順位 |
名前 |
TOTAL |
1回戦 |
2回戦 |
3回戦 |
4回戦 |
5回戦 |
6回戦 |
7回戦 |
8回戦 |
9回戦 |
10回戦 |
1
|
五十嵐 毅 |
41.9 |
54.0 |
7.2 |
-26.9 |
-46.6 |
88.5 |
4.1 |
3.1 |
-50.4 |
20.5 |
-11.6 |
2
|
鈴木 たろう |
3.0 |
-56.3 |
50.1 |
73.1 |
57.8 |
-61.1 |
60.2 |
-21.0 |
-22.9 |
-22.0 |
-54.9 |
3
|
鈴木 達也 |
-1.5 |
-11.5 |
-44.4 |
1.1 |
4.5 |
7.2 |
-18.4 |
63.8 |
4.5 |
-62.1 |
53.8 |
4
|
金 太賢 |
-43.4 |
13.8 |
-12.9 |
-47.3 |
-15.7 |
-34.6 |
-45.9 |
-45.9 |
68.8 |
63.6 |
12.7 |
【2日目観戦記】
| 1日目観戦記 | 3日目観戦記 | 最終日観戦記 |
★第6回戦★ (五十嵐→金→たろう→達也)
決定戦2日目の最初の局。
4人ともテンパイという牌譜として見るには非常に美しい局であった。
@ 初日の主役、鈴木たろうが9巡目に先制リーチ。
A 11巡目五十嵐 毅が確定三暗刻、金 太賢がホンイツ、鈴木 達也がタンヤオと一斉にテンパイ。
B そして12巡目にたろうがを掴んで金に満貫の放銃。
初日は金・達也が不調であったが、1日経つことにより全員が戦える体勢になった。
そのため前日とは違った決定戦が繰り広げられることだろう…
〜閑話休題〜
今回は皆が意外に無頓着な「鳴き」の怖さを紹介します。
麻雀牌は「抽選箱からランダムに引く」わけではなく、「すでに決まった順番」で積まれています。
鳴きというのはその決まっているツモを全く変える行為なのであり、ということはその後の結果が全く違うものとなってしまいます。
本来アガり番でなかったものがアガったり、逆にアガり番だった人が放銃に回ってしまうこともあるのです。
大概ダントツトップ、いわゆる「バカツキ」が発生するのは、そうした「与えられたアガり」があってのことなのです。
以上のことを踏まえて決定戦2日目の模様をご覧ください。
東2局、達也が3フーロのテンパイ。
達也(東2局、西家、11巡目)
チー ポン ポン ドラ
白タンキの小三元テンパイ。
ところがは3人に1枚づつ流れて結果は流局。
ところが鳴きは鳴きでもこの局は親番・金が微妙な仕掛け。
達也の3フーロを受けて終盤に
金(東家、17巡目)
出る ドラ
からポン→打の行動。
達也にドラのは通っているがはション牌。は当然切れるわけない牌。
結局次巡をツモるがツモ切るしかない。こういう仕掛けが災いを呼ぶのが麻雀の怖さである…。
次局の東3局1本場。金は2巡目で1枚目のをポン。
金(東3局1本場、北家、2巡目)
出る ドラ
鳴き癖がつきすぎたために仕掛けたとしか言わざるをえない。
この金の不用意な鳴きが、たろうの6000オールを生んでしまう。
ちなみにもし金がを鳴いてなかった場合、たろうはいまだイーシャンテン止まりであっただけに…。
ありえないアガりを起こしてしまうと、アガリ者に風は来るもの。
同2本場、3本場とアガリを重ねたたろうは4万点近くでまで点棒を加算。
逆に金がツキを奪われる形。象徴的なのは東3局4本場。
結果から言うと、
「達也が地獄待ちのタンキリーチ。金がそのを掴んでしまう」。
だが逆にツイてるたろうのの手放し方が…。
11巡目に以下の形から仕掛ける。
たろう(東3局4本場、北、11巡目)
出る ドラ
親番ゆえの形テン狙い?
