順位 |
名前 |
TOTAL |
1日目 |
2日目 |
11回戦 |
12回戦 |
13回戦 |
14回戦 |
15回戦 |
1
|
鈴木 たろう |
95.7 |
157.3 |
-78.7 |
-17.4 |
-78.6 |
6.7 |
92.1 |
14.3 |
2
|
須田 良規 |
51.6 |
14.5 |
-4.7 |
15.2 |
62.0 |
-16.6 |
7.4 |
-26.2 |
3
|
金 太賢 |
-28.2 |
-74.4 |
61.6 |
-53.6 |
21.4 |
-37.8 |
-16.3 |
70.9 |
4
|
鈴木 達也 |
-123.1 |
-99.4 |
19.8 |
55.8 |
-4.8 |
47.7 |
-83.2 |
-59.0 |
【3日目観戦記】
| 1日目観戦記 | 2日目観戦記 | 最終日観戦記 |
雀王決定戦も3日目を迎えて折り返し点となった。
全20回戦のうち10回戦を終え、トップの鈴木 たろうから4着の鈴木 達也まで158.2pの差がついている。
ただ、順位点が+50、+10、▲10、▲30の当協会ルールにおいて
2回のトップラスで簡単に引っくり返ってしまうポイント差しかない、ともいえる。
2日目終了時ポイント
たろう+78.6 須田+9.8 金▲12.8 達也▲79.6
台風14号の接近に伴い雨が降りしきる中、筆者が会場に到着すると、
既に鈴木 たろうが会場内で、採譜者と談笑していた。
2日目に3ラスを引かされて大きくポイントを減らしてしまったのだが、
数多くのタイトル戦で優勝してきた男の余裕のようなものを感じる。
談笑していると、須田 良規がいつものようにi-podを聞きながら会場入り。
普段のAリーグの対局の時、むしろ仕事場と全く同じスタイルでの登場である。
須田が緊張している姿というものを、筆者はいまだ見た事が無い。
今日はどんな面白い闘牌を見せてくれるのだろうか。
続いて金 太賢も会場に到着。Aリーグ2年目にして首位で決定戦に挑む唯一の20代Aリーガーだ。
金とは神戸時代から知っているということもあり、筆者に最初に話しかけてきた。
フリーでは人和を見逃して地和を和了したりと、豪腕系のこの男だが、競技ルールでの金の麻雀はすごい繊細に打つというイメージが強い。
「今日は豪腕を見せてね」という話をすると、
「最終日の最終半荘まで目ありで打ちたいですね」
というこの男にしては、控え目な答えが帰ってきた。
初の決定戦ということもあり、やはりまだ緊張しているのだろうか。
金と筆者が話をしている間に鈴木 達也も会場入り。
2日目にたろうとトップラスを2回決め混戦を演出した現雀王。前年の決定戦では2回の役満を魅せている。
今日はどんなファンタジスタぷりを見せてくれるのだろうか。
観戦記者という立場ではあるが、今日はこの4人の麻雀を間近で見られるということが楽しみでならない。
立会人からの開始の合図があり第9期雀王決定戦3日目の開始である。
近づく台風のようにこの決定戦にも、暴風が吹き荒れるのか。
☆11回戦☆(金-たろう-達也-須田)
東1局、北家の須田が2巡目にいきなり仕掛ける。
ドラ
上家達也のをチー
開局2巡目に躊躇することなく仕掛ける。まさに「いつも通りの須田」という印象を周りに与える仕掛けだ。
しかし須田が2副露してイーシャンテンのところに、たろうも金の切ったを仕掛けてテンパイ。
ポン ドラ
ここは須田が、たろうから2000点のアガり。
チー チー ロン ドラ
東2局、達也がを仕掛けてホンイツに向かう。
親のたろうも567三色の見えるイーシャンテンで臨戦態勢。
金も一通のチーテンを入れる。
しかしこれを制したのは達也。たろうから3900のアガり。
チー ポン ロン ドラ
東4局、なんと金に第1ツモでテンパイが入る。
金の普段打っている印象からするとリーチをしそうなイメージなのだが、金はダマテンを選択。
ツモ ドラ
