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順位
名前
ポイント
1日目
6回戦
7回戦
8回戦
9回戦
10回戦
1
大崎 初音
169.1
103.5
-18.3
11.9
-20.5
64.6
27.9
2
愛内 よしえ
44.6
87.8
60.4
-24.2
2.4
-57.0
-24.8
3
佐月 麻理子
-101.0
50.6
13.3
-62.4
-45.6
17.6
-74.5
4
朝倉 ゆかり
-112.7
-241.9
-55.4
74.7
63.7
-25.2
71.4

1日目観戦記|2日目観戦記|3日目観戦記

≪女流雀王決定戦2日目観戦記≫

1日目5半荘を終えたポイント状況は誰も予想しなかったものだったに違いない。
1回戦目から、現女流雀王佐月麻理子の四暗刻ツモ。

佐月、大崎、最後に愛内がトップを分け合う中、協会女流最強の呼び声高く、とくにその守備力の高さに定評がある朝倉ゆかりがまさかの4ラス。完全に一人でマイナスを背負い込んだ形になり、上位三人がほぼ団子状態という珍しい構図となった。

優勝だけにしか意味がない決定戦の性質上、一人が首位を走った場合は三人が結託してポイントを削りにいくという戦術がとれるが、その逆となると立場はすでに厳しい。朝倉が優勝するためには今日の100以上のプラスがかなり必須条件であり、二日目にして勝負どころが押し付けられている。

★6回戦 (愛内‐大崎‐佐月‐朝倉)

東1局は大崎が佐月からタンヤオ・三暗刻の6400の出アガリでスタート。

南家・大崎
 ロン ドラ

10巡目に、
 ドラ
この形でテンパイ。

朝倉以外の三者の河にはマンズは安くアガリが拾えそうなのでリーチにいく選択もあるが、大崎は当然のようにヤミテンに構える。
14巡目に目論見どおりを引いて役ありのテンパイに変わったところで、手牌にマンズを一牌も使っていない佐月がを掴んで放銃となった。
フォーム通り。気負いもなく焦りもない、しっかりと大崎の麻雀が打てている。

東2局、東3局は比較的安く局が進み、東4局はどうしてもトップが欲しい朝倉の親番。
ピンフ・ドラ1でリーチするも流局、どうにか1人テンパイでまずは連荘すると、1本場は果敢に攻める。
東家・朝倉
 ドラ
ここからをポン。
愛内のファインプレーによって頼みの綱のは最後まで鳴けることはなかったが、ホンイツで仕掛けて1100オールのツモアガリ。
供託も回収し、トップ目に立つ。

東家・朝倉
 ツモ チー ポン ドラ

しかし、麻雀の神様はなかなか朝倉に微笑まない。
現女流雀王の佐月、気がつけば20000点を割り、ラス目になっていたが、
北家・佐月
 ツモ ドラ
ここから打
きっと去年の佐月ならばターツに組み込まれていないから切っていただろう。
打点を見て余剰牌の残し方を変えるようになった、きっと女流雀王として人前で麻雀を打ったこの一年は佐月を大きく成長させたに違いない。
目覚ましい進歩だ。
更に、
 ツモ→打 ドラ
ただのリーチを最速で打つ手組みをしていた佐月はもうここにはいない。
と引き入れ、
 ドラ
リーチを打つと、一発で高めをツモ。裏ドラも乗り、現女流雀王の意地と言んばかりの倍満のツモアガり。

トップ目の夢も束の間、8000点を親被った朝倉は3着目まで叩き落される。

南場に入るとラス目の愛内の攻撃が始まる。
まずはリーチ・ツモの1000オール。
1本場はリーチ・ピンフ・裏1の5800は6100をトップ目の佐月から直撃。
更に2本場は2着目の大崎からタンヤオ・ドラ1の3900は4500。

南2局は親の大崎が狙い通りの七対子をテンパイし、ドラ単騎でリーチを打つも流局。

南3局は朝倉がリーチ・ドラ1の-待ちで先制リーチ。

なんと-は山に6牌生きという絶好の待ちだ。
更に愛内が-待ちで追いかけリーチ、愛内の待ちは既に山には残り1牌しかない。

しかし、-が姿を見せる前に朝倉が残り1牌のを掴んでしまい、リーチ・ピンフ・裏ドラの3900の放銃となってしまう。

オーラス、ラス目の朝倉がリーチ・ピンフ・ドラ2のリーチを打つも、先にタンヤオのテンパイを入れていた愛内にまたも残り1牌だったを掴んで放銃となる。麻雀とは時にこんなにも残酷なものかと思わざるを得ない。