そこまで緊迫した点数でもないと思うが、この鳴きによりをうまく手放すことができた。
もし鳴いてなかったらツモ番も戻っているだけに、達也のタンキリーチに残していたを切っていただろうから…。
(6回戦終了時)
たろう+60.2 五十嵐+4.1 達也▲18.4 金▲45.9
6回戦終了時トータル
たろう +123.8
五十嵐 +80.3
達也 ▲61.5
金 ▲142.6
★第7回戦★ (金→五十嵐→達也→たろう)
トータル首位のたろうが潔く勝負、そして返り討ちに合う。
達也のホンイツ仕掛け、親番・金の仕掛けに割って入ったたろう。
たろう(東1局、北家、11巡目)
ツモ ドラ
ピンズを切ればアンコのノベタンでかわせるが、あえてを切って456の三色狙いのリーチ。
確かに高目は山に3枚生き!
だが無常にも残り1枚しかいなかった、達也の当たり牌を掴んでしまう。
原因はまたもや金の鳴きか?
9巡目の金は次の形からをチー。
金(東1局、東家、8巡目)
出る ドラ
さすがにこの形なら鳴く鳴かないは五分五分に近いか。
ちなみに鳴かなかった場合…同巡にたろうがツモでアンコの-テンパイが入ってた。
たろう(仮想東1局、北家、仮想8巡目)
ツモ ドラ
そしてその3巡後にツモだった。
裏も乗って2000・4000…180度違った展開になっていた。
逆に金の鳴きで救われたのが達也。
やはりありえないアガりが生まれると、そのアガった者の独壇場になる。
東3局1本場、親番・達也は金から裏ドラ2枚で7700のアガリ。
達也(東3局1本場、東家、14巡目)
リーチロン ドラ 裏ドラ
そして南2局では加カンからの…リンシャンツモ!
達也(南2局、南家、10巡目)
リンシャンツモ ポン 加カン ドラ
オーラスはたろう→五十嵐の2000点で五十嵐が逆転2着。
ここでも達也がしっかり3900のテンパイを入れており、たろうを3着以下に沈める準備を行っていた。
(7回戦終了時)
達也+63.8 五十嵐+3.1 たろう▲21.0 金▲45.9
7回戦終了時トータル
たろう +102.8
五十嵐 +83.4
達也 +2.3
金 ▲188.5
★第8回戦★ (たろう→金→五十嵐→達也)
一見何の変哲のない局に見える。だが五十嵐のは1巡目の同巡二鳴き。
五十嵐(東1局、西家、1巡目)
出る ドラ
仕掛けるとほぼ2000確定。
なので一枚目は鳴かないくらいの感覚のほうが良い結果を生む場合が多い。
二枚目正直微妙なところだが…五十嵐は仕掛けて、結果2000のアガり。
さて、これがもし二枚目も鳴いていなかったら…序盤から全く違う局になっていた。
それが以下の架空牌譜である。
なんと五十嵐が金に16000の放銃! もちろん分岐点はいくつかある。
たとえば9巡目、たろうが以下の形からオタ風のを鳴くか?
たろう(架空東1局、東家、9巡目)
出る ドラ
またを鳴いたたろうに対して五十嵐がション牌のを切ったか?
五十嵐(架空東1局、西家、9巡目)
ツモ ドラ
さらに言うなら実は7巡目に金に以下のテンパイが入るが…
金(架空東1局、南家、7巡目)
ツモ ドラ
麻雀は一打違うと全く違う結果が生まれるわけである。
ちなみに、もし五十嵐がを一鳴きしていたら?
