順位 |
名前 |
TOTAL |
1日目 |
6回戦 |
7回戦 |
8回戦 |
9回戦 |
10回戦 |
1 |
鈴木 たろう |
337.7 |
318.5 |
-38.3 |
55.7 |
-34.5 |
-17.1 |
53.4 |
2 |
木原 浩一 |
27.8 |
-97.1 |
5.1 |
-18.9 |
68.2 |
57.3 |
13.2 |
3 |
鈴木 達也 |
-105.8 |
-97.2 |
50.0 |
9.0 |
-56.6 |
11.8 |
-22.8 |
4 |
金 太賢 |
-260.7 |
-125.2 |
-16.8 |
-45.8 |
22.9 |
-52.0 |
-43.8 |
【2日目観戦記】
| 1日目観戦記 | 3日目観戦記 | 最終日観戦記 |
鈴木たろう5連勝という波乱(?)の初日を終え、流石に他の3人は心中穏やかではないであろう。
とかなんとか言っても、連日で行われる決定戦2日目。
『気持ちの切り替えはお早めに』というようなスケジュールである。
この5連勝のポイント差はとてつもなく大きいが、この状況では残り15半荘のほとんどが1vs3の構図で進行するはずである。
3人は連合軍となってたろうを引きずり下ろすことで目標はまず同じ。
この2日目は、たろうがどうこの差をキープしていくのか、3人の波状攻撃をどう捌いていくのかに焦点をもっていかざるを得ない。
★6回戦★ (達也-木原-たろう-金)
この日最初に開かれたのは、たろうの手。
300・500であるが、比較的安全かつ最速の手順で和了。
言うことなし。
東2局は親の木原が高め三色のこの手をリーチ。
東家木原 9巡目
ドラ
達也もほどなくして追いつく。
西家達也
ドラ
軍配は達也。
をツモって2000・4000。
達也を知っている人間なら当然思っているであろうが、達也は七対子の選択が非常にうまい。
配牌からディフェンスを強いられるような形でも、何かとこの手で躱してくる印象がある。
続く東3局。配牌ドラ2の親番たろう。とはいえ他はかなりバラバラ。
4巡目でを重ね5巡目から仕掛ける。
東家たろう 5巡目
ポン ドラ
この仕掛けを見て、直後に達也がリーチ。
西家達也
ドラ
前巡に待ちでテンパイしていたがが全て場に顔を出したのでは待ちとしてかなり優秀だ。
たろうはドラを更に引き入れ臨戦態勢、そして13巡目に待望のが達也から放たれテンパイ。
ポン ポン ドラ
・待ちもなかなか良いのだが、終盤に無スジのを引いたのでここは待ち変え。
ポン ポン ドラ
両脇の二人はこのたろうの押しを横目に完全撤退、こうなると達也の待ちが打たれることも望み薄だ。
流局間近、達也からドラのが放たれる。
『カン!』
後ろで見ていた私も心の中で発声をしていた。
カン ポン ポン ドラ
まぁね、そりゃ攻めますよ。
たろうだもの。
結局、達也のアガりとなるが、たろうの精神状態は普段と全く同じという印象をあの場にいた全員が持ったのではないだろうか。
南1局のたろう、ここも軽快に仕掛け7巡目にテンパイ。
西家たろう 7巡目
チー ポン ドラ
ドラのは、達也と金に1枚ずつという状態なので、木原も含めた3人は少々オリ気味。
このオリ気味の3人の捨て牌を見てたろうは、13巡目に金から出たアタリ牌のをなんとスルー。
後ろで見ていた私は『あれ、この人寝てるの?』と思ったのだが、どうやら1000点のアガりではなく3000点のテンパイ料を取りにいったようだ。
『みんなオリ気味だったからさぁ。あの状況なら1回くらい見逃してもまた出てくるでしょ?』
と思ったらしいが、このを達也がポン。あのぉ3枚ほど減りましたけど?
