順位 |
名前 |
ポイント |
1日目 |
2日目 |
11回戦 |
12回戦 |
13回戦 |
14回戦 |
15回戦 |
1 |
鈴木 たろう |
197.1 |
122.0 |
-28.9 |
89.6 |
-51.2 |
13.3 |
-13.6 |
65.9 |
2 |
木原 浩一 |
32.9 |
-16.2 |
-67.2 |
1.2 |
9.1 |
65.2 |
61.9 |
-21.1 |
3 |
角谷 ヨウスケ |
-44.7 |
17.4 |
12.8 |
-60.3 |
-17.6 |
-8.7 |
9.0 |
2.7 |
4 |
小川 裕之 |
-190.3 |
-125.2 |
80.3 |
-30.5 |
59.7 |
-69.8 |
-57.3 |
-47.5 |
【3日目観戦記】
| 1日目観戦記 | 2日目観戦記 | 最終日観戦記 |
白熱した戦いも佳境を迎える。私が御託を並べるよりも麻雀の中身をどんどん見ていこう。
★11回戦★
東1局、親のたろうが先制リーチを打つ。
ドラ
たろうの捨て牌は
ゼウスのリーチに角谷が徹底抗戦する。リーチを受けた時点での角谷は以下の牌姿。
ドラ
ここから持ってくる牌を気持ちいい程に、軽快に河に並べる。
ツモ切り、ツモ切り、ツモ切り、ツモ切り、ツモ切りと続く。
全て無スジ、は生牌である。ここまでノータイムで押せるプレーヤーは協会唯一ではないだろうか。
ドラのを2枚持ってきてついに追いかけリーチ。
ドラ
角谷に半端な脅しは通用しないのだ。今日も角谷は角谷らしく突き進む。
結果はたろうがをツモで裏ドラが。たろうの6000オール宣言と3者の溜息と共に幕開けとなった。
東1局1本場、たろうが勢いそのまま満貫をアガる。
リーチツモ ドラ 裏ドラ
点棒を持たせてはいけない男に点棒が集まる。
東2局、角谷の先制リーチが入る。
ドラ
木原も追いかけリーチ。
ドラ
結末は2軒リーチを嘲笑うかのような暗カンからの嶺上開花をアガったたろう。
「なんだリーチかける前にアガっちゃったよ〜」
という心の声が聞こえて来そうである。
11回戦はこのリードを上手く使い半ば押し切る形で終焉。
11回戦スコア ※()内はトータル
たろう+89.6(+182.7)
木原 +1.2(▲82.2)
小川 ▲30.5(▲75.4)
角谷 ▲60.3(▲30.1)
★12回戦★
トータルトップ目のたろうと2番手角谷は210ポイント以上、小川、木原に関しては260ポイント近くの差がある。
嫌でもたろうとの差を意識させられる頃合いである。
東3局、親番の小川の8巡目。
ドラ
ここまで育て上げる。すぐに満貫が見える手だ。
しかしながら・・・ここから小川のツモが全く効かなくなる。
テンパイすらしないまま、終盤にリーチを入れた角谷の1人テンパイとなる。
捨て牌に着目していただきたい。河に三元牌が1枚も打たれぬままの流局である。
不運なことに木原、たろうの手牌が共に悪く字牌が最後まで絞られてしまっていたのだ。小川には非常に苦しい展開。
東4局1本場 供託1.0
トップ目の木原がを仕掛ける。
ポン ドラ
最近「東1局」が上手くなった人が増えている。
「リーチ+1、2ハン」作ること。3900以上の仕掛けをすること。安易に安い仕掛けをしない。など協会ルールのようにトップを取る事が重要なルールにおいて、序盤は打点を重視することに意識が行くようになった打ち手は増えていると思う。
しかしながら自分がトップ目に立った時やビハインドを背負った時も、打ち方が変わらず打点を作り続ける人も弊害として増えている気がする。
「東1局」は1局しかなく、次局以降は点棒状況が生じ、柔軟に打ち方を変えねばならないのだ。
木原がを加カンした。
加カン ドラ
ここで親満貫をヤミテンにしていた角谷からツモ切りリーチが入る。
ドラ
次巡角谷が切ったを木原が仕掛ける。
チー 加カン ドラ
放銃?いやいやエース木原はここから、と切っていく。
角谷のハネ満だったを重ね、さらにを角谷からアガった。
ロン チー 加カン ドラ
角谷の親を蹴る目的でスタートしたが、後手を踏んだら流局時テンパイに目的をシフトしつつ、結果キッチリとアガる。
さすが雀王木原といったところか。
南3局、小川が意地を見せる。丁寧に丁寧に打ってきた麻雀の歯車が遂に噛み合う。
リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ
4000オールのアガリでトップ目に立つ。
オーラスを迎えて親から順に、