「ドラが、マンズとピンズで123が出来ていることもあり、ダマテンにした」
とは局後の金の話。
しかし、この選択が親の須田に大きなチャンスをもたらす。
ドラ
の配牌が4巡目には、
ドラ
となり、同巡の金からをポン。場にが2枚飛びなのを見てと落としていく。
7巡目に金からをポンしてテンパイ。
すぐにドラのを引いてを加カン。
形を変えてピンフのテンパイを入れていた金、ツモ牌が和了牌でないことを確認しツモ切りリーチといく。
ドラ
しかし無情にも宣言牌となる牌が。
須田には大きな12000点。金には痛い失点となった。
ただ、須田の仕掛けはポンまでは、ホンイツかトイトイか分かりにくいが、加カンでメンツがありそう。
が通っていることもあり、ホンイツの字牌のシャンポンと読めそう。
場に出てない字牌はの4種類。2分の1の確率で12000点を打ちそうな牌なのだ。
ここは自重でもよかったかな、という気もするが・・・
南1局、須田の仕掛けが面白い。
2巡目にたろうが切った2枚目のを鳴かず、達也の切ったから仕掛けはじめる。
ドラ
しかし7巡目、たろうがテンパイ形から金のツモ切ったを鳴き、一気にソウズに寄せる。
さらに金は、とツモ切り。
まるで麻雀漫画に出てきそうなチンイツをたろうがアガる。
チー チー ロン ドラ
親番で好形イーシャンテンの金、ここはいたしかたなしか…。
達也+55.8 須田+15.2 たろう▲17.4 金▲53.6
11回戦終了時トータル
たろう+61.2
須田 +25.0
達也 ▲23.8
金 ▲66.4
☆12回戦☆(須田-金-たろう-達也)
ますます混沌としてきた決定戦。
11回戦では、2着ながら須田のらしさが一番感じられた。
ただ、他の三者も随所にらしさを垣間見せている。
いったいどういった結末になるのか、観戦記者という立場も忘れて興奮してしまっている自分を抑えるのが大変だった。
東1局、親の須田が一番早いかなと思っていたが、達也が中張牌の山を引き当て、タンヤオ七対子を即リーチ。
ドラ
達也はほとんどノータイムで打牌していく。
今回のリーチも、もちろんノータイム。
打牌に対する情報、思考をほとんど相手に与えないという部分は一流と言われるところだろう。
はたろうに2枚持ちだが、ドラが対子で入り方によってはオリうちも考えられる。
13巡目に追いついたのは金
ツモ ドラ
達也がメンツ手だとすれば、かなり危なそうなを叩きつけるように切ってリーチといく。
結果は金がをツモって1000・2000。
今日初めて、金の顔がほころんだ気がした。
東2局、北家の須田以外の三者は手牌が遅そう。
達也にいたっては9種9牌で国士無双しか見えなさそうだ。
しかし、須田のツモが手牌と全く噛み合わない。
昨年決定戦で2回の役満を決めた達也。
次々と有効牌を引き11巡目には国士イーシャンテンとなる。
12巡目にはを残してをツモ切る。
親の金がこれをポンして形テンに取る
ポン ドラ
金はソーズを1枚も切っておらず、三者への威圧も兼ねており、親番維持のためにはやむなしか。
だがこの鳴きによって達也がを引いてテンパイ。
ただ、待ち牌はドラ表と場に2枚切れの待ち。
須田は金の仕掛けを受けてオリており、須田がを持ってきてしまえば、画餅になってしまう。
そうしているうちに、大きく出遅れていたたろうがドラ単騎でテンパイを入れた。
ドラ
たろうは何も怖くないとばかりに初牌の、、を3枚金に対して切り飛ばした。
そして運命の18巡目。たろうは最終手番でまでもツモ切った。
達也から「ロン 32000」の発声。
その瞬間放銃したたろうより、須田が天を仰いだのが印象的だった。
局後のたろうの「国士とかみてないし」というのが全てなのだろうが、
最終手番、トータルトップ目ということも考慮すれば、流石にドラのを切ったほうがいいと私は思うのだが、
鈴木 たろうという人は、これからも何回打ってもあそこでを切るんだろうなと、放銃しても揺るぎない姿が感じられた。
