順位 |
名前 |
TOTAL |
1日目 |
2日目 |
11回戦 |
12回戦
|
13回戦 |
14回戦
|
15回戦 |
1
|
内海 元 |
256.2 |
18.9 |
-60.4 |
60.1 |
107.4
|
7.6 |
63.1
|
59.5 |
2
|
大脇 貴久 |
73.8 |
48.9 |
126.1 |
13.2 |
-96.2
|
48.9 |
-52.6
|
-14.5 |
3
|
二見 大輔 |
62.8 |
-21.5 |
134.4 |
-23.8 |
-21.4
|
-15.8 |
5.0
|
5.9 |
4
|
福田 聡 |
-392.8 |
-46.3 |
-200.1 |
-49.5 |
10.2
|
-40.7 |
-15.5
|
-50.9 |
【最終日観戦記】
|1日目観戦記|2日目観戦記|
大脇リードで迎えた最終日、福田はもはや自分の主義を貫くしかなさそうだが、二見と内海には可能性は十分ある。
そしていよいよ最後の幕が上がる。
★11回戦★ (内海→大脇→二見→福田)
東1局、2巡目に大脇が早くも長考に入る。
南家・大脇 2巡目
ツモ ドラ
和了は遠いが、一応の本線はチャンタ・混一色・七対子あたり。万が一の国士や字一色もまだ見切りたくはない。
そう考えたであろう大脇はを切り出した。
そして、と引き入れての4巡目、ここからに飛びついて混一色に一直線。
南家・大脇 4巡目
ポン→打 ドラ
これに呼応するかのように二見も動く。
西家・二見 6巡目
ポン→打 ドラ
こちらは3巡目から七対子の一向聴だったが、役牌2組なら仕掛けたほうが早くて高い。
さらにポン、チーと仕掛けた大脇、あっという間に手牌4枚だがいまだ一向聴。
南家・大脇 9巡目
チー ポン ポン ドラ
一方の二見はこちらも相変わらずの一向聴。
西家・二見 9巡目
ポン ドラ
入り方次第では互いにが放銃牌となる形だが、一足先に大脇がを重ねて打。
あの手がとうとう高目ハネ満の聴牌になってしまった。
当然二見はこれをポンしてを勝負、こちらも満貫聴牌だが次巡のツモが生牌の。
常に小気味良いテンポで打牌する二見だが、この時ばかりは手が止まった。
やがて意を決したようにをツモ切りした二見の胸中には、直撃で先制点の誘惑、
あるいは「大脇ならばまだノーテンの可能性もある」の思考もあったのかもしれない。
南家・大脇 11巡目
ロン チー ポン ポン ドラ
東2局、4巡目にポンから仕掛けた内海、7巡目にはをチーしてこの聴牌。
北家・内海 7巡目
チー ポン ドラ
-が姿を見せぬまま迎えた12巡目、親の大脇がこれに追いつく。
東家・大脇 12巡目
ツモ ドラ
前巡にドラを重ねて理想の3門張残り、通常の局面ならば間違いなくリーチだろうが大脇は静かに打。
確かにトータルトップで今回も既にトップ目、打点が必要な立場ではない上に高目の-が共に内海の現物。
ダマテンという選択は変調にはあたらないが、それでも大脇ならあるいは…という気持ちもあった。
結果は14巡目に大脇のツモ和了
東家・大脇 14巡目
ツモ ドラ
東2局1本場、早くも抜け出しつつある大脇にこのまま逃げ切りを許せば他者は相当苦しい戦いを強いられる。
そんな空気を察してか、ここまで静観していた福田が真っ直ぐに和了に向かう。
大脇のトップならば遠慮なく捲くってしまおうというつもりだろう。
西家・福田 配牌
ドラ
この配牌を綺麗なメンタンピンに仕上げてリーチ、時間はかかったが最終ツモでを引き寄せた。
西家・福田 17巡目
リーチツモ ドラ 裏ドラ
東3局1本場(供託2000)、福田・二見の2軒リーチが流局しての1本場、とんでもないものが飛び出す。
東家・二見 8巡目
ツモ ドラ
単騎の仮テンに構えていた二見、この形ならばと打でリーチ。
2巡後に追いついた内海、直前に二見が切ったをちらりと見やると追いかけリーチに出る。
