トップページ
日本プロ麻雀協会について
日本プロ麻雀協会 競技規定
タイトル戦/公式戦情報
チャンピオンロード
関西協会プロアマシリーズ
過去の観戦記
協会スケジュール
対局会場 案内
協会員名簿

や・ら・わ
日本プロ麻雀協会 プロテスト
協会チャンネル
ゲスト/メディア情報
協会員ブログ
日本プロ麻雀協会 麻雀教室
お問い合わせ
ゲスト/麻雀教室 の依頼
日本プロ麻雀協会公式HP プライバシーポリシーお問い合わせよくあるご質問リンクサイトマップ

第7期 雀王決定戦観戦記1


【第7期雀王決定戦ポイント結果】

順位
名前
TOTAL
1日目
2日目
3日目
最終日
1
小倉 孝
188.5
209.2
45.5
50.6
-116.8
2
鈴木 達也
155.3
-39.5
116.9
-99.6
177.5
3
鈴木 たろう
62.4
8.0
-46.7
118.4
-17.3
4
赤坂 げんき
-409.2
-177.7
-115.7
-71.4
-44.4

【最終日観戦記】

 |1日目観戦記2日目観戦記3日目観戦記|最終日観戦記


いよいよこの日、第7期雀王が決定する。
このまま小倉がAリーグ1年目にして雀王の載冠の快挙を成し遂げるのか。
トータル2位に登りつめたたろうが、第15期最強戦で見せた四暗刻ツモのような大逆転劇を見せるのか。
はたまた、昨期オーラスでの厳しいハネツモ条件をクリアした達也の追い上げはあるのか。
赤坂は実質目無しだったが、前日のオーラスに小倉から親のハネマンを直撃したことで俄然勝負は面白くなってきた。

対局開始となる11時の1時間ほど前に神楽坂に到着すると、B2リーグに所属する田幸浩と遭遇した。
リーグが異なると、人によっては会う機会も少なくなる。

阿賀「田幸久しぶり。今も長野に住んでいるんだっけ?」

田幸「はい、新幹線に乗って観戦に来ました」

この田幸は、長野県内でホテルマンとして働きながら、週末の対局の度に上京してくる。
団体のトップを決める大会といっても、わざわざ新幹線に乗ってまで観戦に来るとは恐れ入る。
いつかはこの場所で――。
雀王戦リーグに参加している一員として、彼も数年後の自分をこの場所に思い描いているのだろう。

決勝戦の最終日と言えば観戦者も増える。その中には第5期雀王に輝いた須田良規や、發王位石野豊の顔も朝一からあった。
いやがうえにも、決勝ムードが高まってくる。

会場入りして、ポイントの書かれたボードを眺める赤坂に声をかけた。

赤坂「670差かー」

阿賀「1半荘あたり140ポイントとして、60000点差のトップ・ラスを5回やれば優勝だよ」

赤坂「阿賀さん、(離れすぎているから)俺の条件とか書かないで下さいね。まー、やれることはやってみるけど」

全ての半荘で役満を直撃するような条件。普通に考えたら、どう転んでも無理だ。

しかし、サンドバックのように叩かれていた2日目までとは違い、やっと場に参加できるようになったと表情も生き生きしていた。

3日目までの成績

小倉 孝   +305.3
鈴木 たろう +79.7
鈴木 達也  △22.2
赤坂 げんき △364.8


16回戦 赤坂−達也−たろう−小倉


それでは各家の配牌を見てみよう。

東家赤坂  二萬四萬五萬三筒五筒六筒八筒二索三索七索南北北 ドラ二萬
南家達也  一萬二萬七萬一筒一筒三筒七筒八筒九筒五索九索九索九索
西家たろう 二萬七萬八萬九萬五筒九筒四索七索八索東西白發
北家小倉  三萬五萬二筒九筒二索三索四索七索七索南西發發

まず、目に付くのが南家達也。すでに2メンツが完成し、ハッキリとドラ入りの純チャンが見える。
スピードで言うと、北家小倉に翻牌がトイツで入っているので、追いつく可能性がある。
メンツこそないが、東家赤坂も両面ターツが3つに雀頭があるので、勝負に行ける配牌だろう。
この中ではたろうの配牌が一番厳しそうだ。

まずは南家達也がいきなり七筒八筒と引き、2巡目にしてハネマンが見えるイーシャンテンになる。

南家達也2巡目
一萬二萬一筒一筒三筒七筒七筒八筒八筒九筒九索九索九索 ドラ二萬

一方、最初のツモで二索を引いた北家小倉。2巡目に西家たろうから發が放たれるが、微動だにせず。
今までの戦いでは、仕掛けてホンイツに寄せて行くことの多かった小倉が、1枚目をスルーしたことは意外に感じた。
優勝がかかった最終日、慎重に進めるつもりなのか?

西家たろうはいつも通り手役を見て進める。6巡目にドラ二萬に絶好の三萬がくっついたところ。

西家たろう6巡目
二萬七萬八萬九萬一筒一筒九筒九筒三索四索七索八索西 ツモ三萬 ドラ二萬

ここから打四索と出る。手なりで打西とし、ピンフを見つつその後のツモで純チャンに渡る手もあるのだが、
この手で決めてやろうというたろうの意志を感じる一打だ。


南家達也がイーシャンテンで止まっている間に、門前で進めていた北家小倉にテンパイが入る。
10巡目に場を見渡して打七索でリーチ。
慎重に進めるなんてとんでもない。リーチで押さえつけるのが小倉の麻雀だ。

北家小倉10巡目リーチ
三萬四萬五萬一索二索三索三索四索五索七索九索發發 ドラ二萬

シャンポンとカンチャンの選択。関連牌で場に見えているのは、發八索が1枚ずつ。リーチの是非は別にして、

發が翻牌なだけにシャンポンに受ける人が多数だろう。

このリーチに対し、イーシャンテンの南家達也が手出しで發。シャンポンに受けていれば一発のアガリだったのだ。
結果、アガリ逃しという形になったがこれがどう出るか?

親で行くしかない東家赤坂も頑張る。11巡目に高めとなる四索を引き入れ、12巡目には五筒を引き、ドラの二萬を勝負する。

東家赤坂12巡目
二萬四萬五萬六萬八萬八萬五筒六筒二索三索四索六索七索 ツモ五筒 ドラ二萬

そして赤坂、14巡目に西家たろうがツモ切った五筒をポンしてテンパイを入れると、赤坂に入るはずだった八索がたろうに流れる。
結果、東家赤坂は鳴かずともテンパイを入れることが出来たのだが、この鳴きで北家小倉のツモ牌八索も流れて二人テンパイで流局。

