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順位
名前
ポイント

1日目

6回戦

7回戦

8回戦
9回戦
10回戦
1
逢川 恵夢
187.3
100.4
-23.4
-16.9
-24.5
99.9
51.8
2
朝倉 ゆかり
143.4
100.5
69.2
50.7
-52.1
-5.6
-19.3
3
水口 美香
-66.6
-23.6
4.4
-42.3
16.1
-28.3
7.1
4
大島 麻美
-265.1
-177.3
-50.2
7.5
60.5
-66.0
-39.6

1日目観戦記2日目観戦記【3日目観戦記】

≪女流雀王決定戦3日目観戦記≫

【担当記者・五十嵐 毅】


2日目を終えてのトータルは、
逢川+187.3 朝倉+143.4 水口△66.6 大島△265.1
上位2人は見ての通りのデッドヒート。
大島は厳しい。
水口も苦しい。逢川、朝倉を沈めながらならば3トップでも行けるかもだが、相手が1人でなく2人なので難しい。となると、4トップが必要か。


●11回戦(座巡・朝倉−逢川−大島−水口)

東1局、水口がリーチ。
ツモ ドラ
切りリーチ。
ドラのあるいはを引きたかったのだろうが、リャンメンにもならないツモは不満だっただろう。
しかし、水口の立場で攻め手を緩めるわけにはいかない。

逢川が追いついてリーチ。
ドラ
場にが3枚出ていて、も残り1枚。水口のカンチャンと残りは一緒だったが、一発で高目をツモッた。
裏ドラ表示牌はで、「ラス牌じゃないか!」と実況席が叫ぶ力強いアガリ。

東2局、またも水口がリーチ。
ドラ
北家朝倉もテンパイ。
ポン ドラ
は2枚目の仕掛けで、マンズもほどよく切っており、とても満貫確定のホンイツには見えなかったが、ドラのをツモ切って安くはないテンパイを明確にしたため、残る2人はいっせいに引いた。
水口1枚残り、朝倉3枚残りの勝負だったが、朝倉がを掴まされてしまう。
ロン ドラ 裏ドラ

東3局も水口リーチ。
自風アンコの--マチ。ツモッて1000・2000。
3連続リーチの水口だが、親番では手が重く、東4局では大島の-マチタンピンリーチをかいくぐって形テン連荘がやっと。
1本場も朝倉リーチに対してクイタンのテンパイを入れていたが、最後にドラのを掴んでダウン。親番を流した。

南1局2本場、大島に突如大物手が入る。
ドラ
ヤミテンでも出てバイマン、ツモッて役満は変わらないが、ツモリ四暗刻の抽選期間を長くするためにリーチといった。
親の朝倉は丁寧に回っていたが、テンパイしたところで危険牌のを切ってリーチ。
ドラ
次巡、大島が4枚目のを持ってきてカン。カンドラがとなって大島の手は三倍満にハネ上がる。
すると、今度は朝倉が4枚目のツモ。
もはや自分のアガリ牌がないのはわかっている。ツモもカンドラも増やしたくはないが、このは超危険牌。
大島はソーズを序盤にをポツリと切っているだけで、裏スジの--が危ない捨て牌。
は朝倉がリーチ打牌で勝負しているので、このはとても打ち切れないと判断した朝倉はノータイムでカンをした。
カンドラ表示牌にがめくれた。
実況席「え〜、協会ルールでは数え役満はありません」
大島のマチは1枚残っていたが、大事にいたらず流局。朝倉は命拾いした格好だ。

南1局3本場、逢川が東1局以来、久々のアガリ。
ツモ チー ドラ
クイタン・ドラ1だが、3本場で供託が4本も出ていてアガリ点よりおまけのほうがデカイ。かつ朝倉の親を流すという好条件。