6回戦スコア
愛内 +60.4(+148.2)
佐月 +13.3(+63.9)
大崎 ▲18.3(+85.2)
朝倉 ▲55.4(▲297.3)

 

★7回戦 (朝倉‐大崎‐愛内‐佐月)

さあ、いよいよ後がなくってきた朝倉が起親で7回戦がスタートだ。
5巡目に以下のテンパイ。
東家・朝倉
 ドラ
三色などの手変わりも多く見えるので一度テンパイをはずすか、とってダマテンに構えるかと思ったが素直にリーチ。
程なくして4000オールのツモアガリ。

1本場も5巡目に先制リーチ。
東家・朝倉
 ドラ
これは惜しくも流局。

2本場は愛内の選択が光る。
西家・愛内
 ツモ ドラ
ここから打とする。
ドラ2で三色おまけ付きのメンツ手なので凡庸に打としてしまいそうだが、場にがいいのも踏まえて一番高みを目指す。
読み通りを引き入れるとダマテンに構えてすぐに佐月からが出て12000は12600の出アガリとなる。

東2局は親の大崎が12巡目にリーチ。
東家・大崎
 ドラ
安めだがを一発でツモって4000オール

1本場は、大崎の一人テンパイで流局。

持ち点は以下となり、あっという間に東1局の朝倉のリードがまくられてしまう。
朝倉 34000
大崎 35000
愛内 28600
佐月 2400

2本場、朝倉がフリテンだが高め一気通貫の三面張の手で先制リーチ。
北家・朝倉
 ドラ
更に追いついた親の大崎が高め三色の三面張で追いかける。
東家・大崎
 ドラ
出アガリのきかない朝倉が不利かとも思われたが、ここは朝倉が高めのをツモアガって、2000・4000+1600の大きなアガリとなる。

更に朝倉、東3局1本場にはリーチ・ドラ3をアガってダントツとなり今決定戦念願の初トップ。

7回戦スコア
朝倉 +74.7(▲222.6)
大崎 +11.9(+97.1)
愛内 ▲24.2(+124.0)
佐月 ▲62.4(+1.5)

 

★8回戦 (朝倉‐大崎‐佐月‐愛内)

東1局 東家・朝倉
 ドラ
をチーしてホンイツに向かう。もポンして、をツモアガリ2000オール。
 ツモ ポン チー ドラ

東1局1本場。
テンパイ一番乗りしたのは北家の愛内。
 ドラ
は場に2枚見えていることもありダマテンに構える。

そこに追いついたのは親の朝倉。
 ドラ
完全イーシャンテンからドラのを引き入れてドラ3のリャンメンリーチ。

さらにそこに追いついたのが南家・大崎。
 ドラ
一度ダマテンに構えるも、次巡を空切って追いかけリーチといく。
ツモ番のなくなった愛内も放銃リスクがなくなったため三軒目のリーチをかける。
三者でめくり合うが残り3枚いたは全て王牌にいたため流局となる。

2本場は親の朝倉がリーチを打つが流局して1人テンパイ。
3本場も親の朝倉の先制リーチ。
東家・朝倉
 ドラ
この時点で供託リーチ棒だけでなんと5000点も落ちている。

そこに追いついたのは佐月。
西家・佐月
 ドラ
現状リーチのみではあるが、供託リーチ棒と積み棒を入れてこのリャンメンリーチであれば十分勝負には見合うだろう。
待ち牌の残り枚数は佐月に分があったものの、佐月がを掴み裏も乗って7700は8600の放銃となってしまう。
供託も回収し朝倉は46600点のトップ目となる。

しかし、まだ佐月の心は折れていない。
東1局4本場たたみかけるように親の朝倉からリーチを受けるも、
西家・佐月
 ドラ
この234のタンピン・三色のイーシャンテンから無スジのを押す。
次にツモってきた無スジのも押す。
そしてを引き入れ、も押して追いかけリーチ。

高めのは朝倉の手牌に4牌とも使われていたため純カラ、も山に残り1牌だったが、なんと朝倉がこのを一発で掴んでしまう。
リーチをしていたため送りカンもできず、裏ドラも1枚乗って5200は6400の放銃となる。