次局に入る前に達也が採譜者の橘 哲也のほうを見てニコっ、としたのも印象的だったのだが、この後想像もしない展開が待っていた。
東3局1本場、ドラのを暗刻にした須田が6巡目にリーチ、そしてペンツモ。
リーチツモ ドラ 裏ドラ
裏1でハネ満のアガり。
南1局1本場、達也の国士無双があったが、この時点での点棒状況はこう。
達也47400、須田35800、金28400、たろう▲12600
達也からすれば、この須田の親番が一つのキーポイントだろう。
しかし須田の手牌がいい。3巡にしてこの形。
ドラ
対する達也は、
ドラ
軍配は須田に上がるかと思っていたが、ツモが全く噛み合わない。
ようやくテンパイしたのは14巡目
ドラ
これをダマテンに構える。
同巡、単騎でテンパイしていた金がを引いて待ち変え。
ドラ
さらに達也も、須田・金のアガり牌を引いてテンパイ
ドラ
あの3巡目の形からは想像もできないピンフテンパイを組む。
この段階では三者共に純カラテンパイ。
そして金が14巡目にツモ切りリーチを敢行。
たろうがこのリーチ宣言牌をチーして形テンに取ったが、無情にも達也に刺さる。
達也にとっては大きな大きな2000点と供託2本となった。
和了した瞬間、大きく息を吸い込んだ達也が印象的だった。
南4局オーラスを迎えて点棒状況は、
達也51200、須田42000、金25400、たろう▲18600
2着目の須田にドラのが対子。金に満貫打っても2着のここは、ギリギリまでトップを狙っていくだろう。
最初に動いたのはたろう。
金の第1打のをチー。素点を少しでもプラスにするのと、現状2着の須田をトップにさせないために早く終わらせる狙いだろう。
チー ドラ
須田の10巡目の選択も面白い。
ツモ ドラ
ここで打。が自分から4枚見え、既に仕掛けている金とたろうからのドラポンの満貫テンパイを想定しているのだろう。
それもほとんどノータイムでの一打。これだから須田の麻雀を見ていると面白い。
対する金もを仕掛け始めた形からは、想像もできないほど手が育っていく。
ポン ドラ
このポンでたろうにテンパイが入るはずだった4枚目のを引っ込抜き、道中重ねたもポンして、
高め大三元、安めでも倍満テンパイを入れる。
ポン ポン ドラ
そしてこれに飛び込んでしまったのはトップ目の達也。
たろうと金の二人がそれぞれ違う色で仕掛け、字牌へのケアならまだしも、まさか数牌で16000点と言われるとは思ってもいなかっただろう。
金が和了した瞬間2着目の須田がやられたという顔をしていたのが印象的で、開かれた手牌を見た瞬間、今度は目を丸くしていた。
それほど金の和了が、さすがだったということか。
なにはともあれ達也には、痛すぎる倍満放銃による3着落ちとなった。
須田+62.0 金+21.4 達也▲4.8 たろう▲78.6 12回戦終了時トータル
須田 +87.0
たろう▲17.4
達也 ▲28.6
金 ▲45.0
☆13回戦☆(須田-金-達也-たろう)
ついに待望の決定戦2度目のトップを取ってトータルトップになった須田。
逆に、転落したたろうがどういう風に攻めていくのだろうか。
東1局、須田が相変わらず軽快だ。
たろうから2900点を和了してまずは先制。
東1局1本場、ここからたろうが3局連続で捌いてみせる。
しかも、須田と達也の親番は共に、満貫テンパイをかわしたアガり。
ポイントを大きく失っても、大振りせず、きっちり最善手を尽くす。たろうの経験に基づいた冷静さが見ることができた。
ロン ドラ
東2局
ポン ロン ドラ
東3局
ツモ ドラ
そして、東4局たろう親番。
うまく3局捌いて親を持ってきたたろうに大物手が入る。
5巡目にしてチンイツのイーシャンテンだ。
ドラ
しかし、今度は須田が捌きにかかる。
チー ドラ
その後、金からのリーチが入る。
ツモ ドラ
手牌を短くした須田に、若獅子が襲い掛かった。
もちろんたろうは臨戦態勢で、ソーズ以外はぶった切る。
そして、須田がのスジを追ったで放銃。裏ドラもで痛い痛い満貫放銃。