南2局、逢川は親番を迎えるとあっさり手が入り、5巡目リーチ。ツモで1300オール。
ツモ ドラ 裏ドラ

1本場、逢川に13300差を付けられた2番手水口、絶対に満貫以上にするという強い意志を6巡目に見せる。
ドラ
ここからアンコのを1枚はずし、678、789どちらの三色も逃さず、あわよくばチャンタまでとする一打だが、ドラがだけに思い切った選択だと思う。
しかしこのイーシャンテンがなかなか引けない。16巡目にようやくを引いてリーチ。
ドラ

このとき逢川はテンパイ。
チー ポン ドラ
一発目にを引かされ、現物の切り。マチは良くなったかに見えるが、を切っていてフリテン。
危険牌を引けば連打となるところだったが、すぐにをツモッてしまう。
水口のリーチがなければフリテンを嫌ってノベタンのままだったはず。水口はこのアガリ形を見て何を思っただろうか。

2本場、またも水口に勝負手が入る。

8巡目リーチ。アンコのがドラ。
これに対し、逢川は当然安全そうなところばかりを切って回る。
通った牌を打ち、スジになっているアンコのを連打するなど回りに回るが、それでもテンパイしてしまう。
ドラ
現物はなくなった。が1枚でも切れていればここを落としただろうが、ションパイ。これで当たったら馬鹿馬鹿しい。
そしてこの手はテンパイであるだけでなく、決定打になる四暗刻イーシャンテンでもある。
小考の末、テンパイ取りの切り。この半荘、逢川が見せた唯一のミスショットだった。
ただし、打牌前に点棒を確認、満貫振り込んでもまだトップでいられることは確認していた。

南3局、大島が親満確定、高目ツモなら親ハネの早いリーチを打つ。
ドラ
しかしアガれない。大島は勝負手がことごとく空振る。1人テンパイで一応は連荘となったが、1本場は朝倉がノミ手をリーチ、これに大島が放銃。

オーラス、逢川34500、ラス親水口32000と2500差。大島18200、朝倉15300と、朝倉はラス抜けには2900差。
結果は逢川がクイタンのアガリ。
チー
大島が、

ソーズのホンイツ七対子イーシャンテンからをツモ切り放銃。
逢川にしてみれば終わらせればいいので値段は関係ないが、アンコのがドラ。そのため朝倉を3着に引き上げてしまった。

逢川+62.5 水口+12.0 朝倉△24.7 大島△49.8
トータル 逢川+249.8 朝倉+116.7 水口△54.6 大島△314.9


●12回戦(座巡・朝倉−大島−逢川−水口)

12回戦は静かな立ち上がりだった。ジットリとした重苦しい局が続き、東3局までほとんど点棒が動かず、全員が配給原点付近で争っていた。

大きく動いたのが東4局。
最初にテンパイを入れたのが水口。ダブ東をアンコにした直後に絶好のが出てチーテン。
チー ドラ

次にテンパイを入れたのが朝倉。
ツモ ドラ
このとき、解説の堀慎吾は「ピンズの下の場況がいい。ダメだ、が出ちゃう!」と叫んでいるが、朝倉は親満放銃を回避する打でカンマチリーチとする。
実際にはどちらも2枚残りであった。
そのをすぐに引かされたのが大島。
ツモ ドラ
いったん現物の打ち。
すぐに三色テンパイとなるを引けば切りリーチとなっただろう。
しかし次巡ドラのを引かされ、ここで現物の切りと、が出ていかない展開になってしまう。

3番目のテンパイは逢川。
ツモ ポン ドラ
朝倉の入り目であるを勝負。北家なので満貫確定。テンパイしてしまえば、ここが一番枚数が多かった。朝倉がを掴んで放銃。
朝倉がもしもヤミテンにしていれば、大島がをツモ切りしていたように思う。
「僕なら親満放銃していました」と堀が言うように場況がいいを狙って打としていれば水口に12000放銃となるが、トータルポイントを考えればそのほうが良かったかもしれない。
誰も逢川の点棒を大きく削ることができないまま、逢川トップ、朝倉ラス目のまま局が進んでいく。