『ポンって言われて、遅れてロンって言えないしさぁ。はははっ』
何なんでしょう、この余裕。
結局、2巡後に金からが出て事なきを得るのだが、
こういった大舞台の経験が豊富な彼のメンタル面を心配するのは、この2局を見て無駄ということが判明した。
南2局は親番の木原1人テンパイ、1本場は達也から2900は3200の出アガりと連荘するのだが、2本場は達也が力強くリーチ一発ツモ。
北家達也 12巡目
リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ
私は謎のツモ切りリーチとよく言っているのだが、こうもあっさりと一発と裏ドラで3000・6000とか言われると
『この人は、普段何を食べているのだろう?』と思ってしまう。
そういえば、昨年度の雀王決定戦でもこのに随分好かれていたような・・・
あぁなるほど!この人はの在処がわかるんだな!
・・・そんなわけない。
たろう1人テンパイの後の南3局1本場。
点棒状況は以下の通り。
達也47300 木原17100 たろう21700 金13900と、達也が大きくリード。
こうなると、達也はたろうの着順を一つでも落とす為に、あの手この手で仕掛けてくるだろうと誰もが思っていただろう。
西家達也 7巡目
ドラ
このリーチを受けて、満貫を打てばラスまで落ちてしまうたろうは、少し回り道。
さぁここは連合軍の攻め所、金もを仕掛けて無スジをバンバン切り飛ばす。
『達也は自分からはアガらない。自分が追いつくのを待っているはずだ』
そう、その信頼性は限りなく100%。
そして、14巡目に追いつく。
南家金 14巡目
ポン ドラ
捨て牌は明らかにピンズの混一に見えるので、たろうからの出アガりは難しい。
この結末は?
西家達也 15巡目
ツモ切り ドラ
南家金 15巡目
ロン ポン ドラ
ということで、金が望み通り8000は8300のアガり。
???
達也は自分のアガり牌を高速ツモ切り。
なんと金に差し込みにいったのだ。
高目ならたろうに親被りさせられるのでアガるつもりだったらしいが。
これは、ファンタジスタの名前に嘘偽りなしというところをまざまざと見せつけられたようだ。
皆さんもお解りだと思うが、着順が一つ変われば20pの差が生まれる。
リーチ棒を含め9p失ったとしても、自分の着順が変わらなければ、差し引き11p詰め寄ることになるわけだ。
これで、金が2着に浮上、たろうは3着へ。
南4局を迎えてたろうは、達也との差が16300点。金との差が1600点。トップを狙うにしても2着を狙うにしても、まだまだ現実味のある点差だ。
いかに1vs3の構図とはいえ、全く不利な状況とは言いきれない。
しかし、この戦いの結末も連合軍の勝利。
西家木原 14巡目
リーチ一発ロン ドラ 裏ドラ
8000の出アガり。そして、このアガりを演出したのは、達也である。
木原の捨て牌
リーチ
南家達也 14巡目
ツモ
打で一発放銃。なるほど。
???
簡単に打ちましたけど。
『木原君は絶対来るからさぁ、怪しいのターツは残そうと思ったんだよね』
だそうだ。
これには、会場全体が唖然としてしまった。
立会人の大浜も『天才としか言いようがない』と、もはや両目がハート型になっている。
実はたろうもピンフテンパイが入っている。
このピンポイントの差し込みがどれほどすごいものか、皆さんもお解りであろう。
満貫二発の失点は大きいが、躊躇無く2局連続で差し込みを行い、完全なまでに狙いすましたたろうとのトップラス。
ファンタジスタが演じたこの劇場に会場はしばらく響めきが収まらなかった。
達也+50.0 木原+5.1 金▲16.8 たろう▲38.3
(6回戦終了時)
たろう+280.2
達也▲47.2
木原▲92.0
金▲142.0
★7回戦★ (木原-金-たろう-達也)
6回戦の劇団ファンタジスタ公演に、もはや会場全体が追い上げ期待のムードに包まれている。完全にたろう、悪者です。
開局を制したのは金。
南家金 12巡目
リーチツモ ドラ 裏ドラ
たろうも金のリーチ後、を暗カンし追撃の意志を見せると、達也がさらにリーチで被せるなどと、頭からバチバチ火花が散っている。