小倉はアガリ逃しをする形になった局だったが、読み通り八索は山に3枚眠っていた。

同1本場、南家達也の配牌。

南家達也1巡目
一萬五萬七萬二筒二筒七筒九筒一索南北白發中 ドラ二筒

ドラがトイツで入っているのだが、形だけ見れば最悪の部類だ。翻牌でも重ねない限り、アガリは遠い。

6巡目でピンフのイーシャンテンになったのは北家小倉。

次巡、タンヤオへの変化を見て残した八筒が暗刻になり打九筒とする。

北家小倉7巡目
三萬三萬五萬六萬三筒四筒七筒八筒八筒九筒四索五索六索 ツモ八筒 ドラ二筒

そして南家達也、7巡目に白を重ねると、9巡目に北家小倉から出た七筒をポン。それでもまだリャンシャンテン。

南家達也9巡目
五萬七萬二筒二筒六索六索南白白中 ポン七筒七筒七筒 ドラ二筒

すると、次巡小倉に入るはずだった二筒を食い取り暗刻にする。

さらに、小倉がツモ三索、打六索で345の三色に寄せると、この六索もポンして打五萬

南家達也11巡目
七萬二筒二筒二筒白白中 ポン六索六索六索 ポン七筒七筒七筒 ドラ二筒

13巡目、2連続で九萬を引き、残り1枚ずつだがトイトイテンパイ。

南家達也13巡目
九萬九萬二筒二筒二筒白白 ポン六索六索六索 ポン七筒七筒七筒 ドラ二筒

同巡、北家小倉も四萬を仕掛けテンパイ。タンヤオで動けるようにしたのが生きた形だ。

北家小倉13巡目
三萬三萬三筒四筒八筒八筒八筒三索四索五索 チー四萬五萬六萬 ドラ二筒

14巡目にチートイツのテンパイを果たした東家赤坂。次巡、待ち頃の二索を引くと、残りわずかだがリーチと出る。

東家赤坂15巡目
二萬二萬七萬七萬八萬八萬四筒四筒二索七索七索中中 ドラ二筒

ソウズの出具合を見れば明らかに良い待ちで、実際山に眠っていたのは3枚全て。残り枚数を考えればかなり確率が良い。

しかし、アガリ牌の二索が流れた場所は、オリ気味に進めていた西家たろうのところで、当然のように止まってしまう。

16巡目に値千金の300/500は400/600をツモったのが、北家小倉。

北家小倉16巡目
三萬三萬三筒四筒八筒八筒八筒三索四索五索 チー四萬五萬六萬 ツモ五筒 ドラ二筒

苦心のテンパイを果たした達也、赤坂の手を蹴り飛ばす。


東2局、ここまで手になりそうでならなかった南家たろう。配牌は以下の通り。

南家たろう1巡目
一萬二萬三萬五萬七萬七萬八萬九萬三筒四筒九筒北中 ドラ四索

2巡目から六萬八萬中と引き4巡目でテンパイ。

南家たろう4巡目
一萬二萬三萬五萬六萬七萬七萬八萬八萬九萬三筒四筒中 ツモ中 ドラ四索

しかし、マンズの一色手が見える手で、この巡目。ノミ手のテンパイを取ることに何も価値はない。当然のようにピンズを払っていく。

東1局同様、發を1鳴きしなかったのが西家小倉。仕掛ける手もあるが、4巡目に以下の牌姿では少し厳しいか。

西家小倉4巡目
一萬一萬二萬四萬二筒五筒六筒二索四索七索東發發 ドラ四索

しかし、五筒六索四索と引いてトイツが4つとなり、7巡目に今度は初牌の一萬から仕掛ける。

西家小倉7巡目
五筒五筒六筒四索四索六索七索東發發 ポン一萬一萬一萬 ドラ四索

一方、南家たろう、道中引いたドラの四索を取っておき、9巡目にくっついた五索で渋々リーチ。

南家たろう9巡目
一萬二萬三萬五萬六萬七萬七萬八萬九萬四索五索中中 ドラ四索

同巡、五筒を暗刻にし、中スジの六筒を切った小倉。さらに發をポンして10巡目にテンパイ。

たろうの現物の八索ならこぼれてくる可能性もある。

西家小倉10巡目
五筒五筒五筒四索四索六索七索 ポン發發發 ポン一萬一萬一萬 ドラ四索

11巡目、東家達也に八索が流れるが、全員の現物の東を打って回避。その後オリに回る。

東家達也11巡目
二萬三萬四萬六萬二索三索三索五索五索七索八索九索東 ツモ八索 ドラ四索

14巡目、たろうがツモ切った四索を小倉は鳴けたのだが、ここは動かず。

たろうに手出しでの三筒四筒落としがあったが、五筒は切れなかったか。

終盤、小倉が六索を引くもスジの七索を切りフリコミ回避。二人テンパイで流局。


東3局1本場、先行リーチは南家小倉。六索を切っていわゆるモロヒのリーチ。

南家小倉9巡目リーチ
六萬七萬八萬二筒二筒三筒四筒五筒七筒八筒九筒二索四索 ドラ六筒

それにしても小倉はよくリーチをかける。ノミ手の愚形。ドラを引いたらとか追っかけが入ったらとかそういったことは眼中にないのだろう。

このリーチに東家たろうが二萬を引いて、小倉のリーチを咎めるべく追っかけリーチ。

東家たろう10巡目
二萬四萬二筒三筒四筒二索三索四索五索六索七索北北 ドラ六筒

こちらのリーチは愚形は愚形でも役が絡んで打点もある。また、西家赤坂の1打目が四萬、南家小倉の3打目が二萬

北家達也も6巡目から7巡目にかけて五萬をトイツ落としをしていることから三萬がいい待ちに見える。
実際のところ、たろうの待ちは山に4枚、小倉の待ちは山に2枚で、たろうに分がある。

ドラを暗刻にした北家達也が11巡目に仕掛けると、当たり牌の三索が東家たろうに流れて裏なしの1300は1600を小倉に放銃。

南家小倉12巡目
六萬七萬八萬二筒二筒三筒四筒五筒七筒八筒九筒二索四索 リーチロン三索 ドラ六筒 裏八索

これで小倉は34000点持ちとなる。やはり小倉の優勝で決まりなのか?


達也、たろう二人テンパイで流局後の南1局1本場、東家赤坂の配牌。

東家赤坂1巡目
一萬五萬六萬七萬四筒五筒七筒八筒九筒四索六索七索九索白 ドラ九筒

すでに4メンツが見えており、ここは確実にアガっておきたいところ。
1打目に一萬を切ると、3巡目のツモは一萬

4巡目のツモが六筒一萬のカブリがなければここでリーチだったところ。

四索とする。すると次巡のツモは四索
いつもは冷静な赤坂だが打牌が強くなる。

傍から見ても痛そうなのがわかる。すると、九筒六筒と引き入れ7巡目に打点が上がってリーチ。

東家赤坂7巡目リーチ
五萬六萬七萬四筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒九筒六索七索 ドラ九筒

一人旅で悠々と五索をツモり、4000は4100オールで小倉を捲ってトップ目に立つ。

東家赤坂11巡目
五萬六萬七萬四筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒九筒六索七索 ツモ五索 ドラ九筒 裏三萬


同2本場、東家赤坂の快進撃は続く。
北家小倉が点差を縮めようと9巡目に先行リーチを打つ。

北家小倉9巡目リーチ
四萬五萬六萬二筒三筒五筒六筒七筒九筒九筒二索三索四索 ドラ中

これを待ち構えていたのが東家赤坂。
9巡目テンパイを果たしていたが、小倉のリーチに合わせて、ツモ切りで渾身の追っかけリーチと出る。

東家赤坂10巡目リーチ
三萬四萬五萬四筒四筒五筒五筒六筒八筒八筒三索四索五索 ドラ中

高めの三筒は南家達也と西家たろうが1枚ずつ切っており、小倉の手牌と合わせると残りは1枚。

たった1枚の三筒を、神の悪戯か一発で小倉が掴む。裏が乗らずとも18600点。

東家赤坂10巡目
三萬四萬五萬四筒四筒五筒五筒六筒八筒八筒三索四索五索 リーチロン三筒 ドラ中 裏一索

後で赤坂から聞いたのだが、闇に構えていたのは、小倉以外からは見逃そうとしたとのこと。
1半荘で140ポイントも詰めなければいけないのだから、それぐらいしなければ難しいか。
これで小倉は8800点持ちとなり、達也、たろうとは10000点ほど離れたラス目となる。

同3本場、今度は南家達也の出番。
配牌でドラ3の手が3面張でテンパイしたのは早5巡目である。
ダントツトップ目の赤坂との差も詰めたいところだが、これをグッと我慢で小倉から闇で討ち取り、8000は8900のアガリ。

