚、
が1枚。
入川のペンは2枚。
林のペンは1枚。
各者決勝の1半荘目。是が非でもトップが取りたい。ツモる手に力が入る。

勝ったのは奈良だ。入川からの出アガリ。
満貫ツモ条件だった奈良だが、なんとリーチ棒が2本出たことにより満貫出アガリでトップとなる。
トップだった松本も、横移動は満貫無ければ自身がトップのため開けられた手を見てがっくりきただろう。
なんとも流れの良さを感じるような展開。1日目は奈良の日になるのだろうか。
