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順位
名前
TOTAL
第1節
第2節
11回戦
12回戦
13回戦
14回戦
15回戦
1
吉田 基成
59.2
154.4
-8.7
-19.3
-66.0
4.0
-24.1
18.9
2
武中 進
0.8
9.9
-28.6
7.6
-22.3
-42.8
14.5
62.5
3
渋川 難波
-26.2
-39.5
-68.4
54.1
87.4
55.4
-50.3
-64.9
4
斎藤 俊
-34.8
-124.8
104.7
-42.4
0.9
-16.6
59.9
-16.5

1・2日目観戦記|最終日観戦記|

【雀竜位決定戦 3日目観戦記】

★11回戦★(斎藤→吉田→武中→渋川)

開局一番リーチの発声はここまでトータルトップの吉田。
5巡目に生牌のを切って場に1枚切れの単騎のチートイドラドラ。
東1局 南家・吉田
 ドラ
もちろんトータルトップだからといってこの手をダマにするようでは勝ちきれない。
リーチは当然の選択だ。
リーチの時点でアガリ牌は山に2枚残っているのだが、このが全く顔を出さない。
ドラマはホウテイで起こった。

東家・斎藤
 チー チー ドラ
前巡チーテンを入れていた親番の斎藤がハイテイで持ってきたのはそのである。
少考後ツモ切り。
吉田はホウテイとウラウラで幸先の良い16000のアガリとなった。
斎藤の立場としても親を続けなくてはならない立場であり致し方のない放銃である。

東2局
この局も最初にテンパイをはたしたのは親の吉田。
東家・吉田
 ドラ
親とはいえドラなしカンチャンではリーチは打ちづらい。
セオリー通りの切りダマを選択。
するとそのを南家・武中がポンして孤立牌のを切ってテンパイ。
 ポン ポン ドラ

こちらもシャンポンドラなしと苦しい仕掛けだが吉田の親を落とすことを主眼においた仕掛けだ。

そしてさらにそのをポンしたのが西家の渋川。
 ポン ドラ

こちらはドラ3の勝負手で、をポンされてしまってはポンも必然だ。
ドミノ倒しのように同巡内に三人にテンパイが入った。

次巡ドラのを持ってきた渋川が暗カンするとリンシャンハイから持ってきたのはアガリ牌の
カンドラも2枚乗せて4000・8000のアガリとなった。
もちろん一番嬉しいのはアガった渋川本人だが、斎藤、武中も吉田から点棒が出るのは悪くない展開だ。
最終日はのっけから2局連続連続倍満のアガリと今後の打撃戦を予感させる展開となった。

東4局1本場。
この局先手を取ったのはここまでダンラスの南家の斎藤。ドラを切ってリーチ。
 ドラ
親の渋川がピンズのホンイツ模様だけに比較的感触は悪くないと思っていたはずだ。

渋川が粘ってテンパイを入れた。
 ポン チー ポン ドラ
渋川が最後のツモ番でを加カンすると持ってきたのは斎藤の高めのだったがツモ切り。
それに対して斎藤も平然と見逃し。
このあたりのコンビネーションはさすがで吉田をどんどん追い詰めていく。

東4局2本場
北家・武中が6巡目にチートイツのイーシャンテン。
 ドラ
ここから生牌のを切って1枚切れのを残したのが好判断。
次巡ドラを引き込んで単騎のリーチといった。宣言牌がの後のではチートイツとも読みづらい河になった。

これに飛び込んだのは吉田。こちらもチートイツのイーシャンテンだったが手詰まり気味にが出てしまった。
裏ドラがで12000。武中のうまさが出た局だった。吉田は更に追い詰められていく。

南1局、親の斎藤が5巡目リーチ。
 ドラ
なんとこの形である。ドラの手変わりもあるし他にもなど有効な手変わりは多い。
だがもちろんそんなことは斎藤も承知の上である。
この後のない南場の親番を絶対に終わらせないためにも一刻の猶予もないと思ったに違いない。
この姿勢が斎藤に最高の結果をもたらす。
一発でを引き寄せ4000オールで吉田をまくって3着に浮上する。
これで並びは出来た。

南3局、上家の斎藤が切った1巡目のをラス目の吉田が仕掛ける。
仕掛けた時点ではバラバラといっていいような手牌であったが、
とりあえずの3着狙いととオーラスで満貫ツモでトップを狙える位置にいたいという意図であろう。

