【第7期雀王決定戦ポイント結果】
順位
|
名前 |
TOTAL
|
1日目
|
2日目
|
3日目
|
最終日
|
1
|
小倉 孝 |
188.5
|
209.2
|
45.5
|
50.6
|
-116.8
|
2
|
鈴木 達也 |
155.3
|
-39.5
|
116.9
|
-99.6
|
177.5
|
3
|
鈴木 たろう |
62.4
|
8.0
|
-46.7
|
118.4
|
-17.3
|
4
|
赤坂 げんき |
-409.2
|
-177.7
|
-115.7
|
-71.4
|
-44.4
|
【3日目観戦記】
|1日目観戦記|2日目観戦記|3日目観戦記|最終日観戦記|
2日目までの成績
小倉 孝 +254.7
鈴木 達也 + 77.4
鈴木 たろう △ 38.7
赤坂 げんき △293.4
11回戦 達也−小倉−たろう−赤坂
東1局、配牌は以下の通り。
東家達也 ドラ
南家小倉
西家たろう
北家赤坂
各家字牌が少なく手牌がまとまっている。
東家達也はうまくいけばソウズの一通。
南家小倉は、前半の好調そのままに配牌リャンシャンテン。すでに3メンツが見込め、場合によっては早いドラ切りもあるだろう。
対して北家赤坂は345の三色が見えており、一気に勝負手になるチャンスがある。
西家たろうも不要牌がハッキリとしており、タンピン形の手で進めやすい。
早い段階でぶつかりそうな予感がある。
南家小倉1巡目
ツモ ドラ
まず南家小倉だが、1巡目にをツモって少考する。この手が育つとしたら、ドラのを重ねるかマンズの一通が出来るぐらいだ。
観戦している人間は常に自分の打牌と照らし合わせるものだ。ここでは以外切るものがないが、
私ならのトイツ落としを選択する。 雀頭はすぐに出来るだろうという目論みと、役無しでドラを切りたくないというのが理由である。
勝負に行くならを重ねるか、もしくは一通やメンタンピンを作ってといったところだ。
しかし、小倉の選択は切り。 シャンテン数を落とさない、スピード重視の小倉らしい一打だと思った。 ピンズがほぼツモ切りとなってしまうが、これがどう出るか?
結果として、ピンズの下を1メンツしくることになり、10巡連続のツモ切りとなる。
ツモが良かったのが西家たろう。
と引いてイーシャンテン。5巡目ツモで以下の牌姿となる。
西家たろう5巡目
ツモ ドラ
スピード重視なら切り、打点重視ならツモ切りなど考えられるが、たろうが選んだのは打。
この後、7巡目に再びツモで打とする。を12巡目まで引っ張り、かを引けば678の三色に行くつもりだったのだろう。 三色をみての残しはたろうらしい一手。
予想に反して、各家ツモがかみ合わず、終盤にテンパイしたのは西家たろうのみ。東家達也から1000点のアガりと静かなスタート。
この静けさが逆に波乱を予感させる。
西家たろう16巡目
ロン ドラ
東2局、北家達也の配牌。
北家達也1巡目
ドラ
配牌こそ平凡だが2回のツモ切りを挟み、と有効牌を次々に引き寄せ、7巡目でメンホンのイーシャンテン。
北家達也7巡目
ドラ
次巡に西家赤坂がツモ切ったを仕掛けると、アガり牌のが東家小倉に流れ3900のアガり。
安くはなったが、当面のライバル、小倉から出たのは良しだろう。
ちなみにを仕掛けなければ、とのシャンポン待ちであるが、は裏ドラ表示牌に眠っており、が残り1枚のみ。
手変わりが多そうだが、マンズの中ほどはほとんど残っておらず、アガりは厳しかっただろう。
東3局、西家達也がまたしても動く。
2巡目に、7巡目にと叩き、白トイトイのイーシャンテンに。
西家達也8巡目
ツモ ポン ポン ドラ
ここでは切りを選択。次巡ドラのツモ、打としたところで、これを咎めるかのように南家赤坂からリーチが入る。
南家赤坂10巡目リーチ
ドラ
これを受けて西家達也。ドラを抱えては回らざるを得ない。
西家達也10巡目
ツモ ポン ポン ドラ
ここかのトイツ落とし。そして12巡目に、15巡目にと引き、高めハネマンにつきを勝負。
西家達也15巡目
ツモ ポン ポン ドラ
ここは通るが、達也のアガり牌は山に1枚なのに対し、赤坂のアガり牌は何とまだ5枚。
この勝負は達也が安めとなるをつかみ放銃。裏が1枚乗り、赤坂3900のアガりとなる。
南家赤坂17巡目
リーチロン ドラ 裏
東4局、初日・2日目と散々の結果だった東家赤坂。 原因は極端にアガり回数が少なかったことだろう。小倉やたろうのリーチ攻勢に押されて受けに回らざるを得なかった赤坂だが、 日が変わるだけでこんなにも変わるのかという手が来る。
東家赤坂3巡目
ツモ ドラ
配牌ダブがトイツから、と引いて3巡目にしてこの形。
のペンカン待ちでリーチはないが、ダブを生かすことを考えれば、とりあえずの仮テン取りも十分あり得るか?
そう見ていると、赤坂は打のテンパイ取らず。
ピンズの引きで値崩れする可能性もあるが、リーチでツモれば、ダブを仕掛けての5800よりは高くなる。
そして2巡ツモ切りの後、6巡目にを入れてのリーチ。
東家赤坂6巡目リーチ
ドラ
これに西家小倉が困る。リーチ後、初牌の、、と通すが、所詮チートイツのイーシャンテン。 親のリーチに行ける手ではない。そして安牌に窮す。
西家小倉9巡目
ツモ ドラ
東家赤坂の捨て牌は9巡目まで以下の通り。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
(↓はツモ切り)
安牌に困ったら自分の手を中心に進めるか?
