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順位
名前
ポイント
1日目
6回戦
7回戦
8回戦
9回戦
10回戦
1
鈴木 たろう
93.1
122.0
-60.6
63.0
54.4
-40.9
-44.8
2
角谷 ヨウスケ
30.2
17.4
66.2
?-19.0
-47.1
5.9
6.8
3
小川 裕之
-44.9
-125.2
14.0
9.4
12.1
-17.9
62.7
4
木原 浩一
-83.4
-16.2
-21.6
-53.4
-20.4
52.9
-24.7

【2日目観戦記】  | 1日目観戦記 | 3日目観戦記 | 最終日観戦記 |

10月15日。
決定戦初日が終わった後、5半荘を戦い終えた4名にインタビューを行った。

(質問1) 次回までの一週間はどのように過ごしますか?また前日は何か特別な事をしたりしますか?

小川 裕之
「ずっと仕事。あとオータム(チャレンジカップ)の観戦記書きます。メンタルゲームなので、リラックスして臨みたい」

木原 浩一
「天鳳ばっかりです。あと週1で行っている協会ルールでのセット。天鳳は赤ありです。基礎練習、(自分にとって)走り込みみたいなもの」

角谷 ヨウスケ
「完全にいつも通り、変わらないです。ずっと仕事で、2日前には東京来てマースタ出て、前日はまーちゃおです」

鈴木 たろう
「前日はよく寝ること。基本夜型なので、前々日はあまり寝ないで前日にたっぷり寝て調整します」

(質問2) 初日を終えての所感は?

小川 裕之
「あと40pぐらいは何とか出来たんじゃないかとは思うけど、自分の力では今日ぐらいの結果だったんじゃないですか。
(今の自分のポイントで)あと15半荘と考えると、2日目が本当に大事」

木原 浩一
「たろうの3連勝だけは阻止したかった。どうしても。ポイントを持たせると厄介だから。南場に入ったら順位戦だと思っていた。
仕上がって満貫のイーシャンテンも、仕掛けて2000点で3着から2着なら、無理しない程度にやろうと思っていた。特にたろうが親の局とかは」

角谷 ヨウスケ
「たろうさん、強い。普段あれだけクイタンしない人がクイタンの300・500で今日一番のチャンス手を潰された時は震えた。
両方やってくるのは並じゃない。自分としては今日もサボらず打てたので、次回はもっと押します」

鈴木 たろう
「リーグ戦とは違う。同一メンツの20回戦だからリーグ戦ほどトップが偉いわけではない。
できるだけ細分化して、その状況に一番適した事をしていくだけ。【鈴木たろうのスタイル】と言われるのは嫌いなので」

 

★6回戦(たろう-木原-小川-角谷)

東1局
鈴木たろうが自身の選択をあれほどまでに悔いた姿を私は見たことがない。
少なくともこの日5回以上は、たろうの「あのはチーしなきゃだめだよなー」を耳にした。

角谷が対子落としをした場には3枚目のをスルー。場にはが1枚、が3枚。
その後、小川と角谷に2人リーチで流局。

たろう「順調すぎて、あんなの鳴かなきゃいけないのに、ついうっかりしちゃった。対子落としだったから2枚目は絶対に鳴かなきゃいけないんだよ、ほんと酷かった」

東3局
親の小川の配牌が悪い。
だが競技麻雀では、配牌が悪い時こそ一か八かの高打点を作ることができるチャンスでもある。
角谷の先制リーチが入るも、小川は終盤にこのテンパイ。

満を持してリーチ。
残りツモ番は1回かつハイテイ牌である。

小川「何を引いてもオリないから。ただリーチに通る牌と振り替える可能性はあるが、あの手が角谷から出て12000じゃ不満だし決め手にならないので」
ハイテイ牌はは王牌に2枚眠っていた。