逢川はラス前、自身の親番で、
ドラ
こんなテンパイを入れていたが、危険牌を引いたわけでもないのに残り2巡の段階でアンコのに手をかけ、あっさりと親番を流した。
ポン ドラ
のテンパイを入れていた水口の1人テンパイ。

そしてオーラス。1万点差の2着につけている水口の親番。
ここは逢川、ドラの出から積極的に仕掛け、
ツモ ポン チー ドラ
あっさりと終わらせた。抜群のゲーム回しだった。
逢川連勝、朝倉が3着、ラスとなったため、その差は236.9と大きく開いた。。
逢川+58.3 水口+4.9 大島△15.7 朝倉△47.5
トータル 逢川+308.1 朝倉+71.2 水口△49.7 大島△330.6


●13回戦(座巡・水口−朝倉−大島−逢川)

東1局、水口が1500、同1本場逢川リーチツモ・ドラ1となった後の東2局、大島にやっと見せ場が来る。
ドラ
ドラアンコで当然のリーチだが、水口から一発で出たを見逃したのだ。
でツモアガリ。裏ドラで満貫止まりだが、トップを取るだけでなく、逢川を絶対にラスにするという意思表示だ。
東3局、大島はテンパイ連荘、1本場1300オールと加点。

2本場、朝倉が
ドラ 裏ドラ
を一発でツモッてハネ満。
あとは水口がアガれば逢川をラスにできる。

東4局、水口に待望のアガリが出る。
ツモ ドラ 裏ドラ
リーチでをツモ。逢川が親なので値千金。
水口は南1局でも1300オール。この瞬間、
朝倉29300、水口28200、大島28100、逢川14400
と、逢川を後方に置いて、3者のつばぜり合いとなった。
しかし、怖れていたことが起こる。

逢川が4巡目リーチ。
ロン ドラ 裏ドラ
誰もここにアガらせるわけにはいかない。その思いが強すぎたのか、大島が無スジだらけの手から、真っ直ぐイーシャンテンに取れる牌を選べず、マンズが場に安くなっていたため、まだこのほうがマシと、の雀頭に手をかけて放銃してしまう。

南2局、親の朝倉に長打が出る。
ツモ ドラ 裏ドラ
リーチしてをツモアガり4000オール。

1本場、朝倉にこれ以上連荘されるわけにはいかない逢川が6巡目にタンヤオのチーテン。
ドラ
朝倉からすぐにが出る。

南3局、親の大島が10巡目にリーチ。
ツモ ドラ
場にはが3枚、が1枚出ている。タンキという手もあるが、生牌の上に水口がチャンタ系の捨て牌。
ということで、あえてドラを1枚はずしてカンリーチと行った。
しかし、すぐに逢川に追いつかれる。こちらは3メンチャン。
ドラ
一発でツモ。この瞬間、逢川20800、大島17600とラス抜けを果たす。

オーラス、逢川の親番。
3900をアガれば再び逢川にラスを押し付けられる大島がその手材料をもらい、1巡目からポンと積極的に仕掛ける。
しかし、7巡目に逢川からリーチ。
ドラ
同巡、朝倉から出たをポンして、大島もテンパイ。
ポン ドラ
めくりあい勝負に持ち込んだからには、次巡掴んだが止まるはずもなかった。
ロン ドラ 裏ドラ

この5800ホーラで、逢川26600、水口21900と、2着にまで浮上。
1本場、倍満ツモでトップになる水口がリーチ。
ドラ
終盤のリーチだったが、このはヤマに2枚残っている絶テン。
しかし2枚とも朝倉に流れた直後に、ヤミテンを入れた逢川の当たり牌を掴んでしまう。
ロン ドラ
リーチを掛けていれば一発だったが、流局したら2着で良しと伏せるつもりのヤミテンだった。

