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【ポイント成績】

順位
名前
TOTAL
1回戦
2回戦
3回戦
4回戦
5回戦
1
福山 理子
74.0
-59.0
59.3
56.1
13.0
4.6
2
大崎 初音
61.8
77.2
-20.2
-43.1
65.2
-17.3
3
水崎 ともみ
6.4
11.8
2.6
-17.6
-64.4
74.0
4
豊後 葵
-145.2
-30.0
-41.7
3.6
-14.8
-62.3

【1日目観戦記】

|1日目観戦記|2日目観戦記3日目観戦記

2011年12月17日。
神楽坂のばかんすにて、『第10期女流雀王決定戦初日』が行われた。

今回決定戦に駒を進めたのはこの4人。

大崎 初音 第9期女流雀王
普段は麻雀教室の講師をしている。
彼女は非常に「プロ意識」が高い。
麻雀の実力も然る事ながら、対局中の態度やマナーは、麻雀プロの模範と言っても過言ではない。
お酒が好きで、「氷結女王」の愛称で親しまれている。

「今年は、初日に麻雀教室の生徒さんが見に来てくれるのね。
良い麻雀を見せるのはもちろんだけれど、点棒の受け渡しや発声1つでも、見本になるようにしたいと思うよ。
真剣だったら多少態度が悪くてもいいなんてことないと思うから。
この1年はたくさんの経験をして、本当に充実していたから、後は何も考えずに大好きな麻雀に向き合うつもりです☆
ニヤニヤしてるかもしれないけれど、結構真剣です(笑)」
1年間女流Aリーグを戦い、勝ち抜いて来た強敵3人相手に、連覇なるか。

 

豊後 葵
最近ニコ生などにも数多く出演し、人気急上昇中。
その明るくておバカなキャラが注目されがちだが、麻雀や仕事に対する熱意は人一倍。
先輩からも後輩からも「ブンちゃん」と呼ばれ、皆に慕われている。

「正直獲れる気しかしない!」
初めての決定戦を最高の結果で終え、得意のブンゴ節が炸裂するか。

 

水崎 ともみ
「打てる女流」と、周りからの評価も高い彼女。
大の麻雀好きで、いつだったかリーグ戦の後に
「これから○○で夜番で〜その後××で昼番で〜その後…」
…いつ寝てるんですか?と聞きたくなった記憶がある。
最近就職し、麻雀をする機会が少なくなってしまったと言っていたが、
それまで積み重ねてきた努力と経験は、確実に自身の力となっているはずだ。

「頑張って勝てるものでもないので、楽しみます!」
初の大舞台で緊張もするだろう。自分らしい麻雀を貫き通して、女流雀王の座を獲得できるか。

 

福山 理子
この4人の中では、一番のベテランである。
4年間女流Aリーグで名立たる強豪を相手に戦い続け、今回初めて、念願の決定戦進出となった。
普段はタレント活動もしており、端正な顔立ちと抜群のスタイルで、周りの目を惹く。

「あたしみたいな未完成なもんが勝ったら、なんか変わりそうじゃない?
だから勝ちたいし、勝ってみたい。
でも、その前に、自分らしさが大事だよね。
だとしたらなんだろうね。
ここで答えが出せたらいいよね。」
4年間夢見続けた初の晴れ舞台。最後に笑顔でトロフィーを掲げることが出来るか。

 

 

★1回戦★ 福山-豊後-大崎-水崎

東1局。親の福山が12巡目にリーチ。
北家の水崎が上手く回り、2人テンパイで流局。

東1局1本場。先制したのは水崎。6巡目にリーチ。
水崎(北家)
 ドラ
しかし12巡目、福山の打牌に大崎からロンの声が掛かる。
大崎(西家)
 ポン ロン
はリーチ者・水崎の現物。これは、放銃した福山も仕方ないといったところか。