東2局も佐月が4巡目にドラのを切ってリーチ。
 ドラ
リーチのみだが端牌のシャンポンで待ちがいい。
そのを愛内がポンして真っ向勝負の構え。
リーチとドラポンに挟まれ苦しい親の大崎がで放銃、なんと裏ドラが2枚乗って5200の大きなアガリとなる。

東3局はラス目の大崎にチャンス手が入る。
北家・大崎
 ドラ
どうにか345の三色に仕上げたい大崎の選択は打
を重ねて高めタンヤオのテンパイをするもテンパイとらずの打
を重ねて一度テンパイをとると、想定どおりのを引いて三色のテンパイとなる。

は河に3枚見えていて、ならば満貫のため、ここはダマテンを選択。
終盤を引いて三面張でリーチを打つ選択もあったが、打でダマテン続行。
ここに海底牌でを掴んだ佐月が、河底で8000点の放銃となってしまう。ドラを3枚持っていただけに、で打ってそこまで高いとは想像しなかったかもしれないが、現物の牌もあったために悔いが残る結果となってしまった。

南3局、親の佐月からリーチ。
 ドラ

そこに追いついたのはトップ目の朝倉。

西家・朝倉
 ツモ ドラ
全ての牌が無スジな上に、打点も十分なのでで勝負といく人もいるだろう。

しかし、朝倉の選択は打、七対子に構えて放銃を回避した。
佐月、朝倉の二人テンパイで流局。

オーラス、まずは親の愛内が1500点をアガって連荘。
持ち点は、
東家・愛内 22400
南家・朝倉 43700
西家・大崎 18200
北家・佐月 15700

3着目の大崎にテンパイが入る。
 ドラ
2着目との愛内との点差は4200点なので、ピンフのみでもリーチしてツモれば2着には浮上する。しかし、大崎の選択はダマテン。
現状朝倉がトップ目であれば愛内とのポイント差は大した変化ではない。
それよりもラス目の佐月に押し返されてラス転落だけは絶対に避けたい。
またタンピン三色に手変わって満貫ならダマテンで無条件で着順アップだ。これをすぐに佐月から出アガって静かな終了となった。

8回戦スコア
朝倉 +63.7(▲158.9)
愛内 +2.4(+126.4)
大崎 ▲20.5(+76.6)
佐月 ▲45.6(▲44.1)

 

★9回戦 (朝倉‐佐月‐大崎‐愛内)

開幕は大崎のリーチ・ツモ・タンヤオ・ドラ1の満貫ツモからスタート。
西家・大崎
 ツモ ドラ 裏ドラ

東2局0本場、1本場は親の佐月がリーチを打つも流局。
2本場でようやくリーチ・ツモ・・ドラ1をツモアガり、4000オールとリーチ棒を回収してトップ目に立つ。
3本場、まず一番にテンパイしたのは西家の愛内。
 ドラ
まずはダマテンに構えると、次巡嬉しいをツモってリーチにいく。

マンズは場に安く、自信があるのだろう、ツモる手に力が入っているのが見て取れる。
実際リーチをかけた瞬間には-は6枚も生きていた。
ここに追いついたのが南家の大崎。
 ドラ
待ちは同じ-だ。

このリーチ合戦は終局間際、大崎に軍配が上がる。

リーチ・ツモ・ピンフ・ドラ1・裏2で大きな大きな3300・6300のツモアガり。
自信があった勝負手を同じ待ちでツモリ負けた愛内、普段は飄々としている印象だがこれはさすがに悔しそうな表情を見せた。

東4局1本場では、もうこれ以上マイナスを増やすわけにはいかない朝倉がリーチ・ツモ・タンヤオ・ドラ1の2000・4000をツモアガり。

南入し、親番の朝倉がをポン、更にをポンして以下のテンパイ。
東家・朝倉
 ポン ポン ドラ
安めでも7700点、高め12000点の手だ。

この親の迫力のある仕掛けに立ち向かったのはトップ目の大崎だ。
西家・大崎
 ドラ
ここからを打ってツモリ三暗刻にしてリーチを打つ。

打点も待ちも朝倉優勢かに思われたが、最後のツモ番でを掴んでしまう。

放銃しても安い手だと思っていたがなんと裏ドラ表示牌にいたのは。リーチ・裏3で8000点と大打撃となる放銃になってしまった。

南3局。タンヤオ・ドラ3をテンパイした朝倉が佐月のリーチに放銃、リーチ・タンヤオ・ピンフ・ドラ1・裏1で更に8000点の支出となってしまう。
北家・佐月
 ロン ドラ 裏ドラ

