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順位
名前
TOTAL
1日目
6回戦
7回戦
8回戦
9回戦
10回戦
1
大脇 貴久
175.0
48.9
61.0
11.2
72.7
-29.3
10.5
2
二見 大輔
112.9
-21.5
-10.5
64.4
-54.6
79.2
55.9
3
内海 元
-41.5
18.9
17.7
-49.8
13.6
6.3
-48.2
4
福田 聡
-246.4
-46.3
-68.2
-25.8
-31.7
-56.2
-18.2


 
【2日目観戦記】

1日目観戦記最終日観戦記

★6回戦★

タイトル戦の決定戦特有、どこか肌寒いような、ピンと張った空気の中にいると、
威風堂々と振舞う大脇 貴久の姿はとても良く似合う。
「オーラがある」というのは、きっと彼のような人間のことをいうのだろう。

対局中の大脇の表情は何を振ろうと、何をアガろうと常に変わらない。
卓に入る前に、どこかに表情の塊を落としてきてしまったんじゃないかと思うくらいだ。

彼の顔を見ていると、いつかTVで見たある兵士の顔を思い出す。
戦場で長年戦い抜いているその兵士の顔は表情がない。
常に神経を張り詰めていなければ死んでしまう戦場では、表情も感情も必要ない。
求められるのは、冷静で正確な判断力。
そんな顔に見えてくる。

一朝一夕に作られたポーカーフェイスには見られない、勝負事に向いているいい表情だ。

麻雀におけるポーカーフェイスってヤツは、常に自分が納得がいく打牌ができていないとできないものだ。
人はどうしても「予想外」の出来事に反応してしまうからだ。
考えの外のことで起こる心の動揺は、どうしてもどこか表情に出てしまう。

アガれるというリーチの自信や、放銃する覚悟のもとで打ち出される牌。
大脇のポーカーフェイスは覚悟に裏打ちされて作り上げられた、冷たい顔だ。
その冷たくヒリついた顔は、勝つということに誰よりも貪欲な証拠でもある。

初日に開催された大脇独演会。
ステージ上で4000オール二連発、6000オール二連発という大立ち回りを魅せてくれた大脇。
堂々と繰り広げられたその演目に、見守る観客が息を呑む中、大脇の顔は皺ひとつ寄らなかった。
その表情からは、誰も喜びの色を汲み取ることはできなかった。
もちろん対局中に喋る人間なんていないのだが、大脇は一切表情が変わらないのだがもちろん、誰も言葉を発するわけではない。

どこかにポーカーフェイス選手権があったら、恐らく優勝するだろう。
少なくとも入賞は確実だ。

なんとも勝負事に向いている顔だ。

静かな立ち上がりをみせた初日の雀竜位決定戦だったが、
東2局1本場
北家・大脇
 リーチツモ 暗カン ドラ 裏ドラ
ドラも何もない愚形、強いて言うなら暗カンだけが取り得のこの手牌が、いざツモアガってみるとがモロノリの3000・6000。
大脇の無表情とは対照的に、他家の眉がほんのちょっとだけピクリと動く。

皆、初日の大脇の勢いを見せつけられてウンザリしている。
主導権争いが重要になるはずだった雀竜位決定戦2日目の初アガリは大脇。
この日は大脇が、最後まで主導権をがっしりと握ることになる。

東3局1本場
前局二見が親で1300オールをアガり返した後を受けて、次局大脇が3巡目にリーチ。
オレ以外のヤツには、決して自由に打たせまいとばかりに、また愚形リーチ。

西家・大脇
 ドラ

親の二見の連荘はこれ以上認めまいと、速さを活かして三色を待たずにリーチ。
彼の強みは、ひとたび彼がリーチするとなんでも高そうに思えてしまうことだ。
今回もフタを開けてみると、たんなるリーチのみ。
しかし、彼の硬く無愛想気味な立ち居振る舞いが、単純にそう判断することを許してはくれない。
大脇は引き出しがとても多く、実際、海の彼方のように遠い仕掛けもするし、目の玉が飛び出るようなリーチも多くある。

