順位 |
名前 |
ポイント |
1回戦 |
2回戦 |
3回戦 |
4回戦 |
5回戦 |
1 |
佐月 麻理子 |
68.7 |
6.2 |
-16.6 |
-52.7 |
50.2 |
81.6 |
2 |
朝倉 ゆかり |
20.0 |
-43.1 |
71.3 |
10.4 |
-16.2 |
-2.4 |
3 |
豊後 葵 |
14.8 |
57.7 |
12.8 |
-11.4 |
10.1 |
-54.4 |
4 |
愛内 よしえ |
-103.5 |
-20.8 |
-67.5 |
53.7 |
-44.1 |
-24.8 |
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≪女流雀王決定戦1日目観戦記≫
−Going my way−
『我が道をゆく』
あるものは自らその道を切り開き、ただまっすぐ堂々と。
あるものは自分のペースで静かに、しかしその歩みは力強く、揺るがず。
あるものはただ目的地だけを見据え、正確な道筋を選び。
あるものは自由奔放に、周囲を明るく照らしながら進む。
目的地は皆同じ、女流雀王という名の頂である。
★1回戦★(朝倉→豊後→佐月→愛内)
激しい乱打戦での幕開けとなった1回戦。
その戦いを制したのは現女流雀王の豊後だった。
東2局、
豊後23000 佐月23000 愛内33000 朝倉21000
朝倉の3巡目リーチを受けるも、ほぼノータイムで押し切りテンパイ。
当然のリーチから貫禄の一発ツモ。
豊後(東家)
ツモ(一発) ドラ 裏ドラ
1本場でも佐月から7700は8000を出アガり頭一つ抜け出す。
豊後はここで得たリードをしっかりと守りきり、この半荘をトップで終える。
豊後は自身のキャラクターや対局中のモーションからか攻撃的な雀風と思われがちだが、その実メリハリの効いた押し引きこそが持ち味である。
相手の攻撃を受けるなり、自分の手の価値を考え明確な判断を下す。
降りるときは未練を残さず、押すときはまっすぐ自分の手と向かい合う。
この半荘もアガリは前述の2つのみだが、放銃による失点もない。
まさに豊後の勝ちパターンがハマった1回戦であった。
1回戦結果
豊後+57.7
佐月+6.2
愛内△20.8
朝倉△43.1
★2回戦★(豊後→愛内→朝倉→佐月)
この2回戦を制したのは朝倉。
朝倉の麻雀を一言で表すとするならば、『我慢』という言葉が真っ先に浮かぶ。
女流Aリーグ32半荘で4回しかラスを引いておらず、もちろん全選手の中で一番少ない。
大崩れをしないその高い守備意識は、ラスを引いた1回戦においても十二分に発揮されていた。
親番のないラス目でリーチを受けた朝倉。
ドラ受けの一盃口も残り、ハネマンまで見える手牌。
失うものは現状素点のみなので、単純に形の苦しいを外していくと思いながら観ていた。
しかし朝倉はリャンシャンテンに戻すのトイツ落としを選択した。
その後が重なり再びイーシャンテンになるも、この巡目での勝負は分が悪いと見るや完全撤退。
流局し開かれたその手牌が、朝倉の我慢強さを一層引き立てた。
ドラ
この2回戦では、朝倉のもう一つの強さである『打点力』が発揮された。
東2局1本場
ロン ドラ 裏ドラ
南1局
ツモ ドラ 裏ドラ
南3局
ツモ チー ポン チー ドラ
南4局
ロン ドラ
華麗な和了ショーを魅せつけ1回戦のラスを帳消しにする。
かつて第7期・8期と連覇し、『協会最強の女流』と呼ばれた朝倉が再びその表舞台に足を踏み入れる。
2回戦結果(トータル)
朝倉+71.3(+28.2)
豊後+12.8(+70.5)
佐月△16.6(△10.4)
愛内△67.5(△88.3)
★3回戦★(佐月→朝倉→愛内→豊後)
ここまで展開に恵まれず、苦しい出だしとなった愛内。
この3回戦でも開局にマンガンをツモアガるも、二の矢を放つことが出来ず徐々に点棒が削らてゆく。
南2局1本場
朝倉27500 愛内30200 豊後24800 佐月17500
この状況から親の朝倉から3巡目リーチが入る。
点棒状況はもちろん、愛内のタイプを加味するならばかなり降り気味の進行になりそうである。
しかし、ある意味最悪のタイミングでこの半荘の行く末を決定づける手が愛内に入る。
ももションパイ、さらにが上家に座る朝倉の現物とあっては腹を括らざるを得ない。
2枚、3枚とリーチに無スジを押し続けるも、テンパイする前にでとうとう御用。