それならば余剰の切りで放銃だが、このピンチを小倉は切りで回避する。
このとの危険度は大差がないようにも思えるが、赤坂の4巡目ツモ切りを見たのと、最悪2巡凌げることを考えたのではないか?
攻撃に重きを置く小倉が意外な繊細さを見せた一面であった。
これで困ったのが南家達也。12巡目にドラをツモり、チートイドラドラのイーシャンテンに。同じく安牌はなし。
南家達也12巡目
ツモ ドラ
一方、達也は、小倉の切りと河に2枚のを見て、真っ直ぐに進めて切りで放銃。 これが高めとなり、裏は乗らなかったものの7700の痛い失点。
マンズ・ソウズはリーチに切りづらく、あとはを切るぐらいだが、これも気持ちが悪かったか?
東家赤坂12巡目
リーチロン ドラ 裏
同1本場。ここまで静かだった北家たろうにリーチが入る。
北家たろう5巡目リーチ
ドラ
ツモれば大物手だが、安め出アガりだと1600点の手。手なりであれば、特に面白くもないのだが、3巡目に戻ってたろうの手牌。
北家たろう3巡目
ツモ ドラ
手なりなら、か切りのポンテン1000点の手だが、たろうはここからマンズのリャンメンターツを払う。 完全に三暗刻の決め打ちであるが、これが最速のテンパイとなった。
これに11巡目、達也がをポンし、打で追いついた。
南家達也11巡目
ポン ドラ
しかし残念ながら、が場に3枚だけ見えたリャンメン待ちは純カラ。この鳴きによりツモ順がずれ、たろうがのツモアガりとなる。
北家たろう13巡目
ツモ ドラ 裏
余談ではあるが、たろうにはは入らず、手なりで進めていたら、アガりはおろかテンパイすら入れられなかったかもしれない。
まさにゼウスの選択。たろうらしいマンガンを成就させた。
南入時の点棒状況
東家達也 14200点
南家小倉 19000点
西家たろう 34300点
北家赤坂 32500点
南1局、東家達也としてはこの親番で追いつきたいところ。
その達也、8巡目にリーチ。流局かと思われた18巡目にツモリ2600オールと一矢報いる。
東家達也18巡目
リーチツモ ドラ 裏
同1本場、一人置いていかれた南家小倉が反撃に出る。
南家小倉3巡目
ツモ ドラ
小倉が選択したのは、これも唯一のリャンメンを見切る打。
スピード重視の小倉は、絶対にを切るものだと思っていたので少し驚いた。
次巡、を暗刻にし、打で東家達也がポン。その鳴きで小倉、と引き、ダマでマンガンの手をリーチ。
そして14巡目にアガり牌を引き寄せ、たろうに対抗する3100/6100で一気にトップまで登りつめてしまう。
南家小倉14巡目
リーチツモ ドラ 裏
麻雀とは不思議なもので、3巡目の段階でではなく、を切っていれば、小倉に入るはずのは達也に流れ、持ち持ちになっていたのだ。その後のツモが同じだとしてもテンパイがやっとである。
11回戦終了後に小倉に訊いてみた。
阿賀「あそこは切ると思ったんだけど」
小倉「リーチドラ1の2600では安いですからね」
阿賀「で2メンツは見なかったの?」
小倉「それじゃ遅いですね」
小倉「でもやっぱあそこは切りかなー?」
何か煮え切らない感じだったが、自分が起こしたミラクルには気付いていないようだった。
南2局、親カブリで一人離されたのが北家達也。
15900点しかないが、上の3人は、トップ目が28700点と接戦なので、逆転のチャンスは十分ある。
北家達也1巡目
ドラ
達也にとってこの配牌はどうか?ここからを2枚引き、4巡目でチートイツのリャンシャンテンになる。
北家達也4巡目
ツモ ドラ
しかし、すでにそのときテンパイを入れていたのが西家赤坂。
西家赤坂4巡目
ツモ ドラ
巡目が早いので、切りのテンパイ取らずにするかと思いきや、前巡にを切っていることと、
接戦であり打点も十分なので打でテンパイを取る。が表示牌に1枚いるせいもあるか。
役ありならば、一旦テンパイを取り、を引いての手変わりでも十分だ。
この選択が赤坂に吉と出る。
5巡目にをツモッた北家達也が一旦は中に入れるが、6巡目をツモってイーシャンテンになったところで、5200の放銃。
これで赤坂11戦目にして初のトップが見えてくる。しかし、2着目小倉とは3300点差。3着目たろうもその下100点とまだ接戦だ。
東家たろう 28600点
南家赤坂 32000点
西家達也 10700点
北家小倉 28700点
南3局、動きがない中8巡目にドラのを切ったのは、目下トップ目の赤坂。
南家赤坂8巡目
ツモ ドラ
ピンフ三色のイーシャンテンでは放し時だろう。しかし、この手が安めのを引いてテンパイしたのはやっと流局1巡前。
トイメンの北家小倉が、南家赤坂からと2つ仕掛けているので海底は赤坂に回る。
ドラは場に3枚出ており、小倉の仕掛けは安そう。また、テンパイは小倉と赤坂の2人に見える。
そして、赤坂から見てとが4枚ずつ見えているのに対し、は1枚場に出ているだけ。
不意を付かれた感じだが、赤坂が元気良く「リーチ!」と出る。確かにそこに牌がいれば、メンピン一発ツモハイテイで決まる。
しかし、赤坂から良く見えるは残り1枚。
点差を考えるとリーチ棒を出すのはやりすぎに思えた。結果、赤坂・小倉の二人テンパイで流局。
ちなみに小倉の最終形は形テンからのバック。 北家小倉最終形
ポン ポン ドラ
この局について、対局後話をしたが、達也、たろうの意見は、
「あそこは決めに行ったんでしょ。あれはいいんじゃない」であった。
私の考えだが、親を残して小倉と3300点差がリーチ棒を出しては2300点差。
この差はものすごく大きい。小倉からすれば、3200か500/1000をあがらなければ行けなかったのが、1000点で同点トップとなる。 そして何より、赤坂はテンパイを取らなければ行けないのだ。
それならば、リーチ棒を出さずに700/1300で3400点差、都合6700点差でも十分ではないか?