だが、大脇に負けず劣らず、福田も早かった。

南家・福田 配牌
 ドラ
この配牌から1巡目にスッポリを引くと、とザクザクツモり、
3巡目の大脇のリーチを受けて1巡安牌の後、リャンメンが残るを引いてテンパイを入れる。
から入ると悩むところだが、シャンポンの方を先に引いてくれたのなら打点も十分、ノータイムでリーチが打てる。
福田が静寂の会場のなか、遠くのギャラリーにも聞こえるくらい、大きなリーチの発声をする。

ツモ牌に流れも相性もないのは百も承知だが、ひょっとすると一発のオマケまで…なんて思わず考えてしまうようなツモの来方ではある。
福田の声にも、それがアリアリとにじみ出ていた。

福田は大脇とは対照的に、とても表情豊かに打つタイプの雀士だ。
打ったら顔をしかめてしまうこともあるし、思わずドヤ顔が飛び出てしまうこともある。
喜怒哀楽が目に見えてわかることが多い。
根がとても素直で純真なのだろう。
この日も目に痛い真っ赤なシャツを身に纏い、他の2人が静観する中、5巡後に福田のがドカン。
大脇の手を見ながら福田は腕を組みながら、ジッと大脇の手を見つめながら残念そうに点棒を払う。

結論から言ってしまうと、この日の福田のリーチはほとんど空ぶってしまう。
でも最後までガムシャラにアガりに向かい、最後まで必ずリーチの発声に現れていた。
立派だと思う。
麻雀の神様に愛される立派な姿勢だと思う。

東4局0本場
南家・大脇
 ドラ
三色になるか、一通になるか、という形からツモ
不本意ながらノベタンピンフでリーチすると、一発で静かに置いた牌は
裏ドラがで、2000・4000のアガりに。

その後、南2局は皆が手がまとまらず終盤付近になり、二見の手牌。
南家・二見
 ドラ

生牌なので、抱えていたところ、が重なって15巡目にテンパイする。
関連牌がパラパラ出ている割に、は生牌。
実際、この時点で大脇に暗刻。
ノーテン罰符でよし、と思いダマに構えていたところ、ツモは
2枚切れのを切ると、海底でツモ。

南3局0本場
タンヤオのみでダマテンを入れている福田が、リャンメンの手変わり待ち。
を引くと、待ってましたとばかりにリーチ。
もちろん福田の発声は良く会場に良く響く。
南家・福田
 ツモ 打リーチ ドラ
福田は自分の納得いかない形では決してリーチを打たない。
この形も、この時点で8700点のダンラスなので、即リーする手もあるだろう。
福田は2巡目にを切っているので、有利になる手変わりはしかない。
もちろんイーペーコになってもリーチは打たないだろう。
福田のリーチ判断は役でなく、常に形で判断する。

リャンメン、カンチャン、ペンチャン…。
ターツの種類も様々だが、彼は「ペンチャン」というものをターツとして認識していない節がある。
少なくともペンチャンリーチは、他の人に比べて極端に少ない。
ペンチャンと4か5か6がどれか一つでもあれば、巡目にもよるが迷わず浮き牌の方を優先する。
現在の苦しいペンチャンに依存するよりも、未来の好形に己の夢を託す。
「好形に手変わるのも1牌、ダイレクトに引くのも1牌」という今の時流に逆流する打法かもしれない。

そのため、福田のテンパイは他の対戦者に比べてどうしても遅れがちになるが、
遅い巡目で入る彼のリーチは麻雀の教科書のような手牌になっていることが多い。
中堅の味か、時代遅れの頑固な打法か。

この局は結果として、鳴いてテンパイを入れたもののドラタンキ待ちという内海の苦しい形にジャストミート。
北家・内海
 ロン ポン
内海はテンパイはしたものの、福田のリーチに対して安牌がくらいなので、
この後1巡でも長引いたらどうするんだろうと思っていたら、テンパイ即福田が放銃。

福田が腕組みをしながら、内海の手牌をしげしげと見つめ、
なにかに納得したのか、気持ちよく確認の「はい」と言った。

彼は払う点棒が惜しいというよりも、そのアガリ形が気に入らないのだろう。
数学家が方程式を愛するように、福田は麻雀のアガリ形を誰よりも愛しているのだ。
麻雀に部分点はない。
どんなに綺麗だろうが、醜かろうが、アガらなければ意味が屁のツッパリにもならない。
放銃した福田は、放銃から点棒を払うまでの僅かな時間で、
麻雀というゲームの理不尽さに心の中で嘆き、内海の形に放銃してしまった己の不運を嘆き、
そして弱る心を必死で押さえ、次局への戦闘意欲を奮い立たせ、キッパリと精神をリセットしてから点棒を払う。