西家・内海 9巡目
ドラ
どうということのない手だったが11巡目にを引いて暗槓すると槓ドラがでいきなり確定ハネ満に昇格。
そしてラス牌のをツモ和了、裏ドラを開くとそこにはこれまたラス牌の。
西家・内海 13巡目
リーチツモ 暗槓 ドラ 裏ドラ
化けも化けたりの三倍満には本人も唖然、思わず点数申告を間違える一幕もあった。
東4局、強烈な親カブリでハコ点寸前となった二見、七対子のドラ単騎で即リーチ。
山に丸生きのドラを豪快に一発でツモり、裏ドラも乗って倍満の和了。
北家・二見 7巡目
リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ
南1局1本場(供託1000)、東家・内海44800、南家・大脇25500、西家・二見15400、北家・福田13300。
9巡目にドラ入りの七対子を聴牌した大脇は次巡1枚切れのに待ち変え。
これに対し東家・内海、場に3枚目のにチーテンをかける。
東家・内海 11巡目
チー→打 ドラ
またしても大脇のツモ切りリーチが出るかと思いきや、ひょっこりと絵が合って満貫のツモ和了。
南家・大脇 12巡目
ツモ ドラ
南2局、二見に好配牌が入る。タンピンに三色も見えそうだったが6巡目にあっさりとチーテンを取る。
南家・二見 6巡目
チー→打 ドラ
ややもったいない気もするが、ここで大脇が連荘してトップ逆転となればその後がかなり苦しくなる。
面倒なことになる前に怖い親を落として自身の親番に賭けるつもりであろう。
西家・福田 6巡目
ツモ→打リーチ ドラ
前巡に聴牌していた福田は喰い流れてきたでタンヤオになり、これ以上の手変わりはなしとリーチ。
ここでドラを引かされた二見、一瞬ためらうが決然とこれをツモ切り。
この安手アピールをしっかりと受けとった内海がすかさず福田の現物、を抜き打つ。
南家・二見 9巡目
ロン チー ドラ
鳴かなければ門前で聴牌が入っていた二見だが、-は既に山に残り1枚、好判断であった。
南3局、東家・二見15300、南家・福田10200、西家・内海39700、北家・大脇34800。
親の二見、2巡目になんとここからスタートである。
東家・二見 2巡目
ポン→打 ドラ
さらにを叩いて一向聴となった二見はを重ねて打、ぎりぎりまで高打点の目を残し、
次巡ドラにくっつけるや索子の両面搭子を叩き出した。
東家・二見 6巡目
ツモ→打 ポン ポン ドラ
西家・内海 7巡目
チー→打 ドラ
次巡をチーした内海が後付けの聴牌となるが、1巡前に大脇に流れたは既にがっちり仕舞い込まれていた。
10巡目、二見はを叩いてようやく聴牌だが鳴かせた福田にももちろん理由があってのこと。
東家・二見 10巡目
ポン ポン ポン ドラ
南家・福田 10巡目
ツモ→打 ドラ
4巡目に引かされたをこの形まで絞り、満を持しての切り出しである。
この鳴きでを掴んだ内海は冷静に二見の現物、切りで迂回。
次巡二見がドラを重ねついに高目親倍の聴牌に持ち込んだ。
そしてチーで福田も聴牌、喰い下がった牌もで内海も役なしながら聴牌に復帰。
東家・二見 10巡目
ポン ポン ポン ドラ
南家・福田 10巡目
チー→打 ドラ
西家・内海 10巡目
ツモ→ チー ドラ
13巡目を暗槓した福田は嶺上牌のをツモ切り、もちろん生牌だが二見の河にが並んでいる。
と鳴いてがあればはまず切らない、ゆえに二見にはないとの判断であろう。
ちなみにこの時点で二見の和了牌はが各1枚の2枚残り、福田はが4枚とが2枚の6枚残りである。
14巡目、福田の打を睨んで内海が長考に入る。もちろん和了れないがチーして聴牌維持という手もある。
結局内海は鳴かず、がほぼ安全牌となったこと、和了のない手をこれ以上短くするのはまずいと思ったのだろう。
途端に内海がツモったのは、次巡にはも引かされて完全撤退。
ぎりぎりまで粘った福田も18巡目のでダウン、ようやく一人旅となった二見だが最後のは王牌に埋もれていた。