この仕掛けに対しても上家の斎藤が辛く打つ。
 加カン ドラ
吉田もをカンして充分形だが自分でも全く有効牌を引いてこれないし、斎藤からは1牌たりとも鳴ける牌は出てこない。
途中武中がを打った瞬間に手詰まりを避ける意味でもを合わせてしまう手もあったが斎藤はかたくなに切らなかった。
こういうところは斎藤は非常に徹底している。

吉田ノーテンのまま流局かと思われたがなんとか最後のツモでを引いてカンドラ切りでテンパイ。
だが斎藤の打ち方は吉田をラスのまま終わらせようという意志が伝わってくる。

南4局
 ツモ ドラ
吉田がラス抜け。
全体的に苦しい展開だったがなんとかラスだけは免れホッとしたことだろう。
時間にして約2時間、全員が自分のやるべきことをやりきった濃密でレベルの高い半荘であった。

対局後控室に戻ってきた吉田は『斎藤のこと嫌いになりそう』としきりに言っていた。
これは対戦相手に対する吉田なりの最大の賛辞の言葉であろう。

11回戦結果(トータル)
渋川+54.1(▲53.8)
武中+7.8(▲11.1)
吉田▲19.3(+126.4)
斎藤▲42.4(▲62.5)

 

★12回戦★(吉田→武中→斎藤→渋川)

東1局、南家・武中のリーチにテンパイした吉田が捕まり5200。
 ロン ドラ 裏ドラ

東2局、親の武中が流れるような手順で7巡目リーチ。
 ドラ
程なくをツモりあげ雀頭のが裏ドラで4000オール。

東2局1本場、またしても武中が先制リーチ。
 ドラ

しかし今回は斎藤が黙っていなかった。
 リーチツモ ドラ 裏ドラ
をツモり前局のお返しとばかり裏ドラを2枚載せて3000・6000。

東4局、南家の吉田が14巡目にリーチ。
 ドラ
リーチをかけた瞬間は高めのが山に2枚残っていたが、下家の武中に1枚はすぐに吸収される。
終盤斎藤が吉田のハイテイを消すチーをすると、ハイテイ牌のが武中に流れる。
当たり前のことと言われてしまえばそれまでだが、基本的なこともおろそかにしない斎藤の動きが吉田をさらに苦しめる。

東4局1本場
東家・渋川
 リーチツモ ドラ 裏ドラ

東4局2本場
東家・渋川
 ロン(一発) ドラ 裏ドラ

東4局3本場
 ロン ドラ
渋川の連荘が止まらない

東4局4本場

渋川が3巡目にをチーしてこの異様な捨て牌である。
それに対してノータイムでを被せる武中。この局は前局の放銃もあり冷静さを欠いていた感はある。

結果はご覧のようにリーチ後、を掴んでの12000は13200放銃。
武中の表情が次第に苦悶に歪んでいく。

東4局5本場
この局も積極的にをポンする武中。
ピンズの山を引き当て最終的にもポンできてこの三面張テンパイ。
 ポン ポン ドラ

これに追いつきアガリ切ったのは渋川。
 リーチツモ ドラ 裏ドラ

これにはたまらず武中がトイレに立ちしばらく休憩となった。
この時点で渋川の持ち点は8万点を超え優勝が現実味を帯びてくる。


南2局、その武中が意地の親リーチ。
 リーチツモ ドラ 裏ドラ

を暗カンしてカンドラを載せた斎藤から倍満確定の追いかけが入るもここは枚数で分があった武中に軍配が上がった。
ツモったを裏ドラに載せて4000オールで息を吹き返した。
またしても吉田はラスを押し付けられ箱シタに追いやられてしまう。

南4局4本場
北家・斎藤
 ツモ チー ポン ドラ
オーラスは斎藤がきっちり1000・2000ツモで武中をかわして二番手に浮上する。

最終日を迎えてトータルラスだった渋川は、周りに助けられつつも連勝でプラス圏内に入り吉田を追い詰める位置まで迫ってきた。

12回戦結果(トータル)
渋川+87.4(+33.6)
斎藤+0.9(▲61.6)
武中▲22.3(▲33.4)
吉田▲66.0(+60.4)

 

★13回戦★(渋川→武中→吉田→斎藤)

