【第７期雀王決定戦ポイント結果】

【2日目観戦記】

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６回戦　赤坂−達也−たろう−小倉

初日にいいところがまったくなかった赤坂が起家スタート。赤坂らしいスカッとする麻雀を見せて欲しい。

東１局、東家赤坂にダブとがトイツという好配牌が入る。４巡目にを暗刻にし、７巡目にカンを引いてイーシャンテン。

東家赤坂７巡目
　ドラ

しかしこのイーシャンテンから、を引いてくるぐらいで進まず。１１巡目に達也が300/500をツモって静かなスタート。

南家達也１１巡目
　ツモ　ドラ

赤坂としてはチャンス手を潰されて嫌な感じだろう。

東２局。自力で親番を持ってきた達也、５巡目にドラを重ねると好形のイーシャンテンに。

６回戦東２局東家達也５巡目
　ドラ

ツモ切りが続くが９巡目にに食いつき、終盤にツモで２０００オール。

同１本場は西家小倉が食いタンでしっかりと流す。

迎えた東３局。東家たろうが１１巡目にリーチ。

東家たろう１１巡目
　ドラ

これを受けて南家の小倉が仕掛ける。

南家小倉１４巡目
　ドラ

ここからなんと、と仕掛け、を持ってきてテンパイ。

南家小倉１７巡目
　チー　チー　ドラ

さらに次巡を持ってきて、待ち変え。そして上家のたろうが最後のツモでドラのをツモ切り、ポン。打。
確かに小倉はこれで危険牌を引かずにテンパイ宣言が出来るのだが、東家たろうにハイテイツモを回してしまう。
裏が乗らなかったものの、たろう２６００オール。

東家たろう１８巡目
　ツモ　ドラ　裏

東３局１本場は、配牌にとがトイツの北家達也がいきなりポン。すると南家小倉が６巡目にリーチ。

南家小倉６巡目
　ドラ

このリーチを受け、絞り気味に進めていた東家たろうが、鳴かせ気味にを離すと、北家達也が食いついてテンパイ。

北家達也７巡目
　ポン　ポン　ドラ

たろうも３シャンテンから仕掛ける。

東家たろう８巡目
　チー　ドラ

が持ち持ちで、たろう・達也ともにアガリは厳しいのだが、次巡達也がドラのを掴み状況が一変する。
達也はのトイツ落とし。当然のように東家たろうが食いつくと、たろうにはが２枚流れて４０００は４１００オール。

東家たろう１２巡目
　ポン　チー　ツモ　ドラ

さらに同２本場では、たろうが小倉から２９００は３５００をアガリ、独壇場に。

達也も離されまいと南１局にマンガンをツモり、応戦する。

南家達也１３巡目
　リーチツモ　ドラ　裏

ついに小倉にラスを押し付けられるか。しかし、周囲のその思いを打ち砕くように小倉が粘る。

南２局西家小倉７巡目
　ツモ　ドラ

ここで切りリーチ。手変わりがないに等しいので当然と言えば当然のリーチだろう。
９巡目にを持ってきて暗カンすると、カンドラは。そのを引き当てて、大きな3000/6000。

オーラスを迎えての点棒状況は、

東家小倉　　２００００点
南家赤坂　　１０８００点
西家達也　　２８１００点
北家たろう　４１１００点

点差が点差なので、小倉の親は簡単に流されて終わるだろう。それぐらいの気持ちで見ていた。

南４局、７巡目に東家小倉にドラのがトイツになったが、アガリは厳しそうだ。門前は見切り、小倉が果敢に仕掛ける。

６回戦南４局東家小倉７巡目
　ポン　ドラ

これでもまだリャンシャンテン。

ドラのはトップ目の北家たろうと西家達也にあるので、まず鳴けないだろうと思っていた。
しかし、そんな思いを裏切り、トップ目たろうが９巡目切りで、小倉がポン。切り。

たろう語録の一つに、
「鳴かせるのはいいけど、自分が振り込むのは罪」と言うのがある。
ちょっと同意出来かねる部分もあるが、たろうならドラを切ってもおかしくないか、とこの言葉を思い出して納得した。