福田の放銃の瞬間から点棒を払うまでを見ていると面白い。
表情と動作がくるくる動く。
まるでTVの収録のように、どこかにカンペが出ているのかも知れない。
「放銃の悔しさを顔に出して下さい」
「手牌を穴の空くほど眺めて下さい」
「頷きながら十分納得した顔をして下さい」……。
麻雀は性格が出るというのは、本当だ――。

大脇がトップ目で迎えたオーラス。
ここまでおとなしかった内海だが、ここで大物手が入る。

南4局0本場
西家・内海
 ドラ

オーラス開始時点の点数は、
東家・福田  3800
南家・大脇 41000
西家・内海 25700
北家・二見 29500
なので、大脇から直取りならトップになれる。
大脇にからこぼれ落ちるのを淡々と狙いながら、四暗刻への手変わりをみてダマを選択する。
その後すぐを引いて10巡目に四暗刻テンパイ――。
倍満出アガりで大脇を捲くれるものの、リーチすればやすやすと出る牌ではない。
内海は少し逡巡したものの、あくまでもダマテンを選択。

内海の四暗刻のウラで、ダンラスの福田も手を進めていた。
東家・福田
 ツモ ドラ
この時点でが4枚切れ。も3枚切れで、そのの1枚は福田の捨牌2巡目に並んでいる。
福田がを打つのは必然といえば必然だ。
また裏を返せば、内海がリーチを敢行していれば同じ理由で、福田の打牌はになっていただろう。

そしてこちらも結果論だが、は福田の放銃牌以外の3枚が丸々山に残っていた。
リーチしていればどうなったのか。

なんにせよ大脇にとっては願ってもない他家決着で、内海は大脇に一歩及ばず2着で終了。

6回戦結果
大脇+61.0 内海+17.7 二見▲10.5 福田▲68.2

(6回戦終了時)
大脇 +109.9
内海 +36.6
二見 ▲32.0
福田 ▲114.5

 

★7回戦★


東2局1本場
南家・二見 配牌
 ドラ
のなかなか汚い配牌。
を叩いてどうにかこうにか?の配牌だったが、第1ツモでを重ねると、から高速で仕掛けてヨーイドン。
すぐにもポン。福田から出たもポンすると、
 ポン ポン チー ドラ
手牌バラバラのビックリ4センチ。
自身久しぶりと語っていた3副露ノーテンだが、テンパイ気配を匂わせながら、マンズ以外は強打気味にツモ切りを続ける。

実際はノーテンなのだが、他家から見ると役々のかつドラ色。
おいそれとは前に行けず、すぐにを掴んでしまった福田がまずダウン。
このあと二見はを引いて、打。誰もがテンパイだと考える。
しかし、まだのイーシャンテン。
漸くというか、幸いなことにマンズはどれを引いてもテンパイなのだが……。

東家・内海
 ツモ ドラ

打てなかったをなんとか重ねてテンパイを組み、タンキで二見と同テンまでこぎつける。
を引いてツモ切りリーチを敢行するも、二見に8000点のアガりになる。

この後も二見は、
東3局1本場
東家・二見
 ドラ
からを選択しを拒否。
次巡に引いたを躊躇なくツモ切り、後々を引くと狙い通りリーチ。

リーチの時点で内海は、
北家・内海
 ドラ
と二見のが暗刻。

二見捨牌

二見の捨牌は、見ての通り底なし沼のような気持ち悪い捨牌。

内海はをチーで仕掛けて一旦は戦う構えをみせるも、ドラまたぎのを引くと苦しみながら安牌を追い始め、ベタオリ開始。
数巡後、生牌のを引いて長考。
悩みぬいた内海はを抜いてしまい、12000点の手痛い放銃……。

このアガリが決定打となり、オーラスに親の大脇が得意の一発ツモで追撃体制を整えるか思われたが、
東家・大脇
 リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ
続く1本場、内海がタンキのチートイツで二見のトップで終了。

7回戦結果
二見+64.4 大脇+11.2 福田▲25.8 内海▲49.8

(7回戦終了時)
大脇 +121.1
二見 +32.4
内海 ▲13.2
福田 ▲140.3

 