角谷 14500
木原 27600
たろう18300
小川 39600
四暗刻イーシャンテンだった木原が2枚目のをポン。
ポン ドラ
流局直前に角谷からが打たれるも見逃し。
自身がトップ若しくはたろうをラスに出来ないアガりは不要という事である。
南4局1本場
角谷がリーチを打つ。
ドラ
先にテンパイしていた、たろうからを打ち取り7700は8000。(裏ドラ)
2本場にはたろうが、
ドラ
というピンフテンパイ。-が幾度となく河に放たれるも見向きもせず。
狙いは言わずもがな、ノーテン罰符により上位陣と差を詰めた上での着順アップである。
しかし現実のたろうの点棒からエデンまでは遠かった。
小川がアガり、三者待望のたろうラスで12回戦を終える。
12回戦スコア
小川 +59.7(▲15.7)
木原 +9.1(▲73.1)
角谷 ▲17.6(▲47.7)
たろう▲51.2(+131.5)
★13回戦★
東4局。小川の繊細な打ち筋が出る。
ツモ チー ポン ドラ
劣勢に立たされ打点も欲しい所。
たろうの仕掛けは、
チー ポン ドラ
捨て牌は
チーして打、ツモ切り、手出しと続き小考後に手の内からを切り、同じく小考して手の内からと打つ。
小川はを加カンしたが、たろうの中スジであるリンシャン牌を持ってきてでオリを選択。(は木原が通している)
とで考えたたろうに対し小川はピンズの内寄せを読み筋に入れていた。
例えば、
からを打ち、次巡を引きを打った・・・など。
自身がを固めているところからのたろうの手出しに強く意味を感じたのだろう。繊細な読みと冷静な判断が出来ている。
一方、雀王木原は今日の小川に対し、ある違和感を意識していたようだ。
「こいつは追い詰められているスコア状況を意識しすぎて自由に打てなくなっているな・・・」と。
オーラス親番の木原。
リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ
まずは4000オールでトップ目に立つ。
続く1本場。
前巡
ツモ ドラ
からテンパイ取らずのツモ切り。次巡のツモで切りリーチに出る。
たろうが反撃に出る。麻雀においては、たろうの辞書に『遠慮』という文字はない。
ドラ
確定ピンフ・一気通貫で追いかけリーチを放つ。
高めツモなら文句なしトップ、高め裏ドラ・直撃条件でもトップ。他のアガリでも2着になる。
結果は木原がをツモ。
木原「普通ならテンパイに取らないけどね。今日の小川は遠慮して打っているように見えたから、釣れる可能性が高いと踏んだんだよ。でもやり過ぎたかな〜?」
2本場。
最後はたろうが渋々?2着になるヤミテン満貫のアガリ。
ロン ドラ
木原はほぼ借金返済となるトップ終了。
オーラス、たろうに着順アップを許す放銃となった木原、大きなラスを引かされた小川、 たろうに捲られてしまった角谷、
そしてアガリで2着にしかなれなかった、たろう。
全員がガッカリしている不思議な映像である。(そんなにたろうはガッカリしなくても・・・)
13回戦スコア
木原 +65.2(▲7.9)
たろう+13.1(+144.8)
角谷 ▲8.7(▲56.4)
小川 ▲69.8(▲85.5)
★14回戦★
東3局2本場、親の角谷の手牌進行。
10巡目
ツモ→打 ドラ
13巡目
ツモ→打
14巡目
ツモ→打
三色・ドラ1をヤミテンに構える。
北家・木原の仕掛けが、以下。
チー ポン ポン ドラ
ホンイツの満貫が濃厚であったが、三色・ドラ1ならば十分に見合うと角谷は考えた。
角谷は次巡も長考の後に叩きつける。トップ目ではあるがアクセルから足を離さない。
一方、小川にも三色・ドラ1のヤミテンが入っている。
ドラ
出遅れたたろうは木原のテンパイそして角谷、小川両者がヤミテンであることを看破していた。
かつ1人ノーテンにならないように形式テンパイを急いだ。
無スジは切らない。は角谷が小川にも通した。を引けば(orチーすれば)安全にテンパイとなる。
万が一、が放たれてもポンしてテンパイが取れるから小川の現物、角谷には中スジとなるを一旦切るか・・・
たろうが一瞬にして描いたストーリーである。
当然であるが手出しツモ切りを正確にチェックできると流局時のテンパイ維持率に差が出るのだ。
そして読め過ぎたが故の角谷への放銃。角谷がヤミテンかつ愚形であることも、たろうにとって盲点となっただろう。
東4局
たろう13100
小川 30400
木原 17100
角谷 39400
さぁ現在トータルトップのたろうがラス目である。親はさっくり落としましょう・・・て、あれれ?