金と木原の2人テンパイの後の1本場、木原がようやく待望の一撃を炸裂させる。
北家木原 13巡目
ロン ドラ
達也の七対子リーチをかいくぐってのアガり。
しかし、飛び込んだのは親の金。金は予期せぬ大きな失点がこの決定戦、多く見られる。
東3局のたろうはまたも大ミンカンで主導権を握ろうとするのだが、これが逆効果となってしまい全員ノーテン。
それにしても、たろうはカンが大好物のようだ。
東4局は達也の親番。
達也の一人テンパイの後、1本場は木原とのリーチ合戦を制し4000オール。
その後の2本場、たろうがまたも仕掛け始める。
詳しくは全体牌譜を見て頂きたいのだが、この仕掛けちょっと人には真似ができない。
これまでもそうだが、
『主導権取りたいなぁ打法』
『後は野となれ山となれ打法』
『みんなさっさとオリてね打法』
とにかくどれが本物なのかわからない。(どれも本物かもしれない)
親の達也から反撃のリーチが入り、今回は『後は野となれ山となれ打法』になったが、まぁこの人アタリ牌を掴まない。
そして、まんまと躱しきるのである。
しかも、最後のドラで8000は8300を親の達也からむしり取るわけだ。
北家たろう 15巡目
ロン ポン ポン チー ドラ
この決定戦のたろうはいつもと何かが違う。
何かに守られているような感じがする。
一部の人は、たろうの嘘みたいな放銃を心のどこかで期待しているのだが。
なかなか期待に応えてくれない。(書いていいのかな?こんなこと)
南場はすぐさま達也が2000・4000で点棒を補充した後、淡々と進行し、達也リードのままオーラスを迎える。
南4局の点棒状況は以下の通り。
木原24100 金17200 たろう23700 達也35000と、今回も6回戦のオーラスと少し似たような状況だ。
たろうは満貫ツモでトップに躍り出ることができるこの状況。
北家たろう 6巡目リーチ
ドラ
ずるい。高めもしくは一発・裏ドラが必要であるとはいえ、トップ条件を満たすこのリーチ。
やはり見えない力がたろうの背中を押しているのではないか。
やれやれ全く空気の読めない力だ・・・。
リーチ棒が出たため一時的に2着に浮上した木原、をポンした後だったが反撃するにはほど遠い。
達也は勿論打てない、ならば勝負をするなら金か?と思ったがこちらも手が重い。
緊張感の張りつめた終盤。残り2巡。
このままだと海底がたろうに回ってしまう状況で、金が考え込む。
海底をずらすか否か。
ふーっと大きく息をついた後、金は牌山に手を伸ばした。
会場全体が息を飲む中、たろうは海底牌をグリグリとラシャにこすりつける。
北家たろう 18巡目
リーチツモハイテイ ドラ 裏ドラ
会場にため息が充満する。見えない力は偉大だった。三人の顔が歪む。
最悪たろうにトップを取らせるくらいなら、ツモられる前に差し込んでしまえばよかったんじゃないのか。
しかし、巡目が深くなるにつれ、このまま終わってくれればリーチ棒を出したたろうが3着のまま終わってくれるんじゃないのか。
そんな期待がこの最悪のシーンのイメージを徐々に薄れさせていったのかもしれない。
たろう+55.7 達也+9.0 木原▲18.9 金▲45.8
(7回戦終了時)
たろう+335.9
達也▲38.2
木原▲110.9
金▲187.8
★8回戦★ (たろう-達也-木原-金)
たろうが木原の混一に飛び込む。
南家木原 8巡目
ロン ポン ポン ドラ
これまでずっと我慢に我慢を重ねていた木原はシンプルな手牌進行と押し引きでこの4人の中で一番奇手が少なく、手堅い選択をする打ち手という印象がある。
前局のアガりの勢いのままに、木原が点棒をかき集める。
東家木原 11巡目
ツモ ドラ 裏ドラ
この4000オールで一気に後ろを引き離す。
かし、金も負けてはいない。
東家金 16巡目
リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ
こちらは一発ツモで4000オール。長く我慢を強いられていた二人が漸く息を吹き返し始め、この半荘は2人を中心に局が進んでいく。
南1局はその2人の勢いを殺さないようアシストかと思う達也のアガり。
南家達也 7巡目
ロン ドラ
