【ポイント成績】
順位 |
名前 |
TOTAL |
1日目 |
6回戦 |
7回戦 |
8回戦 |
9回戦 |
10回戦 |
1 |
崎見 百合 |
177.0 |
-73.1 |
10.2 |
60.4 |
51.4 |
68.0 |
60.1 |
2 |
大崎 初音 |
33.2 |
98.2 |
-59.8 |
8.9 |
6.2 |
-25.9 |
5.6 |
3 |
冨本 智美 |
-10.1 |
46.1 |
73.8 |
-50.7 |
-40.6 |
4.9 |
-43.6 |
4 |
吉元 彩 |
-202.1 |
-71.2 |
-25.2 |
-18.6 |
-18.0 |
-47.0 |
-22.1 |
【2日目観戦記】
|1日目観戦記|2日目観戦記|3日目観戦記|
競技団体選手に必要なものとはなんだろうか?
強さ、カリスマ性、我慢強さ・・・等、挙げていけばきりがない。
しかし決定的に大事なものがある。それはファンを、自分を応援してくれている人たちを大事にすることだ。
常日頃からファンを大事にしてきた女流プロが、ただただ「勝つ」ことを目標に行う女流雀王戦。
今年も決勝がやってきた。たくさんのファンの前で笑顔を見せることができるのは誰なのか?
1日目を終えて、現女王雀王・大崎のリード。
大崎+98.2
冨本+46.1
吉元▲71.2
崎見▲73.1
女流雀王を連覇、RMUクラウンとオータムチャレンジカップでは決勝進出と、名実ともに協会を代表する打ち手となった大崎。
彼女の牙城を崩すのは誰だ!?
★6回戦★(吉元-崎見-大崎-冨本)
崎見が本日初のリーチ発声。
ドラ
宣言牌が一通を見ていたが、ポイント的に主導権をとっていく作戦か。
これは流局。
東2局3本場。
冨本がドラとのシャンポンでリーチ。
親の崎見が現物のをそっと河において以下の聴牌。
ドラ
まずは崎見が先手かーと思ったのもつかの間。冨本がをツモって満貫。
崎見のリーチ一発ツモ裏をはさみ、東4局。
吉元が以下の手牌。
ドラ
この形をダマ。ポイント的にトップがほしいのでリャンメン先制はリーチといきたくなるところだが、一通、ホンイツを狙う。
親の冨本のリーチに対して、勇気を振り絞りを鳴き、無スジを切り飛ばしホンイツをツモ。
やっと本来の吉元らしさがでてきたか?
南1局1本場。
ドラがで、親の吉元がとをポン。
崎見もピンズのホンイツにとをつかんでジ・エンド。
これはしばらく吉元が局面を支配するか?と思った矢先である。
現女流雀王・大崎が字牌とソーズをぶったぎってリーチ!一発ツモ!
リーチ一発ツモ
裏は乗らずも満貫のアガり。
横一線に並んだのもつかの間。
南2局は崎見が負けじと一発ツモの4000オール!
そういえば全てのアガりがツモ和了である。
別に前に出ていく者がいないわけではないのだが、色々な思いが交錯する決勝というものはツモがちょっと多い気がする。
皆の思いと、ファンの応援がツモを変えているのだろうか。
大崎と吉元がラス争い、崎見と冨本がトップ争いと二局分化した状況でむかえた南3局。
「大丈夫・・・まだ南3局だから」
とサイコロを振った大崎に対して、じっとおとなしくしていた冨本の凶器が振り下ろされた。
冨本捨て牌
(リーチ)
いったいどんな形なのか。
ほどなくして冨本の凶器が大崎の脳天を叩き割る。
リーチツモ ドラ
全員の思いを打ち砕き、さらにオーラスの親では大崎よりダマテンのドラ3を直撃。
当面の敵を箱ラスに叩き落し、トータルのトップまでももぎとっていった。
6回戦結果
冨本+73.8 崎見+10.2 吉元▲25.2 大崎▲59.8
(6回戦終了時トータル)
冨本 +119.4
大崎 +38.4
崎見 ▲62.9
吉元 ▲96.4
冨本は初の決勝である。だが、毎日のようにフリー雀荘のゲストで最前線で闘いながら実践経験を積んでいる。
そのかたわら、休みには勉強会にも参加している努力家である。経験値は4人の中で一番高いかもしれない。
さあ、のってきた超新星とみーを3人は止められるのか!?
次の半荘も暴れちゃうぞ!!