東3局。豊後が6巡目に以下の形でリーチ。
豊後(北家)
 ドラ
すぐに親の大崎が追いつき、追っかけリーチ。福山から一発でを仕留める。
大崎(東家) 8巡目
 リーチ一発ロン 裏ドラ
2軒リーチに共通安全牌がなく、自分の手に対子のを切ったところ、一発で刺さってしまった福山。
先程のの放銃といい、福山にとっては不運な展開が続く。
しかしこれが本当に痛かったのは、放銃した福山より、この手をアガれなかった豊後の方か。

東3局1本場。水崎が配牌ドラ対子のチャンス手。
とポンしたところに、親の大崎、西家福山から同巡にリーチが入る。
大崎(東家) 10巡目
 ドラ
水崎(南家) 10巡目
 ポン ポン
福山(西家) 10巡目

この勝負は、水崎に軍配が上がった。
12巡目、福山のツモはドラの。それを水崎がポン。次巡福山がを掴み、8000は8300。
福山にとっては、また苦しい展開になってしまった。

東4局。6巡目に大崎がリーチ。
大崎(北家)
 ドラ
この時、西家の豊後もテンパイしていたのだが、さすがにこの手では、リーチにぶつけられないだろう…。
豊後(西家)

6巡後、大崎がをツモり、2000・4000のアガり。

東場終了時 福山6000 豊後18500 大崎44700 水崎30800

南1局。大崎の猛攻が止まらない。
大崎(西家) 6巡目
 リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ
これで2着目の水崎と23900点差まで広げた。

南2局。最初に動いたのは水崎。
水崎(西家) 6巡目
 ポン ポン ドラ
これに対し、10巡目、大崎からリーチが入る。
大崎(南家)

水崎は、無スジのを持ってきて、打で回る。
ここで追いついた親の豊後が追っかけリーチ!しかしその宣言牌は、大崎の当たり牌だった。
リーチ、一発、ドラ1で5200点の収入。これはもう、大崎の独壇場か。

南3局。親の大崎の配牌が良い。
大崎(東家)
 ドラ
でホンイツに向かう。
9巡目に、豊後がリーチ。
豊後(北家)

大崎も、以下の手牌になり、真っ向勝負。
大崎(東家) 11巡目
 チー チー ポン
この勝負は豊後の勝利。大崎がで放銃し、裏ドラがで8000。

オーラス。各家の点棒状況は以下の通り。
水崎28800 福山2000 豊後19300 大崎49900

南4局。水崎の一人テンパイで流局。

水崎は5巡目にポン。10巡目にチーで1500点のテンパイを組む。
豊後は、なんとか満貫を作ろうという手順だったが、テンパイできず。
大崎は、14巡目にを持ってきて、撤退。
自分の目からドラは見えていない。
イーシャンテンだったが、ここでアガりに見切りをつけた。
驚いたのは、福山だ。
なんと緑一色のイーシャンテン。
「まだ諦めていない」そんな気持ちのこもった手組みだった。

南4局1本場。大崎が5巡目にリーチ。
水崎も8巡目にをポン、次巡テンパイに漕ぎ着けたが、豊後がで大崎に放銃。
大崎(北家) 9巡目
 ロン ドラ 裏ドラ

1回戦結果 大崎+77.2 水崎+11.8 豊後▲30.0 福山▲59.0
現女流雀王が貫禄を見せつけ、初戦57200点のトップ。

 

「あーっ!おはよーございます!!」
1回戦終了後、大崎は満面の笑みを浮かべていた。
そこには、50代くらいの女性が4人ほど、大崎の観戦に来ていた。

「あ、あの人たちね、麻雀教室の生徒さんなの。みんな可愛いでしょ♪」
決定戦は、色々な人が観戦に訪れる。選手の知人やファンの方が多いが、
こうやって生徒さんがわざわざ足を運んで観に来てくれるのも、大崎の人柄故だろう。
休憩中、大崎は生徒さんたちに、必死に最終日のニコ生の見方を教えていた。
そして対局中は、ピッと背筋を伸ばし、麻雀もマナーも、女流雀王として、麻雀教室の講師として、その名に恥じない姿を見せてくれた。