ただ、このリーチは赤坂らしいと言えば赤坂らしい。そう思えることが、雀王戦Aリーグの対局でもあった。
決定戦を賭けての直接対局で、東家赤坂、西家阿賀。
私が中盤にツモリ四暗刻の手をテンパイし、ドラのシャンポン待ちでハネマンのダマ。東家赤坂が残り1巡で一発と海底ツモを狙い「リーチ!」
一発目で掴んだのがワンチャンスだが暗刻スジの。
「残りツモ1回でリーチに来るとは赤坂から見て良く見える待ちではないか?」
そうとも思ったが、私も一世一代の勝負手。協会ルールでは、ツモ番のないリーチが認められているので、倍マン直狙いで初のツモ番なし「リーチ!」と出た。
そこはさすがに放銃。 一発がついて5800の支払いとなった。
そんなことをふと思い出してしまった。
南4局1本場、僅差なので点棒状況を再掲する。
東家赤坂 32500点
南家達也 9200点
西家小倉 30200点
北家たろう 27100点
供託1000点
南家小倉はトップと2300点差なので、1000点で同点トップ(同点の場合、順位点は+30ずつ分ける)
北家たろうは赤坂と5400点差だが、赤坂から2000点直なら単独トップ、もしくは700/1300ツモで同点トップ。
南家達也は小倉にトップを取られると最悪なので、このまま終わらせたいだろう。
まずは北家たろうだが、配牌は最悪だ。
北家たろう1巡目
ドラ
3巡目にを重ね、6巡目までに2つ仕掛ける。
北家たろう6巡目
ポン チー ドラ
ドラを引けば、トップの可能性も見えるが、最悪順位が変わらないアガりでもいいと思っているだろう。
対して西家小倉の手牌だが、7巡目に選択が出てくる。
西家小倉7巡目
ツモ ドラ
食い仕掛けを考えて手役を作っているが、ここは一通と三色を見て打。 を北家たろうに切りたくないのもあるかも知れない。
すると、それをあざ笑うかのように2巡後ツモ。捨て牌に3枚を並べてしまう。
それでも小倉は、11巡目にペンを引きテンパイ。即リーチと出る。
小倉から見て良さそうに見えるだが、たろうに2枚と達也に1枚入っており、残りは1枚。
対して、10巡目から続けてと引いた北家たろう。12巡目に西家小倉がツモ切ったを仕掛け、打で追いつく。
北家たろう12巡目
チー ポン チー ドラ
たろうの待ちは、を赤坂が暗刻にしており、この時点でが1枚残っているのみである。
ただ、小倉のリーチにより状況が変わった。 トップ目赤坂と5400点差のたろうは、供託リーチ棒2本と1本場により、500/1000でもツモれば同点トップに。
また東家赤坂も小倉と3300点差になったので、二人テンパイなら伏せてトップという選択が出てきた。
東家赤坂、南家達也は安全牌を探しながら打っているが、終局直前に北家たろうがツモ切ったに東家赤坂が止まる。
一応、形テンを入れて、状況によってはテンパイ宣言を取るかどうか選択出来るようにする。そんなことを考えてのチー。
東家赤坂18巡目
チー ドラ
赤坂は勘違いしたのかも知れないが、これは完全に状況判断ミス。たろうの3つの仕掛けにより、ツモ順は元に戻っていた。 つまり西家の小倉は、あと1回しかツモれないところに海底を回し、都合2回のツモを回してしまったのだ。
この海底により小倉がツモアガり、もしくはたろうが河底ロンの3900になれば、赤坂は一生の不覚になるところだったが、ここは流局。
赤坂迷いながらも牌を伏せ、二人テンパイで流局。並び順は変わらず。
3400点差は、赤坂一人ノーテンまたは小倉一人テンパイでトップが入れ替わるが、 4cmとなったたろうは誰の目から見てもテンパっているし、達也がテンパイだとしても確実に伏せる。
赤坂は、試合巧者のたろう、達也の二人をもっと信用するべきだった。
かなり危なっかしいトップであったが、何はともあれ、赤坂には待望の初トップ。
11回戦終了時ポイント
小倉 +265.4
達也 +25.1
たろう △50.1
赤坂 △242.1
12回戦 たろう−小倉−赤坂−達也
一人が何もしないと麻雀はゲーム性を損ねる。そういう意味で言うと、11回戦赤坂のトップは観戦者も待ちかねたところ。
願わくばこのまま赤坂には頑張って欲しいのだが・・・。
配牌イーシャンテンは東家たろうだった。
東家たろう1巡目
ドラ
タンヤオでまとまっていてさすがに早い。
うまく行けば、三色や一通も見える手である。5巡目にをツモってリーチ。
早い親リーには誰も向かえず、悠々と9巡目にをツモって裏がの4000オールと幸先のいいスタート。
東家たろう9巡目
リーチツモ ドラ 裏
同1本場は、西家赤坂が3巡目にしてテンパイ。手替わりに心残りがあったか、1巡回してリーチ。
西家赤坂4巡目リーチ
ドラ
リーチ後、8巡目に手替わりを待っていたを引くが、これは仕方ない。 次巡、東家たろうがツモ切ったで1300は1600のアガり。
たろうとしては、ダブがトイツであるぐらいで行かなくても良い手。 ドラをツモられるぐらいなら、安めのを打っておけぐらいの感覚であろうが、赤坂からすれば決して嬉しいアガりではないだろう。
東2局、今度は東家小倉に手が入る。
東家小倉4巡目
ツモ ドラ
小倉の選択は、リャンシャンテンに戻す打。ここから続けて、ツモ打、ツモ打と進み、 8巡目にを入れてを切ってのリーチ。
東家小倉7巡目リーチ
ドラ
これに対し、配牌こそ良くなかったものの、ドラを暗刻にして8巡目にを重ね、打でイーシャンテンに漕ぎ着けたのが南家赤坂。