南4局1本場 供託2.0
点棒状況(トップ条件)
角谷27400 (連荘)
たろう19200 (ハネ満ツモ、小川から6400以上)
木原17900 (ハネ満ツモ、小川から満貫)
小川33500 (自分のアガリ。角谷ノーテン、たろう・木原に条件を満たされないこと)

親の角谷から先制リーチが入る。

13巡目のたろう。

を暗カン。(カンドラ)
現物の打もあるだろう。
カンドラまたはリンシャン牌次第で打点込みの押せる形になったらリーチをするだろうか。
そうならずとも、小川がテンパイか、猛烈に押している木原もそろそろかと読み、カンをすることで牽制する意図もある。

事実、この時すでに小川は待ちのテンパイ、木原はドラドラのタンヤオイーシャンテン。
ゼウスの選択は常に二段構えである。

どちらに転ぼうが自分に利がある二段構えで構成されているし、状況に合わせた選択をし続けている。
卓上からの全ての情報を細分化して一番適した引き出しを開けている、と言うたろうの持論が頷ける。
しかし、ここでドラのを引き入れるもリーチ宣言牌ので角谷に18000点の放銃。(裏ドラ)

南4局2本場
トップを取るためにはハネ満ツモが必要な小川。

ツモアガリのための単騎選択。
地獄単騎の
特殊条件下であるため、脇から出て欲しくない。
ファーストテンパイから3巡後、小川はを選んだが、ここは流局。

角谷のトップでたろうがラススタート。この瞬間トータル順位が逆転する。

6回戦スコア ※( )内はトータル
角谷 +66.2(+83.6)
小川 +14.0(▲111.2)
木原 ▲21.6(▲37.8)
たろう▲60.6(+61.4)

 

★7回戦(小川-角谷-たろう-木原)

東1局

を選択。
角谷の仕掛けも考慮して?と聞くと、
たろう「一気通貫とイーペーコー変化があるから三色にはこだわらない」と言いつつも、結果はこうである。
次巡、ツモ→打
1巡をはさみ、ツモ→打の追っかけフリテンリーチ。
西家・たろう
 ドラ

6巡目に小川がドラ雀頭の先制リーチ(待ちは-)を入れているが、はたろうの手に。
西家・たろう
 ツモ ドラ 裏ドラ
ハネ満ツモとなる。

東4局
ここにもチーテンを取らずに悔いた親がいた。

打点に重きを置いている4者。決定戦道中でも仕掛けずリーチの局面を多く見てきた。
場に4枚目のに声をかけなかった木原。

木原「見直してみても、これはチーしなきゃいけないところ」
見送った直後に小川がリーチ、木原はイーシャンテンのまま3900点の放銃となる。

1日1回、フリテンリャンメンリーチを三色でアガる男・たろうが貯金を守りトップ。

7回戦スコア
たろう+63.0(+124.4)
小川 +9.4(▲101.8)
角谷 ▲19.0(+64.6)
木原 ▲53.4(▲91.2)

 

★8回戦(小川-木原-角谷-たろう)

南4局
点棒状況(トップ条件)
たろう35400 (1人ノーテン可能)
小川30100 (1000・2000ツモ以上)
木原20600 (ハネ跳満ツモ)
角谷13900 (倍満ツモ)

高めツモ、またはツモ裏1がトップ条件で小川が先制リーチ。

一方、親のたろうの配牌。

たろう「俺がオリた所を見せたら他の2人が差し込むから」
カンチー、ポン。

。小川には危険牌である。

たろうと小川との点差上、木原は満貫を打つとラスが確定するため差し込みが難しいが、ハイテイが小川に回るように動くはずである。
角谷はたろうにトップを取らせない一打を選択するはずだ。

たろう「オリてるところは見せない、抜かれちゃうから。行ってる所を見せて最後に伏せる。
リーグ戦だったら?最初から仕掛けないでしょ、まずこういう手組みにならない」

発想がまるで逆であった。私には目から鱗である。
流局して、たろうが連勝。

8回戦スコア
たろう+54.4(+178.8)
小川 +12.1(▲89.7)
木原 ▲20.4(▲111.6)
角谷 ▲47.1(+17.5)