★7回戦★(吉元-崎見-大崎-冨本)
もう冨本は止まらない。東1局は2枚切れで苦しいと思われたがすぐ鳴けてのタンヤオドラ3を崎見から。
チー ロン ドラ
ちょうど折り返し地点のこの半荘。新旧女流雀王を圧倒する冨本。
いける!―――そう思っただろう。
しかし麻雀、いや人間というものは不思議なもので追い込まれたときこそ、確率を超越した力を発揮するものである。
チー ツモ
まず、崎見が東2局に親のチンイツツモでリカバリー。
そして同1本場では以下の3人聴牌!
まずは南家の大崎がイーシャンテンの崎見から役牌とドラを鳴いて強烈な聴牌。
ポン ポン ドラ
続いて吉元が高め三色リーチでぶつけにいく
さらに、ソーズをとめてまわった崎見からのリーチ。
もう何もできない。横移動を願うも吉元のたかめツモで満貫。
満貫リードの冨本もほぼ原点にもどって、吉元がわずかにリードを奪う。
まさに三者三様―――今日は大物手しか出ないのか?
さて、困ったのが4人目の大崎だ。ほぼ防戦一方で点棒を削られていく。
続く自らの親で吉元の放ったリーチに対して以下の手からを押すも聴牌すらたどりつけない。
ドラ
南1局1本番。ようやく大崎に勝負手。
ドラ
吉元が36400 冨本が24400 崎見が23400 大崎が14800。
アガりたい。が、捨て牌はピンズとマンズが散らされており、いかんせん待ちが悪い。
ダマにする打ち手が多いだろうが、ここを大崎はリーチ!
彼女が女流雀王を奪取したとき、「誰よりもリーチを打ちます!」と元気に公言していたことを思い出す。
この2年間で目まぐるしい飛躍をした大崎の本来のスタイルは、この先制リーチスタイルなのだ。
大崎の現物待ちとなった冨本からを討ち取った大崎。
失点を挽回しようとする冨本。南3局で以下の手で4巡目リーチ。
ドラ
これに対して真っ向勝負の大崎。
ポン ポン
さらにリーチに対してここからをポンして無スジのを押し、を当然のごとくツモあがる。
これで吉元をかわしてトップ目に!
女王の座は渡さない―――そんな思いが伝わってくるようだった。
これに対して吉元が焦る。
1本場でドラのを鳴いた崎見にノーチャンスののトイツ落としで痛恨のオリ打ち。
現物があっただけに、仕方ないとはいえないだろう。
これで崎見にもかわされてしまう。大崎の執念と意地が生んだ逆転劇を、まじまじと見せられた。
女王・はっち。最近は麻雀教室に専念する一方で、でられるタイトル戦に積極的に参加し好成績を残している。
入会当時と比べると、麻雀に対する思いはより真摯に、実力も向上していることは誰の目にも明らかだ。
初の女流雀王3連覇にむけて、今大崎初音が動き出す!!
―――誰もがそう思っていた。
「3000・6000」
閃光のようにそれは、卓上に鳴り響いた。
リーチツモ ドラ
そう、彼女―――崎見を忘れてはいけない。
7回戦結果
崎見+60.4 大崎+8.9 吉元▲18.6 冨本▲50.7
(7回戦終了時トータル)
冨本 +69.2
大崎 +47.3
崎見 ▲2.5
吉元 ▲115.0
★8回戦★(吉元-大崎-冨本-崎見)
起親の吉元が700オール、3900は4200と連荘。
なんとかこれまでのムードを変えたいところだ。
マイナスも3桁。これ以上のラスは引けない。
しかし、そんな思いは虚しく一人の打ち手につぶされる。
リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ
崎見 百合。女性唯一のAリーガーである。
南1局では2巡目リーチ。そして一発ツモ。
リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ
南2局で冨本が反撃の5200を直撃するも、最終的に逃げ切りこの半荘も制す。
麻雀に「流れ」はない、という打ち手は多い。
―――今日の崎見を見てもそんなことがいえるのだろうか?