金から1000点のアガり。自分も大きく加点をしたいところであるはずだが、ここは確実にたろうの親を落としにいった。
とにかく達也は、徹底してたろうの妨害をしようとしているのは間違いない。この半荘は、たろうと心中するつもりだ。
南3局の達也の親が落ち、これで木原と金のマッチレース。
決定戦も中盤に差し掛かったところで、2人とも是が非でも初トップが欲しい。
そして、金が大きなアガりをものにする。
南家金 11巡目
リーチツモ ドラ 裏ドラ
なんと裏ドラ3枚のって、3000・6000。目下ライバルの木原に大きな親被りをさせることとなった。
南4局の点棒状況は以下の通り。
金48900 たろう8500 達也6400 木原36200
金は満貫をツモられてもOKの比較的安全圏へ。
親なので、ここはたろうをラスに落とすまで連荘しにいくだろう。
そう思い、金の後ろでその動向伺っていた。
東家金 配牌
ドラ
場風のがカンツ。大きな加点が見込めそうであるが、暗カンするには少し微妙だ。
新ドラ次第では、木原にハネ満ツモか満貫の直撃のチャンスを与える可能性もある。
しかも他の2人からもリーチ棒が出ると、ハネ満ツモ条件が満貫ツモ条件になってしまう。
一方、木原の配牌。
北家木原 配牌
ドラ
ちょっと厳しい、いやかなり厳しい。
跳満ツモの条件なら、真っ先に思い浮かぶのがリーチツモ七対子ドラ2ぐらいなものだが、これはツモ次第で、
たろうをラスに落とすという選択も視野に入れざるを得ないか。
金は4巡目にを1枚外し、大きな加点を諦め柔軟な構えに。しかし、ここから進行が止まってしまう。
あっという間に局は終盤へ。
なかなかテンパイができない金。達也は、捨て牌からしてテンパイがどうも難しいようだ。
ならばもう一度連荘して次の局へ繋ごうと、流局間近にチーを入れテンパイを果たした直後、思わぬ光景が目の前に飛び込んできた。
北家木原 17巡目
ツモ
木原の手牌は飛躍的な進化を遂げていた。怒濤の勢いでタンヤオ牌を引き寄せ、見事な3000・6000。再逆転でこの半荘を制する。
目標がはっきりとしていた木原に対し、選択の余地が多数存在した金。
前局、僥倖のハネ満をアガったが故に、このアガりを招いてしまったというのは、何とも酷な話だ。
しかし、金は後悔などしていないだろう。
悩んで悩んで導き出した答えが良くない方向に転がってしまっているだけだ、そう今は。
『トップを取れなかったのは相当悔しいが、たろうとは50ポイント以上差を縮めることができたのだ。まだまだチャンスはある』
休憩前の金はそういう目をしていた・・・
いや、そういう目をしているように見えた・・・
いや、そんな感じがした・・・
いや、気のせいかもしれない・・・
本当のところはよくわからない。
木原+68.2 金+22.9 たろう▲34.5 達也▲56.6
(8回戦終了時)
たろう+301.4
木原▲42.7
達也▲94.8
金▲164.9
★9回戦★ (達也-木原-たろう-金)
たろうをラスに押しやることはできなかったが、反撃の狼煙を上げた2人。
そんな追い上げムードが高まりつつあった休憩後。
やはりこの人が黙っているわけがない。
東家達也 7巡目
ロン ポン ドラ
12000の出アガり。
しかし、これに飛び込んでしまったのは金。
達也は『できれば、あのゼウスだっけ?ゼビウスだっけ?奴からぶんどりたいんだけどなぁ・・・』というようなほんの一瞬の間があった。
しかし、点棒を持てばファンタジスタの本領が発揮できるというもの。
達也は『何で掴まないんだよ!』と言わんばかりにたろうに視線を向けた。
東2局はファンタジスタとゼビウス、じゃなかったゼウスの直接対決がまたも火花を散らすこととなる。
南家たろう 6巡目
ドラ
序盤でドラを2枚引き入れ、を重ねたたろうが混一に寄せる。
これまでにもよく見られたが、ドラ色の混一を鳴くことによって主導権を握ろうとする構えだ。
一方、達也も7巡目にこのイーシャンテン。
北家達也 7巡目
ドラ
両面2つの形。ただ、ドラがぽっかり浮いているが、次巡を引き入れると躊躇なしにを叩き切った。
勿論、たろうがポン。一気に緊張感が高まる。さらに次巡とを振り替えてイーペーコをつけるとおもむろにリーチ。