水口からの直撃で多少点差に余裕ができたこともあって、1本場は9巡目に積極的にリーチと行く。
ドラ
一発目のツモは
朝倉が直後にこのヤミテン。
ドラ
通ったばかりのを大島が切って決着。
朝倉は11、12回戦のマイナスをほぼ帳消しにするトップ。
朝倉のトップは逢川にとっては一番イヤではあるが、包囲網をかいくぐって2着で終えることができたので、自己採点は「合格点」だっただろう。

朝倉+62.3 逢川+9.8 水口△22.3 大島△49.8
トータル 逢川+317.9 朝倉+133.5 水口△72.0 大島△380.4
 

●14回戦(座巡・大島−朝倉−逢川−水口)

この半荘は水口のワンマンショーだった。
東4局、自身の親番で、まずはリーチのみ2000点。
1本場、

このリーチは流局するが、以降も手が入り続ける。

2本場もリーチ。
ドラ 裏ドラ
一発でツモ。

3本場は、このイーシャンテンに、
ドラ
ドラのを引いて打リーチ。
解説の堀は「8000オール」を連呼していたが、安目のツモ。それでも6000オールだ。

4本場もリーチ。
ドラ 裏ドラ
ツモで2600オール。

5本場もリーチ。
ドラ
ドラをアンコにした大島が追っかける。
ドラ
ともに2枚残りの勝負だったが、水口が力強くをツモり上げた。
ツモ ドラ 裏ドラ

6本場にようやく逢川が自風のバック仕掛けを実らせ、連荘をストップ。
もはや水口のトップは不動。ならば、朝倉はせめて逢川の上に行かねばならない。
オーラスを迎えて
水口68700 逢川18000 大島10900 朝倉2400
という状況。

朝倉15巡目にリーチ。
ドラ
大島をかわすだけなら十分だが、逢川の上に行くには高目ツモかつ裏ドラ2枚が必要。
これを親の水口が追っかける。
ドラ
流局。2人テンパイ。
次局、水口がリーチ。3人ともオリて流局。

これでどうなったかというと、
逢川15500 大島8400 朝倉1900
となって、溜まった供託棒3本と3本場で、朝倉は満ツモOKになった。逢川超えに倍満が必要だった2局前と比べてぐっと条件が軽くなった。

朝倉5巡目にリーチ。
ドラ
ツモって裏ドラ期待の手だが、道中で水口のアンカンが入り、カンドラがとなって、あとはツモるだけとなった。
その水口の14巡目、
ツモ ドラ
チンイツのイーシャンテンとなってが押し出される。無論朝倉はアガらない。
次巡、水口はをツモッてメンチン・ドラ3のリーチといった。
ヤミの手も当然ある。朝倉からアガッたら、逢川の着順を落とすのはもう無理だろう。
しかし、水口からすれば、朝倉だってかわさなければならない相手なのだ。
水口のマチはが1枚残っていた。対して朝倉はこの巡目でが丸生きだった。
朝倉、最後のツモでをツモり、逢川の上になった。

水口+86.0 朝倉△5.5 逢川△26.7 大島△53.8
トータル 逢川+291.2 朝倉+128.0 水口+14.0 大島△434.2


●最終戦(座巡・水口−大島−朝倉−逢川)
東1局、大島がメンタンピンの高目イーペーコーをツモッて2000・4000。
東2局は朝倉がやはりイーペーコーの高目をツモッて2000・4000。
ツモ ドラ 裏ドラ

東3局、親は朝倉。
逢川はここだけは一刻も早く親を流したい。ということで、ドラも何もない手のシャンポンマチでテンパイ即リーチを打つ。
しかし、大島が現物のを切ると、をポンしていた朝倉に当たった。

1本場、朝倉がリーチ。
ドラ 裏ドラ
をツモッて4000オール。
約5万点のダントツだが、まだまだ足りない。163.2P差。トップラスでも83300差が必要なのだ。
2本場も朝倉はドラ2枚の手でリーチと行くが、流局。1人テンパイ。