南4局、東家・福田12500、南家・内海38100、西家・大脇33200、北家・二見16200。
6巡目には全員が一向聴、値段不要の内海が軽く捌いて逃げ切りを決め、トータルプラスに転じた。
11回戦結果
内海+60.1 大脇+13.2 二見▲23.8 福田▲49.5
(11回戦終了時)
大脇 +188.2
二見 +89.1
内海 +18.6
福田 ▲295.9
★12回戦★ (内海→大脇→二見→福田)
東1局、何の気なしに大脇がと振り替えたに内海から声がかかる。
大きくはないがはっきりと、そしてやや上ずった「ロン」に続いた言葉は……「48000」
東家・内海 7巡目
ロン ドラ
最終日とあって観戦者も多いがもとより私語を発する者などいない会場内、この時は一際静まり返ったように思えた。
次の瞬間、全員の視線がポイントの記入されたホワイトボードに突き刺さる。
前回までの差が約170ポイント、直撃で96ポイント、それにトップラスの順位点が80ポイント…。
そう、あの大差が一撃で逆転したのである。
東1局2本場、大脇の転落で一気に上が近くなった二見、これ以上の連荘は許すまじとのポンテンを取る。
西家・二見 5巡目
ポン→打 ドラ
次巡にを加槓すると槓ドラが雀頭の、この嵌が大脇からこぼれて満貫。
西家・二見 9巡目
ロン 加カン ドラ
65000点差の2着4着ならばポイント差は105、この時点で二見もまた大脇を逆転したことになる。
しかし1位内海から3位大脇までの差は僅かに20ポイント弱、この回が終わっても残りまだ3回もあるのだ。
いよいよこれからが本当の勝負、そんなことは誰しもが分かっている。
南1局1本場(供託1000)、聴牌すら入らぬ大脇・二見を尻目に小刻みに加点する内海、そして親番で今一度本手を決める。
東家・内海 配牌
ドラ
ここから萬子に寄せた内海、9巡目にそっとドラを置いてこの聴牌。
東家・内海 9巡目
ドラ
西家・二見 10巡目
ツモ→打 ドラ
二見からは-が共に3枚見え、当然のダブル面子落しが痛恨のデバサイ放銃となった。
南1局2本場、東家・内海94000、南家・大脇▲30000、西家・二見19600、北家・福田16400。
この局の内海の立ち回りはなかなかに興味深い。
東家・内海 4巡目
ポン→打 ドラ
ここから仕掛けてとりあえず和了には向かうが、福田からの・は続けざまにスルー。
まぁ不十分形を残したまま手を詰める必要はなさそうだが、を重ねたところで2枚目のをポン。
東家・内海 12巡目
ポン ポン ドラ
ドラを使い切れるを切るものと思ったが、打でこれが福田の2000点に命中。
北家・福田 12巡目
ロン ドラ
内海にしてみれば現在トータル2位の二見を引き離すには、自分で和了る以外に福田を押し上げる手がある。
せめて素点だけでも稼いでおきたい立場の大脇・二見にドラ待ちのダマテンはまずない。
早くから河に中張牌を並べている福田は聴牌かもしれないが、本手であればリーチだろう。
このは「どうぞ今のうちに和了ってください」と福田に差し出されたものではあるまいか。
もしが通ってしまった(?)なら改めて和了に向かう、その時はが安全牌になるというわけだ。
南2局、時既に遅しの感は否めないがようやく手牌が整ってきた福田は早々に一通の見える一向聴。
西家・福田 4巡目
ツモ 打 ドラ
引きで一盃口の聴牌を取り、タンヤオに振り替わったところでリーチ。
西家・福田 10巡目
ツモ→打リーチ ドラ
東家・大脇 11巡目
チー→打 ドラ
親番でドラドラの大脇だがもはや和了は断念、せめて形式聴牌に持ち込もうとここから全ツッパに出る。
北家・内海 12巡目
チー→打 ドラ
そして内海もチーテン、先付けかと思いきやはとっくの昔に涸れている。
字牌は全て大脇の現物、このまま聴牌で流局もよし、大脇に対してはオリるもよしの構えである。
