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順位
名前
TOTAL
1日目
2日目
最終日
1
伊達 直樹
150.8
89.3
98.2
-36.7
2
中林 啓
111.7
4.4
16.2
91.1
3
福田 聡
-23.6
-71.2
21.2
26.4
4
中里 修樹
-238.9
-22.5
-135.6
-80.8


 
【2日目観戦記】

1日目観戦記3日目観戦記

野球のリーグ戦では勝敗数を競い合うため、リーグ戦終盤では『マジックナンバー』と呼ばれる数字が出現する。
例えば「優勝マジック・3」の場合、最低でも残り3勝すれば優勝するという意味である。
だが麻雀、特にポイント制の成績評価の場合だと、厳密なマジックナンバーは存在しない。
稀に10万点のトップを取る場合もあるし、数字の上では100万点のトップを取ることも不可能ではないからである。
だが実際問題、「1半荘100ポイント差」が協会ルールでの常識的な数字であろう。
トップにはオカの20と順位ウマの30で+50。ラスは▲30。順位点だけで80、それに素点差が大体2万点と考えて20、よって合計して100。
もちろん4万点差のトップラスなら120、6万点差なら140変わる。ちなみに20万点差なら280ポイント…。
そう考えるとどれだけ離されても、奇跡的な逆転劇というというのは確率の上では存在する。
逆にいうと追われる側は常にプレッシャーがかかるもの。それがタイトル戦の怖いところでもある…。

★第6回戦★(中里→大脇→福田→中林)

奇しくも前日行われた第5回戦と同じ座順。
前回トップの大脇にとっては良い景色なのかもしれない。
だが1日目のアドバンテージを意識して、慎重になって縮こまってしまうのではなかろうか。

しかし大脇にその心配はなかった。
東1局10巡目、大脇にチートイツのテンパイが入り、場に2枚切れのでリーチを打ったのだから。

アドバンテージを持っているにもかかわらず、東1局から地獄タンキはかなり勇気がいる行為。
これに反撃する気満々だったのが北家・中林。配牌でドラの暗刻、1巡目でイーシャンテン。
それでもやっと12巡目に4枚目のを引いてタンヤオ・ドラ4の現物待ちをヤミテンにする。
しかしこの時点で中林のアガリ牌は山に1枚のみ。
さらに東家・中里も14巡目にリーチ。こちらは2枚生きていたが、結果は大脇がをツモって1600-3200のツモアガリ。

東2局も東家・大脇がリーチ、そして一発ツモで4000オール。

この局は北家・中里が疑問手だった。
 ツモ ドラ

4巡目、中里はソーズの伸びを見切って打としたのだが、
この後8巡目に以下の形になる。
 ツモ ドラ

を切ればテンパイだが、中里は打でイーシャンテン戻し。
しかし、ここで即リーチとしないのであれば、4巡目にを切るべきではないだろう。
結果論だが、5巡目には、11巡目に、13巡目はと引いているので唯一アガリを逃す選択であった。

東4局1本場、大脇がメンホンで満貫のアガリ、さらに差を広げる。

大脇の立場なら役牌アンコのリーチでも十分。
だがソーズが伸びて気がつけば手なりのホンイツテンパイ。
そこに福田が飛び込んできた、という表現が適切か。

大脇の独走…なのに南場は皆小場の展開。
そして最後のオーラスは大脇が行きがけの駄賃と言わんばかりの満貫ツモアガリ。

安全牌を残さず567の三色を意識しての残しは初日に何度も見た大脇ならではの手筋。
トップ目でも守りに入らないのが大脇の強さかもしれない。

(6回戦終了)
大脇+76.6 中里▲1.7 中林▲23.0 福田▲51.9  

6回戦終了時トータル
大脇+165.9
中林▲18.6
中里▲24.2
福田▲123.1


★第7回戦★(中里→大脇→中林→福田)

協会ルールのリーグ戦でもタイトル戦でも▲200Pを下回ると実質「脱落」の感がある。

その脱落まで「逆マジック1ラス」の福田が、ここで大爆発。
まずは東1局。

独走の大脇を止めるべく、親の中里が仕掛けて連荘狙い。
だが先にテンパイを入れたのはそれでも大脇の方。
9巡目にピンフのみのテンパイ。
が3枚切れ、678三色の手替わりもありヤミテンに構える。
結果は同巡に福田の打を中里がチーテン。
その後福田にと入ってフリテンリーチ。
そして一発ツモと裏で3000-6000のアガリとなった。。

