第13回関西女流スプリント決勝観戦記(5回戦)
【担当記者:新田友一】
●5回戦(小松‐桐生‐音無‐鳥井)
音無は鳥井と58.0ポイント差、1着‐3着で無条件、1着‐2着か2着‐4着であれば18100点差を付ければ優勝。
小松は鳥井と121.0ポイント差、1着‐4着で41100点差を付け、音無との63.0ポイント差もまくる必要があるので、音無を3着、鳥井を4着にして大きなトップを取ることが目標となる。
桐生はかなり厳しい状況で、鳥井と音無の優勝争いが大方の予想である。
東1局
親の小松はヤオチュー牌まみれの配牌でしぶしぶ国士に向かい、音無も同じくヤオチュー牌まみれだがこちらはまとまっていてすぐに混老頭含みのイーシャンテンになったが、
の切り出しで鳥井がとのシャンポンリーチ、3人の河には中張牌ばかりが目立つ。
一人中張牌を集めていた桐生が高めタンヤオの–で追いつくと、すでに2枚切られていた高めを引いて2000/4000のツモアガリ。
この後は、大きな動きもなく南入。
小松、最後の親番で立て続けにアガリを決める!
桐生が序盤にリードを築いていたこともあり、並びも抜群によくあとひとアガリで優勝ポジションまで見えるところまで迫る。
しかしここは最後の親番に望みに繋ぐ桐生の満貫ツモアガリ。
だが桐生の粘りもここまでで、いよいよクライマックスが近づく。
南3局の音無の親番。
点棒状況と条件を再確認しよう。
小松 40100
桐生 28600
音無 20400
鳥井 10900
鳥井は苦しい半荘ではあるが、まだトータル首位である。
小松はあと11.9ポイント差なので、満貫ツモでほぼ並び。跳満を音無以外からアガルと優勝ポジションとなる。
音無は桐生をまくって18100点差を鳥井と付ければよい。
音無がメンタンピンドラの先制リーチ、これが決まればいよいよ逆転!
河が強いこともあるが、ここはアガらせまいと鳥井が真っ向勝負。
ここまでリスクは極力回避して進行していたが、そうも言ってられない。
そして勝負を決しようと鳥井はを横に置いて、今日一番のリーチの声。
音無の大逆転か、鳥井が悲願の優勝へ大きく前進するか・・・
鳥井のリーチ後、一発目の音無のツモ牌は・・・
ツモ!
裏も乗せて、6000オールで一気に鳥井を逆転してついに首位に立つ。
しかし、戦いは終わらない。
鳥井はまだまだ遠いわけでなく、最後の親番も残されている。
南3局1本場
鳥井はあっという間にチンイツの跳満テンパイ、これをツモればほぼ並びとなるのだが、
勝負の行方は本当に予想ができない。
桐生のリーチが飛んできて、その瞬間音無はこちらの手牌。
なんとメンホン一通が完成してダマで18000のテンパイ、今度こそこれを上がれば大きなリードを・・・
と放たれたは桐生に掴まる。
桐生(2人の争いに私がジャマしていいのだろうか・・・)
鳥井(私もアガリたかったけどこの結果ならまだましか)
音無(えっ、えっ、どうしよう)
小松(あれっ、優勝条件復活した??)
そんな4者の心の声が聞こえてきたような気がする。
オーラス、トータル首位は音無。
それを追う鳥井は2600オールや音無から1500点でもアガって3着に落とすことに成功すれば連チャンとはなるがひとまず優勝ポジションへ返り咲く。
小松は2人をまくる条件は厳しく、音無から12000の直撃もしくは3倍満以上のアガリ。トータル2位を狙うなら、鳥井から6400以上の直撃、音無を3着に落とすアガリ、満貫のツモアガリの条件となる。
小松が厳しい優勝条件を諦めて仕掛けて、とのシャンポン待ちのテンパイ。音無、鳥井のどちらか放銃した方が負けとなるロシアンルーレットが始まる。
前巡からのトイツ落としを始めていた鳥井、これを止めることはできずに放銃となり音無の優勝となった。
5回戦開始時点では想像もできない三つ巴となって、音無が南場の親番での2軒リーチを制したのが決め手となった。
一方の鳥井は1回戦から5回戦南3局まで優勝ポジションだったが、悲願の優勝は寸前のところでその手からするりと逃げていった。
音無選手、涙の2度目の優勝!おめでとう!!