一気に場が凍りつくが、北家たろうはもちろんテンパイ、小倉はイーシャンテン。
この後、東家小倉が、とツモ切りの後、手出しで打。

同巡、を掴まされた北家たろうの手が止まる。

北家たろう１４巡目。
　ツモ　ドラ

を続けてのトイツ落としならまだしも、ツモ切りを入れての。

このを取っておく意味はまったくなかったのだが、東家小倉の離し切りにより、が打てないものとなってしまった。

カン待ちから、を入れての‐待ちがある。

この１枚の切り方により、回らされてしまった北家たろう。
押していれば、小倉からアガリが取れたのだが、「自分が振り込むのは罪」なのだから打てないだろう。

結果、東家小倉が終盤に４０００オールをツモアガる。

東家小倉１７巡目
　ポン　ポン　ツモ　ドラ

同１本場は、東家小倉が西家達也から、２９００は３２００をアガリ、トップ目のたろうまで１９００点差と迫る。

同２本場、点棒状況は以下の通り。
東家小倉　　３５２００点
南家赤坂　　　６８００点
西家達也　　２０９００点
北家たろう　３７１００点

あっという間にテンパッたのが赤坂。

南家赤坂３巡目
　ツモ　ドラ

切りでダマ。ハネマンをツモれば３着浮上なので、リーチでもいいと思ったが、北家たろうからは当たれないので、ラスを覚悟のダマ。

先刻のたろうのドラ切りの印象が残ったのかも知れない。

６巡目にを引くのだが、が場に２枚出ており、切りでダマ続行。

南家赤坂６巡目
　ドラ

すると８巡目に東家小倉からメンピンリーチ。

６回戦南４局２本場東家小倉８巡目
　ドラ

これに赤坂もツモ切りリーチで追っかけるが、この待ちでは達也も差し込みは出来ず、小倉に軍配が上がる。
１３００オールの２本場＋リーチ棒つきで、逆にたろうを５１００点離しトップに立つ。

同３本場は、一通の手変わりを見てダマにしていた北家たろうが、１４巡目にピンフのみでツモ切りリーチ。

北家たろう１４巡目
　ドラ

赤坂がドラの、達也が無スジのと当たりそうなところを抜きに行くが、一発では差し込めず。
二発目に差し込んだ達也のにたろう止まるが裏々条件。しかし‐は場に６枚なのでツモがほぼ見込めない。

仕方なしにロンするが、裏１枚までで小倉のトップ。

ここまで、小倉が６戦４勝。まだ序盤だが、小倉優勝のムードが色濃く漂う。

６回戦終了時ポイント
小倉　　＋２６９.９
たろう　＋　２８.４
達也　　△　６４.９
赤坂　　△２３３.４

７回戦　小倉−赤坂−たろう−達也

トップ・ラスで８０以上差がつく協会ルールとは言え、これ以上小倉に独走されると追いつけなくなる。
先ほどの捲られ方はひどかったが、小倉だけにはトップを取らさないという３人の結束がそろそろはっきりと現れてきたように思う。

この回まず先手を取ったのは西家たろう。

東１局西家たろう５巡目
　ドラ

捨て牌にと並んでいるので、すぐにアガれるかと思いきや長引き、逆に南家赤坂のリーチに一発で刺さってしまい５２００の放銃。

南家赤坂１２巡目
　ロン（一発）　ドラ　裏

赤坂吹っ切れたのか、東３局にもマンガンをツモり、他家を引き離す。

東３局北家赤坂１０巡目
　ポン　ツモ　ドラ

東４局には、南家小倉のリーチに東家達也もリーチで応戦する。

南家小倉１２巡目
　ドラ

東家達也１３巡目
　ドラ

しかし、達也の気合いのリーチは空テン。小倉がしっかりとをツモリ、1300/2600。

南場に入り、やっと達也らしいアガリが出る。

普通の捨て牌で、と手出しで１２巡目にリーチ。

一発でをツモると、開けた手はチートイツ。裏ドラも乗り、ハネマン。
場には、が1枚、とが３枚ずつなので、確実に山にいる自信があっただろう。

北家達也１３巡目
　ツモ（一発）　ドラ　裏

ここからは点棒が細かく動き、オーラスでの状況は、

東家達也　　３０１００点
南家小倉　　２６１００点
西家赤坂　　２７４００点
北家たろう　１６４００点

オーラス、まずテンパイを入れたのが、西家赤坂。

南４局西家赤坂１３巡目
　ドラ

東家達也とは２７００差。ツモか直撃、もしくは高め出アガリでトップであり、ダマを選択。
自身のポイントを考えるとトップを取らなければ話にならない。
しかし、脇から見逃してる間に、小倉が捲りトップという最悪な展開もある。