 

★2回戦★ 水崎-豊後-福山-大崎

東1局。親の水崎がをポン。
その仕掛けを受け、タンピンの豊後は水崎の現物待ちをダマ。
すぐにツモアガり、700・1300。

東3局。豊後が以下の形でテンパイ。
豊後(北家) 7巡目
 ポン ポン ドラ
しかし9巡目、親の福山からリーチが入る。
豊後が一発目に持ってきた牌は、無スジの
豊後はそれを、ノータイムでツモ切った。
潔さと思い切りの良さが、豊後の強さだ。
勝負手とはいえ、親のリーチの一発目に危険牌を持ってきたら、一瞬手が止まってしまうのが人間ではなかろうか。
決定戦という大舞台。初戦はあまり手が入らず、フラストレーションの溜まる展開だっただろう。
豊後は、まだ展開に恵まれていないが、絶対に何かやってくれる。そう感じさせてくれる一打だった。
この局は、親の福山がツモあがり、1300オール。
福山(東家) 12巡目
 ツモ ドラ 裏ドラ

東4局。この局は、大崎、福山、豊後の三者のせめぎ合いとなる。

先に動いたのは福山。6巡目に場風のをポン。
大崎は、9巡目にドラのをリリース。次巡ツモでリャンカンの方が先に埋まり、リーチ。
大崎(東家) 10巡目
 ドラ
これに対して、西家の豊後が、一発で無スジのを切り出す。
それを福山がチー。捌きにかかる。
福山(北家) 10巡目
 チー ポン
-の同テン。
12巡目、豊後が待望のを引き入れ、意気揚々と追っかけリーチ。
豊後(西家) 12巡目

この時点で、---も、山に5枚。正に互角の戦い。
決着は13巡目。福山が山に4枚生きのをツモり、300・500にリーチ棒2本がついて、3100点の収入。
大物手がまたもやアガりに結びつかなかった豊後。心境は如何に。

東場終了時 水崎19200 豊後24100 福山30000 大崎26700

南1局。8巡目に福山がテンパイ。
福山(西家)
 ドラ
これをダマテンに取る。
次巡、水崎が追いつき、リーチ。
水崎(東家) 9巡目

同巡、福山がをツモり、2000・4000。

南2局。豊後が西家大崎の第1打をポン。
打点こそ安いが、3巡目に以下のテンパイ。
豊後(東家)
 ポン ドラ
しかし、この-がなかなかアガれない。
7巡目に持ってきたドラのをツモ切ると、それを西家の大崎がポン。
「でもあれ、初音ちゃんが鳴いたから、は絶対出ると思ったんだよね!」
大崎のドラポンにより、それまで自由に手を進めていた他家も、対応してくると読んだのだろう。
豊後の目論見通り、大崎がを掴んで、豊後に1500点の放銃。

南2局1本場。ここで、大崎の「強さ」が発揮される。

大崎(西家) 2巡目
 ドラ
大崎はここから、安易に孤立牌のなど打たない。
この手は、形は整っているが打点は安い。メンツは足りているが、ドラ受けを残し、打とする。
そして、6巡目には以下の形。
大崎(西家) 6巡目

ここで、リーチ!と言ってしまいたくなる人もいるだろう。しかし大崎は、リーチを打たなかった。
勿論、四暗刻への変化を見てだろう。
或いは、他家の捨牌から、が山にいると読んだのかもしれない。
2巡後、大崎がをツモり、1600・3200は1700・3300。
大崎の、打点を意識した手作りが、随所に見られた局だった。

オーラス。各家の点棒状況は以下の通り。
大崎24700 水崎16700 豊後19300 福山39300

南4局。最初にテンパイを入れたのは豊後。
豊後(西家) 11巡目
 ツモ ドラ
だけは、望まないツモだっただろう。を切ればテンパイだが、順位を上げるには、裏ドラ期待になってしまう。
まだ、この手は打点が伸びる可能性が十分にある。豊後はをツモ切り、テンパイとらず。
次巡、を持ってきて、切りリーチ。
そして次巡、水崎が暗カン。カンドラは。親の大崎がリーチ。
大崎(東家) 15巡目