オーラス、なんとかラスだけでも回避したい朝倉が三暗刻・ドラ1をアガって3着で終了となった。

南家・朝倉
 ロン

9回戦スコア
大崎 +64.6(+141.2)
佐月 +17.6(▲26.5)
朝倉 ▲25.2(▲184.1)
愛内 ▲57.0(+69.4)

 

★10回戦 (愛内‐大崎‐佐月‐朝倉)

東1局は愛内が親でリーチを打つが流局。
1本場は朝倉がリーチ・ツモ・ドラ1をツモアガって1000・2000は1100・2100。

東2局は佐月が3巡目に先制リーチ。
 ドラ

ここに追いついたのが親の大崎。6巡目に追っかけリーチ。
 ドラ

二軒リーチに手詰まった愛内がのワンチャンスでトイツので親に5800の放銃となる。
東2局1本場は当面の優勝争いの相手である大崎にこれ以上連荘させまいと愛内がを仕掛けて親番を蹴る。

東4局、愛内が面白い選択を見せる。

南家・愛内
 ツモ ドラ
大胆な打。愛内の狙いはタンヤオ対々三色同刻だ。
更に狙い通りも暗刻にして大成功かと思われたが、佐月からドラ単騎七対子のリーチが入る。

そしてドラが雀頭の西家・大崎からもカン追っかけリーチ。

縦の重なりを期待して残した愛内のが大崎に当たりとなってしまう。
リーチ宣言牌のスジなんて追ってくれない面子だと考えた大崎が先に河に並べたが巧妙だった。裏ドラは乗らず5200。

南2局は朝倉が七対子・ドラ2のの地獄単騎でリーチ。これを一発で掴んだ佐月が12000点の放銃。

更に南3局も朝倉にチャンス手が入る。
 ドラ
ここに三色確定となるを引き入れると、ノータイムでリーチに踏み切った。
これも仕掛けていた佐月が一発で高めのを掴んでしまう。

リーチ・一発・タンヤオ・ピンフ・三色・イーペーコー・ドラ1の倍満。
ラス目の最後の親番で全部行く構えとはいえ倍満はかなり痛い放銃となってしまった。

オーラス、大崎はトップまで満貫ツモ条件。
満貫確定になる三色は崩れてしまったが、ドラ1でリーチ。
西家・大崎
 ドラ
河が三段目に差し掛かったところで大崎がをツモ。


乗れ!!
と願う大崎の心の声。

乗るな!!
と願う三者の心の声。

そのどちらもが聞こえたような気がした。

結果裏ドラは乗らず(裏ドラ)、1000・2000で朝倉がトップ死守で終了となった。

10回戦スコア
朝倉 +71.4(▲112.7)
大崎 +27.9(+169.1)
愛内 ▲24.8(+44.6)
佐月 ▲74.5(▲101.0)

二日目を終え、朝倉は今日の目標の+100以上を達成し、なんとか最終日に優勝するための道筋をつなげることができたと言っていいだろう。
元々守備力が高いがゆえに初日はなかなか大胆に攻められないところもあったが、後がなくなってからの前のめり気味な攻撃バランスが功を奏した。

大崎はさすがの安定感だ、三度も女流雀王に輝いた経歴は伊達ではない。とにかくミスがなく、しっかり自分のフォームで麻雀を打てている。

愛内はその独特な感覚を駆使した打牌選択で見るものを魅了する。時には緻密に、時にはトリッキーに。
多彩な攻撃手段と、対局者4人の中で唯一女流雀王戴冠していない、そのハングリー精神で最後まで戦い抜いて欲しい。

現女流雀王の佐月はなかなか苦しい展開が続いた。
しかし、最後まで心を折られることなく、臆することなく、押す手をちゃんと押せた強さはすばらしい。
その思い切りのよさと攻撃力で連覇への道を切り開いていくことだろう。

残すはあと5戦。最後に微笑むのは誰か。

(文・冨本 智美)

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