牌譜は乗せないが、おそらく4巡目にたろうがペンリーチ。
5巡目に金が-待ちリーチ、6巡目に一発ツモとなっていたと思われる…どちらにしてもこの局は金のアガりだったことになる。
となると五十嵐の二鳴きは絶妙。「アガリを潰された」とはこういうことを言うのである。
ところが東2局も五十嵐が仕掛けて、天国だった結果が地獄に…。
五十嵐の4巡目の一鳴きは次の形から。
五十嵐(東2局、南家、4巡目)
出る ドラ
鳴いてホンイツイーシャンテンだが、現状メンホンチートイツのイーシャンテンでもある。
なので一枚目は鳴かなくても良いという考え方もある。
もし鳴いてなかったら…即ツモでメンツ手でもイーシャンテン。
次巡、金がカブったをポンしてテンパイ。
五十嵐(架空東2局、南家、5巡目)
ポン ドラ
こちらのほうが自然に感じるのは気のせいだろうか。
あとはたろうがのトイツ落としを行ったか、をツモ切ったか。
いずれにせよ金にドラのは一枚しか入ってこないため、、ほぼ五十嵐のアガリであった局…なのに結果は12000の放銃。
東1局ではアガリを潰された金が東2局では逆に救われる。
ということはこの半荘のトップは金、ラスは五十嵐というのはある意味まっとうな結果とも言える。
(8回戦終了時)
金+68.8 達也+4.5 たろう▲22.9 五十嵐▲50.4
8回戦終了時トータル
たろう +79.9
五十嵐 +33.0
達也 +6.8
金 ▲119.7
★第9回戦★ (たろう→達也→金→五十嵐)
息を吹き返した金がようやく自分の麻雀を取り戻したか。
東2局、2巡目でをポン。
金(東2局、南家、2巡目)
出る ドラ
そして3フーロして満貫のツモアガリ。
金(東2局、南家、7巡目)
ツモ チー チー ポン ドラ
全部上家の達也からの仕掛け、さらに達也が2フーロと、ある意味「アガらせて」もらった格好である。
と、なると次局は当然何かが起こるもの。
やはり達也が金の餌食となっている。
もっとも原因は最初の五十嵐の仕掛けか。
五十嵐(東3局、南家、10巡目)
出る ドラ
からのチー?
現には直後に食い流れており、本来ならメンゼンでテンパイしていた。
すると金に重なる牌は無く流局だったか?
あるいは五十嵐がリーチをしていたら、たろうがをチーして、そちらにしてもその後の展開は変わっていたはず。
そろそろ鳴きの怖さに気づき始めたのが五十嵐。
自分の鳴きだけではなく、「一発消し」などの余計な他家の鳴きをも警戒する。
象徴的なのが南4局1本場の親番で
五十嵐(南4局1本場、東家、9巡目)
ツモ ドラ
点数状況が
金:46000
五十嵐:26900
たろう:22600
達也:2500
供託:2000
からこの-をヤミテン。
さらに12巡目でも
五十嵐(南4局1本場、東家、12巡目)
ツモ ドラ
から打でツモリ三暗刻に受けるがこれもダマテン。
リーチによる余計な他家の動きをいれさせないようにしたとしか思えない。
結果はダマテンで正解。
15巡目にツモで4000オールでトップ目の金と並ぶがオーラスで逃げ切られてしまう。
(9回戦終了時)
金+63.6 五十嵐+20.5 たろう▲22.0 達也▲62.1
9回戦終了時トータル
たろう +57.9
五十嵐 +53.5
達也 ▲55.3
金 ▲56.1
★第10回戦★ (たろう→五十嵐→金→達也)
良くも悪くもこの日のキーマンは金か。
「親番・たろうがカンリーチ。達也がアンコだが、金の鳴きで四枚目のがたろうに流れた」
金が鳴いたのは以下の形から。
金(東1局、西家、11巡目)
出る ドラ
が現物。
だけど鳴いてもイーシャンテン維持とはいえ、この形から仕掛けるのは少々不自然では?