3本場、水口が9巡目にリーチ。
ドラ
残り3枚丸生き。13回戦オーラスのタンキといい、水口はヤマ読みにそうとう自信があるのだろう。
朝倉が大島の切ったをチーして一発消し&テンパイ。
チー ドラ
このチーで水口の一発ツモが大島に喰い流れる。
朝倉は終盤を掴むが、これは現物のと入れ替えられる。
しかし、次巡最後のを持ってくる。これはもうどうしようもない。水口に満貫放銃。
ロン ドラ 裏ドラ

東4局、朝倉が9巡目にリーチ。
ドラ

すぐに親の逢川が追い付き、リーチ。
同テンだが、2巡後に逢川が引き勝った。ツモで4000オール。
ツモ ドラ 裏ドラ
これは大きい。まだ朝倉がトップだが、逢川は2着に浮上。逢川をラスにするのはそうとう難しくなった。

1本場は大島がフリテンリーチを敢行。
ドラ
切りリーチ。しかし、ツモれない。
逢川はこれだけ点棒持っていれば十分とばかりに1牌も強打せず、親を終らせた。

南1局2本場、大島がダブ南をポン。
ポン ドラ
これに朝倉がで放銃。

南2局、11巡目に親の大島がドラアンコのタンヤオテンパイを入れるが、ヤミテンを選択。
ドラ
しかし、次巡ツモアガッたのは逢川。
ドラ
高目をツモ。もしも大島が即リーチを打っていれば直後のも)は打てずにテンパイを壊していただろう。
大島の捨て牌にソーズはだけで、マンズはが通っているからだ。

この満貫で、逢川はトップにまでなってしまった。
ラス前、朝倉の親番。実質的な最終局。ここで朝倉が逢川をまくれなければオーラスはないに等しい。
逢川にしてみれば、リードを保ったままこの親さえ終えればゴールテープを切ったも同然だ。

逢川が7巡目に、場に2枚目のを仕掛ける。
ポン
11巡目こうなった。

ツモ ポン
逢川がを切った直後に朝倉にカンマチのテンパイが入った。もちろんリーチ。
ドラ
逢川もを引き、切りテンパイ。
ポン
逢川はオリない。当然だ。アガればゴールなのだから。
無スジのも躊躇なくツモ切る。次巡掴んだもノータイムでツモ切られた。
この7700を放銃しても逢川はまだ2着目で26400持ち。朝倉は32900なので6500差。
朝倉逆転の条件がトップラスで83300差なので、逢川はまだ76700点の貯えがある。
このとき、解説席の私(五十嵐)は、『ゼウスの選択』(マイナビ)で鈴木たろうが用いているタマ(弾丸)という言葉を使っている。
「まだ逢川は親満3発打てるだけのタマを持っているからね。朝倉がリーチ来ても何回か勝負できる。1回目のチャレンジが失敗しただけ」

1本場、朝倉10巡目にリーチ。
ドラ
次巡持ってきたに逢川がチーテンを入れる。
チー ドラ
しかし、このカン、水口、大島が国士または安牌溜めこみの打ち方になっているため、すでに場に3枚出ているのだ。
しかし、最後まで押し切った。朝倉もを水口に2枚持たれていたためアガれず流局。
逢川、この1局だけで言えばそうとう分が悪い勝負である。なにしろカンは目に見えて残り1枚なのだ。
しかし、朝倉はまだ何度もアガリ続けなければならないが、逢川はアガッた瞬間に優勝が確定する。
そう考えれば、賛否両論あるだろうが、その一瞬を逃さないとする肚の括り方には目を瞠るものがある。
このとき解説席で、私の頭の中には昭和の名作『仁義なき戦い』菅原文太の最後のセリフが思い起こされていた。
「山守さん、まだタマは残っちょりますがのう」(C)東映(脚本)笠原和夫

逢川のテンパイ形を見て、朝倉は何を思っただろうか。少なくともリーチが抑止力にならないことを気付かされたはずだ。
そうは言ってもメンゼン手はリーチで押すしかないのだが。

