順位 |
名前 |
TOTAL |
1回戦 |
2回戦 |
3回戦 |
4回戦 |
5回戦 |
1 |
吉田 基成 |
131.7 |
64.4 |
-15.5 |
-66.4 |
70.9 |
78.3 |
2 |
江崎 文郎 |
57.3 |
-42.8 |
66.8 |
17.1 |
4.7 |
11.5 |
3 |
山崎 逸朗 |
4.6 |
-21.2 |
9.2 |
58.5 |
-25.6 |
-16.3 |
4 |
大浜 岳 |
-193.6 |
-0.4 |
-60.5 |
-9.2 |
-50.0 |
-73.5 |
|1日目観戦記|2日目観戦記|最終日観戦記|
【雀竜位決定戦 1日目観戦記】
大浜 岳 第3期入会 第15期雀竜A級1位
大浜が雀竜A級で獲得したポイントは18半荘で533.3ポイント。
2位に200ポイント以上の差をつける圧勝劇で決定戦進出を果たした。
この数字を叩きだした導因は「上ブレの抽選」を積極的に狙っていく大浜の姿勢にあると推測する。
ポン 加カン ドラ
これは雀竜A級の実戦譜。
ドラトイツが2組ある贅沢な牌姿だが、大浜はここから打とし、直後にを仕掛けてテンパイするとツモ。
指折り数えるまでもなく誰でもパッとわかりそうな三倍満の完成である。
2回戦南3局0本場
ダマテンでも高め18000を大浜はリーチとした。
南3局この点差のラス目ということであれば曲げる人も多いと思う。
1巡目に吉田から、2巡目に江崎から打たれた。
リーチ直前に山崎からツモ切られたを睨んでのリーチ判断。
大浜は点数状況よりも、この局面のに対する感触の良さをリーチの判断基準にしたのではないだろうか?
ミニマム6000オールから―――大浜は同様の場況だとしたら、たとえトップ目の親番だとしても臆することなくリーチを選択しそうな男である。
残念ながら初日は受難の展開が続いたが、直接対決で残り10半荘、こうした「上ブレの抽選」を狙う選択が数回ハマるようであれば、まだまだ巻き返しは十分可能なポイント差といえるだろう。
山崎 逸郎 第11期入会 第15期雀竜A級3位
山崎にとって放送対局もタイトル戦決勝も初めての経験である。
初めての舞台で緊張のあまり力を出しきれず、敗れ去ってしまったプレイヤーは数知れない。
1回戦東3局3本場
場に4枚見えている-待ちでテンパイ。
山崎はこれをダマテンにした。アガリだけが目的ならばダマテンが圧倒的に優秀である。
しかし2万点離れたトップ目を追いかけるためには、何より雀竜位を獲ることが最終的な目的だとしたら――
次巡をダマテンで即ツモした後の山崎の表情。
アガリをものにした後のものとは決して思えない。
不幸中の幸いだったのがまだ1回戦だったということ。
このアガリで山崎は目が覚めたのか―――。
2回戦東3局1本場
2人仕掛けが入っている状況で生牌のドラを勝負してリーチ。
をツモると裏ドラ1枚をのせて値千金の2000・4000。
5回戦東3局1本場
2着目から大浜の親リーチにこのテンパイで果敢に追っかけるとこれを大浜から一発で討ち取った。
1回戦以降は積極リーチ策が功を奏し、山崎は初日をなんとかプラスで終えることができた。
プレッシャーのハンデを差し引けば上々の立ち上がりといえるだろう。
江崎 文郎 第13期入会 第15期雀竜A級2位
微妙だなーと思う手牌で勝負するかどうかの選択を迫られた時、1分間考えた上で結論を出しなさいといわれたらどうなると思いますか?
心理的に悪い方の結果が頭をよぎって勝負できなくなる人の方が多いのではないでしょうか?
2回戦東4局1本場
メンホン・ドラ3のテンパイを入れていた江崎の手が止まる。
吉田のリーチ、大浜の3フーローに挟まれた状況での選択。
特に北家大浜の仕掛けが、
ポン ポン ポン ドラ
ポンから入った4センチ。捨て牌相から予測してもトイトイ狙いは鉄板だ。大浜の風牌であるで放銃すると満貫か・・・
なにより自分の手は打点こそあるがこの苦しい待ちでアガることができるのか?
考えれば考えるほどプッシュは見合わないように見えてくる。何も考えずに目を瞑って全ツするほうがよっぽど簡単だ。
しかし江崎は十分に考えた抜いた上でこのを押すことを選択した。大浜はをポンして打。
その後の→は明らかな両面ターツを落とし。その後にをポンしている。もしも大浜の手が役牌と何かのシャンポン待ちだとしたら――
ポン ポン ポン ドラ
このパターンだとをトイツ落とししてホンイツに向かいそうななものだから、ポン前のソーズの両面ターツ落としは少しおかしい。
ポン ポン ポン ドラ
このパターンだとポン前にを引っ張って5ブロックに受け、先にソーズの両面ターツ落としにならないだろうか?