東家・大脇 17巡目
ツモ チー チー ドラ
ようやく聴牌となった大脇だがツモ番2回を残してとうとう福田の和了牌を掴む。
しかし前巡に切ったが完全安全牌になっており、連打で回ればとりあえず放銃はない。
にくっつけるかを刻子にできれば聴牌復活、萬子の上は高いが受け入れはそれなりに広い。
呆れるほどに粘り強い大脇がこの手順を踏まず、をあっさりとツモ切ったのには正直驚かされた。
西家・福田 17巡目
リーチロン ドラ 裏ドラ
南3局、東家・二見19600、南家・福田24200、西家・内海91400、北家・大脇▲35200。
福田の和了で3着に落とされた二見、2着再浮上を目指してここから仕掛ける。
東家・二見 6巡目
ポン→打 ドラ
次巡にを暗刻にするが、聴牌打牌のを福田がポン。
そして直後に一向聴となった内海のが福田の嵌張にスッポリ。
南家・福田 7巡目
ロン ポン ドラ
戦略的思考に長けた内海のこと、この局の選択肢として「福田への差込み」は当然持っていただろう。
だがが二見の安全牌とも福田の危険牌とも読めないこの場況での打は単なる手なりである。
普段なら不幸な放銃でしかない一打が、この局面においては二見の親番を潰した上にオーラスに満貫を
ツモっても2着に届かない状況に追いやるという最高の結果を導いた。
なんだか不思議なものを見たような気がするが、こういうのを狐につままれたような気分と言うのだろうか?
南4局、全てが内海のためにあったようなこの半荘を締めくくったのは当然この男だった。
南家・内海 7巡目
ツモ ドラ
12回戦結果
内海+107.4 福田+10.2 二見▲21.4 大脇▲96.2
(12回戦終了時)
内海 +126.0
大脇 +92.0
二見 +67.7
福田 ▲285.7
★13回戦★ (内海→大脇→二見→福田)
お気づきの方もおられるかもしれないが3回続けて座巡が同じである。
半荘ごとに場決めと親決めを行う当協会の公式戦でこれはかなり珍しい(確率上は1/576)。
おまけに今回は席まで12回戦と全く同じなのだ、神がかりとすら思えた内海の好調は今回も続くのか…?
東1局、二見の配牌に筒子がゴロゴロ、2巡目にして既に方針決定。
西家・二見 2巡目
ツモ→打 ドラ
しかし5巡目にツモ切ったを内海がポン、こちらは既に染まり切っている。
東家・内海 5巡目
ポン→打 ドラ
直後にもポンして聴牌、二見も一向聴まで進むが内海がツモ和了。
東家・内海 10巡目
ツモ ポン ポン ドラ
東1局1本場、四者一向聴が続く中、大脇が聴牌。待ち選択に迷いつつもツモ和了。
南家・大脇 12巡目
ツモ ドラ
がフリテンゆえのダマだったが、リーチなら一発ツモ裏々。
思わず舌打ちの一つも出そうなところだが大脇の表情に変化はない。
どうやらいつもの大脇が戻ってきているようだ。
東2局、このまま内海にトップを取らせるわけにはいかない二見、ドラドラの配牌をようやく聴牌に漕ぎ着ける。
南家・二見 12巡目リーチ
ドラ
東家・大脇 13巡目リーチ
ドラ
立場を同じくする大脇が直後に追いつきリーチ合戦となるが軍配は二見に。
南家・二見 17巡目
リーチロン ドラ 裏ドラ
東3局、親を迎えた二見、ここで内海を捉えんとやや遠い所からだが仕掛けて出る。
東家・二見 6巡目
ポン→打 ドラ
この手で内海の打に飛びつくが、途端に内海がツモ切った牌が。
ドラ表示牌なのでポンするしかないが、内海に今度はをツモ切られる。
なんとも噛み合ってないなぁという感じになったところで内海がリーチ。
山に丸生きの単騎をツモって二見を突き放した。
西家・内海 9巡目
リーチツモ ドラ 裏ドラ
南1局、東家・内海38600、南家・大脇17300、西家・二見23700、北家・福田20400。
なんと福田が配牌聴牌、地和チャンス到来である。
北家・福田 配牌
ドラ
トータルポイントを考えれば微妙なところではあるが、ツモれば流石に和了っただろう。