これで豊後は、どこから出アガっても2着浮上。
15巡目、水崎も追いつき、リーチ。
水崎(南家) 16巡目
 暗カン
そして海底間際、大崎がを掴んで、水崎に放銃。
裏ドラのらずで3900点。リーチ棒が出ていたので、水崎は2着浮上。
水崎にとっては最高の展開となった。

2回戦結果 福山+59.3 水崎+2.6 大崎▲20.2 豊後▲41.7

(2回戦終了時)
大崎 +57.0
水崎 +14.4
福山 +0.3
豊後 ▲71.7

 

★3回戦★ 豊後-大崎-水崎-福山

東1局。スタートから、4人の攻防が繰り広げられる。

福山(北家) 配牌
 ドラ
福山に面白そうな配牌が入る。ドラも対子でチャンス手だ。4巡目に自風のを仕掛ける。
6巡目にはを仕掛け、ホンイツに向かう。
そのは豊後の急所だ。豊後はでチーして、のダブルバックのイーシャンテン。
この鳴きにより、水崎にテンパイが入る。
水崎(西家) 7巡目

ここをしっかりとダマテン。でタンヤオ、で一気通貫の手替わりがある。
また、下家の福山がソーズで染めている事も考慮してだろう。
この判断の正確さ、バランスの良さが、水崎の長所だ。
その後、福山がと引き、以下のテンパイ。
福山(北家) 8巡目
 ポン ポン
すぐに豊後もを引き入れ、追いつく。
豊後(東家) 9巡目
 チー
大崎も、豊後が切ったをチーして、苦しい形だがテンパイまで辿り着く。
大崎(南家) 9巡目
 チー
結果、福山がを掴み、豊後に1500点の放銃。静かなスタートとなった。

東3局。豊後が先制リーチ。
豊後(西家) 6巡目
 ドラ
親の水崎が数巡後に追いつき、追っかけリーチ。
水崎(東家) 10巡目

13巡目に豊後がをツモり、500・1000。
ちなみに3回戦終了後の休憩時に、豊後は会場全体に聞こえるくらいの大きな声で、
談笑していたのだが、この局についてこう語っている。
「いやー、あのハナ○ソリーチ、ほんと焦ったよ!!親の追っかけくらってさー!!」
「ハナ○ソリーチだと思うなら打つなよ!」
…ブンゴ語録がまた一つ増えたようだ。

東4局。親の福山が先制リーチ。豊後がそれに追いつき、追っかけリーチ。
豊後が水崎からので出アガる。
豊後(南家) 14巡目
 ロン ドラ 裏ドラ

東場終了時 豊後38100 大崎23800 水崎17500 福山20600

南1局。福山が見事なアガりを見せる。
福山(北家) 8巡目
 ドラ
福山は、愚形リーチを好まない。最終形が良形になるように、手を進めている。この場面でもとりあえずダマテン。
次巡を引き、単騎の仮テン。
次巡一枚切れのドラのを持ってきて、これならば勝負とばかりに、単騎でリーチ!
一発でツモり上げ、2000・4000。福山らしさが出た1局だろう。

南2局。親の大崎が5巡目にをポン。11巡目に以下のテンパイ。
大崎(東家)
 ポン ドラ
14巡目にはを持ってきて、-に受け替える。
水崎は、12巡目に以下のテンパイ。
水崎(南家)

大崎のソーズ対水崎のピンズ。
15巡目に豊後が、場に枚切れのを掴み、水崎に放銃。
水崎にとっては大きな8000点の収入。これで4人の点棒が平たくなった。

オーラス。各家の点棒状況は以下の通り。
福山28300 豊後27200 大崎21500 水崎23000
トップからラスまで、わずか6800点差に犇めく大混戦。

南4局。7巡目、親の福山が先制リーチ。
福山(東家)
 ドラ
高めのは場に2枚切れとドラ表示牌に1枚だが、高めでアガれなくとも十分なリーチだ。
これに牙を剥いたのが、大崎。
大崎(西家) 12巡目