★8回戦★

東1局0本場
南家・内海
 ドラ
の手牌をチートイツに決めて6巡目のをスルー。
その後をツモると、今度はをポンして、を暗刻にしてツモり倍満のテンパイを組む。

南家・内海
 ポン ドラ

そこに十分形からドラを叩かせた福田から、手役の入門書に出てきそうなメンタンピンリーチ。
西家・福田
 ドラ

親の大脇も、
 ポン ポン ドラ
で三つ巴の戦いとなるも、結果は福田がを掴んで内海に放銃。
福田はこの日はリーチ後の放銃が非常に多かった。
福田がリーチすると、放銃しなかったら運がいいくらいの感覚だ。

東2局0本場
南家・福田
 ツモ 打リーチ ドラ
福田のリーチはいつも高くて好形だ。
しかしすべて空振りに終わっている。
大脇がのみをツモって空振りに終わる。

この後、大脇が点棒を重ね始める。

南1局1本場
東家・大脇
 ロン チー ドラ
の配牌ドラ暗刻の12000点をアガると、
2本場には二見のリーチを受けて、追っかけを入れると一発ツモ。

北家・二見
 ドラ

東家・大脇
 リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ


南2局0本場
福田が、ドラのを重ねてリーチ。
南家・福田
 ツモ 打リーチ ドラ

点棒状況は、
東家・内海 40700
南家・福田  2400
西家・二見  9000
北家・大脇 47900
大脇がトータルポイントで走り始めている中、大脇にここでトップをとられてしまうと、福田の優勝はかなり厳しくなってしまう。
最悪でも内海にトップを取ってもらいたいところだが、親でもあり、仕掛けて手牌の短くなっていた内海からが出てしまう。
福田は躊躇いながらロン。

福田は考えていることがすべて顔に書いてある。
「不ヅキが続きこの辺でぜひともアガりたいが、出場所は最悪」という、ジェスチャーゲームなら難易度の高いお題を見事に演じる。
元来、根が素直なのだろう。
この福田のアガりで大脇は安全圏に入る。

こうなると、見た目とは裏腹に繊細な大脇から甘い牌が出にくくなる。

南3局0本場
南家・二見 5巡目リーチ
 ドラ
二見捨牌

西家・大脇 同巡
 ドラ
他家の捨牌も見回しても、回るにしても安牌はほとんどない。完全安牌は1枚切れの
もちろん向かっていくところではない大脇は、の暗刻落としでオリに廻る。

南家・大脇 7巡目
 ツモ ドラ
2枚を並べている中で、ここで安易にを並べてしまうとどうせ安牌探しの旅に出ることは確実。
それならばと、ここで決断の打として、完全安牌のを残す。
丁寧な打牌だ。安易にを並べてしまう人が多いのではないだろうか。
そうすると、もし内海のリーチが来ると一発放銃の危険まであるからだ。
予想通り、その後内海からリーチが入る。
親番もない内海は、ここで二見にアガられてオーラスを迎えてしまうと、トップは厳しくなるので向かってくるのは当然だ。

北家・内海
 ドラ
で追っかけリーチを入れる、と大脇の打牌は当然のように打
オラオラ系に見られがちなその性格だが、意外に繊細な一面を持っている。

8回戦結果
大脇+72.7 内海+13.6 福田▲31.7 二見▲54.6

(8回戦終了時)
大脇 +193.8
内海 +0.4
二見 ▲22.2
福田 ▲172.0

 

★9回戦★

大脇がここまで2回トップをとり、独走態勢を整え始めていた。
しかし、追う側の二見・内海も黙ってはいなかった。

東4局1本場
東家・二見 5巡目リーチ
 ドラ

西家・内海 9巡目リーチ
 ドラ

リーチ対決の結果は、親の二見に軍配。
東家・二見
 リーチロン ドラ 裏ドラ

続く、2本場
東家・二見
 リーチロン 暗カン ドラ 裏ドラ
ピンフテンパイの福田の追っかけリーチからをロン。

さらに続く3本場
タンピンドラドラの勝負手で大脇からの出アガリを狙うかと思われたが、迷いなくリーチを選択。
不確定な大脇からの出アガリを狙うよりも、自力での6000オールを決め、一気に50000点超えのトップ目に立つ。