ただこの局、須田が鳴かなければ、たろうにと入っていたのだ。
もしかしたら、24000点ないしは12000オールまで仕上がっていた可能性もある。
はたしてこれがどうでるのだろうか。
須田がラス目に落ちると、俄然三者はこのまま須田にラスを押し付けたいところだが、南2局。
達也がダブを仕掛けてイーシャンテン、たろうも自風のを仕掛けてホンイツへ向かう。
しかしその2人をあっさり追い抜いたのは須田。
5巡目に、
リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ
あっさりと一発ツモ。
その瞬間、金と達也の表情が若干厳しくなったように見えた。
逆にこれで須田がトップ目に立つ。
ここでトップを取れば、非常に大きなリードになる。
南3局、金がこの日初めて、遠くて安い仕掛けを入れる。
親の達也の現物はあるし、トップ目の須田にプレッシャーをかけられるか、と思っていると、
達也がドラドラの形でリーチ。
ドラ
ただ待ちのは、須田に暗刻のうえに金の鳴きによって下家のたろうに1枚流れた後だった。
ファンタジスタといえども5枚目のは引き寄せられず流局。
金の鳴きがなければ4000オール。
このあたりがAリーガーの嗅覚なのか。
南3局1本場。
親の達也が、と仕掛けてホンイツへ向かう。
チー ポン ドラ
金も
ドラ
から、たろうの切ったを仕掛けてタンヤオに向かう。
だが、テンパイ1番乗りはたろう。
ドラ
リーチといって、プレッシャーをかけていく。
これに飛び込んだのは、同巡テンパイの達也。
たろうの現物待ちに取る、打が一発放銃。
裏ドラも1枚乗って大きな満貫放銃とあいなった。
南4局オーラスを迎えて点棒状況は、
たろう32700、須田26400、金26200、達也14700
須田、金ともに1000点や2000点ではトップに立てない。
となると、状況に応じて2着確保の軽い仕掛けもやむなしか。
対して達也は、満貫ツモでも着順が変わらない。ハネ満ツモでの同点トップを目指すか、須田の着順を落としたいところ。
親のたろうは、配牌で2メンツできていて一番早そうか?金もターツは足りている。あとは山との勝負だろう。
須田と達也は、ちょっと遅そうな形だ。
最初のポイントは4巡目。金が達也の切ったに反応するかどうかだ。
ドラ
ピンフに仕上がればツモでトップの金は、当然のようにスルー。
私は思わず鳴いてしまいそう。トップが見えればきっちり狙う。これがAリーガーの胆力か。
これをメンゼンで仕上げて、9巡目にツモ裏1(もしくは一発)条件でトップになるリーチを敢行。
ドラ
しかし和了したのは達也。リーチを受けた時にはまだこの形
ドラ
と引いて14巡目に単騎で追っかけリーチ。
これを2巡後に、バチンと手元に引き寄せ、ラスからトップとなる大きなハネ満ツモ。
この男の膂力恐るべし、と対戦している三者だけでなく観戦者にも印象付けるアガり。
逆に、金には痛いラスとなってしまった。
達也+47.7 たろう+6.7 須田▲16.6 金▲37.8
13回戦終了時トータル
須田 +70.4
達也 +19.1
たろう▲10.7
金 ▲82.8
13回戦と14回戦の間に長めの休憩があったのだが、そこで余裕があったのは達也と須田。
共に観戦者と談笑し、時折笑顔を見せながら、穏やかな雰囲気で休憩している。
金は気付けば会場にいなかった。一人で気分転換か。
たろうは椅子に座って、気分を落ち着けている。
ついに雀王鈴木 達也がプラスにポイントを持ってきた。
さあ、決定戦3日目の後半戦。どんなドラマがあるのか、ますます目が離せない。
☆14回戦☆(たろう、金、達也、須田)
東1局、西家の達也が、配牌でチャンタ三色もしくはチャンタドラドラが見える形。
ドラ
3巡目に須田のを仕掛け、6巡目に高め満貫のテンパイ。
チー ドラ
親のたろうも仕掛け返して追いすがるが、ここは達也の勝ち。
安めながら1300・2600のツモ。
