第23期雀王決定戦観戦記 4日目(18回戦)

【担当記者:坪川義昭】

橘にとって最大の山場が訪れた。
この回で堀よりも下の着順を取った場合は、彼に取っての雀王決定戦は終了すると言っても過言ではない。
麻雀は何があるかわからないとはいえ、これ以上の差がついた状態で直対なしの残り1戦は事実上の敗退である。

東1局

勝負局というのは終盤戦にやってくるとは限らない。
橘にとっての勝負局は開局早々に訪れた。
南家の堀が先制リーチを放つ。

すぐさま追い付いた橘も追っかけリーチを打った。
この捲り合いに勝てぬようでは生き残ることはできないとお互い理解している。

残り枚数が五分五分の勝負を制したのは堀。
橘にとって、絶対負けられない勝負が終わる。
以降、橘の手牌が開かれることはなかった。

南1局

勢いを取り戻した堀がドラを3枚固めて仕掛けを入れる。

麻雀牌:三索でロンの声がかかっても2000点クラスの手牌が出てくることの方が圧倒的に多い。
局消化を優先する点棒状況が味方して、周りに過度な警戒をさせず高打点のアガリをものにして頭一つ抜け出した。

南2局

痛手を負った吉田も負けてはいられない。
ドラを対子にして遠めの仕掛けを発進させる。

吉田と共に仲林を追う田幸もお得意の田幸ファイヤーで参戦。

この局を制したのは吉田である。
世にも珍しい三色同刻が付いて2000-4000のツモアガリ。

南4局

最後も吉田が光速の仕掛けで2000点を決めて田幸をハナ差で逆転。
序盤のリードを守り切った堀が橘とトップラスを決めて終戦となった。

橘が次戦100pのトップを取った上で最終戦堀が▲100pのラスを引くことを願うしかない。
あまりにも現実的ではない条件だ。
それでも諦めることは許されない。決定戦とは残酷なものである。

この舞台にいる選手の勝ちたいという気持ちに差はないと思う。
どんな選手も人生の半分近くを使ってこの決定戦に辿り着くのだ。
その努力が無になる瞬間というのは、どのような感情が交錯するのだろうか。
それはきっと雀王決定戦に残った選手しかわからない想像を絶するものだろう。

僕はもっと橘さんの麻雀を決定戦で見ていたかったです—————