南家達也10巡目
三萬四萬五萬六萬七萬一筒一筒一筒二筒三筒二索三索四索 ドラ一筒

小倉、包囲網の現状を悟ったかのようにうなずき、点棒を借りる。


東家達也2000点のアガリで連荘後の南2局1本場。西家小倉、東場とは違い、2巡目に中を仕掛ける。

西家小倉2巡目
一萬五萬七萬八萬九萬一筒三筒五索東發 ポン中中中 ドラ八萬

東場で發を鳴かなかった手牌よりもはるかに悪いが、ここはマンズに寄せて打点を作っていく。

12巡目にリーチは南家たろう。

南家たろう12巡目リーチ
五萬六萬七萬二筒二筒三筒四筒五筒一索二索二索三索三索 ドラ八萬

このリーチに14巡目、ホンイツテンパイとなり飛び込んでしまったのがやはり小倉。

西家小倉14巡目
一萬一萬七萬八萬九萬九萬一索 ツモ八萬 チー三萬四萬五萬 ポン中中中 ドラ八萬

これが高めで裏が乗りマンガンとなってしまう。

南家たろう14巡目
五萬六萬七萬二筒二筒三筒四筒五筒一索二索二索三索三索 リーチロン一索 ドラ八萬 裏三筒


南3局、この半荘何をやってもうまく行く西家赤坂。9巡目にリーチで一発ツモ。2000/4000で加点する。

西家赤坂10巡目
二萬二萬四萬四萬四萬七萬八萬九萬一筒二筒三筒西西 リーチツモ(一発)西 ドラ白 裏五萬


オーラスを迎えての点棒状況。

東家小倉  △10400点
南家赤坂   60800点
西家達也   27900点
北家たろう  20700点


南4局、小倉の親とはいえ、簡単に流される局面である。
まずは、南家赤坂がさらに素点を上乗せさせようとリーチ。

南家赤坂10巡目リーチ
六萬七萬八萬九萬九萬九萬四索四索七索八索八索九索九索 ドラ九索

13巡目東家小倉も東をポンしてテンパイを入れ、打一萬でカン二萬待ちとする。

東家小倉13巡目
一萬一萬三萬六萬七萬八萬三筒四筒五筒六筒六筒 ポン東東東 ドラ九索

しかし、この一萬が鳴いてテンパイを入れていた西家達也に当たって終了。

西家達也13巡目
二萬三萬四萬四萬四索五索五索六索六索七索七索 ロン一萬 ポン發發發 ドラ九索


16回戦終了時ポイント

小倉  +233.9
たろう  +60.4
達也   △12.3
赤坂  △284.0

赤坂、この半荘で150ほどポイントを詰め、一度とて無理だと思われたノルマはひとまず達成。
たろう、達也は現実的に逆転可能なポイントになった。

17回戦 小倉−たろう−達也−赤坂

東1局、起家を引いた小倉。配牌でドラがトイツで入る。何としてもここで決めておきたいところ。

東家小倉1巡目
二萬五萬八萬三筒四筒五筒八筒九筒九筒六索七索八索九索西 ドラ九筒

そして五萬のトイツ落としで11巡目に愚形の小倉リーチ。略してオグリー。

東家小倉11巡目リーチ
一筒三筒四筒五筒六筒九筒九筒四索五索六索七索八索九索 ドラ九筒

このリーチは西家達也がダマで小倉から当たり1300点で流す。

西家達也13巡目
五萬六萬六萬六萬七萬二筒三筒四筒五筒六筒七筒六索八索 ロン七索 ドラ九筒


続く東2局、今度は親のたろうにドラトイツが入る。5巡目にドラを暗刻にして、6巡目にはイーシャンテン。

東家たろう6巡目
三萬四萬一筒一筒一筒四筒一索二索三索五索六索七索九索 ドラ一筒

たろうがイーシャンテンで止まっている間、先制リーチは先ほど小倉のリーチをかわした南家達也。

南家達也12巡目リーチ
二萬二萬三筒四筒五筒六筒七筒八筒三索四索五索七索八索 ドラ一筒

達也の河には、1打目に八索が捨てられているものの、四索ツモ切り後の七索切りリーチ。さすがに六索九索待ちが濃い。

5巡目に下の牌姿から發を仕掛けていたのが北家小倉。
ピンフに三色が見え、もったいような気もするが親がトータル2着目のたろうということもあり、かわしに行ったのか。

北家小倉5巡目
五萬六萬七萬八萬九萬四筒五筒七筒七筒五索六索發發 ドラ一筒

リーチを受けて北家小倉。手が進んでいなかったのだが、初牌の北を引き、中スジを頼りに打五索とした。

北家小倉12巡目
五萬六萬七萬四筒五筒七筒七筒五索五索六索 ポン發發發 ツモ北 ドラ一筒

南家達也への振り込みは回避したが、この五索が同巡にテンパイを入れていた西家赤坂に当たり1300点の放銃。

西家赤坂12巡目
二萬三萬四萬三筒四筒五筒六筒七筒八筒二索二索四索六索 ドラ一筒

場が静かに進む。

東3局、安手ながら連続放銃となった西家小倉。9巡目に初牌の東単騎チートイツでリーチをかけると、
ほどなくイーシャンテンの東家達也から討ち取り、3200点のアガリで点棒を戻す。

西家小倉11巡目
四萬四萬五萬五萬六筒六筒東南南西西白白 リーチロン東 ドラ二筒 裏二萬


東4局、赤坂の親で場が動く。
東家赤坂に配牌で東がトイツで入り、4巡目にポン。7巡目にテンパイを果たす。

東家赤坂7巡目
三萬三萬三萬三筒三筒二索四索 チー三萬四萬五萬 ポン東東東 ドラ二索

すると、6巡目にはドラ入りのイーシャンテンになった南家小倉が、8巡目に三索をツモ切って5800点の放銃。

南家小倉8巡目
二萬四萬七萬七萬七萬六筒七筒一索二索三索七索八索九索 ツモ三索 ドラ二索


同1本場も東家赤坂に手が入る。

東家赤坂1巡目
一萬二萬三萬七萬七萬八萬八萬九萬八筒東南白白中 ドラ二筒

明らかにマンズの一色手につき1打目は打八筒。しかし、5巡目にドラそばの三筒を引き、2枚切れの中を離す。すると次巡のツモは四筒
ドラとイーペーコーがつけば打点は十分だが、うれしいのか微妙なツモだ。

東家赤坂6巡目
一萬二萬三萬七萬七萬八萬八萬九萬三筒四筒東白白 ドラ二筒

門前手が見えてしまったばかりに、7巡目に南家小倉から出た白はスルー。

結果的には、白を叩けば次巡のツモは東で最速テンパイを逃してしまう。

8巡目に五萬を引くとこれをツモ切り。すると次巡のツモは四萬。11巡目に六萬を引き、リーチをするも、2巡後にツモッたのは五筒

東家赤坂13巡目
一萬二萬三萬六萬七萬七萬八萬八萬九萬三筒四筒白白 ツモ五筒 ドラ二筒 裏五萬

安め・安めときて裏は乗らずの1000は1100オール。
3者がマンズを使えないこの状況、山に待ちが4枚残りの下記の牌姿の結末を見てみたかったが・・・。

一萬二萬三萬四萬五萬六萬七萬七萬八萬八萬九萬白白 ドラ二筒


同2本場も東家赤坂が西家たろうから2000は2600をアガリ、3本場。今度は北家達也の配牌。

北家達也1巡目
四萬八萬九萬三筒九筒二索三索五索六索九索九索東東 ドラ四萬

これが9巡目には大物手に育った。

北家達也9巡目
一索二索三索三索五索六索七索九索九索九索東東東 ドラ四萬

仮テンだがこれに三索で飛び込んだのが、配牌からドラがトイツでチートイツイーシャンテンの東家赤坂。8000は8900の放銃。

北家達也のテンパイ打牌はドラの四萬であるが、字牌すらまだ余っていないこの状況では仕方がないか。
それにしても、ソウズのほとんどで手替わりするだけに、仮テンに飛び込んでしまったのはツキがない。
コツコツと貯めた点棒を戻してしまう。


南入時点棒状況

東家小倉  17700点
南家たろう 21300点
西家達也  30900点
北家赤坂  30100点


南1局、親が現在ラス目の小倉につき、西家達也がさらりと流し500/1000。

西家達也13巡目
六萬七萬八萬二筒三筒三索三索 チー七筒五筒六筒 ポン中中中 ツモ四筒 ドラ二筒


南2局、東家たろう配牌。

東家たろう1巡目
二萬九萬一筒二筒六筒七筒七筒八筒九筒二索三索八索南中 ドラ六索

ピンズの山を引き当て、10巡目にテンパイし7700点のダマテン。

東家たろう10巡目
二筒二筒二筒四筒五筒五筒六筒七筒七筒八筒九筒中中 ドラ六索

4巡目に南、5巡目に一筒と切ってあり、ピンズで染まっている気配はまったくない。

一方、2着目の西家赤坂、捨て牌にはピンズを並べており、11巡目に北家小倉から五萬をポンし、ドラの六索切りとする。

西家赤坂11巡目
七萬八萬八萬八萬一索一索九索九索西西 ポン五萬五萬五萬 ドラ六索

さらにこのドラ六索を北家小倉が仕掛けテンパイ。

北家小倉11巡目
三萬三萬三萬六萬六萬四筒六筒二索三索四索 チー六索四索五索 ドラ六索

急に場が煮詰まり、三筒が南家達也に流れる。

南家達也12巡目
二萬三萬四萬六萬七萬一筒一筒一索二索三索六索八索西 ツモ三筒 ドラ六索

西家赤坂の河には、2巡前に四萬が捨てられており、トイトイの可能性が高い。
また、タンヤオ仕掛けの北家小倉の河にはマンズが目立ち、テンパイならピンズ待ちが濃厚だ。
初牌の西三筒も打てないとみるや、一筒を落としてオリに回る。

その後、九索をポンした西家赤坂が16巡目に安めとなる一索を北家小倉からアガリ2600点。

西家赤坂16巡目
八萬八萬八萬一索一索西西 ポン九索九索九索 ポン五萬五萬五萬 ロン一索 ドラ六索

ここは西を絞り切り、ロン牌も止めた南家達也のファインプレーだろう。

これがMJならば、評価ポイントが三筒西についているはずだ。


南3局、8巡目にラス目の西家小倉のリーチが入り、全員ベタオリで一人テンパイ。

西家小倉8巡目リーチ
三萬三萬五萬五萬二筒三筒四筒四索五索六索白白白 ドラ二萬


オーラスを迎えての点棒状況。

東家赤坂  31200点
南家小倉  16100点
西家たろう 19800点
北家達也  31900点
供託     1000点

親が流れての南4局1本場。
東家赤坂は素点を稼ぐべくひたすらアガるのみ。
南家小倉はまず3着狙い。また北家達也にトップを取られるぐらいなら、東家赤坂に頑張ってもらったほうがいいだろう。
西家たろうは、リーチ棒がさらに1本出ればマンツモトップだが、小倉が下にいるだけに最悪3着確定のアガリもありうる。
北家達也はアガリトップ。トップを取ることが絶対条件だが、小倉をラスのままにしておくことが理想だ。