南家赤坂8巡目
ツモ ドラ
次巡、リーチの小倉から出たに食いつくと、打であっさりと決着。裏が乗って12000点の放銃。
東家小倉9巡目リーチ
リーチロン ドラ 裏
ドラが暗刻なだけに赤坂も仕方ないが、赤坂は自ら追撃の体勢を崩してしまった格好になった。
同1本場も、東家小倉が5巡目に早いリーチをかけ簡単に2100オールをツモる。
東家小倉8巡目
リーチツモ ドラ 裏
同2本場。北家たろう、4巡目にペンをテンパイ取らずし、ドラのを2枚引いて11巡目にリーチ。
北家たろう11巡目リーチ
ドラ
このリーチを受け、東家小倉、西家達也ともに仕掛ける。
そして14巡目に南家赤坂が追っかけリーチに出る。
南家赤坂14巡目リーチ
ドラ
1巡目にを切っているとはいえ、愚形でリーチ棒を出す価値はなかったか。
18巡目にたろうのアガり牌を掴んでしまう。裏は乗らず5200点の放銃。
北家たろう18巡目
リーチロン ドラ 裏
せっかく前回初トップを収めた赤坂であったが、今回は集中砲火である。
奮起の東3局親番だが、まず軽く1500点のアガり。
東家赤坂13巡目
ポン ロン ドラ
同1本場は、早々4巡目に先制のリーチを入れる。
東家赤坂4巡目リーチ
ドラ
安手でも連荘後に手が入れば気持ちがいいものだろう。
しかし、このリーチも当たり牌を暗刻にして13巡目に追っかけた南家達也に軍配。
赤坂が、終局間際にドラのを掴み裏ドラも乗って5200は5500点の放銃。 南家達也17巡目
リーチロン ドラ 裏
これで赤坂は箱下に。
「点棒を貸してください」
悲痛な表情の赤坂である。
東4局、西家小倉が以下の配牌。
西家小倉1巡目
ドラ
まずはツモ打。そして2巡目にを仕掛け、打で絶一門にし、一色手もしくはトイトイを見る。
とりあえずでやに手をかけないところが、小倉がスピードだけでなく手役も見ている証しであろう。
ここから、と引き寄せ、あっという間にこの形。 西家小倉5巡目
ポン ドラ
ここからなんと、小倉は打。
ホンイツあるいはトイトイのイーシャンテンに受ける。
対して東家達也。11巡目にテンパイを入れ、を曲げて即リーチと出る。
待ちは2枚切れのカン。北家赤坂が1枚使っているので山には1枚のみ。
東家達也11巡目リーチ
ドラ
この宣言牌のを西家小倉が当然のように叩き、ハネマンのテンパイ。
西家小倉11巡目
ポン ポン ドラ
小倉は次巡、達也の現物のを引き、3メンチャンに変える。場には達也が切ったが1枚、たろう、
赤坂が切ったが1枚ずつの3枚しか見えていないので、アガれる感触があっただろう。
実際には、南家たろうにがトイツで入っており高めは空。
残りはが北家赤坂に1枚あるだけなので、山に5枚生き。1枚vs5枚なら分は明らかだろう。
しかし、これは意外な結末を迎えることになる。
北家赤坂も8巡目にしてイーシャンテンだったが、ツモ切りが続き、13巡目に東家達也に無スジのを掴まされた。
北家赤坂13巡目
ツモ ドラ
東家達也の現物はのみだが、リーチ後にが通っている。
また赤坂は点棒がないこともあって、イーシャンテンを維持する切りを選択。
これが達也に放銃である。裏こそのらなかったものの、逃げる南家たろうと西家小倉を追撃するには大きい3900の連荘となった。
東家達也13巡目
リーチロン ドラ 裏
同1本場はリーチ合戦となる。
先制リーチは10巡目と早くはないが南家たろう。
南家たろう10巡目リーチ
ドラ
そして西家小倉、東家達也と続く。
西家小倉11巡目リーチ
ドラ
東家達也12巡目リーチ
ドラ
一人勝負に行けないのが北家赤坂。
このリーチ合戦だが、ドラそばのとは、北家赤坂の捨て牌にと表示牌にが1枚ずつで、 お互い使い合ってリーチの時点ですでに空。
そうなると、残り3枚あるたろうの当たり牌を誰が掴むかとなるのだが、を持ってきてしまったのが西家小倉。 裏ドラも2枚乗り、小倉からたろうへ8300の移動。
南家たろう16巡目
リーチロン ドラ 裏
これでたろうがダントツとなり、トップを磐石とする。
南入時点棒状況は、
東家たろう 50400点
南家小倉 28500点
西家赤坂 △7200点
北家達也 28300点
しかし、荒れ場は続くもので、放銃したばかりの南家小倉に手が入った。
南家小倉1巡目
ツモ ドラ
いきなり、ダブを重ねると、1巡目に北家達也が捨てたからポン。
続いて、西家赤坂が捨てたをポンして、簡単にイーシャンテンに。
南家小倉3巡目
ポン ポン ドラ
同卓者からすると、そのを鳴かれるのはきつい。しかし、を切る西家赤坂にも当然理由があり、2巡目にはすでに以下の手牌。
西家赤坂2巡目
ツモ ドラ
西家赤坂、無駄ヅモなしでと引き4巡目にして本手のリーチ。
西家赤坂4巡目
ドラ
しかし一発目のツモがで、南家小倉が食いついてテンパイ。簡単にをツモり上げ、2000/4000。
南家小倉7巡目
ツモ ポン ポン ポン ドラ
トップ目のたろうに親カブリをさせ、その差を8900点と縮める。
南2局、トップが見えた東家小倉。9巡目にツモりマンガンのリーチを入れる。
東家小倉9巡目
ドラ
しかしここは南家赤坂がしっかりと流し、500/1000のアガり。
南家赤坂13巡目
チー ポン ツモ ドラ
南3局、ここで親は赤坂。まだ12回戦とはいえ、ここで挽回しないと、赤坂の優勝の目はほぼ無くなる。
その赤坂が3巡目、5巡目にと仕掛けてイーシャンテン。
東家赤坂5巡目