すると、同巡北家たろうがテンパってリーチ。

北家たろう１３巡目
　ドラ

これで赤坂は、安めでもアガればトップとラッキーな状況になった。
しかし次巡、赤坂はたろうに無スジのを持ってくると、少考し現物のを抜きオリてしまった。

結果はテンパイを入れていた小倉が、のワンチャンスのをツモ切り、北家たろうに放銃。
三者の思いが実ったか、初めてのラスを引いた小倉。
それにしても・・・。
半荘終了後、赤坂の中途半端さに疑問を感じ、ちょっと訊いてみた。

「赤坂、優勝諦めたの？」

「いや、諦めてないよ」

「じゃー、トップ取りに行かないとしょうがないじゃん！は小倉の現物だし、たろうに打つ分には仕方ない。
小倉にトップ取られるのが最悪の結果なんだから」

「まあこれからトップ取るから・・・」

リーグ戦後半、赤坂にやっつけられて決定戦に出られなかった人間としては、赤坂らしい麻雀を打って、いい戦いにして欲しいと願う。

７回戦終了時ポイント
小倉　　＋２２８.０
たろう　＋　１２.８
達也　　△　１４.８
赤坂　　△２２６.０

８回戦　達也−小倉−赤坂−たろう

小倉にやっとラスを押し付けたものの、他の三者から見れば、まだ一矢報いたという感覚はないだろう。
それくらい、小倉のリードは広い。
さらに小倉にラスを重ねること、それが当面の三者の目標になる。

東１局、７回戦でトップを取り、かろうじて詰め寄った達也が先制リーチ。

東家達也５巡目
　ドラ

８巡目、南家小倉も親リーに怯まず、現物待ちで追っかける。
小倉には、前回ラスを引いたことによる気後れとか、対親リーチに対するひよりというものが一切ない。まったく感心させられる。

このリーチ対決は、達也がを掴み、裏も乗ってマンガンの放銃。

南家小倉１２巡目
　ロン　ドラ　裏

これには別の結末を迎える可能性があった。
北家たろうが６巡目にして十分形のイーシャンテン。ツモ切りが続いた後引いたのが。

北家たろう１０巡目
　ツモ　ドラ

は２軒リーチに危険牌で、仕方なく今通ったばかりの切りとすると、次巡のツモは。
押していれば一発ツモでマンガンだったが、２軒リーチを受けては、たろうも厳しかったか。

東２局は、もうトップを取らなければ始まらない赤坂が、１１巡目に会心のリーチ。安めながら裏が乗り、2000/4000で小倉に親かぶりさせる。

南家赤坂１４巡目
　ツモ　ドラ　裏

赤坂、少しは目が覚めてくれたか？

東３局、西家達也が最初のツモで９種となり国士を狙う。

これがまったく入らず、中盤からブラフ気味に余らせる。
達也は国士のブラフは昨年の決定戦でもやったのだが、4枚見えている牌がないだけに、万が一を考えると他家も困る。
特に決定戦では、９分９厘通るだろうと思っても、打ったら恥ずかしいとか、致命打になるということが頭に浮かび、中々勝負出来ない。
そこまで考えてのブラフだから、いい意味で達也はいやらしい打ち手ではある。

東家赤坂、１５巡目にラス牌のを引いて、次巡を引くが、が打てずにツモ切り。

東家赤坂１６巡目
　ツモ　ドラ

同じく北家小倉、１２巡目にラス牌のを引いて引っ張っていたが、１６巡目に長考。

北家小倉１６巡目
　ツモ　ドラ

もちろんラス牌のを切るかどうかだが、小倉の選択は、達也を立てて切り。
これに赤坂が食いつき、場にが4枚見える。
これで小倉もを切るがテンパイを取れず。東家赤坂と南家たろうの二人テンパイ。