南家小倉が早い。七萬二索と引いた2巡目には六索を切り以下の形。

南家小倉2巡目
一萬二萬三萬七萬八萬二筒三筒二索三索七索八索九索西 ドラ發

西が重なれば、チャンタ三色が見える。しかし、5巡目に2枚切れのドラ發を引くと打西で次巡西がかぶってしまう。

西家たろうは8巡目にターツ選択を強いられる。

西家たろう8巡目
六萬四筒五筒七筒八筒三索四索五索五索六索七索八索九索 ツモ七萬 ドラ發

ここでたろうは打四筒。これならば、三色がついてのハネマンツモが見える。

次巡、八萬を引き、打五筒。逆転トップが見えるイーシャンテン。
しかし、11巡目に引いたのは、期待を裏切る九筒。手替わりを待ち九索切りのダマテンに構える。

西家たろう11巡目
六萬七萬八萬七筒八筒九筒三索四索五索五索六索七索八索 ドラ發

雀頭が出来ないまま進んだ南家小倉。西家たろうがテンパイする直前にテンパイを入れるが、ここでは仮テンの打三索

南家小倉11巡目
一萬二萬三萬六萬七萬八萬二筒三筒二索三索七索八索九索 ツモ四筒 ドラ發

次巡、四萬を引いたところで二索を切ると、これが間に合わず、たろうに1000は1300点の放銃で終了。

トップから、達也−赤坂−たろう−小倉の並びとなり、前日から小倉まさかの3連続ラス。
たろう、達也の2人が並走して追う形になり、小倉150ポイントリードも残り3回戦ではわからない。

17回戦終了時ポイント

小倉  +188.7
たろう  +42.5
達也   +39.6
赤坂  △272.8

18回戦 達也−赤坂−小倉−たろう

東1局、北家たろうの配牌にトイトイが見える。翻牌がトイツで入り、暗刻が1つ出来ているのならば、
狙いはチートイツではなくトイトイが本線だろう。

北家たろう1巡目
一萬一萬二萬二萬四萬三筒四索七索七索七索東發發 ドラ一索

3巡目までに二萬發と仕掛けイーシャンテンに。しかし、思惑とは裏腹に11巡目でのテンパイは1000点の手。

北家たろう11巡目
一萬一萬五筒六筒七索七索七索 ポン發發發 ポン二萬二萬二萬 ドラ一索

しかし次巡、場に放たれた一萬当然のポンで単騎待ちに受ける。そして場に1枚切れで待ち頃の九筒に受け変え、
南家赤坂がそれをツモ切って5200点。小倉追撃への臨戦態勢を整える。

北家たろう14巡目
九筒七索七索七索 ポン一萬一萬一萬 ポン發發發 ポン二萬二萬二萬 ロン九筒 ドラ一索


赤坂、小倉の二人テンパイで流局し、東2局1本場。アガリが出たのは北家達也。
ピンフ・イーペーコーを曲げて、1400/2700のツモアガリ。

北家達也11巡目
二萬二萬三萬三萬四萬四萬九萬九萬五筒六筒七筒五索六索 リーチツモ四索 ドラ南 裏三索

この日、達也は2着・トップときて出来が良い。小倉を捕らえるのはやはりこの男か?


東3局、親の小倉に8巡目のリーチが入る。

東家小倉8巡目リーチ
一萬二萬三萬四萬五萬七萬八萬九萬五筒五筒一索二索三索 ドラ北

高めで決まれば優勝もグッと近づく。小倉がツモってきたのは三萬。裏も乗らずで1300オールの収入。
今日の小倉の出来はこんなところか?

しかし、予想とは裏腹に1本場でもオグリーが冴え渡る。12巡目にカン七筒で曲げると残り1枚をツモって2100オール。

東家小倉14巡目
二萬三萬四萬五萬六萬七萬九萬九萬六筒八筒四索五索六索 ドラ七萬 裏南

この手7巡目に戻って、一通と三色狙いの打四萬ではなく、打六筒のシャンテン戻しの九萬雀頭固定のくっつきとしたところが印象的だ。
小倉は役なしのダマテンに取ることがホントに嫌いなのだろう。

東家小倉7巡目
一萬二萬三萬四萬四萬五萬六萬九萬九萬六筒六筒四索五索 ツモ六索 ドラ七萬


2本場は、7巡目にカン3を引き入れた南家たろうが会心のリーチと出る。

南家たろう7巡目
二萬二萬四筒五筒六筒七筒八筒二索三索四索五索六索七索 ドラ六筒

高めでツモれば、ハネマンの手。小倉の前局にアガった2100オールを帳消しに出来る。

しかし、六筒は北家赤坂に暗刻で入っており、この3面張も、残るは三筒九筒が1枚ずつのみ。

ドラが暗刻の赤坂も8巡目にテンパイし、ダマ。

北家赤坂8巡目
二筒三筒三筒四筒四筒五筒六筒六筒六筒八筒八筒七索七索 ドラ六筒

このテンパイも残るは八筒が1枚のみ。

リーチを受けての西家達也の手。9巡目に五索を引かされ、通ったばかりの白のトイツ落としでオリに回る。

西家達也9巡目
四筒五筒一索二索三索五索六索八索八索東白白中 ツモ五索 ドラ六筒

白を落としてトイツが2つのこの手、11巡目から何と二索中東一索と引き、無スジの五筒を通してテンパイとなる。

西家達也14巡目
四筒一索一索二索二索五索五索八索八索東東中中 ドラ六筒

チートイツのみのテンパイを果たしたが、六索三索と落としており、字牌もほとんど枯れていては、ホンイツチートイにはなりにくい。

ところが、達也の次のツモは四索。さらに無スジの四筒を勝負し大物手と化ける。

これを掴んだのが、悠々と3面張でリーチをかけていたたろう。8600点の痛い出費となった。

西家達也16巡目
一索一索二索二索四索五索五索八索八索東東中中 ドラ六筒


東4局、たろうの親は小倉が簡単に300/500で流す。

北家小倉6巡目
二萬三萬四萬五筒六筒七筒七索七索七索八索 ポン中中中 ツモ九索 ドラ八萬


南入時点棒状況

東家達也  34900点
南家赤坂  14900点
西家小倉  36400点
北家たろう 16400点


南1局、親は達也。小倉まであと少しと迫った。親番で逆転したいところである。
8巡目に配牌から入っていた東を仕掛けてドラ切り。次巡四萬を引き入れテンパイ一番乗りとなる。

東家達也9巡目
四萬五萬六萬三筒四筒六筒七筒八筒四索四索 ポン東東東 ドラ九索

ドラを離しているので明らかに安そうな仕掛け。
当面のライバルが親であるため、西家小倉も13巡目に七筒をリャンメンで仕掛け、達也から討ち取る。

西家小倉16巡目
二萬三萬四萬六萬七萬三索四索五索七索七索 チー七筒五筒六筒 ロン五萬 ドラ九索

4巡目にタンピンのイーシャンテンが、鳴いて1000点のアガリとなったが、達也の親を落とすことが出来たのは大きい。


達也を除く3人がテンパイで連荘となった、南2局1本場。親は赤坂。
3巡目の南家小倉のポンに呼応されるかのように空中戦となる。

南家小倉3巡目
五萬五萬六筒七筒三索四索四索八索八索八索 ポン六萬六萬六萬 ドラ二索

これに東家赤坂も5巡目までに四萬三筒と続けて仕掛ける。

東家赤坂5巡目
八萬八萬八筒三索六索八索發 チー三筒四筒五筒 チー四萬三萬五萬 ドラ二索

苦しい仕掛けだが、連荘するためには仕方がない。次巡、四索を引いてイーシャンテンになったところで八筒を離し、
これを鳴いた小倉がテンパイ。

南家小倉6巡目
五萬五萬三索四索八索八索八索 チー八筒六筒七筒 ポン六萬六萬六萬

配牌でドラが暗刻で入っていたのが西家たろう。これまた7巡目に遅れを取るまいと仕掛ける。

西家たろう7巡目
二萬二萬二筒四筒六筒七筒二索二索二索七索 チー五萬三萬四萬 ドラ二索

8巡目に六筒を引くと打七索。しかし、11巡目に掴んだのは五索。赤坂、小倉ともにマンズ・ピンズと仕掛け、ソウズ待ちが大本線。
しかも暗刻スジである。
放銃を覚悟の上ツモ切ると、当然のように「ロン」の声。

ここは南家小倉のアガリではなく、七索を入れてテンパイを入れていた東家赤坂の頭ハネ。三色がついて2900は3200のアガリ。

東家赤坂11巡目
八萬八萬三索四索六索七索八索 チー三筒四筒五筒 チー五萬三萬四萬 ロン五索

二人の大本線だったが、これを切るのがたろうなのである。


同3本場、7巡目に南家小倉が場を見渡し、八萬切りでリーチ。

南家小倉7巡目リーチ
八萬九萬三筒四筒五筒一索二索三索四索四索四索九索九索 ドラ三萬

シャンポンかペンチャンの選択――。
場には、直前に東家赤坂が八萬九萬とペンチャンのターツ落としをしており、八萬が1枚見えているだけ。七萬九索は1枚も見えていない。

まず、赤坂は七萬を持っていないだろう。また西家たろうの2打目には五萬があり、トイツ以上で持っていることは考えづらい。
点棒を持っていてもリーのみの愚形で曲げるところが小倉らしい。いくら山にいそうと思っても、中々曲げられない。
行くしかない東家赤坂は必ず真っ直ぐ向かってくる。私ならピヨピヨしてしまいそうである。
この小倉のリーチに対し、北家達也がチャンスとばかり追っかけた。

