第23期雀王決定戦観戦記 4日目(20回戦)

【担当記者:五十嵐毅】
座順・田幸―仲林―吉田―堀
東1局、仲林がカンの789三色でリーチ。捨て牌はこれ。

すでにポンと仕掛けていた吉田、リーチ打牌の
をチー。

現物のを落としてゆっくり行けば安全だが、ゆっくり行くならそもそも仕掛けていない。8000の放銃。
東2局の仲林、6巡目にペンのテンパイが入る手になるが、まったくよどみなくノータイムで
切り。満貫スタートの親番、リーチと行ける待ちにしたかったのだろう。
が、無情にも次巡ツモ。
切りでカン
待ちからの変化待ち。

11巡目に吉田が失点を挽回するべくリーチ。待ちはカン。

リーチ直後にを引かされた仲林はシャンポンに変化させて粘る。
その間に堀が追いつきリーチ。
堀は1巡目にこの形からを切り、4巡目さらに
をツモ切っている。この段階では西家だけにマンズのホンイツが本線。あとは一通。ドラを
を重ねての
ポンなどを考えていたにちがいない。

それがドラをアンコにしてリーチ、そして一発ツモ。

仲林に6000点かぶせてトップに。
堀はこの後さすがの安定感でトップのまま回る。
南2局、仲林はトップに返り咲くべく親で連荘。リーチ→流局のあとの1本場、ソーズホンイツの5800を田幸から。
そして2本場、吉田からリーチが入るも、仲林はアンコのテンパイでヤミテンのまま押し続け、
ツモ切りで放銃してしまう。

対局後のインタビューで「いや~、ひどい放銃しちゃったよ」とは言っていたが、ミスというよりは裏目を引いたということだろう。
・堀をまくってトップになるためにまだ連荘しなければならない
・吉田に満貫を打ってもまだ満貫分のリードが残った2着目。2着を守りに行くのはその後でいい
と、方針が決まっていたからだ。

吉田の手はドラアンコ。だが、裏ドラも
となってハネ満。満貫分のリードが残るはずが、100点下になってしまった。
2回の親番での判断が裏目に出た仲林。だが、堀もオーラスの親で難しい判断を迫られる。
オーラスを迎えての点棒状況はこう。
堀43700 吉田22600 仲林19500 田幸14200
仲林が2着になるべくリーチ。
ここに喰いテンを入れて連荘を狙う堀――そして流局。
仲林がリーチ棒を出したために吉田の4100下になっている。吉田、田幸は明らかにオリ。
堀がノーテンを宣するば100点差でトータル首位の仲林を3着に沈めてこの半荘を終わらすことができる。
だが、堀自身の立場は?
橘の離脱は確定している。この4人で最終日5回戦を戦わねばならない。そして、この4人の中で自分はいまだ最下位なのだ。
2着と2万点以上離した断トツのラス親。いわゆる王様タイム。しかも2着以下が接戦なので子方に大きな手を作ろうとする者がいない。自由に得点を狙えるこんな好条件のチャンスがこの先来るだろうか?
堀は手牌を開けた。首位の仲林を苦しめるよりも自分のポイントを伸ばすほうを選んだ。
1本場の結果は――

仲林が喰いタン三色をツモ。2着になった。
堀も判断が裏目に出てしまった。後悔は現状ないだろうが、もしも最終日に堀が猛追するもわずかなポイント差で届かず、仲林が連覇したときに、このオーラスが脳裏に浮かび忸怩たる思いに駆られるかもしれない。

