第23期雀王決定戦観戦記 最終日(25回戦)

【担当記者:坪川義昭】

あの場に座っていたかった気持ちを噛み締めながら、橘は解説席で第23期の雀王が誕生する瞬間を見つめる。
はにかみボーイは来年また、悪魔的強さを持つ雀王に挑戦することを誓った。
デジタルバスター・橘哲也。5位で終了。

南1局
吉田が仕掛けてホンイツのテンパイを入れる。
条件を達成するまでその歩みを止めることはない。

田幸にとって決定戦最後の親番が終わろうとしている。
いつまででも連荘していたい。そんな気持ちを王者は許してくれない。

ヤミテンの満貫をツモアガリし、仲林が田幸に引導を渡した。

長野県から20年間通い続けて辿り着いた決定戦の場。
驕らず謙虚な田幸は後輩達に教えを乞い、ただ愚直に雀王の座だけを見続けてきた。
その姿は頂きを目指す者のあるべき姿である。
静かなるデジタリアン・田幸浩。3位で終了。

南2局1本場
吉田が5巡目にリーチを放つ。
仲林から直撃が取れれば優勝への道筋が見えてくる。

オヤの堀もイーシャンテンまでは辿り着いている。ただ、時間はそう残ってそうにない。

一発ツモの2000-4000で親が落ちた。
ここからは一つでも上の順位を狙わざる得ない。

数々の独創的なアガリを披露し、観る者を虜にしてきた堀の麻雀は人知を超えていると言っても過言ではない。
来年も必ずこの場所に帰ってくるだろう。
小さな天才・堀慎吾。4位で終了。

南3局1本場
優勝の可能性がなくなった堀は3位の田幸を捲るためにメンホンでリーチ宣言をした。

流局。
吉田の最後の親番はテンパイすることすら叶わず、残り一局を役満ツモ条件で過ごすこととなった。

常に良いポジションに就き、仲林の隙を伺っていたが、相手は絶対王者。
25回戦の内で付け入る隙は訪れなかった。
しかし、その類稀なるバランス感覚と安定感は最後まで雀王を苦しめた。
麻雀将軍・吉田基成。2位で終了。

南4局2本場
流局し、ノーテン宣言さえすれば試合は終了する。
逆転条件は吉田の役満ツモアガリのみである。

その役満条件すらかき消す12000点を決め、影すら踏ませない。

全員が静かに手牌を伏せて、長きに渡る決定戦が終了した。

歴代三人目の雀王連覇という快挙を成し遂げた仲林が次に目指すのは、鈴木たろうが持つ協会史上唯一の記録、雀王三連覇である。
『もっと俺を楽しませてくれ』
現雀王は王座から、そう語りかける。
右腕に龍を継ぐ者・仲林圭。第22、23期雀王戴冠。