東1局、北家・斎藤が8巡目リーチ。
 ドラ
渋川から出アガリで3900。

東2局、東家・武中がドラドラのポンテン。
 ポン ドラ

これに被せたのが南家・吉田。
 ドラ
ここから切りリーチといった。
ほどなく武中ツモで2000オールのアガリとなったが、この吉田のリーチには少し焦りを感じた。


東2局1本場
東家・武中が11巡目テンパイ。
ここまでリーチリーチときていた武中だったが、ここでは場況で全員からピンズがこぼれそうと判断しヤミテンを選んだ。
 ドラ
渋川がを掴んで12000。

東2局2本場
北家・渋川
 ポン ポン ドラ
ペンからを引いてこの形に変化。

東家・武中
 ドラ
そこに追いついたのが東家の武中。
人により様々な選択がある局面だが
切りダマを選択し、渋川に8000は8600のお返しをする結果となった。

南2局

この局は色々と面白いので見ていただきたい。
まず先手を取ったのは西家・斎藤。
2つポンして5200テンパイ。

 ポン ポン ドラ

これに追いついたのは北家の渋川。
 ポン ドラ
マンズのホンイツ狙いだったがが重なりトイトイのテンパイ。
その渋川がを切るとなんと斎藤がポンして打
その後に待ち変え。

親の武中も切りリーチ。
同巡を持ってきてを1枚切ってさらに待ち変え。武中の一発目のツモは
この三つ巴の勝負を制したのは渋川。
をツモって本日2回目の4000・8000。
 ツモ 暗カン ポン ドラ
ここまでラス目だったが一気にトップ目に立った。
器用さが斎藤の強みでもあるのだが、この局に関しては少し動きすぎたのではないかと思う。
私なら場況の悪くないファーストテンパイのまま押し切りたいと考えるところだ。

南4局、10巡目に南家・渋川のテンパイ。
 ドラ

東家の斎藤、12巡目にリーチ。
 ドラ
この形からを切ってリーチといった。斎藤の持ってきた牌はなんとラス牌の
渋川から当然ロンの声がかかると斎藤が珍しく感情をあらわにし7を河に叩き付けた。
受け方によっては4000オールだった手がこの放銃で3着落ち。
この手をカンチャンに受けるのは至難の業でありほとんどの人は同じ結果になると思う。
だがこの半荘斎藤はツモに翻弄されてしまった感がある。
このアクションは斎藤のそんな気持ちをよく表していた。

一方アガった渋川は3連勝で吉田をまくってトータルトップに立った。
半荘3回で250以上あった吉田との差を一気にひっくり返してしまったのである。まさに協会ルールおそるべしである。
武中、斎藤は残りの二回戦ほぼ連勝条件と少し厳しくなってしまったがまだまだわからない。
勝負の決着はどうやら最終戦までもつれそうな様相を呈してきた。

13回戦結果(トータル)
渋川+55.4(+89.0)
吉田+4.0(+64.4)
斎藤▲16.6(▲78.2)
武中▲42.8(▲76.2)

 

★14回戦★(渋川→吉田→武中→斎藤)

東1局は親の渋川の8巡目のピンフリーチに2フーロの吉田が同じ待ちで追いつくも、
山に3枚残っていた-を両者ともにツモれず痛み分けとなった。

東1局1本場
吉田のホンイツ仕掛けに全員が対応しオールノーテンで流局かと思われたが、
斎藤がツモに押し出される形で前に出て12巡目リーチ。
 ドラ
高めのをツモり上げ渾身の3000・6000。

南1局
南家・吉田 5巡目
 ドラ
この形に持ってきたを北家の斎藤の切ったに合わせてツモ切り。
効率だけを追うなら切りの雀頭固定だがだが
吉田の切りは柔軟に色々なツモに対応でき、-待ちが残った時の自分の河を強くできるという意図であろう。
この選択が結果的にうまくいく。

東家・渋川 9巡目リーチ
 ドラ

南家・吉田 9巡目
 ツモ ドラ
渋川の宣言牌のを合わせ切りしてイーシャンテンをキープすると、次巡を引いて無スジのを勝負。
渋川がを持ってきてリーチ棒付きで1000点のアガリとなった。
点数的には安いが非常に大きなアガリである。
ここから吉田と渋川の最終戦のトータルトップを賭けた一進一退の攻防が続いていく。