しかし第一ツモは色違いの、ダブリーとはせずに手を作り直していく福田。
巡目は進んで9巡目、内海は十分形一向聴のここからのツモ切り。
東家・内海 9巡目
ドラ
この時点で大脇の手はこうなっていた。
南家・大脇 9巡目
ドラ
場に3枚目のである、連荘阻止を最優先したい局面ゆえ鳴いてもよさそうだが大脇は無言。
次巡をツモった内海がドラ切りリーチ、一方の大脇もを引き入れて追いかけリーチにいく。
この時点で-は4枚、--は3枚残りだったが互いのツモ山にはおらず、
二見と福田もなんとか聴牌に漕ぎ着けて流局となった。
決定戦終了後、この局について大脇に尋ねてみた。
「あれは鳴く気なかったなぁ、鳴いたら只のかわし手になっちゃうから。
逆転された上にこの回も苦しい状況、だからこそしっかり作って本手でぶつけていこう。
その結果勝てなかったとしても、それならそれで諦めもつくかな…って」
「いわゆる王道というやつ?」
「そう!それそれ!」
対局中のクールな態度はどこへやら、素顔の大脇は表情豊かでなかなかに熱い男である。
南2局3本場(供託3000)、東家・大脇18300、南家・二見22700、西家・福田19400、北家・内海36600。
3局続けての流局で貯まった供託、これをせしめれば大きく抜け出す内海が3巡目に一向聴となる。
北家・内海 3巡目
ツモ→打 ドラ
値段不要のここはマークが厳しいリーチより仕掛けて捌きたい。
しかし関連牌が出る前にツモ、この巡目ならいたしかたなしのリーチ宣言。
北家・内海 5巡目リーチ
ドラ
内海が和了れば大勢が決しかねない局面、このピンチに大脇が踏ん張る。
東家・大脇 6巡目
ツモ→打 ドラ
この一向聴からの対子落とし、次巡にチー、そして内海の高目であるドラのを喰い取って聴牌。
東家・大脇 8巡目
ツモ→打 チー ドラ
そして内海の打を横目に見つつツモった牌はまたしても、渋々ながらシャンポンに受け変える。
決着は最終巡目、大脇の、否、三者の執念が内海にラス牌のを掴ませ100点差ながらトップを逆転。
東家・大脇 17巡目
ロン チー ドラ
南2局4本場、内海の放銃で一息ついたものの依然このまま終わるわけにはいかない二見がここでも動く。
南家・二見 3巡目
ポン→打 ドラ
少々不安な仕掛けだが、今回はツモが噛み合い8巡目に聴牌。
南家・二見 8巡目
チー ポン ドラ
そして大脇も一つ仕掛けて追いつく。
東家・大脇 14巡目
チー ドラ
直後にを引かされた二見、手を止めじっくりと場を見渡してから大脇の現物である打、
次巡のツモがで持ち点を配給原点に戻す。
南家・二見 15巡目
ツモ チー ポン ドラ
南3局、一向聴となった福田、悩ましいところだが変化の余地を残して打。
南家・福田 5巡目
ツモ→打 ドラ
西家・内海 5巡目
チー→打 ドラ
これに食いついた内海は3門張の聴牌、福田にが浮いており和了は時間の問題かと思われた。
しかし福田が粘る。引きで聴牌を取らず内海の現物である打、
これまた内海の現物である引きもトラズかとかと思いきや、
二度受けはないと見たのか今度は打で聴牌に受ける。
そして次巡のツモが、逃げ切りを図る内海の足を見事に引っ張った。
南家・福田 11巡目
ツモ ドラ
南4局、東家・福田19800、南家・内海27900、西家・大脇27800、北家・二見24500。
大接戦となったオーラスだが和了トップの両者、配牌は揃って今ひとつ。
南家・内海 配牌
ドラ
西家・大脇 配牌
ドラ
ツモだけを頼りに河に幺九牌を並べていくが、着々と手を進めた内海がダブをポン。
南家・内海 8巡目
ポン→打 ドラ
あの配牌から一気呵成の満貫聴牌である。
そしてこちらも大きく変化した大脇の手牌、ツモで大長考に入る。
西家・大脇 11巡目
ツモ ドラ
内海の待ちは考えるだけ無駄としても、一体どこを残せば引けるのか?鳴けるのか?