13巡目にが重なって、鳴いたを切る。
この手出しで「また一発消しかよ…」と他の3人から覚めた視線が浴びせられる。
次局、金の上家・五十嵐が老獪な対応策を見せる。
五十嵐が7巡目にリーチ、11巡目満貫ツモと素直な局だが、ここまでの話の流れから考えると、この満貫ツモは突発的すぎる。
だが五十嵐の手順を細かく追うと納得できるのである。
五十嵐(東1局1本場、南家、2巡目)
ツモ ドラ
孤立牌のではなくリャンメン固定でを早切りしている。
もしここでを切っていても同じ形・同じ巡目でテンパイだが…
架空五十嵐(東1局1本場、南家、架空7巡目)
ツモ ドラ
と宣言牌はとなる。
そしてこの時の金の手牌が次の通り。
金(東1局1本場、西家、7巡目)
出る ドラ
金ならば一発消しでチーして切り?
すると五十嵐のアガリはあってもさらに先になっていただろう。
だが現実には五十嵐の好牌先打で、金に鳴かせる機会を与えずツモアガりとなった。
鳴きは後で反撃を受けてもオリが効くが、リーチの場合は反撃を受けると真っ向勝負になってしまう。
むしろ金の鳴きが多いのは不調を自覚しているからだろうか。
東4局、9巡目に金がテンパイ。
金(東4局、北家、9巡目)
ツモ ドラ
シャンポンではなく打でドラのペンチャン待ちでのリーチ。
だが結果は親の達也の追っかけリーチを誘発、そして一発放銃となる。
達也(東4局、東家、11巡目)
リーチ一発ロン ドラ 裏ドラ
ペンvs-、それがで一発放銃…あきらかに絶不調と言える掴み方である。
と、その金が次局から復活する。
結果的には東4〜南2と全員を親を蹴るアガリを見せるがその要因は?
達也・金が共に形テンの仕掛け、そして金が僥倖のハイテイツモ。
達也の仕掛けは、手順的には誰が打ってもこのペンチーが正着。
となると…実は14巡目に五十嵐がピンフテンパイを入れている。
五十嵐(東4局、西家、11巡目)
ドラ
一手替わりでイッツーの手牌。
そこに17巡目でツモ…仕掛けている達也はを切っているが残り1巡、
下家の金やたろうがではなくを切っていることから、ここは安全策でで良かったのでは?
すると金にテンパイは入らず当然アガりも無い。
それどころかたろうにツモでチートイツのテンパイで金の1人ノーテン…小さいながらも180度違った結果になった。
おかけでわずか2700だった金が南3局の親番までに15700まで復活、
そして6000オールを含めた2連荘でトップ目にまで立つ。
金(南3局1本場、東家、15巡目)
リーチツモ 暗カン ドラ 裏ドラ
ここでは記さないが、金のほとんどのアガりは、実はたろうの仕掛け→金テンパイ→金アガリというパターンが確立されいてた。
不調者の動きが好調者に好結果を与える良い例である。
逆に不調者のリーチに対して、簡単にオリるようだと本来のアガリを逃し、他家のアガリを引き起こしてしまうもの。
たろうの先制リーチ、達也の追っかけリーチ・ツモアガリで再逆転されている。
リーチを受けてからの金の対処に問題はない…が、手順にあえて注文をつけるとしたら、
ピンズが安いので9巡目にを残す手はある。するとここでを打っていたら後に…
架空金(南3局2本場、東家、架空15巡目)
ツモ ドラ
でカン待ちの純チャンテンパイ。
同巡達也からを討ち取っていた形になる。
このアガリが発生しなかった以上、達也のアガリ、そして逆転トップは必然であったと言える。
(10回戦終了時)
達也+53.8 金+12.7 五十嵐▲11.6 たろう▲54.9
10回戦終了時トータル
五十嵐 +41.9
たろう +3.0
達也 ▲1.5
金 ▲43.4
麻雀での「たられば」は非常に多いと思います。
「…が切れたら」、「…が押せれば」
大体がリーチや仕掛けに対する自分の押し引きについてでしょう。
ですが「鳴き」による結果については大多数の人が無頓着になりがちです。
鳴きによる影響はツモを変え、局面を大幅に変えてしまうものなのです
少なくとも目先の損得だけで鳴きの判断をするようではいけません。
鳴くときは以上のことを心がけて行うようにしましょう。 (文・ケネス徳田)
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