5回戦・6回戦と大脇の怒涛のアガリを指をくわえて眺めているだけだった福田だが、この半荘では完全な主役。
東2局・東3局と連続して満貫のアガリ。

東4局で親番の福田。
3900をアガって連荘し、同1本場ではこの半荘2度目の一発ツモ。

南3局、福田がまたしても満貫ツモアガリ。

ただ、どうせダントツなのだから、1回くらい中林のアガリを待って大脇を3着に落としておく発想があっても良かったかもしれない。

幸い南4局では中林が満貫をアガり自力で2着浮上。

大脇の独走に歯止めをかけた。

(7回戦終了)
福田+83.2 中林+6.4 大脇▲17.1 中里▲72.5  

7回戦終了時トータル
大脇+148.8
中林▲12.2
福田▲39.9
中里▲96.7


★第8回戦★(中林→大脇→福田→中里)

大崩れこそしていないが、第1戦以来トップから遠のいている中林。
この8回戦の起家では幸先良く親満のアガリ。

ペンのメンホンイーペーコーをヤミテン。
捨て牌も目立っておらず、完全にノーマーク状態。
不運だったのが放銃した福田。実は6巡目に分岐点があった。

 ツモ ドラ

手なりなら打。だが福田はのトイツ落としで懐の深さを見せる。
ただを切っておくと8巡目のツモでテンパイしており、この時点で打リーチ。
少なくとも中林への放銃は回避していただけに悔やまれる選択である。

さて今回の決定戦では、なんとこれまでの7半荘全て、先制アガリ者がトップになっていた。
ならばこの8回戦は中林…と思いきや異変が起こる。
東1局1本場、中林が表示牌カンチャン待ちながら、ドラドラのリーチ。

同巡、大脇が現物待ちのピンフイッツーをヤミテン。と同時に中里が以下の形からをチー。
 ドラ

ピンフイーシャンテンだが一発消しも兼ね、鳴いて現物のトイツ落とし。
この仕掛けを見た大脇、ツモ切りで追いかける。
これは大脇に軍配が上がり、中林にとって非常に痛い放銃となった。

その中林の頼みの綱は南場の親番。南1局で先制リーチの5800。

続く1本場。
大脇、中里と仕掛けが入った後に、中林が7巡目にリーチ。
 ドラ

結果的には中里の700-1300で中林の親が落ちたのだが、これは少々微妙だった。
 ツモ ポン ドラ

トータルトップの大脇がこの半荘も抜け出しているのだから、
ピンズを早々に払ってホンイツの満貫を狙うか、番手の中林にもっと連荘させても良いのではなかろうか。

南3局、2着目の中林がトップ目の大脇に迫るべくピンズに寄せる。

だが結果は大脇が配牌からムダヅモ無しで5巡目リーチ、そして567の三色でハネ満ツモ。

オーラスは中里が2本場まで積んで2着に浮上するも、結局は大脇のツモアガリで終了。

(8回戦終了)
大脇+72.8 中里+1.7 中林▲18.4 福田▲56.1  

8回戦終了時トータル
大脇+221.6
中林▲30.6
中里▲95.0
福田▲96.0

★第9回戦★(大脇→福田→中林→中里)

トータルダントツの大脇が起家。
その東1局で中林は満貫ツモという最高のスタートを決める。

一発ツモは勢いのある証拠だが、7巡目に注目。
 ツモ ドラ

ここでピンズの安さを見て打5。
確かにも山にあり、感覚の鋭さも感じさせる。

東2局、さらに中林のアガリ。

配牌でソーズ11枚。
4巡目にしてこの形。

北家・大脇が5巡目に早くもテンパイだが…
 ポン

すぐに中林がチーテンを入れて、ハネ満ツモとなった。
 ツモ チー

トータル2着目の激しい追い上げに、大脇もプレッシャーを感じていたのかもしれない。
東3局9巡目、大脇にチートイツテンパイが入る。

6回戦東1局とは異なり、今度は2枚切れのタンキに受けずにタンキでのリーチ。
確かにマンズは場に安い状況であったが…。
だが結果は、タンキに受けていればツモアガリだった!
そしてさらに中里の反撃を受け、満貫の放銃となる。さすがの大脇もこの選択ミスは致命傷。

南4局1本場、大脇が2600のアガリで結局ラスのまま。

ちなみに3着福田とは5600差。そして1本場に供託1000。
ツモアガリもしくは直撃か、あるいは裏ドラ1枚があれば大脇はアガって3着だった。
打ったのはダントツの中林だったが、無論テンパイからの放銃である。
裏ドラが乗れば、中林は悔やむところだっただろう。