続く同一本場は、その達也が８巡目にドラのを切ってリーチ。

　　　　　　　　　　　　↓　　 　↓　　　↓
捨て牌は、　（↓はツモ切り）

と気味が悪い。普通に考えれば、達也得意のチートイツのような河。

安全そうなを東家赤坂がツモ切ると、「ロン」の声。
何のことはないノミ手だが、これが裏３でマンガンに。

西家達也１０巡目
　ドラ　裏

トップからラスに点棒が動き、混戦になった。

南場に入り、微差のトップ争いから抜け出したのは、ここまで静かだった南家小倉。
１１巡目ホンイツテンパイから即ツモ。1300/2600。

南１局南家小倉１４巡目
　ポン　ツモ　ドラ

南２局には２着目の赤坂が、再度東家小倉に親かぶりをさせようと、８巡目に勝負リーチが入るのだが、これがあっさり流局。

南家赤坂８巡目
　ドラ

この流局で親が流れ、南３局１本場。先手を取ったのは北家小倉。７巡目ポンの後、
９巡目にチーを入れてテンパイ。

北家小倉９巡目
　チー　ポン　ドラ

この仕掛けを見て、南家たろうがツモ切りリーチと行く。
小倉からすれば、西家達也から暗カンが入っているにも関わらずのたろうツモ切りリーチは、愚形で大したことがないと読んだかも知れない。
実際にはその通りだが、小倉真っ向勝負でツモ切りの後、ドラので放銃となる。
ここは、たろうツモ切りの間に通ったのトイツ落としでも良かったか。

南家たろう１２巡目
　ロン　ドラ　裏

小倉からたろうへ５２００は５５００の放銃で再び混戦に。

オーラスを迎えての点棒状況は以下の通り。

東家たろう　２６１００点
南家達也　　１９８００点
西家小倉　　２７２００点
北家赤坂　　２６９００点

この局に本日一番のミラクルが起こる。

トップ争いから一人離された、南家達也の配牌は以下の通り。

南４局南家達也１巡目
　ドラ

これが６巡目に確定三色のテンパイ。即リーチ。

南家達也６巡目
　ドラ

ツモれば文句なくトップだが、西家小倉以外からアガった場合、裏次第でトップになるが、
裏が乗らなかった場合、小倉トップ・達也３着という最悪の並びになる。

そんな悩みもあったが、現物が切れた西家小倉からスジを追ってが飛び出す。

そして、裏ドラは・・・。

達也にとっては、自分がトップ、小倉ラスという最高の形だ。

小倉で決まりだという会場内の雰囲気が、まだまだ一波乱起こるという空気に変わった瞬間であった。

８回戦終了時ポイント
小倉　　＋１８７.２
達也　　＋　３３.０
たろう　△　　１.１
赤坂　　△２１９.１

９回戦　小倉−達也−赤坂−たろう

一人走っていた小倉がまさかの２連続で捲られラス。
しかし、小倉は常に点棒を持っていて、ラスを押し付けるのも三者は一苦労といった様子である。
小倉がこのまま落ちるか、追う者の息が切れるか。

東１局、起家スタートの小倉、２ラスで足が止まるどころか、８巡目に先制リーチ。

東家小倉８巡目
　ドラ

これを追って、チャンタ・三色を狙って進めていた、南家達也が親に喧嘩を売って追っかけリーチ。

南家達也１１巡目
　ドラ

この勝負は達也が安めのを掴み放銃。裏ドラは何と小倉に２枚ので１２０００のアガリ。

達也としては、８回戦でオーラスで直撃出来た勢いを買ったのか、小倉がよくやる愚形リーチに惑わされたのかはわからないが、
出来そこないの手で親リーチに勝負では、やはり分が悪かった。

東２局には南家赤坂が７巡目までに３つ仕掛けて流しに行く。

南家赤坂７巡目
　ポン　チー　ポン　ドラ

すると、またもやリーチは北家小倉。点棒を持ったからと手を休めない。ドラ切りで即リーチと行く。
ここでは、ドラ固定で一旦を切って、ピンズの伸びに期待するのもあるかなと思った。
しかし、小倉の打ち方からすれば即リーの一手だろう。