朝倉(東家)
ロン ドラ 裏ドラ
南4局
豊後31600 佐月8300 朝倉31400 愛内28700
このまま自身が3着、トップが豊後で終わると、まだまだ先は長いとはいえ早くも200ポイント差をつけられることになる。
しかしここは愛内が粘りをみせ、親の豊後とのリーチ合戦を制す。
かつそのアガリで逆に豊後を3着に落とし、理想に近い並びで3回戦を締めくくった。
近年放送対局の打ち手としてだけでなく、実況などでの露出も多くなっており、その打ち筋や会話の節々から麻雀に対する造詣を感じ取れる。
そして、メディアを通じてその能力を伝えることに成功している愛内は対外評価も高い。
ある意味特殊な周囲の期待を背負わされている愛内であるが、一先ずこのトップでその期待に応えた。
3回戦結果(トータル)
愛内+53.7(△34.6)
朝倉+10.4(+38.6)
豊後△11.4(+59.1)
佐月△52.7(△63.1)
★4回戦★(朝倉→豊後→佐月→愛内)
対局開始前、佐月は明らかに緊張していた。
初めての決勝が生放送での対局、緊張しないで打てというのも無理な話である。
しかしせっかくの晴れ舞台を緊張のせいで本来の力を発揮せずに終わるのはもったいない。
東4局
佐月17700 朝倉21000 愛内18400 豊後42900
トップ目の豊後が早い巡目から自風の、、と仕掛け出す。
豊後(北家)
ポン ポン ポン ドラ
最終手出しはとなっており、腰の重い豊後の雀風から考えてもホンイツは濃厚であり、トイトイまでついていてもおかしくないように他家には見えるだろう。
事実朝倉と愛内は字牌が打ちきれず早々と撤退。
佐月もションパイのが1枚浮いており、ここまでの雰囲気から見てもまっすぐに手を進めて行けないように思えた。
しかし、徐々に自分の麻雀を取り戻しつつあった佐月の『どうにかしなければ』という気持ちが大きな見返りをもたらす。
佐月(東家)
ドラ
ここからをチーしのトイツ落としで染め手へ向かう。
4枚目のを引きイーシャンテンになるとをチー、打ったら12000と言われてもおかしくないを勝負しテンパイ。
これをすぐにトップ目の豊後から直撃し一気に戦線復帰。
佐月(東家)
ロン チー チー ドラ
トップ目でオーラスを迎えると、4000点差の2着目豊後にアガられるも裏ドラ乗らずで100点差のトップを死守。
ポイントもさる事ながら、この場で戦えている感覚を味わえた事が何より大きなプラスとなったであろう。
4回戦結果(トータル)
佐月+50.2(△12.9)
豊後+10.1(+69.2)
朝倉△16.2(+22.4)
愛内△44.1(△78.7)
★5回戦★(愛内→豊後→佐月→朝倉)
それぞれ1回づつトップを取り、公平な立場で観ているとするならば最高の立ち上がりを見せたこの決定戦1日目もいよいよ最終戦。
2日目は連日で行われるため安堵も焦燥も抱く時間は短いものの、良質な睡眠を得るためにも大事な1戦になることには変わりない。
その5回戦は今までとは打って変わって終始佐月が主導権を握る半荘となった。
佐月(西家)
ドラ
ここから1枚目のからポンをすると、すぐにを引きチャンタ・ドラ2のテンパイ。
しかしすぐにドラのを暗刻にするとタンキへ。
さらにを引くと待ち変えからの引きで劇的な変化を見せる。
もも切っているためノベタン待ちには受けられず、ドラのを切り待ちを選択。
これに終盤安牌に詰まった豊後のが捕まると、次局の親番でも佐月にリーチ負けを喫し連続で8000の放銃となる。
親を迎えた佐月は親でも連続4000オールで東場で早くもダントツに。
その後は佐月が試合巧者の一面を見せつけ6万点を維持したまま終局。
大きなトップで1日目の激戦を締めくくった。
5回戦結果(トータル)
佐月+81.6(+68.7)
朝倉△2.4(+20.0)
愛内△24.8(△103.5)
豊後△54.4(+14.8)
それぞれがトップもラスも分けあった中、トップ2回の佐月が首位、まったく同じ着取りだった朝倉と豊後は素点の差でそれぞれ2位と3位、そしてラスが2回の愛内が4位で1日目は終了。
−歩んできた道の証明−
それは明確な結果でしか推し量ることは出来ない。
これからも自分の流儀を貫くために、彼女たちは残りの10半荘に全てをかける。
(文・橘 哲也)
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