大脇の決断は打、内海に当たれば致命傷になりかねないが、出難さを加味すれば最も広い。
その後、チー、ポンで追いついた大脇は終盤大音声と共にを叩き付けた。
西家・大脇 16巡目
ツモ ポン チー ドラ
大きな大きなクイタンの片和了、ある意味「らしい」和了で大脇がポイントリーダーに返り咲いた。
13回戦結果
大脇+48.9 内海+7.6 二見▲15.8 福田▲40.7
(13回戦終了時)
大脇 +140.9
内海 +133.6
二見 +51.9
福田 ▲326.4
ここで長めの休憩、外出から戻ってきた対局者たちは様々な思いを胸に再開の時刻を待つ。
誰に言うとでもなく大脇が呟く、
「和了っても和了っても楽にならねーよ、何だよ国士って…」
「とりあえず4000オールって言わせろ!」、これは二見。
内海は観戦者と、福田は採譜者と、それぞれ会場の隅で話し込んでいる。
さて、いよいよ残り2回戦である。
★14回戦★ (内海→二見→大脇→福田)
東1局、真っ先に動いたのは連勝縛りとなった二見。
南家・二見 3巡目
ポン→打 ドラ
この鳴きで配牌ドラドラ、そして本日4度目の起家となった内海に聴牌が入る。
東家・内海 5巡目
ツモ→打リーチ ドラ
捨牌にと並べてのリーチ、この手ならばと一気に決めに行った。
これに二見が真っ向から勝負、無筋も生牌もお構いなしに切り飛ばして追いつく。
南家・二見 12巡目
ツモ チー ポン ドラ
二見はここから-に受けず打、ここで初めて内海のリーチに通っている牌を切った。
一見安全策を取ったかに見えるがそうではない。
「この時点でが4枚見え、かを鳴いて単騎になればほぼ必勝だと思った」
二見に聴牌で妥協する気などなく、和了れる待ちにするための単騎受けである。
そして思惑通りにをチー、2枚残りのを再び内海に掴ませる。
南家・二見 16巡目
ロン チー チー ポン ドラ
東2局、勝負手を潰された内海だがこの局も手は早い。
北家・内海 2巡目
ツモ→打 ドラ
2巡目に一向聴、そして6巡目にはこうなった。
北家・内海 6巡目
ツモ→打 ドラ
仕掛けられる形にはなったが鳴けば安い。
状況次第ではかわし手で妥協もやむなしだが、ここに4枚目のを引き入れて即リーチ。
一発ツモが、その後にツモはちょっといやな感じだが、流局間際に後筋のがこぼれた。
北家・内海 17巡目
リーチロン ドラ 裏ドラ
東3局、ここでも内海が先陣を切る、やや遠い仕掛けだが手材料は十分。
西家・内海 2巡目
ポン→打 ドラ
しかし直後に二見が、そして福田が一向聴となる。
北家・二見 2巡目
ドラ
南家・福田 3巡目
ドラ
そしてこちらも一向聴となった大脇、ドラ引きなら文句なし、両面が埋まればドラ単騎リーチだが、ツモで打。
東家・大脇 6巡目
ツモ→打 ドラ
内海はこれをポンして聴牌。
西家・内海 6巡目
ポン→打 ポン ポン ドラ
次巡、福田はツモ、切りでピンフ聴牌、ノミ手だがタンヤオや三色の変化もある。
しかし福田は内海の現物である打で聴牌取らず、自分の出番ではないとふんだか。
南家・福田 7巡目
ツモ→打 ドラ
これで助かったのが二見、内海の和了牌を暗刻にして福田の和了牌だった切りリーチ。
大脇のツモ切りを見事に捕らえて、久々に持ち点が3万点を超えた。
北家・二見 8巡目
リーチ一発ロン ドラ 裏ドラ
東4局、親番の福田が9巡目にリーチ、終盤にフリテンのを引き戻す。
東家・福田 15巡目
リーチツモ ドラ 裏ドラ