北家小倉８巡目
　ツモ　ドラ

これに対し、４センチの赤坂は目をつぶってツモ切りするのみ。山にいそうな−がまったく現れない。

達也は１３巡目に追いつき、先行小倉の現物につきダマを選択する。
しかし、次巡、を引き少考し、切りリーチと出る。

東家達也１３巡目
　ツモ

東家達也、一発目のツモに力が入る。しかし、一発目にツモったのは。
達也、力なく河に置き、小倉に放銃。

東１局に続き、裏が乗って８０００。

ズブズブの達也、東３局にもソウズのメンホンイーシャンテンから、たろうのホンイツに８０００を放銃し、ついにハコ下に。

東３局南家たろう１２巡目
　ポン　ポン　ロン

「点棒を貸して下さい」
達也の苦渋の声が響く。

東４局、その達也にアガって下さいと言わんばかりの配牌がくる。

北家達也１巡目
　ツモ　ドラ

２巡目に中を仕掛け、すでにイーシャンテン。

これに待ったをかけたのが東家たろう。６巡目に本手のリーチ。

東家たろう６巡目
　ドラ

北家達也も９巡目にを引き入れテンパイするが、たろうの現物で張っていた赤坂が、を掴み放銃。
裏は乗らず、７７００。

達也からすれば、この配牌がアガれないのはきついだろう。

しかし、迎えた南２局１本場。ハコ割れの東家達也、しぶとく４巡目にドラ３のリーチ。ほどなくツモリ、４０００オールの１本場。

東家達也９巡目
　ツモ　ドラ　裏

簡単にマンガンをアガッた東家達也。同２本場でも配牌でドラが２枚のチャンス手が来る。

南２局２本場東家達也５巡目
　ツモ　ドラ

チャンス手なだけに仕掛けての５８００では寂しい。ここで東家達也はと切る。
二度受けになる可能性があるのでもっともそうな切りだが、これが裏目に出る。

この後、とツモ切って、やっとツモ。

１１巡目に西家たろうがツモ切ったを北家小倉がチーすることにより、南家たろうにが流れたので、
西家たろうから出アガリもしくはツモアガリとなっていた。

結果論でアガリ逃しであるが、を切った時にのトイツ落としで、いざという時に動ける体制にしておくのが、
点棒がない親で最善の策ではないか？

結局、をツモってイーシャンテンになった後、８巡連続ツモ切り。
達也の反撃もここまでで、結局しっかりとトップ目の北家小倉が１０００は１６００で流した。

オーラスの点棒状況

東家たろう　３１８００点
南家小倉　　３９８００点
西家達也　　１２７００点
北家赤坂　　１５７００点

親のたろうがトップの小倉に８０００点差と迫っているので、西家達也、北家赤坂の２者は競っているとはいえ安い手では流したくないだろう。
しかし、達也の立場なら３着に上がる場合はアガらないわけにもいかない。

南４局、まずはたろうが３巡目に露骨にソウズを仕掛ける。上家から下ろしてもらえることも想定しているだろう。

東家たろう３巡目
　ポン　ドラ

最初のツモでドラのが暗刻になったのが、北家赤坂。これなら南家小倉から直撃出来る。
１１巡目にホンイツに仕上げ、地獄単騎だがハネマンのテンパイ。

北家赤坂
　ポン　チー　チー　ドラ

トップ目の小倉から出ても自身は３着のままだが、小倉のトップを潰すことはできる。

しかし、実はテンパイ一番乗りは西家達也であった。５巡目で単騎のテンパイだが６巡目にを引いて切りで崩す。

西家達也６巡目
　ツモ　ドラ

次巡ツモもテンパイ取らずのツモ切り。１０巡目にさらにを引いてテンパイを取り、１２巡目にさらにを引き暗カン。

西家達也１２巡目
　カン　ドラ　カンドラ

手変わりしないまま、１２巡目に北家赤坂から出たで渋々アガリ、１６００の直撃で３着終了。
さすがに赤坂もテンパイであるから、致し方なし。

９回戦終了時ポイント
小倉　　＋２４７.９
たろう　＋　１０.７
達也　　＋　　７.３
赤坂　　△２６５.０

１０回戦　小倉−赤坂−達也−たろう

ラスラスの後、すぐにこうしてトップを取り返す。小倉はホントにポイントを減らさない。

対照的に一人マイナスの赤坂。
「悪いことはしてないんだけど、手が入らない」
初日から対局が終わる度にぼやいていた。
しかし、後ろから見ていると手順ミスや局にマッチしない手牌進行が目立つ。