東3局、最速テンパイは親の達也。8巡で
ドラ
と初牌の単騎テンパイ。これをダマテンにしてきっちり拾いにいく。
同巡に追いついたのが須田。
ドラ
ソーズ模様の達也が、既にを余らせているが、勝負に行くリーチ。
達也もダマテンのまま押しまくる。
そこへたろうが追いつくが、リーチ宣言牌となるが、須田に放銃となる。
達也のは、なんと山に3枚。決まり手を出せず。
南1局、親のたろうが6巡目にテンパイ。
ドラ
しかし、これをダマテンに構える。三色でもなし、ドラの振り替わりもなし。
そして他家で色に寄せてる人も見えない。
次巡、即ツモなのだが、こんなに嫌そうにツモる人は、なかなかいない。
後に理由を聞くと、
「1巡回して、ツモ切りリーチしようと思って。そのほうが字牌ぐらいみんな切ってくれるでしょ。」
と、たろう談。
その巡目にとが出ても、見逃してリーチするつもりだった、とも言っていた。
常人なら4000オール。だが、鈴木
たろうがゆえに、1300オールとなったこの1局。
世界で鈴木 たろうだけの1300オールが、このあとどう響くのか。
南1局1本場、
たろうに2巡にして役満手が入る。
ツモ ドラ
4巡目に達也のを鳴くのだが、このポン出しがなんと。
ポン ドラ
前巡にを切っているため、ここでを切るとその後、が重なった場合ピンズホンイツ模様のところから
捨て牌に
を並べることになり、捨て牌が異常になるので、字牌が出なくなるだろう。
しかしラス目の親番ホンイツイーシャンテンの形から、このを切れる人は
協会では、鈴木
たろうか斎藤 勝久ぐらいだろう。
同巡、金が長考が入る。
ツモ ドラ
私の知ってる金なら、ドラのをリリースするかを切ってドラ単も辞さずかな、と思って見ていたのだが、
1分近い長考後、金の打牌はやはり。ポイント的に苦しいのであろう。普段より打牌のリズムが悪いような気がした。
たろうはその後、達也からをポン。ドラ対子の達也も、ドラのとのWバックで仕掛け返す。
ポン ドラ
このの鳴きで、たろうがを引き入れ小四喜単騎テンパイ直後、達也のツモは。
先ほどの国士無双の1.5倍返しとなる、親の小四喜が決まってしまった。
たろう、意地の48000点といったところか。
南4局 点棒状況は、
たろう72100、須田32300、金18800、達也▲23200
金は満貫ツモでも須田をかわせない。だが着順を上げたい。どう攻めるだろうか。
金の選択は、8巡目
ツモ ドラ
ハネ満ツモのイーシャンテン。一通へ向かう切り。
しかし、親の須田からリーチが入る。
ドラ
この須田のリーチ棒で、満貫ツモでも着順が上がるようになった金。押しどころだ。
2巡後にを引いた金。唸り声をあげてを切って追っかけリーチ。須田に襲い掛かる。
ドラ
だが、先行リーチを掛けている須田のツモ切り牌はドラの。
次巡、須田からが出るが、これは金の安めアタリ牌。
裏ドラをめくる手に力を篭めるが、ここは須田に軍配。
裏ドラはなく、着順はの変わらずに終局となった。
たろう+92.1 須田+7.4 金▲16.3 達也▲83.2
14回戦終了時トータル
たろう+81.4
須田 +77.8
達也 ▲64.1
金 ▲99.1
☆15回戦☆(金-須田-達也-たろう)
たろうが先ほどのトップで、今日のマイナスを一気に返して、なおかつトータルでもトップに返り咲き。
逆に達也はプラスを失ってしまった。
金はここでラスを引くと、最終日はかなり厳しい戦いになってしまう。
誰もが先手を取りたいところ。
東3局、親の達也が早い。7巡目にまずテンパイ。
ドラ
これをダマテンに構える。そして次巡、を引き待ち変えしてのリーチ。
だが、この局を制したのは金。15巡目ながら山に5枚残りので追いつく。
リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ
一発で高めのドラをツモって裏も乗せる。
丁寧に対応して豪快にツモる。若獅子ここにあり!3000・6000和了。