長考中、江崎の視線はずっと大浜の捨て牌に注がれていた。
冷静に読み切ると大浜の手の内にはソーズも役牌も無い可能性が高く、吉田のリーチだけならを勝負するに十分値すると判断したのだ。
江崎の読み通り大浜の手牌にはソーズも役牌もなく、この勝負は江崎に軍配が上がることになった。
3回戦東4局0本場
この局面も江崎は大浜のダブ+の仕掛けと、吉田のリーチに挟まれて長考する。
手格好だけ見ればを切りたい。しかし考えれば考えるほどは危険に見える。
ここは少しだけ安全度の高いでお茶を濁すかと思ったのだが、江崎は考え抜いた上でをプッシュした。
この長考プッシュ2発に江崎の人並みならぬ胆力の高さを感じた。
ポイント的にも上々の立ち上がり。初日だけを見ると打倒吉田の1番手は江崎なのではないか?と思わせるような好内容の麻雀だった。
吉田 基成 第4期入会 第14期雀竜位
「なんでもやるタイプと自分では思っています。手役もスピードも、その時の最善のバランスでやりたいので」 とは本人談。
1回戦東4局0本場
2着目と15000点以上離れたトップ目。
を切ってソーズ2メンツも視野に入れるのがセオリーだが、吉田の選択は打だった。
巡目の猶予が十分にあることを考え、ドラのを2枚使い切る手組の一環としてマンズの染めの可能性を残したというところだろう。
ロン チー チー ドラ
5巡目に3枚目のをチーすると、続けざまに出たもチー。
すぐにをツモってあっという間にチンイツの3面張。
ソーズのホンイツをテンパイしていた大浜からが溢れ、結果的に最速のテンパイがこの半荘の決定打となる12000点のアガリとなった。
4回戦東4局1本場
ビハインドを負った親番、供託に3000点とあらば、最速のリーチを目指しテンパイの受け入れを目一杯にしたくなるところ。
しかし吉田の選択はツモ切り。
「受け入れMAX = 最速のアガリ」とは限らない。門前限定のイーシャンテンと仕掛けが利くイーシャンテンの比較なら、門前の受け入れを多少ロスしたところで仕掛けが利く分アガリまでの速度はほぼ互角。
リーチツモ ドラ 裏ドラ
アガリまでの速度が互角なら、この可能性が残っているほうが有利と判断した吉田の判断。
可能な状況ならば決定打を狙おうとする強い意志、決定打を意識した構想力の高さが吉田の選択の随所から垣間見れるのではないかと思う。
5回戦東2局1本場
親番で南家の第一打オタ風を積極的に仕掛けたシーン。吉田はここまでの決定戦でこのような遠い仕掛けを他者に見せていない。
おそらく最も効果的な局面で使おうと温存していたに違いない。トータルでトップ目に立ったこと。この半荘も7000点差の2着目。
誰もが吉田の連荘を望まないこの状況こそが絶妙の使いどころだったのだ。
吉田の手牌は2段目に差し掛かるころにこうなった。
マンズよりもソーズの枚数が多かったのに、少しでも高く見せようとドラ色のマンズを手の内に残す心憎い演出付き。
南家・大浜
ドラ
西家・江崎
ドラ
大浜、江崎は戦える牌姿にあらず、完全に吉田の術中に落ちた格好となった。
北家・山崎
ツモ ドラ
唯一整った牌姿であった山崎も、を打ちきれずここでに手をかける。
戦略的な仕掛けが見事にはまり一人テンパイで親権を維持した吉田は、この親番で加点を重ねトップ目だった山崎をまくり逆に1万点以上の差をつけることに成功した。
これは筆者の予測であるが、吉田はこの対局を3人がTSで見直すことも計算にも入れているに違いない。
このような仕掛けを3人に見せつけることによって、今度は本手の仕掛けを少し舐めてもらい、仕掛けの成就率を高めようとする実に・・・実に腹黒い作戦ではないだろうか?
吉田以外の3人は初の決定戦だった。経験と戦略と腹黒さの差が初日の結果として現れた格好となってしまった。
しかしながら決定的な差であるとは思えない。大舞台で戦うことによって、その経験を経て急激に成長するプレイヤーも少なからず存在する。
それは去年1年間で数々の対外試合を経験し、更なる進化を遂げた吉田本人もその内の一人なのだ。
2日目以降の戦いに期待を込めつつ、初日の観戦記の観戦記を終わります。
(文・木原 浩一)
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