ポン ポン ドラ
そして10巡目にを引き、単騎のマンガンを確定させる。
ドラがドラなだけに他家も慎重に打つ。赤坂の現物に合わせ進めていた北家小倉だったが、 17巡目に単騎でテンパイを取ると、最後のツモでラス牌のを引き寄せ、1000/2000ツモアガり。
北家小倉18巡目
ツモ ドラ
是が非でも連荘したい赤坂からすれば、この同テン引き負けはこたえたであろう。
オーラスを迎えての点棒状況。
東家達也 24800点
南家たろう 44900点
西家小倉 39500点
北家赤坂 △9200点
小倉のトップだけは避ける。他3人の毎回のテーマでもある。
南4局、望みがわずかとは言え、北家赤坂にもやることはある。
北家赤坂、6巡目にを入れ、イーシャンテンに。
北家赤坂6巡目
ツモ ドラ
次巡、を引くもツモ切り。最高の手は678の三色だが、今優先するべきは、このままの状態で終わらせること。
を仕掛けてのタンヤオで十分だ。
そして8巡目にを引きテンパイ。リーチをしては南家たろうから出アガれないので、ダマを選択。 すると9巡目にその南家たろうからリーチ。
南家たろう9巡目リーチ
ドラ
北家赤坂からすれば、南家たろうに振る分には問題がない。何事もなかったように一発で無スジのをツモ切る。
そして11巡目に赤坂がを引き寄せ、1300/2600のアガり。
北家赤坂11巡目
ツモ ドラ
赤坂としては、今やるべきことをかろうじてこなしたファインプレーか。
トータルダントツの小倉にこれ以上トップを取られなければ、まだまだ何が起きるかわからない。
12回戦終了時ポイント
小倉 +283.6
達也 +12.5
たろう +7.3
赤坂 △305.4
13回戦 赤坂−達也−小倉−たろう
残り8戦、トータルトップ目の小倉とのポイント差は600ほどあり、現実的には優勝が厳しい赤坂。 とにかく全てトップを取る気持ちで行くしかない。
起家を引いた赤坂。配牌としてはかなりいい部類だ。
東家赤坂1巡目
ドラ
5巡目にを引き、くっつきテンパイからツモ切りが続く。
東家赤坂5巡目
ドラ
しかし、さらに早かったのが西家小倉。3巡目に急所のを引き三色も見えるイーシャンテンだった。
西家小倉3巡目
ドラ
4巡目にツモ打、5巡目ツモとなるが、小倉はテンパイ取らずの打。そして9巡目にを引いてリーチ。
西家小倉9巡目リーチ
ドラ
そして、東家赤坂も10巡目にを引いて追っかけリーチ。
東家赤坂10巡目リーチ
ドラ
この対決、西家小倉は安めリーのみの手だが、東家赤坂が高めとなるを掴む。それとて2600点。大したことはない。
しかしながら、小倉がめくった裏ドラ表示牌には。何と裏々でマンガンのアガりとなってしまう。
西家小倉15巡目
リーチロン ドラ 裏
赤坂、この体勢の悪さはどうしようもないか?
東2局は、西家たろうが小倉に独走させまいと15巡目にリーチをかけ、マンガンのツモアガり。
西家たろう18巡目
カン ツモ ドラ 裏
東3局、小倉を追う達也も負けていない。11巡目にドラのを引いてテンパイすると、ダマで小倉から5200点のアガり。
北家達也13巡目
ロン ドラ
小倉一人テンパイで流局を挟んでの南1局1本場。 親は後がない赤坂。トップ目とは20000点近く離れており、この親で連荘するより他がない。
なりふり構ってられない東家赤坂、7巡目に以下の牌姿からラス牌となるオタ風の西から仕掛ける。
東家赤坂7巡目
ドラ
仕掛けてもまだリャンシャンテン。しかし、ここで動かなければテンパイすら怪しい。
すると、思いが通じたのか次巡ツモでイーシャンテンに。 ただ、翻牌は南家達也と北家たろうががっちりと押さえており、は山にない。
ここで小倉がを切ってリーチと来る。
西家小倉9巡目リーチ
ドラ
4巡目にを切っており、出アガり期待のリーチだろう。このリーチに対応したのが北家たろう。
一発目こそ現物のを切ったものの、赤坂の手出しを見て、次巡を抜きに行く。
これを東家赤坂がポンしてテンパイ。
リーチの小倉に親の赤坂と勝負させようという、たろうならではの戦術である。
この鳴かせが功を奏し、17巡目に小倉が赤坂の当たり牌を掴み、2900点の移動。
東家赤坂17巡目
ロン ポン ポン ドラ
点数こそ大きくはないが、小倉のリーチを潰し、さらに失点させたのはたろうの功績である。
しかし続く同2本場、あっという間の出来事だった。
前局のたろうの操作で振り込みに回った西家小倉。配牌は自風のがトイツだが決して早くはなさそうだった。
西家小倉1巡目
ドラ
これが無駄ヅモなしでと引き、4巡目にをポンしてイーシャンテン。すぐ次巡にを引きテンパイ。
そして、北家たろうがツモ切ったに声がかかる。
西家小倉5巡目
ロン ポン ドラ
5巡目にしてマンガンのアガりである。失点しても簡単に取り返す。小倉の出来の良さを象徴しているようなアガりだ。
南2局、ここまでオリに回って我慢を重ねてきた東家達也だが、7巡目に高めタンピンドラ1の手をリーチする。
場にはが1枚しか切られておらず、自信のリーチだろう。
終盤に安めツモながら裏が乗って4000オール。
東家達也13巡目
リーチ ツモ ドラ 裏
このアガりで達也は2着目小倉と8000点差のトップ目に立つ。
同1本場は、南家小倉が以下の捨て牌で7巡目にリーチ。
↓ ↓
(↓はツモ切り)
このリーチに安全に進めていた西家たろう。9巡目にイーシャンテンとなったが、13巡目に三色が見えるを持ってくる。