ドラのを切ってリーチ。勝負!
「…ツモ」
アガったのは、福山。をツモって裏のらず。2600オール。

南4局1本場。全員の手が重い。
水崎が11巡目に暗カン、14巡目にリーチするも、流局。
親の福山はテンパイしていたが、冷静にオリた。
水崎の1人テンパイで終了。

3回戦結果 福山+56.1 豊後+3.6 水崎▲17.6 大崎▲43.1 供託+1.0

(3回戦終了時)
福山 +56.4
大崎 +13.9
水崎 ▲3.2
豊後 ▲68.1
供託 +1.0

3回戦終了後、少し長めの休憩が与えられた。
選手達もそろそろお腹が空き始めている頃だろう。
各々支度を済ませ、外出していく中、福山だけは1人卓に座ったまま、採譜者の吉倉と反省会をしていた。
「やっぱりあの局ダメだったよねー…」
「それより、あのペンチャン落としがさー…」
「イッツー見えるじゃん?」
「三色も見ちゃってさぁ」
決定戦は、言わば「本番」。
終わった局を反省するのは大事だが、次の半荘に向けて頭を休めたり、
気持ちをリフレッシュしたりしなくて良いのだろうか?
でも、この無垢な直向さと謙虚さが、福山の良いところだろう。


★4回戦★ 豊後-福山-水崎-大崎

東1局。大崎が4巡目リーチ。
大崎(北家)
 ドラ
いきなりの大物手の予感。しかしこれはアガれず。大崎の1人テンパイ。

東2局1本場。南家水崎が親の第1打のをポン。
水崎は、この4人の中では、比較的鳴きが多い。
5巡目には、以下のテンパイ。
水崎(南家)
 ポン ドラ
7巡目にを持ってきて、のシャンポンに受け替える。
特に他家に動きがないまま9巡目。水崎がドラのをツモ切ったところ、親の福山から「ロン」の声が掛かった。
福山(東家)
 ロン
9600は9900。リーチをしていたら、出る牌ではなかっただろう。ダマテンが功を奏した。

東3局。福山が8巡目にリーチ。
親の水崎が追いつくも、高めので8000放銃。
福山(北家)
 ロン ドラ 裏ドラ

東4局。豊後が7巡目にリーチ。水崎から8000点をアガる。
豊後(南家) 10巡目
 ロン ドラ 裏ドラ
ドラ2のタンヤオ仕掛けを入れていた水崎に、このを止めろというのは酷だろう。
水崎にとっては不運な展開が続く。

東場終了時 豊後31000 福山34300 水崎▲1900 大崎36600

南2局。豊後が2巡目リーチ。
豊後(北家)
 ドラ
それに対し、7巡目、大崎が以下の牌姿からドラのを切る。
大崎(西家)

この局面について、大崎は後にこう語る。
「ブンちゃん、長考してリーチしたでしょ。第1打が
ドラ待ちになってるなら、長考しないと思ったんだよね。」
確かにこの時、豊後は長考してからリーチを打っていた。
大崎の鋭い読みは当たり、は通し。しかしこれは親の福山がポン。
そして10巡目には水崎が追っかけリーチ。
水崎(南家)

11巡目、豊後がをツモ切る。親の福山は、これを鳴けばテンパイ。
福山(東家)
 ポン
誰もが「ポン」と言いたくなってしまうところだろう。
福山は、このを、鳴かなかった。
福山は、とにかく真っ直ぐアガりに向かう。先制されたらオリる。そのスタイルが徹底されていた。
点棒状況等も加味して、2軒リーチとやり合う気はないとの判断を下したのだろう。
決着は13巡目。思わぬところから「ロン」の声が掛かった。
大崎(西家)
 ロン
水崎のリーチ宣言牌であるを対子落としして回っていた大崎だが、1巡前にテンパイ。
2軒に無スジのをそっと河に置いていた。
たった1牌を押す勇気。
たった1牌を止める我慢。
何が良いとか悪いとかではない。これが、彼女達のスタイルで、答えだ。
彼女達はこうやって1年間戦い、勝ちあがってきた。