 

★9回戦(小川-たろう-角谷-木原)

南2局
たろうのリーチを受けて木原。

西家・木原
 ツモ チー ドラ
ここで打(たろうの現物)。その後が怒涛の如く。
次巡、ツモ→打無スジ。
次巡、ツモ→打無スジ(場1、は現物で地獄単騎)
次巡、ツモ→ツモ切り無スジ。
次巡、ツモ→打、ここでブレーキ。

控え室のモニター前にて、
「あー!(掴んじゃった!)……あー?(切らないの?)」
ノータイムでを止めた。残り巡目と、残り無スジ本数とのバランスなのか。

木原「待ち読みは関係無くて、自分の中でラインを決めていた。が通ったので、次の無スジは止める。ツモの時にだったら切っていた」
この時の小川はというと、木原がソーズのホンイツ模様でを押し、を余らせた事を見て、タンヤオ三色のカンテンパイを崩していた。
北家・小川
 ツモ→打 ドラ

小川「たろうの捨て牌から、打点か形が十分なリーチと読んでいたが、木原が押していなかったら自分が前に出ていた」

一方の角谷は安全牌を切りながらも12巡目にリーチのみのカンテンパイ。リーチ宣言牌のでたろうに放銃。
東家・たろう
 ロン ドラ 裏ドラ

角谷「5800か、安くてよかった」
12000までは通行料と言ってはばからない角谷。

オーラスは満貫ツモならトップの小川・角谷だが、小川はドラドラながらたろうのマンズの仕掛けに牌を絞る。

小川「自分の手牌がアガれる価値と、たろうがラスのままでいる価値の比較。もっとアガれそうなら被せるし、無理そうならもっと絞ってる」

たろう以外の全員がたろうをラスにしたまま終わりたいのだ。
角谷が七対子のみをツモ和了し2着浮上。

角谷「リーチして小川から出てしまうとたろうが3着に上がってしまうからリーチできない」

木原「角谷の攻めと小川の守りで作った、たろうのラス」

決定戦ならではの連携プレイとはこういう事である。
木原が小さくも確実なトップ。

9回戦スコア
木原 +52.9(▲58.7)
角谷 +5.9(+23.4)
小川 ▲17.9(▲107.6)
たろう▲40.9(+137.9)

 

★10回戦(角谷-たろう-木原-小川)

東1局
たろうが仕掛けて5200点のテンパイ。

南家・たろう
 ポン ポン ポン ドラ

木原、ここで手が止まる。

たろうの仕掛けを考慮すると非常に難しいこの14枚。
こので考えることといえば、普通の麻雀ならカンだろうか。
たろうの待ちにが含まれているかもしれないと考えるなら妥当である。
木原は打

木原「小川も角谷も前進している。普通ならカンだろうが、このカンでたろうを止めさせたくない」
木原の打直後の小川。

小川はヤミテンを選択。

小川「とにかくトップが欲しかった。ただ、ヤミテンならたろうからのアガりが見込める。リーチしたらあの人はやめる可能性もありますからね」
この選択が功を奏し、たろうが掴んだで小川の8000点のアガリが生まれる。
木原の超ファインプレイ。