角谷の先制リーチを受けるも、たろう大暴れの挙句テンパイを維持し、親を流さない。
大ミンカン チー ポン ドラ
1本場
小川、木原、角谷3者が先にテンパイするも、たろうがかき分けて形式テンパイに漕ぎつく。
チー ドラ
2本場
流したい親がなかなか流せない。
そしてついに5巡にして本手が入る。
東家・たろう
ポン ドラ
散々脅しの仕掛けをしてきたたろうに対し、この巡目、仕掛けでまさかテンパイしているとは思わないものである。
強引な仕掛けを多用することは本手を眩ますことにも繋がっている。
すぐにをツモり4000は4200オール。
3本場
たろう先制リーチも流局。
ドラ
4本場
たろうの親を流し切れない3者をよそに、たろうが遂にトップ目に立つ。
リーチツモ ドラ 裏ドラ
2600は3000オール。
5本場
小川が先制リーチ。そして、木原が追いつく。打点は様々な6面張。
西家・木原
ドラ
ここに最高目のを小川が一発で掴んでしまう。
裏ドラでハネ満の放銃となった。そしてこのハネ満を起点にたろう追撃の狼煙を上げる。
南2局1本場
たろうの手組に注目したい。僅か5巡目にて、
ツモ→打 ドラ
単騎でテンパイを取らずにタンヤオ、三色ピンフを目指している。
当然手を育てると他者に追いつかれるリスクが存在する。
親の木原からリーチが飛んでくる。
西家・たろう
ツモ→打
このを木原が咎めた。
ロン ドラ 裏ドラ
裏ドラが乗って12000の直撃。遂に木原の拳がゼウスに届く。
14回戦スコア
木原 +61.9(+54.0)
角谷 +9.0(▲47.4)
たろう▲13.6(+131.2)
小川▲57.3(▲142.8)
★15回戦★
東1局から場が突沸する。
まず先制は角谷。ドラを2枚使った絶好のリーチを打つ。
ドラ
続いてたろうから追いかけリーチ。
ドラ
3軒目は親の木原。
ドラ
チートイツの待ちで場況良しと踏んだ。
程なくしてたろうがを掴み角谷へ満貫の放銃となった。
東2局、自力で親を引いた角谷。
小川のリーチをかいくぐりダブ・ドラ1の2000オールをアガる。
ツモ ポン ドラ
東2局1本場
たろうが一気通貫・ドラをヤミテンにしていた。
ツモ ドラ
先にソーズを持ってきたら清一色に向かうがリャンメンターツになったところでリーチ。
満貫確定だが、さらに打点を取りに行く。程なくして当たり前のようにでハネ満のアガリ。一瞬にして原点復帰である。
東3局、またしてもたろうが魅せる。(ドラ)
南家たろうの手牌進行
ツモ→唯一のリャンメンを払う打。
ツモ→打
ツモ→打
たった3巡の出来事。あっという間に手牌がヤオチュウ牌のみになり、角谷からポン。
ポン→打
さらに角谷からポン。
ポン ポン→ここで2枚切れの打。
なかなかに手をかけられないのではないだろうか。
当たり前のようにを重ね、たろうの手を裁きに来た木原のリーチに一度もツモ番を回すことなくツモアガる。
ツモ ポン ポン ドラ
役役ホンイツトイトイ混老頭という長い呪文の倍満ツモ。
最初に字牌を1枚でも切っていたら成立しない手を成就させる。高い手を正確にアガリ切る嗅覚は素晴らしい。
東4局、親番たろう。
豪快な手作りのみならず読みも超一級品である。
こちらは6巡目、北家・小川の手牌。
ドラ
ここに上家角谷からドラが放たれる。当然のチーでの後付けに構える。
直ぐにアタり牌を持ってくるたろう。
ここからうっかりをツモ切りしている人はいませんか??
トータルラス目、かつ現状4着目の小川が・・・
いままでずっと腰を重く戦ってきた小川が・・・
たろう「あの手は絶対に高いしテンパイが濃厚だからね。あの手格好から、危険牌は1枚も切る気はないよ」
考えれば考えるほど危険信号は出ている。決勝の舞台で、『つい』とか『うっかり』という事は許されないのだ。
南3局、小川に大物手が入る。
最終日に繋げるためにも是が非でもアガりたい。
ポン ドラ
阻止したのはたろう。
ツモ ポン ドラ
ここぞ!というときに、たろうは上手く裁く。絶妙すぎるバランスが芸術へと昇華する。
15回戦スコア
たろう+65.9(+197.1)
角谷 +2.7(▲44.7)
木原 ▲21.1(+32.9)
小川 ▲47.5(▲190.3)
贔屓して書くつもりはないが、3日目はたろうの記載が多くなった。とにかく内容が良い。
解説からのコメントもあったが、たろうを観戦し研究しないということは、協会プロとして麻雀で勝ち残る意志がないと評されても仕方がない。
木原はたろうを追う一番手。トップの偉いこのルールでは十分に可能性がある。
角谷は少し苦しいが現実的条件は残る。
小川はかなり苦しくなった。展開も厳しかった。協会には大逆転の『あの戦い』の前例もある。可能性がある限り戦う。
最終日も私が観戦記を担当する。各者への寸評などは最終日の麻雀を見てから書くことにしよう。
(文・斎藤 俊)
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