東4局2本場、供託が3本。ここは誰しもがアガりたい。先手を意識した局になるだろう。
5巡目にたろうがバックの仕掛け。
ポン ドラ
しかし、須田が8巡目リーチ。
ドラ
これにたろうが飛び込んで、須田が供託を回収。
さあ、決定戦3日目最後の南風戦がはじまる。
ここまでの点棒状況は起親から、
金31700、須田25900、達也14300、たろう28100
誰もにチャンスがある中、達也と須田がしきりにホワイトボードに目を移し、14回戦までのポイントを確認している。
ポイントを意識した中で、どういった手作りを見せてくれるのだろうか。
南1局1本場、8巡目に金が親番先制リーチ。
ドラ
変則的な切り出しの須田と達也に対する牽制リーチ。
ただ、待ちのはこの時点で場に4枚。
さらに、はたろうに2枚、達也に1枚とこの時点で山には1枚しか残っていないとは、金もまさか思っていなかっただろう。
須田の一発消しによって達也が有効牌を引き入れ、14巡目にフリテンながら追いつく。
ドラ
ファンタジスタの嗅覚が勝負のリーチと打って出るのだが、その後ラス牌のをつかんでしまう。
裏ドラがとなり12000は12300。金がここにきて抜け出した。達也とっては、痛すぎる失点となった。
南2局3本場、今度は須田が親番先制リーチ。
ドラ
ツモれば6000オールと一気に金に並ぶ。ツモる手にも幾分力が入っているようだった。
だが北家の金が仕掛けてさばきにかかる。
ドラ
から、まずをチー。続いてをチーして、単騎。次巡を引いて、を勝負。
すぐに須田がを掴んで金の勝利。
チー チー ロン ドラ
南3局、達也の最後の親番。配牌で三色が見える。
点棒がないだけにできればメンゼンで仕上げたいところ。
ドラ
3巡目には、
ドラ
一手変わりで純チャンになる手牌だが、一発裏ドラがある協会ルールにおいて即リーチといく人間が90パーセント以上いるだろう。
だが、ファンタジスタはダマテンなのだ。
が場に3枚出て、かつたろうがを仕掛けられてから、ツモ切りリーチ。
終盤安牌に窮した須田から、7700の出アガりになるのだが。
もしリーチ前にをツモったらどうしたのか?達也に聞きそびれたことが、私の大失策だった。
達也なら切りフリテンリーチなのだろうか。
南4局1本場 ドラ
たろう35300、金47900。たろうにはトップを取らせたくない三者。
最終日に少しでも希望を残すべく、自然と三者共闘していく。
まず親を流すべく達也がを仕掛ける。
さらには、たろうがを仕掛け返した時から、上家の達也はたろうに対して絞りはじめる。
須田がたろうのハイテイを消すカンを入れ、きっちり流局。
須田、達也ともに、こういった細かいところにそつが無い。
金+70.9 たろう+14.3 須田▲26.2 達也▲59.0
15回戦終了時トータル
たろう+95.7
須田 +51.6
金 ▲28.2
達也 ▲123.1
結果的には、3日目スタート時と同じ並びで終えることになった。
ポイント的には、たろうと達也の差は少し開いたが、須田がたろうに急接近。
道中、たろうの浮き沈みが目立った。
まさに3日目は、大型台風:鈴木 たろうが猛威を奮ったという印象だ。
特に打点を意識して繰り出されるアガりへの嗅覚は凄い。
須田 良規は、細かいところにソツがなく、競技選手として見習いたいところが多々ある。
金 太賢も、先手を取れる機会が少なかったが、経験不足を補っても余りある膂力をみせた。
鈴木 達也も、後手を踏まされたり、牌の巡りに恵まれなかったが、ファンタジスタと呼ばれる手作り・ゲーム回しをみせてくれた。
まさに雀王決定戦という4人。
残すは最終日の5半荘のみ。最後の最後まで目が離せない。そんなドラマチックなゲームが、繰り広げられるだろう。
いつの日かこの場所で、最高のメンツと勝負をしたい。この4人を羨ましく思いながら、会場を後にした。
(文:小川 裕之)
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