北家達也7巡目リーチ
一萬二萬三萬四萬五萬六萬三筒三筒二索三索七索八索九索 ドラ三萬

一索が場に1枚出ているだけではいい待ちに見えるだろう。しかし、小倉が4枚使っているため、実際は山に3枚のみ。
対して、小倉のリーチは打点こそないがやはり4枚丸々生きていた。

しかしこの対決は、真っ直ぐ行くしかない赤坂がイーシャンテンから一索を放銃し、達也に軍配。
3本場は4500点のアガリで、小倉にその差1000点と迫る。

北家達也11巡目
一萬二萬三萬四萬五萬六萬三筒三筒二索三索七索八索九索  リーチロン一索 ドラ三萬 裏白


南3局は、南家たろうが大物手でリーチをするが、北家達也との二人テンパイで流局。

南家たろう13巡目リーチ
二筒二筒八筒八筒八筒二索三索四索七索八索九索南南 ドラ二筒


オーラスでの点棒状況

東家たろう 12100点
南家達也  37900点
西家赤坂  13100点
北家小倉  35900点
供託     1000点


南4局1本場。テンパイ・ノーテンで達也が小倉を2000点上回ったが、1本場で供託が1000点。
1000点のアガリでも小倉はトップを捲ることが出来る。
まず、動いたのは東家たろう。

東家たろう6巡目
四萬七萬九萬八筒九筒四索五索八索九索九索 ポン白白白 ドラ二筒

かなり苦しいところからの仕掛けだが、ラス目の親では最悪テンパイを入れなければならない。必然のポンであろう。
この仕掛けで、南家達也にテンパイが入る。

南家達也6巡目
一萬一萬一索一索一索三索四索四索五索六索七索八索九索 ドラ二筒

接戦のアガリトップで役なしとあれば、リーチの一手か。
しかし予想を裏切り、達也はダマを選択する。これがオーラスのこの状況でなければ、
チンイツまで持っていきたいところだが、テンパイを外している間にアガリ逃しをする可能性がある。

すると、北家小倉がツモ切った九索に東家たろうが2つ目を仕掛ける。
さすがに南家達也は1巡置いてのツモ切りリーチと出た。
しかし、2巡後ツモってきた九筒に小倉から声が。

北家小倉9巡目
四萬五萬六萬一筒二筒三筒三筒四筒五筒七筒八筒三索三索 ロン九筒 ドラ二筒

2000は2300のアガリで、本日小倉2ラス後、待望のトップ。

ここで達也がテンパイを入れた6巡目に小倉の手牌を見てみよう。

北家小倉6巡目
二萬四萬五萬六萬一筒二筒三筒三筒四筒七筒八筒三索三索 ツモ九索 ドラ二筒

達也が即リーと行っていたならば、小倉の打牌は達也の現物の二萬となるはずだ。
小倉本来のツモは、場に2枚切れの南、現物の九萬と続くので、まだこの段階では九索が打たれることはなかっただろう。
そうなると、この段階で小倉にテンパイが入る五筒を引くこともなく、九筒での打ち込みもなかった。
結末はどうなるかはわからないが、達也4枚のアガリ牌に対し、小倉残り3枚ずつのイーシャンテンでは達也に分があっただろう。
たった1巡の拙攻――。
牌の巡り合わせとは恐ろしいものだ。

18回戦終了後に達也は、「九連見ちゃったんだよね」との弁。小倉と離れたポイント差がそうさせたか?


18回戦終了時ポイント

小倉  +248.9
達也   +54.2
たろう   △5.4
赤坂  △299.7

小倉と達也とは、その差190ポイントほど。順位点がトップと2着で40ポイント差がある協会ルールでは、
逆の順位ならば100ポイントほどの差に縮まっていたはずだ。
トップ・ラスで100ポイント程度と言っても、残り2戦続けることは至難の業だろう。


1日5回戦ある決定戦では、その日の3回戦目が終わると30分ほどの休憩に入る。外出した達也は戻ってくるなり小倉を捕まえて、

達也「いろいろ作戦考えたんだけど、もう無理だ。小倉、お前の優勝で決まりだ」

その微笑の裏には何か企んでいる様子が伺える。小倉に優勝を意識させ、プレッシャーをかける陽動作戦か?
どちらにしても、達也が優勝を諦めている訳がない。その真意が19回戦目の闘牌に表れる。


19回戦 たろう−小倉−達也−赤坂

2局連続で流局した後の東1局1本場。配牌9種は西家達也。4巡目までに南西と引き、何とこの巡目で11種。
リャンシャンテンだが、雀頭が簡単に出来ることを考えれば、実質的には国士イーシャンテンみたいなものである。

西家達也4巡目
一萬一筒四筒四筒九筒一索九索東南西北白中 ドラ八萬

字牌からの切り出し後、ペンチャンを2つ払ったのが東家たろう。8巡目に五索をカンチャンで仕掛ける。

東家たろう8巡目
七萬二索二索三索四索七索八索八索九索東 チー五索四索六索 ドラ八萬

さらに10巡目に出た八索をポンすると次巡のツモは二索。待ちが悪いながらも大物手をテンパイする。

東家たろう11巡目
二索二索二索三索四索七索九索 ポン八索八索八索 チー五索四索六索 ドラ八萬

さらに2巡後二索を引き、場に1枚切れの九索単騎に受け変える。

たろうの捨て牌には七萬七索が切られているぐらいで中ほどの牌が1枚も切られておらず、タンヤオ仕掛けにも見える。
また、七索が3枚、八索が4枚見えており、国士の達也に1枚あったとしてもかなり優秀な待ちではある。

東家たろう13巡目
二索二索二索二索三索四索九索 ポン八索八索八索 チー五索四索六索 ドラ八萬

たろうが大物手をテンパイする中、西家達也もラス牌の發を引き入れ、何とテンパイを入れていた。残りは九萬が山に2枚。

西家達也12巡目
一萬一筒九筒一索九索東東南西北白發中 ドラ八萬

万が一だが、小倉から直撃するようなことがあれば、素点で64ポイント、都合144ポイントも縮めることが出来、最終戦はわからなくなる
しかし、いくら攻め屋の小倉でも、トップ・ラスの並びさえ作らなければいいので直撃は難しいか・・・。
すると小倉14巡目にテンパイを入れ、待ち取りを考える。

南家小倉14巡目
五萬五萬六萬一筒二筒二筒三筒三筒四筒五筒六筒七筒七筒 ツモ七萬 ドラ八萬

各家の捨て牌は以下の通り

東家たろう 南白發一筒二筒八筒九筒九萬八筒七萬東三萬七索七筒
南家小倉  西白發南西發中二萬八索六索九索二筒六索
西家達也  七萬七索四萬四萬七索六萬五筒四筒  四筒八萬南九筒
北家赤坂  一索白一索一筒三索西五索中  九萬八萬三萬二萬 (空欄はポン抜け)

五萬では3メンチャンだが、自分の手牌と照らし合わせると、一筒が2枚、四筒が3枚、七筒が3枚で残り4枚だが、

国士の達也が一筒を使っていることも考え合わせると、ほとんど山にいないか。

対して、打七筒では、五萬八萬待ちの亜リャンメンだが、場には北家赤坂が切った八萬だけで残り5枚。山にありそうな感じはある。

ここは、今たろうが切った七筒を合わせ、達也の万が一に備えダマか・・・。

「リーチ!」

えっ?七筒が曲がっている。まさか万が一があるのでは・・・

当然のように西家達也、東家たろうともに押す。
その小倉が一発で持ってきた牌が指の下からかすかに見えた。
萬子。
すごいことが起きるのでは?

「ツモ!」

南家小倉15巡目
五萬五萬六萬七萬一筒二筒二筒三筒三筒四筒五筒六筒七筒 ツモ八萬 ドラ九索

「2000/4000は2200/4200」

1回あるかないかのチャンスを潰され、小倉にトップ目に立たれては達也の心も折れるだろう。

南1局、たろうのリーチを受け1000オールでかわした東家小倉。同1本場も好調とばかりリーチで押す。三色出来合いの大物手だ。

東家小倉9巡目リーチ
七萬八萬九萬五筒六筒七筒八筒九筒二索二索七索八索九索 ドラ東

それを受けて北家たろうもぶつけて行くしかない。同巡に追っかけリーチ。

北家たろう9巡目リーチ
三萬三萬三萬四萬四萬五筒六筒七筒二索三索四索六索八索 ドラ東

小倉の待ちは西家赤坂が4枚固めており、山に1枚ずつのめくり合いに。

この勝負は小倉が七索を掴み、裏が乗って5200は5500の放銃となる。

北家たろう12巡目
三萬三萬三萬四萬四萬五筒六筒七筒二索三索四索六索八索 ロン七索 ドラ東 裏八索


東3局、親は達也。9巡目にドラの中と1枚切れの二萬のシャンポンでテンパイするもダマを選択。

そして11巡目に三萬を引くとリャンメンに変えてリーチ。

東家達也11巡目リーチ
二萬三萬七萬八萬九萬四筒五筒六筒六索七索八索中中 ドラ中

競技麻雀の基本通りの進行。五萬切り後の二萬が宣言牌では出る牌ではないが、

一萬が1枚切られているだけとあっては手に力が入る。しかし、アガリ牌は他家に流れ、一人テンパイで流局。

同1本場はマンズで染めた西家たろうが1100/2100をアガリトップ目に立つ。
達也、親を流されて苦しいか?