そしてこれが始まりだったなんて、誰が予想できたのだろうか・・・
8回戦結果
崎見+51.4 大崎+6.2 吉元▲18.0 冨本▲40.6
(8回戦終了時トータル)
大崎 +53.5
崎見 +48.9
冨本 +28.6
吉元 ▲133.0
★9回戦★(崎見-吉元-大崎-冨本)
とうとうチンマイ(一人沈み)になってしまった吉元。
なんとかしなければ―――そんな心の声が痛いほど響いてくる。
崎見がリーチ。
ドラ
山に1枚しかないドラ待ちだが、他の3人にとっては脅威でしかない。
苦しむ時間は短かった。当然のように一発ツモ。
今日で何度目の一発ツモだろうか。
続く1本場も9巡目に崎見からリーチ。
ドラ
必死にかわそうとする大崎が放銃。
2本場、吉元についに勝負手がくる。
ドラ
ここから元気にをツモ切り。狙うは勿論四暗刻だ。
これが成就すればまだわからない。
そして吉元がツモ切ったに崎見がゆっくりと手を倒す。
この時間帯になって観戦者もだいぶ増えた。
われわれ競技団体選手は、「ホーム」と呼べる雀荘を持つ者が多い。
働いているお店、自分が育ったお店、常連になったお店。
筆者は故郷のお店だろうか。
雀荘の従業員は仲がいい。
狭い空間で長い時間を共有するからだろう。
そんなかけがえのない仲間を、皆少なからず持っているものだ。
吉元の後ろはそんな仲間で埋め尽くされていた。
まだ諦めない。諦められない。
崎見がメンホンチートイツ狙い。
そこに吉元(南家)がピンズでぶつけにいく。
を鳴き、以下の形。
ポン ドラ
本来吉元は好形重視の打ち手である。
高い手を無理に狙わないが、勝負所ではキッチリ仕上げてくる。
そんなイメージがある。
しかし今日はそんな自分の長所をだせていない印象が強かった。
ここにがでる。
先ほど失った点数を取り返したく、からしかけたいところだがこれをチー。
他の3人も伊達に決勝に残ったわけではない。
よっぽどのことがない限りはでてこない。
もしかしたらはもう山にないかもしれないのだ。
ならば、聴牌だけでも組んでやる。
「やっと吉元らしさがでてきたかもね」
ギャラリーがそうつぶやいていたのが聞こえた。
みんな見ててね!まだ諦めていないから!
よしもこ!復活なるか?!
親は流れ、流局につぐ流局で東3局5本場にようやく冨本が供託と本場を回収する。
吉元が南1局に以下の手をアガり、なんとか失点を取り戻すも崎見の背中は遠すぎた。
暗カン リーチリンシャンツモ ドラ 裏ドラ
南3局は冨本が1300・2600をツモり、ラス親に望みを託す。
が、オーラスは大崎の早いリーチに放銃してしまい、2着でフィニッシュ。
崎見がトータルトップに躍り出た。
9回戦結果
崎見+68.0 冨本+4.9 大崎▲25.9 吉元▲47.0
(9回戦終了時トータル)
崎見 +116.9
冨本 +33.5
大崎 +27.6
吉元 ▲180.0
★10回戦★(崎見-吉元-冨本-大崎)
東1局、大崎の1000・2000から幕を開ける。
チー ポン ツモ ドラ
トータルで3着になったとはいえ、まだまだ一発逆転が可能な圏内だ。
一方、今日の主役ともいえる崎見の東2局。
ドラ
がでるも、スルー。
本当に腰が重い打ち手だ。
今日は一発ツモが多く、運がいいだけに見えるいかもしれないが、崎見はじっくりと場況を見て勝算がある手でぶつけてくる。
そのスタイルがはまったのだろう。どんなときでも自分のスタイルを守る。
そんな簡単そうで最も難しいことができる打ち手だからこそ「協会女流最強」と呼ばれているのだろう。
冨本の親番でむかえた東3局。
全体的に落ち着いて打てていたように見えた冨本。
唯一後悔したのがこの局だと試合後に本人が言っていた。
早々に、
ポン ドラ
の形で聴牌したのだが崎見の早いリーチにオリを選択。
一発目のは仕方ないとして、が通った後にをポンしを打つと、-の聴牌が復活できたのだ。
ツモも変わるので崎見のアガりは無かったかもしれない。
たらればの話だが、こういったことを試合後に冷静に考えられるのが冨本の強さだろう。
「ミスはとくになかった」「ついてなかった」だけでは強くなることはできないのだ。
この彼女の姿勢は見習いたいものである。
前述のとおり、崎見のツモ。
リーチツモ ドラ 裏ドラ
南3局ではドラ3のツモアガりとさらに追い討ちをかける。
オーラスは親の大崎に満貫ツモられたが、1本場で吉元の着順アップを狙うリーチに対してピンポイントで差込。
まさにパーフェクトゲーム。
崎見の4連勝で2日目を終えることになった。
10回戦結果
崎見+60.1 大崎+5.6 吉元▲22.1 冨本▲43.6
(2日目終了時トータル)
崎見 +177.0
大崎 +33.2
冨本 ▲10.1
吉元 ▲202.1
勝負の答えは12月22日、最終日に持ち越された。
今年もネット配信で行われる女流雀王決定戦。
結末はいかに―――。
次回ニコニコ生放送「第11期女流雀王決定戦」をみんなでみよう!
最終日も超面白かっこいいぜ!!
(文・三木 敏裕)
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