北家達也 9巡目
ドラ
たろうがのターツ落としをした直後なので、
『今度こそ掴めよ!ゼビウス!』 と力強く横に曲げてきた。
が、リーチ後一発目にを持ってきてしまい。これで、たろうもあっさりと追いつく。
南家たろう 11巡目
ポン ポン チー ドラ
バチバチと盲打を繰り返す2人。それが5巡続いた後、達也が目一杯強打した牌はだった。
またもこの勝負、たろうの勝ち。
待ち牌の数は達也が上だったのだが、もろともせずに12000直撃。
さすがの達也も『これはこの決定戦の大きな敗因になるかもしれない』と焦ったという。
掴んだ瞬間、チビリそうになったとまで言っていたのは、とりあえず内緒にしておこう。
東4局 あそこまで危機感を募らせていた達也であったが、すぐさま満貫をツモり息を吹き返すと、南場の親でわずかであるが再逆転に成功する。
南2局 達也のたろうの叩き合いかと思われていたが、ここで木原が本領発揮のリーチ攻勢で2人の勝負に割って入る。
まずは、たろうとのリーチ合戦を制し、リーチ棒付き3900。
1本場も先行リーチで金から7700は8000。
2本場はタンピンイーペーコを一発でツモり6000は6200オール。
3本場はメンピンツモ裏で2600は2900オール。
この4連続リーチをすべて実らせ、一気に40000点近くを叩き出す。
割って入ったというより、吹き飛ばしたというような怒濤の攻め。
これまで動きの多い他の3人に比べて、明らかにおとなしめだったが、
実は内に秘めたる闘志が一番萌えている、いや燃えているのはこの人なのだろうか。
この半荘はこのまま木原が逃げ切り2連勝。
ポイントもプラス領域に入り、一気にたろう追撃の一番手に名乗りを挙げた。
辛うじてたろうとの2着争いを制した達也は、まだ戦える状況だが、箱寸前のラスを引いた金は、早くも後が無くなってきた。
木原+57.3 達也+11.8 たろう▲17.1 金▲52.0
(9回戦終了時)
たろう+284.3
木原+14.6
達也▲83.0
金▲216.9
★10回戦★ (木原-達也-たろう-金)
冒頭で1vs3がうんたらかんたら言っておりましたが、肝心のたろうのポイントが余り減っていない。
重要なところをことごとく制したたろうが少し運が向いている感は否めないが、それ以上に丁寧な打ち回しをしているなという印象の方が強い。
東1局、またもたろうが暗カンをして主導権を握ろうとしたが、親の木原が我関せずとリーチで襲いかかる。
やはり2連勝の勢いは簡単には止まらない。そのリーチに飛び込んでしまうのがまたしても金だ。
東家木原 14巡目
リーチ一発ロン ドラ 裏ドラ
宣言牌のスジを追って一発放銃。ミスではない、ミスではないのだがその被害が毎回大きすぎる。
続く1本場、さらに木原のリーチ攻勢は止まらない。
東家木原 11巡目
ドラ
この1巡前にテンパイしていた金。
役なしドラなし、前局の12000放銃があるので、三色の振り替わりもしくはドラを引き入れての単騎振り替えを狙っているのか。
北家金 10巡目
ドラ
しかし、木原がリーチ後にツモ切ったを見るや、意を決してリーチ。
3巡後にを手元に寄せ裏3で2000・4000は2100・4100のアガりとなる。
北家金 15巡目
リーチツモ ドラ 裏ドラ
木原に親被りをさせ、復活の望みが繋がった。
が、たろうにとってこういう展開は被害が少なく、理想的な進行とも言えそうだ。
東2局の達也1人テンパイの後、またしてもたろうに軽快な手が入る。
南家たろう 10巡目
ツモ ポン ドラ
簡単に2000・4000。しかし、この決定戦はたろうの染め手の仕掛けがピッタリとはまっている。
さらに、この後南2局まで誰も親で連荘ができず、一番重要なたろうの点棒を大きく減らすことができない状況が続いてしまう。
南3局はトップのまま迎えたたろうの親番。
連合軍本日最後の攻撃。どんな形であれここでたろうをトップから落としておかないと、益々3人は苦境に立たされてしまう。
南家金 5巡目
ドラ
西家木原 7巡目
ドラ
そして、ここは現状2着目の木原が、大きな2000・4000ツモアガり。
西家木原 9巡目
ツモ ドラ 裏ドラ
