第12回チャンピオンロード ~GC大会~
【担当記者:丹雄飛】
3月2日、第12回チャンピオンロードグランドチャンピオン大会。
プロアマ、所属団体問わず、年間7戦のワンデー大会で積み上げたポイントの上位24名が、年間の王者を決めるべく闘牌を繰り広げる。
準決勝からの闘牌はYouTube、ニコ生、OPENRECにて配信を行っており、松田麻矢プロの実況、日本プロ麻雀協会の代表である五十嵐毅プロ、第19回日本オープンの優勝者である飯田雅貴プロがダブル解説となる豪華なものであった。
決勝進出は以下の4名
プロアマ混合である本大会らしく、アマチュア2名、RMU所属選手1名、協会所属選手1名という組み合わせになった。
やす。さん :+177.9
・・・筆者は以前にも同卓しているが、攻めの姿勢が非常に強い打ち手である。また誰よりも麻雀を楽しんでおり応援コメントもたくさん来ていたのも納得の素敵な方である。
青木 茂之(RMU) :+134.7(トップとの差:43.2)
・・・RMUからの参戦。配信開始時のインタビューでは間違いなく飛びぬけて一番緊張していたが、卓内では非常に冷静に打ちまわす印象である。
丹 雄飛(協会) :+120.7(トップとの差:57.2)
・・・自称「ジーニアス」らしい。決勝では唯一の協会員であり優勝するとE3リーグからC2リーグへ6段階昇級することができる。
木下 裕文さん :+93.3(トップとの差:84.6)
・・・準決勝に残れた時点で運が良い、僥倖だと謙虚に語っていたが、今年度からの参戦での決勝進出、他の大会でも活躍されている実力者である。
積み重ねてきたポイントではやす。さんがリード。並びによっては自身が3着でも優勝を狙える点数状況だ。
青木はトップならほぼ優勝だが、丹と木下さんはトータル首位のやす。さんをある程度沈めつつトップを狙う必要がある。
座順は以下の通りとなった。
起家;木下さん
南家:青木
西家:丹
北家:やす。さん
開局早々、トータル首位のやす。さんの首を狙う三者がそれぞれ牙をむく。
東1局1本場
9巡目、親の木下さんが待ちの先制リーチ。
直後にやす。さんが追っかけリーチを入れるも、木下さんがをツモり4000は4100オールで大きな先制。
東1局2本場
11巡目にやす。さんが仕掛け先制テンパイを入れるも、山に残り1枚のドラ単騎で追いついた丹が一発でツモ。3000/6000は3200/6200の和了を決める。
東2局
この局は青木が4巡目にのシャンポン待ちでリーチ。
ドラドラを持ち安全牌も無かった木下から一発でをとらえ7700の和了を決める。
三者が和了を決めラス目になったやす。さん。
一見追い込まれたように見えたが、ここから非常に冷静な打ち回しを見せる。
東2局1本場
3巡目、ドラのを引き入れたやす。さんは切りを選択。
を切る未来を拒否しつつ、を仕掛けた後の安全度、出和了3900の可能性を高める一打であろうか。三者に置いていかれた中で、トータルポイントを踏まえ着実に点差を詰めればよいという冷静さが垣間見えるような一打である。
結果としてこの局はやす。さんが1000/2000は1100/2100の和了。
東3局
この局はやす。さんと木下さんの積極的な姿勢がぶつかった。
まずは7巡目、やす。さんが以下の牌姿からチー。一気通貫に必要なが2枚切れの状況だったがネックは解消するという非常に積極的な選択を見せる。
続く8巡目、やす。さんがをチーし打ち出されたを木下さんがチー。
片和了のテンパイを入れる。
積極的な仕掛けがぶつかった本局の結末は、木下さんがを掴みやす。さんの勝利。3900の出和了となった。
小さな点数移動が2局続き迎えた南2局。
この局はトータルポイントでやす。さんを追う三者の意地がぶつかり合う
まずは親の青木が3巡目にタンヤオのテンパイ。ここは手替わりを待たずに即リーチを選択する。やす。さんの着順を下げたい木下さん、丹はリーチに対応するだろうという読みもあったか。
しかし配牌でドラ対子とを持っていた丹が無筋を連打し9巡目にを引き入れ追いつく。
ここは優勝のために着順の操作ではなく素点を稼ぐことを目指した。
さらに同巡、木下さんもタンヤオで追いつきリーチを選択。
この捲りあいの結末は…、青木に軍配。
木下さんがを掴み3900の出和了となった。
南2局2本場
この局は薄氷の優勝ポジションにいるやす。さんの冷静さと、特別昇級が懸かる丹の焦りが皮肉な結末を生む。
好配牌をもらった丹の7巡目、切り。和了が欲しいこの局面、ドラ表示牌の二度受けを嫌う切りが正着であろう。優勝への焦りからか一向聴を選択。
同巡、やす。さんが–待ちのテンパイとなり、ダマテンを選択。
次巡、丹が持ってきたのはなんと。前巡を切っていなければ喜んで受け入れた牌である。そして…
実況の松田プロ「この表情!」
解説の飯田プロ「いい顔してましたねー」
同じく開設の五十嵐代表「あからさまにやらかしたー、という顔をしてくれましたね」
対して見事なダマテンでの和了を見せたやす。さんの表情。なんと頼もしいことか。
南3局
11巡目に先制したのはやす。さん。前局とは打って変わり今度はリーチを選択する。
親の丹が形式テンパイらしい仕掛けを入れていることを見て、オーラス他家により厳しい条件を押し付ける狙いだろう。
やす。さんの読み通り形式テンパイを入れていた丹から次巡打たれたのは。これを一発でとらえ、3900の出和了。
そして迎えたオーラス。各者の現実的な条件は以下のとおりである。
青木:満貫ツモorやす。さんから6400の直撃or丹、木下さんから跳満の出和了
丹:三倍満ツモorやす。さんから満貫直撃
木下さん:役満ツモorやす。さんから倍満直撃
親のやす。はこれらの条件を躱しきり、手牌を伏せることができれば優勝だ。
16巡目、満貫ツモ条件の青木が一発もしくは裏ドラ期待のリーチを打つ。
続けて満貫直撃狙いの丹も、たった今青木のリーチ宣言牌となったを狙ったダマテンを入れる。
残り2巡、この勝負の結末は―
流局となり、やす。さんが逃げ切りを果たした。
予選から攻めの姿勢を貫き見事に優勝を決め、万感極まる表情のやすさん。
激闘を戦い抜き喜びを噛みしめる様子が、この大会にかける思いの強さを物語っている。
さて、第12回チャンピオンロードはやす。さんの優勝で幕を閉じましたが、すぐにまた第13回チャンピオンロードがスタートします。
今年度ご参加くださった皆様、また今年度は参加を迷われていた方もぜひご参加ください!
日本プロ麻雀協会所属のプロが、皆様との対戦を心から楽しみにしております!