東4局、東家赤坂と北家達也の二人テンパイで1本場。

ここまでの点棒状況

東家赤坂  18700点
南家たろう 32600点
西家小倉  25000点
北家達也  23700点


配牌で中がトイツで入っていた東家赤坂。ようやく鳴けてテンパイが入ったのは、巡目も深い12巡目。

東家赤坂12巡目
一萬一萬四萬五萬六萬四筒五筒六筒三索三索 ポン中中中 ドラ北

ここで虎視眈々と大物手を作っていたのは北家達也。六筒が流れてきて、ピンフこそつかないものの、高めハネマンのテンパイ。

北家達也12巡目
一筒二筒二筒三筒三筒四筒六筒七筒七筒八筒八筒北北 ドラ北

そして小倉も13巡目にテンパイを入れ追いつく。待ちが場に5枚切られているとあっては、さすがにダマ。

西家小倉13巡目
二萬二萬三萬四萬五萬七萬八萬九萬五索六索六索七索七索 ドラ北

達也の高めとなる六筒を掴んでしまったのが、トイトイで進めていた南家たろう。

南家たろう13巡目
七萬七萬七萬四筒四筒四索四索東東北 ポン南南南 ツモ六筒 ドラ北

これをツモ切るが、なんと達也は何事もなかったかのように見逃す。

小倉が六筒を切っており、直撃出来るかも知れないが、上家にいては同巡で合わせられる可能性もある。
巡目が深いこともあり、トップ目のたろうから当たって、トップを確実にし並びを作るという考えもある。
しかし、当たるなら小倉からのみという信念を持って、現雀王はこれを拒否した。

そして2巡後・・・

小倉が掴んだのは九筒。安めで8300のアガリだが、大きな大きな直撃となった。

北家達也16巡目
一筒二筒二筒三筒三筒四筒六筒七筒七筒八筒八筒北北 ロン九筒 ドラ北

達也、追撃の手をやっと成就させる。一旦はトップ目だった小倉だが、結局20000点ほど減らし、ラス目まで落ちてしまった。


南1局・南2局と軽く動いて南3局。親は達也。小倉をラスに蹴落としたものの、依然としてたろうは捲れず2着のままである。

ここまでの点棒状況

東家達也  31000点
南家赤坂  20300点
西家たろう 33100点
北家小倉  15600点

その東家達也の配牌。

東家達也1巡目
二萬六萬七萬九萬二索三索六索七索八索八索九索九索白白 ドラ西

ここから、二索四索三索七索とソウズを引き寄せ、なんとここでも12巡目に高めハネマンの手が入る。

東家達也12巡目
二索二索三索三索四索七索七索八索八索九索九索白白 ドラ西

当然のダマ。南家赤坂以外からは当たることが出来る。たろうから高めが出たら、小倉より500点下になるが、それでも問題ないだろう。

13巡目、北家小倉に一索が回るも、手が進んでおらず手の内に。続いて達也のツモは一索
4000オールでトップを決める値千金のアガリ。

東家達也14巡目
二索二索三索三索四索七索七索八索八索九索九索白白 ツモ一索 ドラ西


同1本場、さらに東家達也が加点する。リーチで表示牌のカンチャンをツモリ、裏も乗って4100オール。

東家達也14巡目
二筒三筒四筒七筒九筒一索一索一索二索三索四索發發 リーチツモ八筒 ドラ九筒 裏八筒


さらに2本場、3本場とテンパイで積み棒を増やすが、4本場、北家小倉のリーチに達也、スジを追って九萬で放銃してしまう。

北家小倉10巡目
九萬九萬三筒四筒五筒六筒七筒八筒一索二索三索七索七索 リーチロン九萬 ドラ九索 裏九筒

点数こそ1300は2500と大きくないが、これで小倉が赤坂を交わして3着目。


オーラスを迎えての点棒状況

東家赤坂   9700点
南家たろう 22500点
西家小倉  11500点
北家達也  56300点


南4局、東家赤坂も最後の踏ん張りを見せ、13巡目にリーチと出る。

東家赤坂13巡目
一萬一萬五萬六萬七萬四筒五筒六索六索七索七索八索八索 ドラ北

しかし、このリーチは西家小倉がしっかりと1000点で流し、3着キープでラスト。

西家小倉15巡目
三萬四萬五萬四筒五筒六筒六筒六筒七筒七筒 チー八索六索七索 ドラ北


19回戦終了時ポイント

小倉  +222.4
達也  +130.5
たろう   △3.9
赤坂  △351.0


小倉と達也の差は、91.9ポイント。達也トップ、小倉ラスなら、11900点の差をつければ逆転となる。(同点は現雀王優勝)

小倉独走で終わるかと思われたこの第7期雀王決定戦も最終戦までわからなくなった。
ギャラリーとしては面白い展開だが、小倉としては胃が痛くなるような思いだろう。

最終戦の場決めをして、北家を引いたのが達也。これには達也が行けるぞという雰囲気を醸し出した。

決定戦では北家有利。
優勝以外価値がない決定戦では、親番が落ち、優勝の目がないものはアガリに来ない。
つまり、小倉がアガリ切って優勝を決めない以外は、自分がテンパイを続けている限り終わらない。

最終戦が長引くことがあるのはこれが原因だが、兎にも角にも達也にとっては雀王連覇に向けての追い風となっているのは間違いない。


最終20回戦 たろう−赤坂−小倉−達也

東1局、起家を引いたのがトータル3位のたろう。
小倉との差が226.3ポイントで、優勝には、トップ・ラスで15万点近くの差が必要だ。
並びを作る以前に、それだけの素点を叩き出さなければならない。それゆえ、2回しかない親番は重要になってくる。

まず、仕掛けたのは北家達也。5巡目に重ねたばかりの中をポンして打一萬、8巡目に四筒をチーしてテンパイ。

北家達也8巡目
二萬四萬四萬五萬六萬九萬九萬 チー四筒五筒六筒 ポン中中中 ドラ九萬

これに遅れを取るまいと東家たろうも達也のテンパイ打牌四索をリャンメンからチーしてイーシャンテン。

さらに西家小倉が切った二筒をポンして、広く受ける。

東家たろう10巡目
三萬四萬七萬八萬五筒六筒七筒 ポン二筒二筒二筒 チー四索五索六索 ドラ九萬

六萬頼みの手よりははるかに広い。

さらに達也、11巡目にツモってきた中を加カンし、14巡目に五萬を引いて打二萬。リャンメンの待ちに変わる。

北家達也14巡目
四萬四萬五萬五萬六萬九萬九萬 チー四筒五筒六筒 加カン中中中中 ドラ九萬カンドラ東

たろうも負けずと二萬をチーして苦しいながらにもテンパイに取る。流局が見えてはテンパイが取れただけでも良しだろう。

東家たろう15巡目
七萬五筒六筒七筒 チー二萬三萬四萬 ポン二筒二筒二筒 チー四索五索六索 ドラ九萬 カンドラ東

残りわずかとなった18巡目。たろうがツモってきたのは三萬。達也はピンズを仕掛け、ソウズがほぼ通るとあっては、マンズが大本線である。

二者択一だが、たろうはツモ切りを選択。達也に5200点の放銃となる。

北家達也18巡目
四萬四萬五萬五萬六萬九萬九萬 ロン三萬 チー四筒五筒六筒 加カン中中中中 ドラ九萬カンドラ東

達也中加カン後の二萬手出しをどう見るかだが、二萬三萬四萬の出来メンツから五萬と入れ替えての四萬七萬のリャンメン待ちは考えづらい。
その前のテンパイ形が二萬三萬四萬五萬六萬の3メンチャンということになり、一萬中をポンした際に自分で切っているからだ。
ここは打七萬としたほうが良かったかもしれない。

たろう、あとは南場の親番に大連荘をかけるのみ。優勝争いには加われないか・・・。

東2局、7巡目に先制リーチは南家小倉。当面のライバル達也に先行されているとあっては、ここらでアガって楽に進めたいところだ。

南家小倉7巡目
五萬六萬七萬八萬八萬三筒三筒三筒五筒六筒六索七索八索 ドラ四索

カン七索ツモの打四索でリーチだが、その前巡に三索が2枚見えていることもあり二索を切っている。
最悪ドラを離すつもりがあったのだろう。これが最速テンパイとなる。
しかし、ピンズは場に高くリーチの時点ですでに空。

