現女流雀王の逢川恵夢(あいかわめぐむ)、狙うは勿論優勝して前人未到の女流雀王3連覇である。
彼女に挑戦するのは第14期以来の女流雀王復帰を狙う佐月麻理子(さつきまりこ)、
モンド王座の優勝経験もあり知名度・実績十分の大島麻美(おおしまあさみ)、
そしてもう一人がデビューから10年目にして今回が初めての公式戦決勝となる澄川なゆ(すみかわなゆ)である。
実績では他3人に明らかに劣るからこそ、今回にかける思いは誰よりも強い事は想像に難くない。
澄川-逢川-大島-佐月の座順で始まった1回戦、澄川が親番でスタートダッシュに成功する。
リーチ・ツモ・ピンフ・ドラ2・裏1で6000オール。
4巡目の先切りといい、ドラ2の手牌を確実にアガリに持っていくための手役を睨んだ丁寧な手順。
これにツモも効いてのアガリ。
1本場は逢川がアガり親は流れるが、東2局でまたもや勝負手のリーチ。
6000オールをアガっても手を緩めるような進行はせず、積極的に攻める。
だがここは親の逢川がうまくかわす。
親番とはいえ、かなり前のめりの逢川らしい進行。
こういった速攻を多用する積極性が逢川の代名詞の一つ、今年もそれを見せてくれそうな初アガリだった。
大島も続いての1本場で2600は2900の初アガリをする中で、いまだにアガリが出ないのが佐月。
だがラス目で迎えた東4局の親番、0本場は場の状況を見て絶妙のタイミングで形式聴牌を取り、1本場もギリギリで聴牌を入れ親権を維持。
そして迎えた2本場にようやく初アガリ、12600を澄川から直撃しトップ目に立つ。
このアガリ自体は配牌でダブとのトイツに恵まれた上でのほぼ手なりの進行なのだが、0本場で親番を維持した粘り・状況をしっかりと見据えた形式聴牌がこの最高の結果につながっているとも言える。
佐月は攻撃タイプではあると思うのだが、この辺りの細かい情報処理能力のレベルが高いと感じる局面が多い。
そのバランス感覚がさらに見事にはまったのがこの後の南1局。
親の澄川の先制リーチに対してある程度は引き気味に打ちつつも、アガリの目は消さないように生牌のは勝負。
そして大島が切ったをチーすればかわし手の聴牌は入れられたがこれを拒否。
「この局面で親と殴りあうなら勝負手で」という思考でこれを門前で仕上げ追っかけリーチ。
これが見事にハマり、競っていた澄川から一発でをロン、5200を直撃。
”鳴きテロリスト”という彼女の通り名とは真逆の門前進行が最高の結果をもたらした。
佐月は残りの局も積極的な鳴きとメリハリの利いた押し引きで場をひっぱり逃げ切りのトップ。
1回戦は佐月-澄川-逢川-大島の着順で終了となった。
佐月・逢川ともに持ち味の積極性が十分に見えた1回戦、澄川も初の決定戦とは思えない堂々と前に出て殴りあうスタイルは中々に好感が持てた。
この先14半荘もこの1回戦同様に積極的な攻撃の応酬になるのでは?と予感させる内容である。
大島については展開に恵まれない部分が大きかったので、今後の動向が気になるところ。
巻き返しに期待したい。