第23期雀王決定戦観戦記 3日目(14回戦)

【担当記者:中島由矩】
第3日目・14回戦(橘-堀-吉田-田幸)
ワクワクする手牌を
ドキドキする方向に
導いていく
たくさんのカメラに囲まれて
1番高いところを目指す者たちに
課せられた使命なのかもしれない

11回戦・12回戦の連勝であっという間に首位に立った仲林と、1回戦から継続してしっかり勝負し、ポイントを積み重ねる田幸。14回戦で、この2人を追ったのは、吉田基成だった。

吉田の勝負手は、東2局の親番で舞い降りる。
三元役がはっきり見える配牌をもらうと、まずは孤立のマンズを払い、

次にピンズの横伸びを見切る。

まずはポンから発進すると、
をトイツ落としし、

空いたスペースに、待望のを迎え入れた。

今度はをトイツ落とししながら、ツモ
をとらえてテンパイ。

田幸も1度は止めただったが、

手が進むと押し出されてしまう。両者にとって、大きな12000となった。

次局、吉田は親番で一気呵成に畳み掛ける。

それでなくともまとまった配牌に、第1ツモでドラのを重ね、

今度はホンイツに行かず、を横に伸ばしてリーチ手順にした。3巡目に
を曲げる。

田幸も5巡目にドラを重ねて対抗。

これで、吉田のアガリ牌が半分消えたことになる。

田幸は、さらにペンを引き入れると、即リーチ。勝負を、ドラシャンポンのめくり合いに持ち込んだ。
お互い高めのドラは山になく、シャンポンの相方を探す。

ここは、吉田がツモアガリ。4000オールを手にして14回戦のトップを決定づけた。

吉田は南1局にも、恵まれた配牌から第1打をとし、

3巡目にリーチ。

堀からの追いかけリーチを受けるものの、

第1打のが生きる形になり、橘から
を打ち取って加点した。
南4局4本場を迎えて、点棒状況は下の通り。
東家・田幸浩 28900
南家・橘哲也 9400
西家・堀慎吾 21400
北家・吉田基成 40300

トップ目の吉田は、堀や橘に8000までなら放銃することができる。特に堀は、8000をアガると着アップが見込めるため、そこに照準を合わせて手組みするだろう。

しかし、吉田はポンから発進し、自らこの14回戦を終わらせにいく作戦を取った。安全牌を持たず、一目散にアガリを目指す。

吉田がフリテンの–
を引き戻してテンパイしたところで、

地震・雷・火事・親リー。
もしここが健康麻雀教室だったら、「ほら、言わんこっちゃない!」とでも言いたくなるところだが、当然それは吉田も想定内だ。親の田幸と、トップ目の吉田。お互い一歩も引かずにめくり合うと、最後は

田幸が力尽きてゲームセット。

吉田が値千金の1000は2200を手にし、熱戦にピリオドが打たれた。
14回戦トップは吉田基成。先制して良し、押し返して良し、枚数的に不利な勝負もめくり勝って、大きなポイントを手にした。これでトータル3位から2位に上がり、残るは首位で現雀王・仲林圭の背中を、その視界にとらえる。
2着になったのは田幸浩。要所で鋭い踏み込みを見せたものの、めくり合いに競り勝つことができなかったのは、いかんともしがたい。
3着には堀慎吾。雀王戴冠を目指す戦いに、5位での途中敗退を意識させられるのは面白くない。最終日に上だけを見るためにも、15回戦ではトップがほしい。
無念の4着になったのは、橘哲也。橘は、自身のテンパイが遠かったのに加えて、他家のアガリ牌をつかまされるシーンが多く、悪戦苦闘することになったこの14回戦だった。ここまで、仲林・田幸・吉田の攻勢に押され、堀と2人で逆連対を引き受ける形になっているが、4日目に希望をつなげるためにも、このまま引きさがるわけにはいかない。