南4局
オーラスを迎えての点棒状況は、
斎藤39900 武中35500 吉田14900 渋川9700

トータルでの点差は600点差で吉田の方が上である。
斎藤・武中は是が非でもトップを取りたいところ。
吉田と渋川は相手よりは上の着順を取っておきたいところである。

渋川がをチー。3着は諦めてトータルトップを狙った仕掛けである。
だが、最初にテンパイしたのは吉田であった。

西家・吉田 10巡目
 ドラ

テンパイした武中からが出て吉田がトータルトップで最終戦を迎えることとなった。

14回戦結果(トータル)
斎藤+59.9(▲18.3)
武中+14.5(▲61.7)
吉田▲24.1(+40.3)
渋川▲50.3(+38.7)

 

★15回戦★(渋川→武中→斎藤→吉田)

東1局
北家・吉田が4巡目先制リーチ。
 ドラ

このまま1人旅かと思いきや東家・渋川が三面張で追いつく。
 リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ
一発でを引き寄せ2600オール。

東3局
南家・吉田がまたしても4巡目先制リーチ。
 ドラ
を切っていわゆるモロヒリーチである。
これに親の斎藤が追いついて12巡目にようやくリーチ。
東家・斎藤
 ドラ

これで困ったのはすでにベタオリしていた渋川。
完全に手詰まってしまい打牌候補のはどちらもアタリ牌。
渋川が選んだのはで吉田がライバルから大きな6400の直撃となった。

東4局、北家・斎藤 6巡目リーチ
 ロン ドラ

打点力にこそ乏しいが-は絶テンで山に6枚残っている。
これに飛び込んだのはまたしても渋川。
なんと裏ドラがで8000の失点となってしまい吉田との差はさらに広がってしまう。

南1局、後のない東家・渋川が13巡目にようやくリーチ。
 ドラ

テンパイしていた斎藤もオロして1人テンパイで流局。

南1局1本場
東家・渋川
 ポン ポン ドラ

北家・吉田
 ポン ポン ドラ

両者2フーロして共にソウズ待ちのテンパイ。
なんと吉田が3枚目のツモで切り。
渋川1500は1800のアガリで親番死守する、

南1局2本場
これ以上は連荘させじと吉田がを1鳴き。
 ポン ポン ドラ
このままアガリ切るかと思いきやポンしてトイトイに移行する。
斎藤、渋川も追いつくが斎藤が吉田のアタリ牌であるを掴んでしまい吉田にとって決定打ともいえる5200のアガリとなった。
少し危なっかしい感はあったがこれが吉田流の勝ち方なのだろう。

南2局1本場
北家・渋川 7巡目
 暗カン ドラ
ここから567の三色を見て一度はを切ってテンパイを外したが次巡を引いてしびれを切らしてカン待ちでリーチ。
結果はピンズのメンツを河に並べてしまい親の武中に追いかけをくらう。
更に不幸なことに吉田のチーでをつかまされ武中に24000の放銃となってしまった。

南4局。
泣いても笑っても最後の1局である。
そんな中、1人優勝条件を満たすテンパイをひっそりと入れた者がいた。
北家の斎藤であった。
なんとツモると優勝の倍満テンパイ。
 ポン ドラ

ただ待ちはテンパイした時点ですでに純カラ。
そして斎藤は一度もツモ山に手を伸ばすことなく、
南家・渋川の3着を決めるアガリで今期の雀竜位決定戦は幕を閉じた。

 ツモ ドラ

最終戦結果(トータル)
武中+62.5(+0.8)
吉田+18.9(+59.2)
斎藤▲16.5(▲34.8)
渋川▲64.9(▲26.2)

優勝は吉田基成。第6期以来2度目の戴冠となった。
ただ第6期の頃とはだいぶ違う勝ち方だった。あの頃の麻雀よりリーチの回数は減っているが、その分重く丁寧になったように感じた。

そして2年前斎藤に逆転された教訓が活かされたと話していた。
特に今回の勝ち方はリードしている立場のお手本となるような戦い方であった。

今回の決定戦のように他の3者から徹底マークされると勝ち切るのはやはり容易ではない。
全員がやるべきことをちゃんとやるとこのような素晴らしい対局になるということを改めて実感した。
来年は自分がこの舞台に立てるように精進したいと心から思う。

 

(文・福田 聡)

 

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