東家・福田 4巡目
ツモ→打 ドラ
一向聴はこの形、ツモでは切りのトラズとしたものの、9巡目にドラを引いてフリテンリーチに出た。
この和了、実は周囲も大歓迎である。
競っている大脇と内海は自分がトップを取るのが理想だが、そうでなければ福田トップが次善。
また連勝条件の二見もトップは捲くるしかないが、福田を2着に残せれば最終戦の条件が楽になる。
出和了が躊躇される状況でのフリテン、ツモ和了、そして裏ドラ乗らず。
ひたすらに己の役目を全うしようとする福田の気持ちがこの和了に集約されているような気がした。
東4局1本場、東家・福田31800、南家・内海24200、西家・二見29400、北家・大脇19600。
南家・内海 2巡目
ドラ
内海はここで福田からのを見送る。大脇が沈んでいるだけに局を進めにいく手もありそうだが、
「並びはいいがリードとしてはまだ心もとない。ここはトップを狙って打点を追った」
とが振り変わり、を入れた内海は切りでリーチ。
南家・内海 11巡目
リーチツモ ドラ 裏ドラ
これで大脇を除く三者がほぼ横並びとなった。
南2局2本場、東家・二見31800、南家大脇・11600、西家福田・29500、北家・内海27100。
前局大脇のリーチをかわした二見が再度トップ目になるが、7巡目に内海がリーチ。
内海捨て牌:
が枯れ、が枯れたところで二見が1枚切れのをツモ切ると内海からロンの声。
北家・内海 12巡目
リーチロン ドラ 裏ドラ
「えっ!?」と言わんばかりの表情をした二見、内海の手牌を確認すると明らかな落胆の色を見せた。
南4局、東家・福田28500、南家・内海35100、西家・二見27000、北家・大脇9400。
大脇の親を直撃で落とした内海が一歩抜け出した。
こうなると大脇としては福田に期待せざるを得ないし、
自身のトップを目指す二見もとりあえずの連荘は歓迎だろう。
東家・福田 4巡目
ツモ→打 ドラ
さてその福田の手牌はなかなか良い。和了に向かえる立場なので真っ直ぐ一向聴に取ってもよさそうだが
ここで打はタンヤオか一通の可能性を見てのものか。
次巡のツモで当然打とするが、内海がこれをチー。
南家・内海 5巡目
チー→打 ドラ
役なしのを除いても〜と〜、12門張の一向聴である。
入り目次第ではドラ切りもある形だが、次巡食い下げてきたのがそのドラで3門張の聴牌、
これを即座にツモって大脇を大きく引き離した。
南家・内海 7巡目
ツモ チー ドラ
14回戦結果
内海+63.1 二見+5.0 福田▲15.5 大脇▲52.6
(14回戦終了時)
内海 +196.7
大脇 +88.3
二見 +56.9
福田 ▲341.9
★15回戦★ (福田→内海→二見→大脇)
いよいよ最終戦、大脇は28500点差のトップラス、二見は59900点差のトップラスが条件である。
東1局2本場(供託3000)、和了が出ぬまま供託と積み場が増えていく。
「自分が和了らない限り局が進まないというのは分かっていたので、先手を取れる時を待っていた」
後にこう語った内海がようやく先制リーチと出る。これを受けて大脇が少考。
北家・大脇 12巡目
ツモ ドラ
内海捨て牌:
現物を抜いてもその後が困る、がフリテンだが索子が埋まれば直撃もあると見た大脇は打。
南家・内海 12巡目
リーチロン ドラ 裏ドラ
「タンピン風の捨牌になっていたので狙ってみました、裏ドラは予想外でしたけど(笑)」
