第23期雀王決定戦観戦記 4日目(16回戦)

【担当記者:坪川義昭】

決定戦も4日目を迎え首位の仲林から橘までのポイント差は300pを超えた。
橘が目指すのは優勝だが、その前に一人追い越さないと20回戦終了時点で敗退が確定してしまう。
否が応にも前のめりに戦わなくては、その道は開かれない。
たった一人の条件戦が始まった。

東1局

南家の吉田が橘にプレッシャーをかける。
ドラ色のマンズを2副露入れてイーシャンテン。

これで5200点のテンパイだ。
待ちの麻雀牌:西は苦しいポイント状況の橘、堀に一枚ずつ配られた。

一度の親番すら無駄にはできない橘から溢れ出る。
苦しい状況が更に苦しい手牌を生み出し、負のスパイラルに突入していく。
観ている側も胸が苦しくなるような開局である。

南3局

堀が広いイーシャンテンでオヤの仲林の安全牌を手牌に留める。
確かに仲林がリーチときたら切りにくくなる麻雀牌:九筒である。

裏目となってしまったがタンヤオが付いて打点はアップした。
終盤とはいえ、マンズのリャンメンとソーズの5メンチャンであれば十分にリーチが打てそうだ。

次に引いたソーズがテンパイしない麻雀牌:四索だった。
それでも更にテンパイする枚数は増えた。一刻も早くリーチが打ちたい。

長いイーシャンテンに焦れていた仲林もテンパイを入れる。
待ちは苦しく自身から3枚見えているカンチャンだが、親権は維持できそうだ。

堀にもテンパイが入る。
フリテンではあるが、リーチをかけてハネツモを狙うか、リーチ棒を出さずに局を終えるか。
テンパイを取らない理由はない。

これが仲林のイマテンに刺さり7700点の放銃となる。
堀も3日目に大敗し、ムードの悪さをずっと感じているようだ。

南4局1本場

ラス親の堀が麻雀牌:発麻雀牌:白と連続で仕掛ける。

更に麻雀牌:一萬をポンして四頭立てとなる。
中身はバラバラだが、三者からは中身が見えない。
6巡目にして終盤のようなプレッシャーがかかる。

生き残りをかけて、堀より下の着順は許されない橘がハネツモ条件でリーチ。
当然ツモアガリは逆転確定である。

堀が終盤にテンパイを組んだ。
待ちは既に3枚切れているカン麻雀牌:七索でアガれそうな感触はあまりない。

トップ目の吉田にもテンパイが入りアガリを拾いにいく。
満貫を放銃したところで、トップは揺るぎない。
仮に橘がハネマンリーチだとしても堀を2着に押し上げて自身がラスになるだけで、ロンがかからないことは織り込み済みだ。

当然橘はこの麻雀牌:五萬を見逃さざる得ない。

堀も遂に形になった。
18000点のテンパイである。

橘、魂のツモアガリ。
3000-6000で堀をラスに押し付ける逆転劇で首の皮一枚を繋げた。
奇跡は起こしてこそ、価値が出るものである。

トップは吉田で首位を独走していた仲林を遂に捉える。
堀はまさかのラスを押し付けられ、橘にも希望の光が見え始めた。
雀王決定戦は佳境に差し掛かる。