リーチを受けて北家たろう。

北家たろう7巡目
一筒二筒四筒五筒六筒六筒七筒七筒八筒北北白白 ツモ六索 ドラ四索

メンホンのイーシャンテンだが、とりあえず安全牌の一筒切り。

そして12巡目に北を暗刻にしてテンパイ。闇に構える。さらに14巡目に北を引き、暗カンするがここでもリーチはしない。

カン三筒待ちも山には残っていない。

そして16巡目に九筒を引き、待ちが変わるとここでリーチと出る。

北家たろう16巡目
四筒五筒六筒六筒七筒七筒八筒九筒白白 カン裏北北裏ドラ四索 カンドラ二萬

山には五筒が1枚残っていたのだが、王牌に。二人テンパイで流局。


東3局1本場、東家小倉の配牌。

東家小倉1巡目
一萬一萬三萬八萬三筒四筒六筒八筒二索三索八索東南南

1打目八索に続いて、2巡目には早々と南のトイツ落としをする。一萬がトイツで入っており、二萬を引いたところで雀頭は別にできるだろう。
しかし、目論みとは裏腹にメンツばかり出来て雀頭が出来ない。10巡目にテンパイとなる。

東家小倉10巡目
一萬二萬三萬五萬六萬七萬三筒四筒六筒七筒八筒二索三索 ツモ一索 ドラ中

ここは四筒を切って、とりあえずの三筒単騎、手替わりを待ってダマ。

三索九萬と引くがツモ切り。そして13巡目に入れ替え、三筒切りリーチ。少なくともノベタンにはなったか?
小倉の手牌を覗くと何と六索単騎。五索が場に2枚出ており、

また、小倉の1打目が八索三索もツモ切っていることから出アガリも期待は出来るが・・・
何とも危なっかしいリーチである。

すると、同巡に西家たろうが追いつき、ドラを勝負しての追っかけリーチ。

西家たろう13巡目リーチ
三萬三萬五萬六萬三筒四筒五筒二索三索四索七索八索九索 ドラ中

さらにドラを重ねた北家赤坂も続く。

北家赤坂13巡目リーチ
一索四索四索五索五索六索六索西西白白中中 ドラ中

こちらは出アガリ倍マンで、小倉、たろうがそれぞれ山に1枚、0枚に対し、山に2枚。誰が掴むのか?
そう見ていると、何とツモったのは小倉。裏も乗って2100オールにリーチ棒4本の収入で35800点に。
これでかなり安泰の位置に来た。

東家小倉16巡目
一萬二萬三萬五萬六萬七萬六筒七筒八筒一索二索三索六索 リーチ ツモ六索 ドラ中 裏一萬

リャンメンで曲げても中々成就しないが、愚形をいとも簡単にアガる。ホントに不思議だ。

達也、たろうの二人テンパイで流局後の東4局3本場。東家達也が3巡目に一筒ポンから入る。2枚目の鳴き。

東家達也3巡目
一萬一萬二萬八萬九筒二索八索北北白 ポン一筒一筒一筒 ドラ八萬

かなり遠いところからの仕掛けだが、小倉に走られているとあってはなりふり構ってはいられない。
この仕掛けにより、南家たろうに白中と流れ、4巡目にして大物手が見える。

南家たろう4巡目
九萬九萬三索三索三索五筒南白發發中中中 ドラ八萬

1打目七萬に始まり、八索七索のリャンメンターツも払っているので、中途半端な手は狙っていないということだ。
四暗刻に大三元のおまけもつくかも知れない。

北家小倉にも好牌が寄り、8巡目にテンパイ。点棒を持っているので局を流すことが優先だ。
常にリーチで押す小倉だがここはダマテン。
安めピンフのみの手。達也の親とあっては当然の選択だろう。
小倉のリーチが入っては字牌をアシストされるかも知れぬ。
次巡、あっさりと高めをツモって700/1300は1000/1600の収入。何と山には7枚もアガリ牌が残っていた。

北家小倉9巡目
二萬三萬四萬五筒五筒六筒七筒八筒二索三索六索七索八索 ツモ四索 ドラ八萬

協会の牌譜では、リーチがなくても裏ドラを記録することになっている。
裏ドラをめくると裏ドラは二索。タラレバだが、小倉がいつものようにリーチをしていれば、一発に裏がついてハネマンだったのだ。
理ではダマで局面を進めるのが当然だが、小倉も嫌な感じがしたのではないか?


南入時の点棒状況

東家たろう 16700点
南家赤坂  17900点
西家小倉  38900点
北家達也  26500点


達也がトップでも小倉は3着に潜りこめば、31900点差つけられなければ大丈夫。
たろう、赤坂は親番が落ちればアガリに来ないだろうから、小倉にとっては楽な展開である。


南1局はたろうが最後の踏ん張りを見せる。流局後の1本場、東家たろう。メンタンピンを一発でツモってさらに裏も乗り6100オール。

東家たろう10巡目
二萬三萬四萬四筒五筒七筒七筒四索五索五索六索六索七索 リーチ ツモ三筒 ドラ九筒 裏四索

これでたろう36500点となり、小倉を捲りトップ目に。

この後、たろうの親が中々落ちない。1500点とノーテン罰符での収入しかないのだが、9本場まで積む。
ここで点棒を減らしたのが達也。ノーテンが続き、手になりそうだとたろうの1500点に捕まる。
達也と赤坂は箱割れ寸前である。

東家たろう 52700点
南家赤坂   6300点
西家小倉  33300点
北家達也   7700点


長かった南1局は9本場まで。あっさりとたろうの親が落ちる。

3巡目リーチはジリ貧の北家達也。捨て牌には、東八筒北と並んでいるだけ。ヒントの少ないリーチである。
東家たろう、南家赤坂と現物の字牌を切るが、西家小倉には安牌がない。西家小倉は以下の牌姿。

西家小倉4巡目
三萬四萬六萬七萬七萬一筒二筒三筒五索五索西西發 ツモ七索 ドラ三萬

小倉が選んだのは打西。一番通りそうに見える。が、これが達也に一発で御用となる。8000点に9本場がついて10700点。

北家達也4巡目
三萬三萬三筒四筒五筒一索二索二索三索三索四索西西 リーチ ロン西 ドラ三萬 裏七筒


南2局、調子が出てきたのが西家達也。5巡目に南をポンしてホンイツのテンパイ。

西家達也5巡目
二萬二萬二萬三萬四萬五萬六萬八萬九萬九萬 ポン南南南 ドラ八筒

さらに次巡四萬を引き変則3メンチャンに。北家たろうから五萬が出て軽く3900点のアガリ。

西家達也8巡目
二萬二萬二萬三萬四萬四萬五萬六萬九萬九萬 ポン南南南 ロン五萬 ドラ八筒

これでもまだ小倉2着、達也3着。

南3局にファンタジスタ達也の真骨頂が炸裂する。
配牌は冴えない感じだ。

南家達也1巡目
四萬六萬八萬九萬二筒五筒九筒九筒一索九索東東發 ドラ九索

これが、八索中八索中二筒九索と引き、6巡目に最速のテンパイ。一索發の初牌同士の選択だが、發を曲げてリーチ。

南家達也6巡目リーチ
二筒二筒九筒九筒一索八索八索九索九索東東中中 ドラ九索

すると、2巡後に一索をツモリ3000/6000。

南家達也8巡目
二筒二筒九筒九筒一索八索八索九索九索東東中中 リーチツモ一索 ドラ九索 裏發

一時は箱割れ寸前だった達也だが、このアガリでまさかの大逆転があるかも知れない。

オーラスを迎えての点棒状況。

東家達也  34300点
南家たろう 45800点
西家赤坂   3300点
北家小倉  16600点


優勝条件を確認しよう。


19回戦終了時ポイント

小倉  +222.4
達也  +130.5
たろう   △3.9
赤坂  △351.0


達也と小倉の差は、現在17700点。達也トップ・小倉3着ならば31900点差で達也優勝。
4000オールを引けば、親は続くもののトータルトップ目に立てる。

たろうは小倉との差が226.4ポイント。トップ・ラスで146500点差が必要。(同点はリーグ戦の結果から小倉が優勝)
現在の差が29200点差なので、小倉からダブル役マン直で小倉を捲る。
しかし、達也との差は136.5ポイントなので、トップ・2着なら96600点差が必要で、現在の11500点差に64000点を足しても届かない。
小倉からトリプル役マンをアガることが条件となる。(ツモなら4倍役満条件)