いかにも「選ばれました」的な和了に一同ショックを隠せない。
東3局4本場(供託4000)、東家・二見28000、南家・大脇24200、西家・福田20000、北家・内海23800。
がむしゃらに和了に向かうもあと1枚がこない大脇と二見、ぎりぎりまで手を進め降りに回りつつも
海底をずらしたり消したりと細かい仕事にも余念のない内海、再び供託が積み上がっていく。
そして大脇にチャンスが訪れた。
南家・大脇 配牌
ドラ
初巡にをポン、そしてを重ねる。
これに対して無造作に役牌を切り出す内海、こちらも早い一向聴。
北家・内海 5巡目
ツモ→打 ドラ
これを二見がポンしてこれまた一向聴、そして大脇がを暗刻にする。
東家・二見 6巡目
ポン ドラ
南家・大脇 6巡目
ポン ドラ
次巡二見がを鳴いて聴牌、大脇はを引くが当然の聴牌取らずで打。
そこへ内海がをツモ切り、そして次巡のは手に留めて打とする。
10巡目、を引いた内海は考える素振りもなく打。
「あの瞬間は小四喜という役の存在を忘れていました…」
ゲーム運びを見る限りでは冷静だったようだが、やはりどこか舞い上がっていたのであろう。
大脇がを重ねていれば大事件だが、大脇の発声は…「ポン」
「国士放銃の後の小四喜直撃」となれば年末にあったもう一つの決定戦の再現だがそうはいかなかった。
ともあれこれで三者が聴牌、山には二見のが3枚、大脇のが2枚、内海の-が2枚とほぼ互角。
東家・二見
チー ポン ドラ
南家・大脇
ポン ポン ドラ
北家・内海
ドラ
流石に大脇への放銃はないだろうからその分不利ではあるが、
仮に大脇がツモった場合、内海2着の際の条件の68500点差まであと22500点。
そして大脇には親番が2回とも残っているので、逆転の可能性は十分にある。
会場中が固唾を飲んで見守る中、決着は思いのほか早かった。
大きな山場を凌いだ内海は淡々と局を潰していき、ひたすら粘る大脇と二見を振り切った。
全16局となった最終戦だが、和了を宣したのは内海のみであった。
15回戦結果
内海+59.5 二見+5.9 大脇▲14.5 福田▲50.9
(15回戦終了時)
内海 +256.2
大脇 +73.8
二見 +62.8
福田 ▲392.8
酒席での事ゆえあるいは本人の記憶にはないかもしれない。
彼と初めて会話をしたのは3年前、第6期雀竜位決定戦の打ち上げの席だった。
敗れたものの決定戦に駒を進めた彼は当時雀王戦関西C2リーグに所属、
より麻雀に打ち込める環境を求めて近く上京する予定だと語った。
「仕事とかどうするつもりなの?」
「まだ何も決めてませんがなんとかなると思ってます。とにかく強くなりたい、今はそれだけです。」
なんとも頼もしい奴がきたもんだなと内心嬉しく思ったが、
この歳になると真摯な情熱と正面から相対するのは少々気恥ずかしくもある。
私はそれ以上深追いせずに軽く流した。
「…また一人バカが増えたか…」
そんな言葉に照れ笑いとも苦笑いともつかぬ表情を浮かべた彼だが、その目線は真っ直ぐにこちらを見据えていた。
その後の彼は雀王戦で順調に昇級を重ね来期からはB1リーグ、昨年には自ら会社を起こし社長としても奮闘している。
西から来た男は東京の地にしっかりと根付き、そして今、雀竜位獲得という大輪の花を咲かせるに至った。
おめでとう、内海元!
(文:福井 仁)
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