東１局南家赤坂４巡目
　ツモ　ドラ

が入ればメンピンイーペーコーのイーシャンテン。はたまたま残しておいたものだろう。ここに１枚切れのをツモ。

テンパッたらリーチに行くと決めていたのだろう。をツモ切り。

絶対とは言わないが、親は当面の敵小倉。を叩いて流しに行く意識が必要だろう。
場にを切ってあるが、私なら。を叩いても雀頭は簡単に出来る。

嫌な予感が的中する。６巡目、７巡目と続けてドラのを引く。

南家赤坂６巡目
　ツモ　ドラ

仕掛けの利くを残しておけば、と払うタイミングがあるのだが、

場に１枚切れのとドラのでは、ここでのトイツ落としをするより他がない。

結果、１２巡目に暗刻になったでテンパらず、当然１３巡目に他家がツモ切ったも払ってあるため鳴けず。
終盤に３軒リーチに挟まれ、中抜きのオリに。

東家小倉１４巡目
　ドラ

北家たろう１４巡目
　ドラ

西家達也１６巡目
　ドラ

結果論と言えばそうかも知れないが、１２巡目にテンパっていれば、たろうの１３巡目と小倉のリーチ後１５巡目にがツモ切られている。

１０回戦東１局南家赤坂１２巡目
　ドラ

マンガンをアガれたはずが、３人テンパイに一人中抜き。赤坂の心境たるや。

３人リーチの結末は、３メンチャンの西家達也の待ちが強く、北家たろうから一発で出アガリ。裏が乗ってハネマンの好スタート。

西家達也１６巡目
　ロン（一発）　ドラ　裏

東２局も南家達也と西家たろうのリーチがぶつかる。

南家達也１２巡目
　ドラ

西家たろう１２巡目
　ドラ

ここも３メンチャンの達也がをツモり2000/4000で他を引き離す。

全然テンパイの入らない赤坂だったが、東３局では手なりで５巡目にテンパイ即リーチ。
達也がツモ切ったにロンで裏が乗り、５２００。

北家赤坂７巡目
　ロン　ドラ　裏

続く東４局では、北家達也が８種からダメ元で国士を進める。８巡目で手の内には中張牌がまだ３枚。
東家たろうは１０巡目にテンパイしてリーチ。

東家たろう１０巡目
　ドラ

何のことはないノミ手のリーチだが、何とこの親リーチに北家達也が、、と押す。
今度ばかりはさすがにブラフではない。

達也の手を見ると、３巡連続で有効牌を引いており、待ちの国士テンパイ。

北家達也１１巡目
　ドラ

確実に山に２枚眠ってそうな、何ともアガれそうな国士。小倉から出るようなことがあればかなりポイントを縮めることが出来る。

そして１３巡目の小倉の手出し牌に、「ロン！」の声が。

「・・・２０００」

手牌を倒したのはたろうであった。小倉はワンチャンスでの打ち込みである。
達也の国士は実らず。

最終戦になりギャラリーも増えている。漫画家の片山まさゆき先生も熱心にたろうの手牌進行をご覧になっている。

南１局北家たろう６巡目
　ドラ

四暗刻まである大物手。
５巡目にドラを切った以外は、特に目立たない捨て牌。
このに西家達也からポンの声があったが、これはかなり遠い仕掛け。

ドラポンが入った後、８巡目に東家小倉がをツモ切るが、伝説の四暗刻男は動かない。
をスルーした手前、同巡に西家達也がツモ切ったにも反応しない。

５巡ツモ切りが続いて、手出しの打が入った。

すると１４巡目赤坂からリーチ。

１０回戦南１局南家赤坂１４巡目
　ドラ

このリーチを受け、たろうが牌を右端に置いて長考する。

そしてをツモ切りリーチ。２巡後にを持ってくるのが嫌な感じだが、終局間際にツモ、3000/6000。

北家たろう１８巡目
　ツモ　ドラ　裏

「字牌は枯れていたんですけど、だけは地獄で悩むなーと考えていたところに引いちゃったんですよ。
結局、待ちの多さにしちゃいましたけど」

先にでもアガれたのだが、実は赤坂がまたもやアガリを逃している。
１１巡目にを引き下のイーシャンテンになる。

南家赤坂１１巡目
　ツモ　ドラ

ドラのがポンされているので打。

この時点でが西家達也の捨て牌に３枚、北家たろうの捨て牌に１枚捨ててあり空。

次巡ツモでツモ切り。１４巡目にツモで切りの、実質−待ちの３メンチャンでリーチをかけるが、

一発目はツモ。本来ならマンガンをツモっている。

当然、麻雀は一人でやってるものではない。
たろうの捨て牌があまり偏ってないとはいえ、テンパっていれば確かにソウズは危ない。

ドラをポンしている達也にはは通るがは当たるかも知れない。

しかし、しかしである。
このポイント状況で、安全ばかり追求しているわけにはいかない。
普段の赤坂の麻雀は、もっと気持ちが良い。打てば打ったでいいし、ストレートにアガリを狙うのが彼の持ち味のはずである。
ここまでの赤坂を見ていると、まったくそれが生かされていないように感じた。