西家たろう13巡目
ツモ ドラ
現物とスジを追って切りもあるが、3巡目のツモ切り、宣言牌から、も通りそうである。
巡目は深いが、メンタンピン三色ドラが決まればハネマンである。ツモればトップ目に立てるし、リーチの小倉から出ても十分だ。
と落としたところで小倉から「ロン」の声がかかる。
南家小倉14巡目
リーチロン ドラ 裏
点棒を減らしたら利子をつけてアガるのが小倉である。
この8000で今度は小倉が300点差のトップに。たろうは痛恨のラス転落。
南3局、ドラはで、配牌で東家小倉、西家赤坂、北家達也に1枚ずつ。
翻牌がドラの時は場が重たくなる。
東家小倉もドラを抱えており、9巡目にが重なったところで、チートイツのリャンシャンテンとなり、3メンチャン受けを捨てて切り。
東家小倉9巡目
ツモ ドラ
次巡、ツモでチートイツのシャンテン数を落とさない切り。
13巡目にをツモってきたところで打とし、チートイツを捨てる。
東家小倉13巡目
ドラ
そして、南家たろうが切ったをポンして、打で形テン狙い。
しかしこのが南家たろうに当たり、1300点の放銃。
南家たろう14巡目
ドラ
小倉丁寧に固く打ったのだが、これが災いしてまた2着に。
オーラスを迎えての点棒状況は、
東家たろう 12400点
南家赤坂 14200点
西家達也 37200点
北家小倉 36200点
南4局、各家の課題は、東家たろうはとにかくアガり続けること。 南家赤坂と西家達也はこのままの状態で終わらせること。 北家小倉は2着でも致し方なしだが、これでトップを奪えば優勝はさらに揺るぎないものとなるだろう。
まず、ホンイツが最速と見て4巡目に仕掛けたのは西家達也。南家赤坂からの援護も期待出来るだろう。
西家達也4巡目
チー ドラ
続いて南家赤坂も5巡目に仕掛けた。
チー ドラ
焦る二人を尻目に、この2つの仕掛けで北家小倉が絶好の、ドラのと好牌を引き入れてしまう。
5巡目にこのテンパイ。
北家小倉5巡目
ツモ ドラ
小倉の体勢の良さはどうしようもない。
小倉が切ったに東家たろうも仕掛けて5800点のテンパイを入れるが、テンパイ打牌ので放銃。 2000点のアガりでトップとなった。
東家たろう6巡目
チー ドラ
北家小倉6巡目
ロン ドラ
優勝に向けて大きな大きなトップ。縮めようと思ってもさらに差が広がる。
「ほとんど小倉の優勝で決まりだ。せめて明日の戦いをもう少し面白くして欲しい・・・」
頑張っている小倉には申し訳ないが、ギャラリーの多くがそう感じていただろう。
13回戦終了時ポイント
小倉 +341.8
達也 +24.5
たろう △37.1
赤坂 △331.2
14回戦 達也−小倉−たろう−赤坂
あと7戦残しているとはいえ、小倉との差が、2位の達也でさえ320ポイント、3位のたろうで400ポイント、 4位の赤坂に至っては670ポイント差となっている。
トップ・ラスで100ポイントほど変わる協会ルールとはいえ、3者にとっては相当厳しい状況であろう。
東1局、先制リーチは北家赤坂。
北家赤坂9巡目リーチ
ドラ
赤坂の捨て牌は以下の通り。
↓ ↓ ↓ ↓
(↓はツモ切り)
次巡、西家たろうが暗刻からを切って追っかけリーチ。
西家たろう10巡目リーチ
ドラ
結果、たろうが高めをツモって裏が1枚。3000/6000と化ける。
西家たろう13巡目
ツモ ドラ 裏
東2局、親っかぶりで6000点ビハインドの北家達也。と引き、3巡目にしてハネマンが見えるイーシャンテンになる。 何とかここで取り返したいところだ。
北家達也3巡目
ドラ
これに対し、南家たろうが8巡目にを叩きテンパイ。
南家たろう8巡目
ポン ドラ
西家赤坂もを引いてリーチで対抗する。
西家赤坂9巡目リーチ
ドラ
このリーチに飛び込んだのが達也。イーシャンテンからツモ切りが続き、を掴んで裏1枚の5200点を放銃する。
西家赤坂12巡目
リーチロン ドラ 裏
東2局までに点棒が大きく動き、乱打戦の模様を呈したが、この後は静かに進行した。
東3局は、三色手変わりがある西家達也だったが、南家赤坂からのピンフ1000点で流す。
西家達也10巡目
ドラ
小倉リーチの一人テンパイで流局後の南1局1本場は、2900のテンパイを入れていた東家達也から、 南家小倉が1000点でアガり、サクッと流す。
当面のライバル達也にラスを押し付けることが出来れば、小倉もこの後楽になるだろう。
南家小倉9巡目
ロン ポン ドラ
南2局はトップ目の南家たろうが、ダマテンのままツモアガり、小倉の親を落とす。
南家たろう12巡目
ツモ ドラ
南3局を迎えての点棒状況
東家たろう 39700点
南家赤坂 23500点
西家達也 11800点
北家小倉 25000点
南3局、トップ目のたろうの親。ここでマンガンでもツモれば、南家赤坂、北家小倉はトップが見えてくる。
5200点をアガってから一度も勝負出来ない南家赤坂。小場で進んだのはラッキーだったかも知れない。
その赤坂は8巡目にして十分形のイーシャンテン。
南家赤坂8巡目
ドラ
ここで仕掛けたのは、東家たろう。ドラが2枚でマンガンのイーシャンテン。
東家たろう9巡目
チー ドラ
この鳴きにより、南家赤坂のテンパイとなるが西家達也に流れてしまうが、それでも11巡目に三色目のを引いてリーチ。 これを高めでアガればトップが近づく。
南家赤坂11巡目リーチ
ドラ