南3局。ラス目の水崎が最後の親番。執念で七対子をツモアガり、3200オール。

南3局1本場。親の水崎がと仕掛ける。
そこに福山が、ドラのを切ってリーチ。ここが勝負所と読んだか。
大崎がそれをポンするも、テンパイしていた水崎が福山の当たり牌を掴み、放銃。
福山(北家) 11巡目
 ロン ドラ 裏ドラ

オーラス。各家の点棒状況は以下の通り。
大崎36400 豊後26800 福山36600 水崎200

南4局。親の大崎が早々に仕掛け、9巡目にテンパイ。
大崎(東家)
 チー ポン ドラ
同巡、豊後が待望のを引き入れ、リーチ。
豊後(南家)

なら、ツモれば文句なしでトップ。出アガりでも一発か裏1でトップ。水崎以外から直で2着は確定する。
安めツモでも一発か裏1でトップになれる。かなり現実味のある条件だ。
水崎も、11巡目にリーチ。
しかし、ここは大崎がをツモり、500オール。これで暫定トップに。
そしてまたもや勝負手が不発だった豊後。牌譜記録のために捲られた裏ドラは
これを見て、豊後は何を思っただろうか。
いや、きっと次の局の逆転条件を考えていたかな。豊後はいつも、前向きだから。

南4局1本場。親の大崎が2000は2100オールをアガる。

南4局2本場。豊後が8巡目にリーチ。全員オリて、豊後の1人テンパイで終了。

4回戦結果 大崎+65.2 福山+13.0 豊後▲14.8 水崎▲64.4 供託+1.0

(4回戦終了時)
大崎 +79.1
福山 +69.4
水崎 ▲67.6
豊後 ▲82.9
供託 +2.0

 

★5回戦★ 水崎-大崎-豊後-福山

女流雀王決定戦は、5半荘×3日で行われる。
初日の最終半荘。選手達はどのような戦いを見せてくれるか。

東1局1本場。水崎が仕掛けて6巡目に以下のテンパイ。
水崎(東家)
 チー ポン ドラ
9巡目に、福山がリーチ。
12巡目には、豊後が七対子ドラ2テンパイ。の選択だが、アガりやすそうな単騎を選択。
しかしリーチ宣言牌のは水崎の当たり牌だった。
水崎は2900は3200とリーチ棒の収入。

東1局2本場。大崎ダブリーチャンス。
大崎(南家) 配牌
 ドラ
しかしこれがなかなか進まず、ようやく11巡目にを引き入れ、リーチ。
2巡後にツモって裏のらず。1000・2000は1200・2200。

東2局。11巡目。
「…ツモ」
福山が、少し怪訝そうな顔で、牌を倒した。
福山(西家)
 ツモ ドラ
仮テン単騎をツモってしまったというところだろう。
前巡、の形から、ツモ
とりあえず打でテンパイを取っておいて、もう少し良い待ちになったらリーチしようと考えていたのだろう。
満貫クラスの手を想定していただけに、この手が500・1000だと少し物足りなかったか。

東3局。水崎の手作りの上手さが発揮される。

まず水崎は、1枚目のをスルー。その後を重ね、それを鳴く。
を重ねたところで、マンズのホンイツに一直線。
しかし、大崎から早いリーチ。
大崎(北家) 6巡目
 ドラ
豊後が場に1枚切れのを打ち、水崎がポンテンを入れる。
次巡ペンをツモり、2000-4000。
水崎(西家) 8巡目
 ポン ポン ポン ツモ