(9回戦終了)
中林+71.9 中里+7.0 福田▲28.6 大脇▲50.3  

9回戦終了時トータル
大脇+171.3
中林+41.3
中里▲88.0
福田▲124.6


★第10回戦★(中林→福田→中里→大脇)

トータルトップを走る者にとって、勢いある下からの追い上げほど怖いものはない。
ポーカーフェイスの大脇といえどもその表情には焦りの色が見え始める。
一方、対照的に追う立場の中林は非常に生き生きとした表情で連勝を狙う。

東1局、起家・中林は配牌リャンシャンテン。

ドラドラが見える西家・中里は、1巡目から1枚目のオタ風のを仕掛ける。
だが中林は、8巡目にメンタンピンのリーチ。
 ドラ

さてここで興味深いのはリーチ直後の北家・大脇。
 ドラ

南家・福田が切ったをここからポン。
すでに2フーロの中里に一発が回るのを飛ばす。
結果は2巡後に中里がツモ切ったで5800の放銃となり、中林のツモアガリを防いだ形になった。、

東1局1本場。中林がダブ東を叩いて連荘。

そして流局後の東2局3本場。
この2半荘、まったく出番のなかった福田がこの親番で大爆発。
まず2巡目にダブ東アンコの北タンキでリーチ、11巡目にツモって4000オール。
 ツモ ドラ 裏

東2局4本場、10巡目リーチ。14巡目ツモで2600は3000オール。

同5本場、福田が3巡目にオタ風のから仕掛けてホンイツ・ドラドラ。親満のアガリである。

ちなみに福田の鳴いた形は以下の通り。
 ドラ

普段の福田なら1枚目のをスルーする印象はあるが、この鳴きでとツモってあっさりのテンパイだった。

その後一転して小場に。
順位に変動もなく迎えた南4局1本場。
3着目のラス親・大脇が12巡目にやっとリーチ。

ドラのカン待ちだが手変わりを待つ巡目ではない。
ここは流局にはなったが、この局は福田が緩く打った感がある。
8巡目に中林が2枚目のを切ったときの福田の手牌は以下の通り。
 出る ドラ

ダントツならもちろん仕掛ける必要はない手だが、これはタイトル戦の決勝である。
トータルトップの大脇が3着のうちに早々と終わらす姿勢を見せないと…。

同2本場、首の皮がつながった大脇が5巡目にリーチ。

これに、チャンタ手のイーシャンテンであった中里がツモ切りで放銃。
このアガリで2着中林と3着大脇の点差は5100に。

同3本場、息を吹き返した大脇が7巡目リーチ。
そして…。

ここで大きな6000オールのツモアガリ。
一気に中林を追い越し、トップ目の福田をも射程圏内に捉える。

この局は中里に緩手があった。4巡目でこの形。
 ポン ツモ ドラ

2枚切れのではなく打と大きく字一色まで睨む。
ハコ割れのダンラスなので気持ちはわからなくもないが、
役満よりも大事なかわし手という局面もあり、まさにこの状況がそうだと思うのだが…。
福田・中里共に、大脇を3着に縛り付ける意識が足りなかった。

同4本場。ようやく中里がアガって終了。

ここで中林の仕掛けに注目したい。
福田・中里に比べるとプロ歴わずか2年の中林のほうがはるかに「わかっている」といえる。
8巡目の中林。
 ドラ

ここからをチーして打。普通なら無論仕掛けるところではない。
だが自在に動けるようにあえてタンヤオに切り変えたのである。
3着確定にしかならない鳴きだが、大脇にアガられてトップを取られるよりははるかにマシである。
もっとも、本来ならさっさとアガリにかけるべき福田が、七種八牌からオリ気味に国士無双をやっている。
中林のファインプレーがなければ大脇に捲くられていただろう…というのが会場内衆目一致の意見である。

(10回戦終了)
福田+74.6 大脇+16.2 福田▲20.7 中里▲70.1  

10回戦終了時トータル
大脇+187.5
中林+20.6
福田▲50.0
中里▲158.1

麻雀は4人で行う競技である以上、四者四様の思惑が絡み合う。
それでもタイトル戦の決勝戦ではダントツを作り出さないように他3人は協力しなければならないものである。

 

決勝進出者はそのことを今一度念頭に置いて、最後の対局に挑んで欲しい。


 


1日目観戦記3日目観戦記


(文:ケネス徳田)

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