東家たろうもツモに打でイーシャンテンをキープし頑張るが、を引いて危険牌2枚抱えた時点でギブアップ。
4枚あったアガり牌は、東家たろうに3枚と西家達也に1枚流れて、赤坂一人テンパイで流局した。
オーラスを迎えての点棒状況は、
東家赤坂 25500点
南家達也 10800点
西家小倉 24000点
北家たろう 38700点
供託 1000点
南4局、東家赤坂はとにかくアガってトップを狙うのみ。 南家達也はハネマンツモなら2着、マンガンを作れば3着もある。 西家小倉は、たろうとの差が離れているのでアガって2着なら十分だろう。 北家たろうは、自分がトップを取ることが絶対条件だが、出来れば、この並びのまま終わりたいところ。
北家たろうに早い手が入る。
北家たろう4巡目
ツモ ドラ
点棒に余裕のある北家たろうはここでドラののトイツ落としを選択。 もちろんピンフやタンヤオでのアガり安さもあるが、手を安くし、東家赤坂を2着にさせることも念頭に置いているだろう。
このを南家達也が仕掛けた。持ち持ちでドラを鳴けたのは大きい。
南家達也5巡目
ポン ドラ
2着狙いの西家小倉も7巡目に仕掛ける。
西家小倉7巡目
チー ドラ
頼みの手牌だが、普通に考えればアガりは厳しいか。
ところがこの鳴きにより、何と小倉は、南家達也の必要牌、とを食い取り、一番にテンパイを果たしてしまう。
西家小倉9巡目
チー ドラ
こうなると、とを抱えた南家達也はいわゆる「詰み」の状態。
ハネマンを見て取って置いた翻牌が先に出るか、イーシャンテンの北家たろうが追いつくかの勝負だが、 南家達也、イーシャンテンになったところでを振り込み、1000は1300のリーチ棒つきで小倉が2着で終了。
小倉2着、達也痛恨のラスで、小倉優勝へのカウントダウンに向けて磐石の体制をさらに整える。
14回戦終了時ポイント
小倉 +348.1
たろう +21.6
達也 △26.0
赤坂 △345.7
15回戦 たろう−小倉−達也−赤坂
このまま小倉の独走を許すのか?追うのはたろうか達也か?
最終日を占う意味でも重要な15回戦の闘牌が始まった。
東1局、東家たろう。前の半荘のトップを無駄にしない為にも小倉との差を詰めておきたい。
配牌暗刻から、4巡目にはイーシャンテン。ツモ切りが続いたが11巡目に先制リーチ。
東家たろう11巡目リーチ
ドラ
場にはが2枚出ているだけで、北家赤坂はマンズ仕掛け。待ち頃なところとも言える。
これを16巡目にツモって、裏1の4000オールスタート。
東家たろう16巡目
ツモ ドラ 裏
いきなりの4000オールスタートは大きい。小倉を追うのはやはりこの男か?
同1本場は、南家小倉が3巡目にオタ風のから仕掛けホンイツで牽制する。
をチーして苦しいテンパイだったが、北家赤坂がツモ切ったを捕らえ、2000は2300のアガり。
南家小倉9巡目
チー ポン ロン
東2局、10巡目に役無しだが、テンパイ一番乗りは西家赤坂。
西家赤坂10巡目
ツモ ドラ
引きのテンパイが不満だが、切りなら即リーチの一手だろう。しかし、ここは赤坂切りダマを選択。
16巡目と遅いリーチは南家達也。万が一のツモもあるが、小倉の親を落とせれば十分だろう。 これに西家赤坂、一発目こそ現物のをツモ切るが、次のツモでを引き、テンパイを維持してで放銃。
南家達也17巡目
ロン ドラ 裏
達也の捨て牌には真ん中の4〜6がまったく切られておらず、危険牌を絞り込めないので、
勝負でテンパイ料を狙うのはいいと思うのだが、役無しのダマテンで押していたのは、中途半端な感じは否めない。
優勝から大きく遠のいた赤坂の打牌が今後影響するかも知れない。
東3局、たろう、達也とアガればこの男も黙ってはいない。北家小倉、8巡目に先制リーチ。 このシャンポン待ちを簡単に一発でツモって、2000/4000のアガり。
やっとの思いで5200点稼いだ東家達也から、あっさりと4000点を回収する。
北家小倉9巡目
ツモ ドラ 裏
東4局、5巡目にドラを引き込みイーシャンテンは西家小倉。
西家小倉5巡目
ドラ
8巡目に南家たろうから表示牌のが放たれる。
ラス牌なので、チートイツにするかトイトイにするか決断の時だが、小倉はポンを選択。
残りは中張牌だらけで、普通のメンツ手でも進められるので、仕掛けない人も多いかも知れない。
すると次巡、ドラのを食い取りテンパイ。ツモればハネマンの大物手。まったく小倉のツモには感心させられる。
西家小倉9巡目
ポン ドラ
しかし、北家達也も負けてはいない。 10巡目にをチーしてテンパイを入れると、小倉がツモ切ったで5200のアガり。一矢報いる。
北家達也11巡目
ロン チー ドラ
南入時の点棒状況
東家たろう 35000点
南家小倉 26100点
西家達也 27400点
北家赤坂 11500点
赤坂一人置いていかれる展開。小倉にラスを押し付けるにも難しそうだ。
南1局、振り込んでも振り込んでも取り返すのが南家小倉。
7巡目にを横に曲げリーチと出る。
南家小倉7巡目リーチ
ドラ
ドラそばのいわゆるモロヒでは簡単に出る牌でもないのだが、は純カラなのに対し、は山に4枚丸生き。 一発はさすがになかったものの2巡後に簡単に引き寄せ、裏が乗って1300/2600のアガり。トップ目たろうとほぼ並ぶ。
南家小倉9巡目
ツモ ドラ 裏
南2局、親を自らのアガりで持ってきた小倉。
小倉に連荘されまいと北家たろうが果敢に仕掛ける。3巡目、5巡目とを仕掛け、9巡目チーでテンパイ。