東場終了時 水崎37500 大崎26600 豊後14100 福山20800 供託1000

南1局1本場。水崎が9巡目に以下のテンパイ。
水崎(東家)
 ドラ
ダマで親の満貫。そんなことはもちろん知らず、同巡に豊後がリーチ。
豊後(西家)

3巡後、水崎がをツモり、4000は4100オール。リーチ棒もついて、これで水崎は5万点越え。

南1局2本場。親の水崎が12巡目にリーチ。
水崎(東家)
 ドラ
水崎、ここはツモれず。1人テンパイで流局。

南2局。福山が8巡目に以下のテンパイ。
福山(西家)
 ドラ
これまでの打ち方を見ていると、福山はリーチはしないだろうな、と思った。
案の定、これはダマテンにとる。自らのスタイルに一貫性があって素晴らしい。
2巡後、を持ってきて、-でリーチに行く。
4巡後、親の大崎が追いついて追っかけリーチをするも、を掴んで福山に放銃。裏ドラがで3200。

南3局。ラス目で最後の親番を迎えた豊後に、ドラ暗刻のチャンス手が入る。
豊後(東家) 配牌
 ドラ
しかしそれ以外の形が悪く、少し厳しいか。
更に4巡目、南家の福山から早いリーチがかかってしまう。
福山(南家) 9巡目
 暗カン ロン ドラ 裏ドラ
この親番は絶対に逃せない。豊後の思いも空しく、打ち出したは福山の当たり牌だった。
福山は8000点の収入で2着目に躍り出る。

オーラス。各家の点棒状況は以下の通り。
福山26100 水崎52500 大崎22200 豊後▲800

南4局。ここでも各者の上手さが光る。
まずは7巡目、大崎が先制リーチ。
大崎(西家)
 ドラ
この時、2着目の福山は以下の手牌。
福山(東家)

この手では、私は行けない。そう判断したのだろう。豊後が切ったをチーして一発を消し、潔くオリ。
そして水崎が、14巡目にテンパイ。
水崎(南家)

水崎は、大崎にハネ満を放銃しても、順位が変わらない。
ここはきっちりと押し切り、この手はアガれなかったものの、しっかりとテンパイ料をせしめた。
大崎、水崎の2人テンパイで終了。

5回戦結果 水崎+74.0 福山+4.6 大崎▲17.3 豊後▲62.3 供託+1.0

(5回戦終了時)
福山 +74.0
大崎 +61.8
水崎 +6.4
豊後 ▲145.2
供託 +3.0

 

福山がトータルトップで初日を終えた。
真っ直ぐアガりに向かう手作り、納得したリーチしか打たない強い意思、押したくなる場面でも引ける我慢強さ、
そして5回戦終了後には、またしても採譜者の吉倉と反省会をしていたのを見た。
その麻雀に対する研究熱心な姿勢。どれも素晴らしいものがあった。

福山を僅差で追いかける大崎。
麻雀の内容も、対局中の姿勢も、女流雀王としてその名に相応しい姿を見せてくれた。
「大崎は安心して見ていられる」周りからそんな声も聞こえてきた。
これからどんな麻雀を見せてくれるのか。非常に楽しみだ。

水崎は、堂々としているように見えて、実は凄く緊張していたという。手が震えて、親のチョンチョンが取れなかったと言っていた。
水崎は多くを語らないが、
鳴きのセンスや押し引きのバランスの良さ、判断の的確さが随所に見られ、
ポイントはそこまで叩けなかったものの、きちんと存在感を示しただろう。あと10半荘。どのような戦いを見せてくれるか。

そして、本日1人沈みとなってしまった豊後。
勝負手がほとんどアガれず、本当に、本当に苦しい展開だった。
「ツイてなかった」。この言葉を口にするのは簡単だ。しかし豊後は決して、その言葉を口にすることはなかった。
まだ戦いは3分の1しか終わっていない。これから豊後の大爆発に期待だ。

この4人が、これからどんなドラマを見せてくれるのか。
決戦は12月24日、クリスマスイブ。

(文・水城 恵利)

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