東家・二見
 リーチツモ ドラ 裏ドラ

東4局4本場にもチンイツのテンパイを入れ、さらに加点するかと思われたが、大脇にピンフのみで蹴られて親番終了。
東家・二見
 ポン ポン ドラ

南3局1本場(供託1000)
東家・大脇 16400
南家・二見 50000
西家・福田  6200
北家・内海 26400

南家・二見
 ポン ポン ポン ドラ
点棒を持ったところで、二見は福田から出たをスルーする。
あくまで大脇からの出アガリを狙う。
2巡後、自らツモり1300・2600。

そして、南4局0本場オーラス
東家・大脇 10巡目リーチ
 ドラ
大脇は、ハネ満ツモで2着浮上。

3着の大脇まで8900点差の南家・福田が2巡後に追っかけリーチ。
 ドラ

直後に大脇の放たれたにロンの声が掛かる。
高目で条件クリアである。ところが、
東家・二見
 ロン ドラ
ほぼ同時に二見と福田の2人から「ロン」の声。
瞬間、二見の顔が曇る「しまった」――。
大脇から福田への放銃は願ったり叶ったり。
二見が狙い続けた「大脇をラスに落とす」という希望を、自らの手で潰してしまう。

9回戦結果
二見+79.2 内海+6.3 大脇▲29.3 福田▲56.2

(9回戦終了時)
大脇 +164.5
二見 +57.0
内海 +6.7
福田 ▲228.2

 

★10回戦★

10回戦開始早々、親の内海が第一打を切ると、下家の二見がツモ牌をギリギリと引き絞った。
誰にでも分かる、地和チャンスだ。
瞬間固唾を呑むギャラリーだったが、どうやら空振り。
ツモる手を戻すことなく、そのままツモ切りリーチ。ダブリーだ。
結局、安牌に窮した内海からでロン。

南家・二見
 ダブルリーチロン ドラ 裏ドラ

このダブリーで勢いに乗ったのか、二見の猛攻が続き、
トータルトップの大脇は、展開にも恵まれずズルズルラスの位置に甘んじていた。

迎えた南場の大脇の親番。
この親番を落とせば皆が渇望している通り、大脇がラスになる。

だが、大脇はやはりこのまま終わらない。
愚形ながら、三色を作りあげリーチする。
同巡、意地の内海が追っかけを入れる。
アガりたいのはリーチをかけた内海だけではなく、福田、二見も内海のアガりを願ったが、大脇がバチン!とをツモりあげる。
ほとんど感情を卓上で表すことのなかった大脇だったが、このときばかりは会場に大きく響く乾いた牌音を出した。

東家・大脇
 リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ
心を挫くカンチャン一発ツモ。
いくらなんでもこの半荘は大脇をラスに終わるだろうと油断していた二見などは、大脇の手牌を空けた途端、苦笑いがもれた。
笑うしかない、という心境だろうか。

次局大脇は、二見のリーチが入るも形テンで連荘すると、
続く南3局2本場
東家・大脇
 ツモ ドラ
ドラのを重ねて雀頭を振り替える打
最後はを引き入れてのド級のリーチ。高目8000オールに仕上げる。
東家・大脇
 ツモ 打リーチ ドラ

ダマに構えて着実に点棒を重ねる手もあるだろうが、ここは皆折りにいった。
確かにここで高目をツモれば、参りました、の白旗を揚げたくなるところだ。
皆の祈りが通じたのか、ここは惜しくも流局。

オーラスはピンフのみで、二見がアガってトップ終了。

10回戦結果
二見+55.9 大脇+10.5 福田▲18.2 福田▲48.2

(10回戦終了時)
大脇 +175.0
二見 +112.9
内海 ▲41.5
福田 ▲246.4

 

リーチをすれば一発ツモのオンパレードというような、終わってみると大脇の活躍ばかりが目立つ2日目だった。
巧さに裏打ちされた強さであることは間違いない。

逆に雀竜位返り咲きを狙う福田は、トコトンついていなかった。
綺麗に手を作り、リーチは数多くかかるのだが、ほとんどのリーチが空振り。
それでも最後まで心が折れることなく、「リーチ」の発声は誰よりも大きく、マナーの良さは一番であった。
立派だと思う。
最終日は麻雀の神様に愛されることを、陰ながら祈ろう。

 

(文:藤田 拓郎)

1日目観戦記最終日観戦記

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