北家たろう9巡目
チー ポン ポン ドラ
すでに親番がないたろうとしては、小倉に高い手をアガられると、届かなくなってしまう。それだけ重要な局面なのだ。
しかし東家小倉が12巡目に追いつきリーチと出る。
東家小倉12巡目リーチ
ドラ
場には4枚見えているが、とは顔を見せていない。実際にが3枚生きであった。
この勝負は、北家たろうが無スジのを引いたところでギブアップ。小倉一人テンパイで終局。
同1本場は、10巡目に南家達也がツモリ三暗刻のリーチをかけるが流局。今度は達也、たろうの二人テンパイ。
ともあれ小倉の親は流れ、南3局2本場、またしても西家たろうが仕掛ける。 接戦での現状ある供託2000点は大きい。2つ晒して終局間際に大きな300/500は500/700のツモアガり。
西家たろう18巡目
ツモ チー ポン
オーラスを迎えての点棒状況は、
東家赤坂 7200点
南家たろう 36600点
西家小倉 31300点
北家達也 24900点
前局のアガりが出る前は、トップ目たろうと2着目小倉との差は、わずか1100点だったのが、その差5300点と広がった。 5200出アガり、1000/2000ツモでも届かないので、たろうにとっては価値のあるアガりであった。
南4局、ここが本日一番の見せ場であった。
まず、南家たろうに簡単な配牌がくる。 暗刻が2つに翻牌のトイツが2種類。最初のツモがで、何と1巡目にしてメンホン三暗刻のイーシャンテン。
南家たろう1巡目
ツモ ドラ
東家赤坂も最後の意地を見せる。2巡目に急所のを引き、ドラドラのイーシャンテン。 あわよくば三色まで育つかも知れない。
東家赤坂2巡目
ツモ ドラ
北家達也もが暗刻になり、2巡目にしてイーシャンテン。しかしこちらは上2人を捲れる手ではない。
北家達也2巡目
ツモ ドラ
テンパイ一番乗りは東家赤坂。3巡目ツモで三色は崩れた。 曲げるなら1枚切れのカン待ちだろうが、手変わりを待ってダマを選択。
東家赤坂3巡目
同巡、西家小倉が切ったを南家たろうが叩き、たろうも5200点のテンパイ。
南家たろう4巡目
ポン ドラ
一人出遅れた感のあった西家小倉だが、を引き込み、イーシャンテンに。
西家小倉4巡目
ツモ ドラ
すでにテンパイを果たしていた南家たろうだが、北家達也が切ったをポンして暗刻から打、マンガンへと変える。 これは少しでも素点を叩きたいのもあるだろうが、2着目小倉と3着目達也の点差は6400点。 小倉からアガることが出来れば、小倉を3着に落とすことが出来る。無論目的はこちらであろう。
南家たろう5巡目
ポン ポン ドラ
山に6枚生きの。北家達也以外にはツモ切られる牌だが、中々顔を出してこない。
そうこうしているうちに西家小倉が、絶好のを引いてリーチと出る。
西家小倉7巡目リーチ
ドラ
待ちは3メンチャン。ツモればマンガンでトップとなる。 ここで小倉がトップを取れば、最終日を待たずして優勝が決まってしまうか。
一発目、北家達也にが回ったが、手の内からを切りセーフ。しかしテンパれば勝負で出てしまう可能性も高い。
東家赤坂のツモは。変化を待っている数巡のうちには場に3枚切られ、マンズは変化しづらくなっていた。
また、南家たろうの2つの仕掛けと西家小倉のリーチに挟まれ、悠長なことも言ってられない。
東家赤坂はと入れ替えてリーチ。
東家赤坂8巡目リーチ
ドラ
しかし、山にはとは1枚ずつしか眠っていない。実質6枚生きのと5枚生きのの勝負だろう。
リーチ棒が出たことで、西家小倉は脇からの出アガりでも条件を満たした。さてこの勝負はいかに?
西家小倉が一発目にツモッてきた牌は――。
何と予想外の。
裏こそ乗らなかったが、東家赤坂に12000の放銃である。
絶不調の赤坂が小倉のリーチによりタイミングが合ってしまった。
それにしてもドラを2連続で引いてくるとは小倉のツモも良すぎたか・・・。
これで東家赤坂20200点、西家小倉18300点のラスになり、並びが出来た。
同1本場、終盤にテンパイを取りに行った東家赤坂が、17巡目にドラをツモリ、1000オールで2着目の達也に300点差と迫った。
東家赤坂17巡目
ツモ チー ドラ
そして同2本場、南家たろうが3メンチャンをダマにし、東家赤坂から2000は2600のアガりで終了。順位の変動はなし。
南家たろう13巡目
ドラ
15回戦終了時ポイント
小倉 +305.3
たろう +79.7
達也 △22.2
赤坂 △364.8
小倉まさかのラスで最終日が面白くなった。
それにしても小倉の安定感には目を見張るものがある。ラスを引いた時でも、常にトップを見据えた位置につけている。
たろうは、前半2日間リーチをかけてもかけてもアガれなかったが、ここにきて本来の調子を取り戻してきた。 ゲーム回しも目を見張るものがある。いくつものタイトルを獲ってきたこの男の逆転劇はあるか?
達也はまったく手が入らずに、ポイントを減らしてしまった。しかし、ここ一番での勝負強さがある。雀王戦初の2連覇なるか?
赤坂は3日間、常に他者に遅れを取ってオリるのみで、いまいち参加出来てないようだった。 しかし、小倉から大きな12000点をアガッたことで、吹っ切れたのではないか。
誰が雀王の座を勝ち取るのだろうか。残すはあと、一日。
文:阿賀 寿直
|1日目観戦記| 2日目観戦記|3日目観戦記|最終日観戦記|
▲このページトップへ
|