完全に山を読み切った木原の冷静さが、たろうに見事大きな親被りをさせることに成功する。
いよいよオーラス。
点棒状況は以下のとおり。
金14100 木原39300 達也18700 たろう27900
木原は、自ら3連勝を決めるべく早くから仕掛け始める。
南家木原 4巡目
チー ドラ
これを見て、金も遠いながらも最後の望みを繋げるべく仕掛け返す。
東家金 7巡目
チー ドラ
しかし、いかんせん遠すぎる。
少し無理な鳴きのように見えたのか、ここで上家のたろうが木原の捨て牌を見つつ、金に鳴けそうな牌を下ろし始める。
木原と金のスピード勝負は、
東家金 15巡目
ロン チー チー ドラ
1500点を辛うじて達也から出アガり。
点棒状況はこう変化。
金15600 木原39300 達也17200 たろう27900と状況はほぼ変わらず。
仕切直しである。すると、再度木原が仕掛けて決めに掛かるが、ここでも金がリーチで応戦。
東家金 8巡目
ドラ
このときの木原の手牌、
南家木原 8巡目
ポン ドラ
このイーシャンテン。は1枚切れ。
前局の金は安そうな仕掛けだったので勝負しやすい状況であったが、今回はリーチと来ている。
押すか引くか、非常に難しい選択だ。
金への放銃はたろうの逆転の目を復活させてしまう。
ただ、そこで終わってしまうわけでもない。
あくまでたろうにチャンスが増えてしまうだけだ。
木原は金がツモ切ったを仕掛けテンパイに漕ぎ着ける。
南家木原 10巡目
ポン ポン ドラ
たろうと達也も何とか追いつこうとするが、あと一歩足りない。
そして、木原の手にまたしても難問が投げ掛けられる。
南家木原 14巡目
ツモ ポン ポン ドラ
少し悩んだ末に、木原は暗カンを選択。
だが無情にもリンシャン牌から持ってきた牌は、金のアタリ牌であった。
東家金 14巡目
リーチロン ドラ 裏ドラ
裏ドラもカンドラ、カン裏も乗らずであったが、5800は6100点の放銃。2局目の勝負手も空を切った。
金27100 木原33200 達也17200 たろう27900
木原とたろうの点差は5300点。アガった金にもチャンスはある。
達也も満貫ツモでたろうを捲るチャンスが生まれた。勝負の行方が最後の最後で混沌としてきた。
張りつめた緊張感の中始まった南4局2本場、ここでも木原が仕掛け始めるが、またしても金がリーチで被せにかかる。
東家金 11巡目
ドラ
木原も達也もまだアガりにはほど遠い。
しかし、このリーチを待っていたのは他でもないたろうだった。
北家たろう 11巡目リーチ
ドラ
間髪入れずに追いつくたろう。
そして、今までの3人の苦労をあざ笑うかのように、すぐさま手牌は倒された。
北家たろう 12巡目
リーチ一発ロン ドラ 裏ドラ
3900は4500、金のリーチ棒がついて5500。
一発もしくは裏ドラ必須の針の穴をいとも簡単に通してしまった。
会場全体が、夢を見ているかのような逆転劇にシーンと静まりかえった。
たろう+53.4 木原+13.2 達也▲22.8 金▲43.8
(10回戦終了時)
たろう+337.7
木原+27.8
達也▲105.8
金▲260.7
蓋を開けてみればたろうのポイントはわずかだが増えてしまっていた。
6回戦のトップラスを見せられたときには、やはり1vs3では苦しいかと思っていたが、
その後はむしろこの3人の関係をうまく利用して修正をしていた。
最初に仕掛けて主導権を握り、闘う人数を減らして一人一人狩っていく、実に秀逸な試合運びだったように思える。
2番手につけている木原も終始ぶれない手牌進行が印象的だった。
リーグ戦の成績を見ても分かるとおり、今一番安定感がある雀士は間違いなくこの人だろう。
少し離れているが、達也もあの独創的な麻雀で無限の可能性を生み出してくれるに違いないし、
金もこの4人の中では、一番打点力のある雀士だ。
最後の最後まであきらめない戦いを期待している。
残りあと半分。
ポイント状況は少し縦長になってしまったが、実力伯仲の4人は、最後まで目の離せない戦いをしてくれるはずだ。
(文・大窪 貴大)
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