2本場、朝倉がリーチ一発ツモで2000オール。
3本場、大きく局面が動く。
朝倉が、

この手からを切ると逢川がチー。
チー
数巡後、朝倉はテンパイを入れてヤミテン。

逢川はもチーしてイーシャンテンだったが、選択を迫られる。
ツモ チー
打ちもあるが、三色とのポンテンをテンビンにかけてが打ち出された。
ホンイツ一気通貫ピンフ、18000+900の直撃。これで点棒状況は朝倉59900、逢川6800のラスとなった。備畜は30200点に激減した。
次に親満を打てばほぼ並び。タマが尽きてしまう点差である。

4本場、朝倉の手が重かった。そのため中盤からなりふり構わず形テンに向かう。流局終了と思われた最後のツモで薄い-を引きいれてかろうじて首の皮をつなげる。逢川も七対子のテンパイを入れていて点差は縮まらず。

5本場、一通狙いだった朝倉が不本意ながらもテンパイを入れて7巡目にリーチ。
ツモ 打 ドラ
同巡、逢川もテンパイが取れる牌姿となる。
ツモ
は無スジ。は現物。
ここはを切って回ると思った。インパチ放銃の前、まだ貯えが潤沢なときならともかく、いまはもう、親満を打ったらタマは尽きるのだ。
を切ってもポン、チーなどでまだ戦える。一発さえはずせば3900や5800で済むかもしれない。
とにかくここで一番やってはいけないことは「一発が付いたので親満」の放銃なのだ。
しかし、逢川はを横に曲げていた。日和ってなどいなかった。銃口は朝倉に向けられたままだった。
ともに残り1枚ずつ、逢川のマチはが1枚だけだったが、朝倉が一発で持ってきたのはそのラス牌だった。
いま映像を見ると、逢川が倒した手牌は乱れている。が河に打たれた瞬間に15回を戦った緊張から解き放たれ、終わったという安堵に変わって手に力が入らなかったのだろう。

オーラス、朝倉の逆転条件は役満ツモか三倍満直。ドラトイツのホンイツ七対子をタンキで張り、最後のツモで形ばかりのリーチと行ったが、数巡前から朝倉の現物しか切っていない逢川が切るはずもなかった(そもそもは持っていなかったが)。

朝倉+76.8 水口△2.9 大島△26.8 逢川△48.1

優勝・逢川恵夢 +243.1 
2位・朝倉ゆかり+204.8
3位・水口美香 +11.1 
4位・大島麻美 △461.0


連覇は眞崎雪菜、朝倉ゆかり(2回)、大崎初音に継ぐ4人目である。
さらに、協会女流最強と目される朝倉相手に2年連続で勝ったのは特筆されることではなかろうか。
逢川に対する印象は「簡単にトップを取るなぁ」である。6年前に拠点を関東に移したときがあったが、そのときに出たチャンピオンロードであっさり優勝した。そのGCポイントを生かして出たグランドチャンピオン大会でも当たり前のように決勝進出。優勝はしなかったが、傍から見ていてスルスルっと決勝に行ったイメージだった。先ごろ行われた女流雀王シリーズにゲストとして久し振りに出場し、やはり決勝に駒を進めている。百人を超える参加者なのに。

力強いアガリを決めるわけでもなく、中堅手をこまめにアガり、放銃は少ないという印象。
堀慎吾が言うように「遠くて安いヤンチャな仕掛け」を決行するわりには放銃は少ない。手出しツモ切りをよく記憶しているのだろう。
「こまめにアガッて簡単にトップを取る印象」はいまも変わらないが、最終戦ラス前に見せた肚の括り方はNew逢川ではなかったか。昨年より一段力強くなったように感じた。

女流雀王戦初の3連覇は十分期待できると思う。



1日目…FRESH!
2日目…FRESH!
最終日…FRESH!

 

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