南4局、自身のアガリか達也ノーテンで優勝の決まる北家小倉。達也の上家とあっては絞ることも出来る。
その小倉、まだ手が整わない5巡目に四萬をポンする。

北家小倉5巡目
七萬七萬八萬五筒八筒四索四索五索七索白 ポン四萬四萬四萬 ドラ七索

絶対にテンパイをしなければいけない状況ならばまだしも、達也がアガッたところでもう1局はある。かなり危ない仕掛けと映った。

この時すでに東家達也はイーシャンテン。

東家達也5巡目
二萬二萬七萬八萬九萬四筒五筒六筒一索二索三索四索八索 ドラ七索

しかし、小倉の仕掛けにより、7巡目、8巡目と達也に入るはずだった七索六索が流れてしまう。一発ツモを逃した形だ。

達也10巡目に三索を引いてピンフのみだがリーチ。

東家達也10巡目リーチ
二萬二萬六萬七萬八萬四筒五筒六筒一索二索三索三索四索 ドラ七索

安牌がない北家小倉、あっさりと二索をツモ切り、一発に裏がついて何と12000の移動。

北家小倉10巡目
四萬六萬七萬七萬八萬五筒四索四索五索七索 ポン四萬四萬四萬

東家達也10巡目
二萬二萬六萬七萬八萬四筒五筒六筒一索二索三索三索四索 リーチロン二索 ドラ七索 裏四筒

言わんこっちゃない。そう思ったのだが、四萬を仕掛けていなければ6000オール。
達也と小倉との点差は24000点で同じだが、達也のトップが確定的になるだけに、小倉としては助かった形だ。

しかし、たろうに流れた七索六索は知る由もないか。

1回戦東1局から続いてきた小倉の首位が、今初めて捲られた形になる。


現在の点棒状況。

東家達也  46300点
南家たろう 45800点
西家赤坂   3300点
北家小倉   4600点


優勝条件を再度確認しよう。

捲られた小倉の場合。
この半荘現在トップの達也と小倉の点棒は41700点差と広がった。
トップ・3着なら31900点差がリミットなので、小倉は出アガリなら12000点必要。
しかし、達也とたろうは500点しか差がない。
達也とたろうが同点トップの場合、順位点を30ずつに分けるので、達也のポイントを20ポイントつまり20000点分減らせることが出来る。
こちらのほうが簡単で、達也から1000点直撃して2着に落とすか、500/1000のツモアガリで条件を満たす。

たろうの条件は先ほどと変わらず小倉からのトリプル役マン直。
可能性があるといっても、条件としては不可能と言って良いだろう。
字一色は絶対で、大三元や小四喜、大四喜のいずれかに、さらに四暗刻か四槓子の単騎待ちとなる。

実質、この1回の勝負で決まる。小倉が条件をクリアするか達也が凌ぎきるか・・・。


南4局1本場、ドラは白となる。このドラが大きな意味を占める。
本来500/1000か1000点直撃条件では、ドラを1枚絡めてタンヤオや役牌で動きたいところだ。
しかし、ドラが白とあってはそうもいかない。ホンイツやチャンタなどで動けば手役がわかりやすくなり、2つ目は鳴けないだろう。

各家の配牌を見てみよう。

東家達也  四萬六萬一筒四筒五筒八筒一索四索七索八索九索南北發 ドラ白
南家たろう 二萬七萬八萬一筒四筒六筒一索五索七索八索八索東西
西家赤坂  二萬八萬九萬二筒八筒二索三索三索七索東東北白
北家小倉  一萬一萬二萬八萬二筒七筒一索八索西西北發中


東家達也、アガリに行けそうといえば行けそうな配牌である。北家小倉のアガリ条件は楽なようでいて厳しい。

一筒八筒と孤立牌を切った後、3巡目には四筒を抜き、オリる体制を作る。

南家たろうと西家赤坂は、予想通り中張牌から離していく。

一方、北家小倉。条件はおろかテンパイすら厳しい配牌。最初のツモで六索を引き、カンチャンターツが出来る
3巡目に出た七索はさすがに仕掛けなかったものの、北を重ね4巡目にラス牌となる七索を仕掛ける。

北家小倉4巡目
一萬一萬二萬八萬二筒七筒西西北北 チー七索六索八索  ドラ白

かなり苦しいところからの仕掛けだということが他家からも見て取れる。七索は手出しが入っているものの明らかに二鳴きだ。
頼みの綱、北は達也と赤坂に入っており、出ては来ない。山越しで達也直撃というのも難しいだろう。

六筒三萬と引いた小倉、9巡目に形テンとなる西に食いつく。

北家小倉9巡目
一萬二萬三萬六筒七筒北北 ポン西西西 チー七索六索八索 ドラ白

この鳴きでドラの白が回ったのが南家たろう。トリプル役マンの種、字牌は他にない。

南家たろう11巡目
六萬七萬七萬七萬八萬九萬一筒一筒二筒一索三索八索八索 ツモ白 ドラ白

小倉の仕掛けは明らかに役牌頼みだ。序盤に中發と切っているので、可能性はドラの白南北の3種類。

特に白は鳴かれれば、500/1000の条件を簡単に満たしてしまう。
ホンイツ仕掛けには見えないが、これで振り込めば12000点で逆転という可能性もある。
これだけは万が一にも打ってはいけない牌である。
少考したたろう、何とこの白をツモ切り。
見ていた私には、西家赤坂が白を2枚抱えていたことを知っていたのだが、何がやりたいのかまったくわからなかった。

次巡、たろうは五萬を引きイーシャンテン。15巡目に四索を引くと、打一索
残りわずかだが、テンパイ・ノーテンでまさかの小倉優勝があるのか?

小倉も16巡目に七筒を持ってきて達也からだけは直撃出来るテンパイに変わる。

北家小倉16巡目
一萬二萬三萬七筒七筒北北 ポン西西西 チー七索六索八索 ドラ白

すると、たろうが17巡目に持ってきたのは五索。これでテンパイとなるのだが、テンパイがこんなに嫌そうな顔を見たことがない。
二筒を切りテンパイに取る。

たろう最後のツモ番、達也が切ったにも関わらず、中々ツモりに行こうとしない。何か苦悩と闘っているようだった。
そして、ようやくツモるとツモ切りリーチに!

海底が回るのは達也だから、ツモ番のないリーチである。先にも書いたが協会ではこれが認められている。
どちらにしても条件をまったく満たしていない為、アガることはない。

これに思わず反応してしまったのが達也。

「えっ?」

対局中の私語は当然禁止だが、思わぬ出来事にビックリしてしまったようだ。

手を崩していた達也。テンパイを取れるはずもなく、たろう、小倉の二人テンパイで流局。

達也、ノーテン罰符による降着でまさかの準優勝。

「もしかして優勝は小倉?」

呆然とするギャラリー。
その混乱を遮るかのように、一人の人間が拍手を始めると、他のギャラリーも一斉に拍手を送った。
確認したわけではないのだが、あのテンポの早い拍手のリズム感は五十嵐代表だろう。
対局が終わると、たろうは目を真っ赤にして謝っていた。

「ホントにごめん、どちらを優勝させていいのか――、俺には決められなかった」

「達也にテンパイを取らせれば、俺の優勝の可能性は続くから。今までこうやって、決勝を戦ってきたんだ」

達也にも言い分はある。

「俺が伏せたら、その時点で終わりだから、伏せればいい。あのリーチはない」

通常、親から開けていくテンパイ宣言。リーチが入ったときのみリーチ者が先だ。

達也がノーテン宣言をした後に、たろうが開けるか伏せるかで優勝者が決まる。
それゆえにリーチ宣言をして、強制的に開けることを選択したのだ。

小倉が優勝後、言っていた一言も興味深い。

「たろうさんならテンパイを取ると思っていました」

確かにそれがなければ、形テンの仕掛けは出来ない。B2リーグから一緒に戦ってきて、たろうのことを良く知っていた小倉。
一方、たろうとはなかなか対局する機会がなかった達也。

この差が最後に出てしまったのか?

第4位、赤坂げんき。

「楽しかった」と赤坂。その顔は4人の中で一番晴れ晴れとしている。
早々と優勝争いからは脱落してしまったものの、赤坂の頑張りがなければ、
優勝争いがこんなにも白熱したものとはならなかった。
この決定戦での経験が次に生きてくるだろう。

第3位、鈴木たろう。

最後の最後でギリシア神話の神ゼウスは難問を与えた。
正解だったのか、間違いだったのか?賛否両論あるだろう。
しかし、あの鈴木たろうがこんなにも辛い表情をするのを初めて見た。
結果こそ出なかったが優勝への執念には目を見張るものがあっただろう。

第2位、鈴木達也。

雀王初の2連覇がかかったこの戦い。優勝と2位では大きな違いだが、麻雀に審判員がいたならば、判定でどうなったかはわからない。
伝説に残る大逆転劇は見られなかったが、優勝に匹敵する戦いだった。
この悔しさをバネに雀王の座を取り返して欲しい。


優勝、小倉孝。

最後は薄氷の勝利だったが、常に戦いの中心にいたのが小倉。
1年目での雀竜位、ほぼストレートでの雀王と、この男はまったく底を見せない。
来期、まだ誰も成しえていない雀王連覇は小倉にしか権利がない。


第7期雀王は小倉孝に決定。



文:阿賀 寿直

 |1日目観戦記2日目観戦記3日目観戦記|最終日観戦記

▲このページトップへ

 

当サイト掲載の記事、写真、イラスト等(npmのロゴ)の無断掲載を禁止します。(c) 日本プロ麻雀協会. ALL Rights Reserved. 管理メニュー