東2局2本場は、たろうの親番で小川がドラ暗刻のリーチをツモアガリ。裏ドラ3枚を乗せて倍満。

東4局では角谷がドラ雀頭のメンタンピンを一発でツモ。裏ドラを乗せまたしても倍満。

配牌でがトイツのドラ1。去年までなら早々にポンしていたはずだが、2枚ともスルーしてのハネ満狙い。
今年に入り、目に見えて打点重視の手組にシフトした角谷。

角谷「出アガリ満貫の手なら、リーチしてハネ満をツモりにいかなければならない状況。チーして3900なんてやってません」

高打点の連続で一時トップ目だったたろうを突き放す。

南3局
ラス目親の木原の配牌は悪かったが、先制リーチ。

配牌からがトイツ、第1打がである。

木原「軽くアガるつもりが全くなかった。親落ちですか?……してもいいと思った。もちろんこの親は落とせないですけど、それよりも安い手にしちゃダメなんです」

たろうが役牌を仕掛けてドラ色のピンズのホンイツに向かっている中、木原のファーストテンパイは8巡目、ペン待ちだったがテンパイとらず。
次巡、ツモで三色ならずだがリーチを選択。
たろうがトイツのを一発で放銃、たろうをラスにするアガリを得る。
木原がこの半荘2度目のファインプレイをここでも魅せた。

南4局
点棒状況(トップ条件)
小川 30700 (連荘)
角谷 36500 (アガリ)
たろう15200 (三倍満ツモ、ハネ満ツモだと2着)
木原 17600 (倍満ツモ、ハネ満ツモだと2着)

トップ目の角谷は七対子のイーシャンテンでドラ切りを選択。

角谷「たろうが役牌を仕掛けているが、捨て牌的にドラは持っていない、オーラスアガリトップでドラ待ちの七対子にはしたくない」

このを親の小川がポン。
役はなんだ?たろうと木原はラス争いをしている。前に出ざるを得ないたろうはを叩き切る。
木原も仕掛けてイーシャンテン。 小川はさらにでチー、片アガリのテンパイ。
そこへ角谷が飛び込んだ。

角谷「自分の持ち味は踏み込みだと思っているが、ここはさすがにやりすぎたと後悔している」

たろうがラスのまま終わりたい3者。
1本場は角谷がアガリ、これまで辛抱を続けた小川に念願の初トップ。

10回戦スコア
小川 +62.7(▲44.9)
角谷 +6.8(+30.2)
木原 ▲24.7(▲83.4)
たろう▲44.8(+93.1)

全10半荘・全100局データ

鈴木たろう
角谷ヨウスケ
小川裕之
木原浩一
リーチ率
17%
24%
22%
29%
アガリ率
25%
20%
19%
16%
平均アガリ点
4712点
5815点
5294点
5100点
放銃率
9%
10%
11%
11%
平均放銃点
6300点
4900点
4209点
4045点

初めての決定戦観戦記を書くに当たり、私は選手の生の言葉を届けたいと思った。
麻雀は黙々と行うゲームであるが、その選択には声に出して主張したいほどの「自信」が込められており、
また時には、悔やみきれない「後悔」を伴うこともある。
「牌が語る」とは正にこのことである。その語りを選手自身の言葉としてここに残したかったのだ。
吹き出しの多い観戦記になったが、選手の思考や戦略の意図を汲み取って記すことが出来たのではないかと思っている。

全10節行われる今期のAリーグで、1節につきマイナス50以上の負け(約1ラス分)を一度も記録していない選手は小川ただ1人である。
「サボらない麻雀」でお馴染みとなった角谷も、全選手の中でトップとラスの回数が最も少なく、安定してポイントを貯めてきた。
たろうは、マイナスを記録したのが第4節の1日のみ、他9日間はすべてプラスで終えている。

決定戦は同一メンツでの20半荘。
リーグ戦とは戦い方が異なるとは言え、『その日、1日を勝つ』という点では、各々の別のやり方で勝ちを積み重ねてきた3人だ。

迎え撃つ雀王・木原も、幾度となく決定戦を戦ってきた選手で勝ち方をよく知っている。
決定戦2日目10回戦を終えてのポイント差は上下200ポイント以内となった。
さて、3日目は誰が「勝ち」を掴んでポイントを伸ばすのか、はたまた混戦の末に上下差なく最終日を迎えることとなるのか。

決定戦3日目(11〜15回戦)は、
11月5日(土)12:00〜『ニコニコ生放送』または『Fresh!byAbemaTV』にて、「麻雀スリアロチャンネル」での生放送となります。

(文・庄司 麗子)

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