小倉がラス目で迎えた南２局は、リーチをかけた東家赤坂から北家小倉がホンイツ・ドラ１の５２００を討ち取る。

北家小倉１０巡目
　ポン　ロン　ドラ

赤坂、牌運にも恵まれない。

次の南３局には、再度達也とたろうの手がぶつかった。
先行したのは東家達也。ドラ入りの３メンチャンで自信満々のリーチ。

南３局東家達也７巡目
　ドラ

これに追いついたのが南家たろう。
同巡カンのテンパイから９巡目にを引き、ドラまたぎで暗刻スジのを切って勝負のリーチ。

南家たろう７巡目
　ドラ

この勝負はたろうからすれば、勝ったと思ったのではないか？
しかし、無常にも一発目のツモはで東家達也に放銃。裏ドラもで１２０００。

「達也のリーチにことごとく負けた」
という、今日のたろうのコメントにも表れた一局だろう。

達也が５００００点オーバーとなり、ダントツの地位を築く。

同１本場。達也にピンズの一色手。５巡目にドラのを切ると、西家小倉がポン。
手バラかなと思いながら小倉の手を見ると、案の定。いやそれ以上か？

南３局１本場西家小倉５巡目
　ポン　ドラ

これを咎めるように、２着小倉まで８８００点差の３着目、赤坂が６巡目にリーチ。

北家赤坂６巡目
　ドラ

そして、東家達也も８巡目にテンパイし、慎重に闇テン。
タンヤオ仕掛けの小倉から討ち取れるかも知れない。

東家達也８巡目
　ドラ

この時点で南家たろうがを１枚持っているだけで、アガリ牌は場に３枚生きていた。

たろうがをトイツにして、残りはが山に２枚。

そして、１１巡目にを重ねてトイツにしていた西家小倉が、リーチ者の北家赤坂からをポンすると、

本来赤坂に流れていたはずのを小倉が終盤食い取る。

さすがに達也と北家の赤坂に打てないのでギブアップ。
さらに小倉にもう１枚のが流れて流局。

流局後の同３本場では、西家小倉が６４００の手を達也からしっかりとダマで討ち取り、２着が安泰に。

西家小倉１４巡目
　ロン　ドラ

オーラスでの点棒状況は以下の通り

東家たろう　　８０００点
南家小倉　　２８８００点
西家赤坂　　１４７００点
北家達也　　４８５００点

南４局、ラス目の東家たろうがテンパイ連荘で粘るが、２本場で北家達也が流し、２日目が終了。

南４局２本場北家達也１２巡目
　ツモ　ドラ

１０回戦終了時ポイント
小倉　　＋２５４.７
達也　　＋　７７.４
たろう　△　３８.７
赤坂　　△２９３.４

前半の２日間が終了し、小倉の安定感が目立った。
小倉は愚形リーチのイメージが強いが、仕掛ける時はホンイツなどの手役を作って打点が高い。
小倉はすでに狙われる立場となっているが、簡単には崩れないだろう。

トータル２位の達也は、初日こそ「らしさ」が出なかったが、２日目を見る限りでは十分チャンスがある。

たろうは、小倉にドラを鳴かせてトップを捲られた半荘が痛すぎ。これが最終的に響いてくると思うが、常にトップを狙う姿勢には可能性を感じる。

赤坂は、２日間通して、行きすぎたり、逆に狭く受けすぎたりバランスが良くなかった。トップの小倉とは５５０ポイント差。
１０回戦で最低でも７トップを取らなければダメだろう。
開き直って自分の麻雀が打ち切れれば、決定戦も盛り上がる。

残るは１３日、１４日の計１０半荘である。
これからの４人の好勝負に期待したい。

文：阿賀　寿直

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